「さーて、みんなわかってると思うけど…来週は体育祭だ!」
緑谷は教卓に手をついて元気よく話し始めた。
「わーってますよ!」
「楽しみ〜!!」
「やる気満々ッス!」
「具体的に種目ってなにするのー!?」
「落ち着いて!興奮するのもわかるけどね」
そう言って生徒を宥める。
「種目はごめんね、教えられないんだ。だから当日のお楽しみ!で、だ…注目度は何年増してきてる。ヒーローは近年グローバル化してきているし、新たなヒーローに注目が集まるのは必然。それで、プロヒーローもスカウト目的で来る。最近だと海外からも視察に来るヒーローもいる」
それに全員が無意識の内、身体に力が入る。
「ということで――年に一度……最大で3回きりのチャンス。掴み取るんだッみんな!」
「「「はい!!!」」」
──
「ヘイ!エブリバディ!英語の授業を始めるぜィ!ぶち上げてけェ!!」
プレゼント・マイクの英語の授業。
授業初めの挨拶は騒がしいが、その後の授業は実のところ普通である。
強いていえばプレゼント・マイクが生徒の回答に対してハイテンションで相槌や合いの手を入れるくらいだ。
「ヘイそこ!お眠かい?玉城ボーイ!それじゃ一曲、眠気覚ましに俺のソウルビートを聴かせてやろうかァ!」
「「「_!?」」」
プレゼント・マイクの歌は鼓膜が張り裂ける程の威力を誇る。
そんなことをされたら寿命が縮まるどころの騒ぎではない。
「「「__起きろこのバカァ!!」」」
「__ッッてェッ何す__すみません!!」
いきなり頭をぶっ叩かれたことに怒りをみせる玉城だったが、クラスメイト全員の殺気の籠った視線に当てられ、おとなしく着席した。
──
総護、来栖、永禮、天駆の4人で食堂へと歩く。
雄英高校の食堂は、クックヒーロー・ランチラッシュによる絶品の学食が振舞われている。
その学食を食べるために、食堂はほとんどの生徒が利用するため、かなりの人口密度になる。
早めに食事にありつくために、少し急足で来るものもいるくらいだ。
食堂に着くとアプリで注文した食事を受け取り、席の確保をするために辺りを見回す。
すると、見知った顔の隣の席が空いているのに気がついた。
「__輪倶。ここの席、いいか?」
楽しそうに話している円堂の肩を叩き、話しかける。
「おぉー!総護じゃんか!なんかめっちゃ久しぶりな気がすんなー!座れ座れ、お連れの皆さんもどうぞ!」
「ありがとう。確かに、前はほぼ毎日会ってたからな〜」
促されるままに席に座る4人。
目の前には面識のないB組の生徒達が座っていた。
「俺は泡群 裂太郎 !よろしくな!」
「五色 識織だよ〜」
「改身 未玖でーす。シクヨロー」
自己紹介を済ませ、食事へと向き合う。
「そーいえばB組って担任誰なの?」
「エクトっちだよー」
「エクトプラズム先生か。寡黙な印象あるけど」
「顔に見合わず優しいよね〜」
「うちのデク先生は見た目通りに優しいよ」
「テレビで見た印象と全然違うのな!あの映像だとなんかトゲトゲしてたっつーか」(黒デク)
天駆はシチュー、永禮は親子丼、総護はオムライス、円堂はベーグルサンド、泡群はとんかつ定食、五色はミートソーススパゲッティ、改身はカレーライスという好物を口へと頬張りながら雑談する。
来栖は日替わり定食にステーキとピザというわんぱくっぷりだ。
「A組は救助訓練何したん?」
「うちらは山岳地帯での救助訓練だったよ」
「そーなのか!俺らは地震の被害にあった都市での捜索と救助の訓練だったぞ!」
「エクトっちが個性で分身して隠れて、ソレを探して救助すんの。隠れんの上手くてまじ苦戦したわー」
「ね〜。寮帰ったらそっこー寝たわ〜」
B組とは訓練内容が異なるようだった。
カリキュラムは同じでも、内容が異なることがあるだなぁと考えながら雑談を続ける。
個性の話やコスチュームの話、好きなヒーローの話など、初対面ながら話題は尽きない。
同じヒーロー志望として、興味関心が似ているからだろう。
「うんまぁ〜」
「そういや来栖って戦闘の時も食べる時と同じように飲み込むけど、味ってするのか?」
「御門…ソレ、聞いちゃう?」
「……やめとこう」
B組との親睦を深めながら食事をした。
──
食堂から教室へと戻っていると、相澤に声をかけられた。
「お、御門、ちょうどよかった。ちょっといいか?」
「「「「イレイザーヘッド?」」」」
「話があるからちょっとコイツ借りてもいいかい?」
「わり、ちょっと行ってくるわ」
そう言い残して総護は相澤について行った。
「御門くん、なんの要件だろうね?」
残された3人は食堂に向かいながら総護のことを話す。
「んーなんだろうな」
「ま、私たちが考えてもわかるわけないしー」
「だよねぇ」
「突然すまんな」
「いえ、全然…それで、なんの要件でしょう」
「あぁ…体育祭での第一種目なんだが、すこし必要なものを運ばなくてはならなくてな。力を借りていいか?」
「えぇ…まあ、わかりました」
「以上だ。時間を取らせて悪かったな。あ、一応言っておくが、このことと種目のことは他の奴には内密にな」
後日、大量の"ナニカ"を収納させられたのであった。