―体育祭当日。
雄英高校に大勢の人が集まっていた。
店や露店は勿論。
見物客は一般人からプロヒーローまで。また警備用に雇われたプロヒーローも含めると、会場にいるプロヒーローの数は数えるのが馬鹿らしい。
それだけのヒーローが集まり、全国の国民が注目するのが雄英体育祭。
そんな会場の中で、準備ゆえに早めに控え室に向かう生徒たち。
「洸汰くん!応援に来たよ!」
「エリ…!」
洸汰は女の子に呼ばれ、そちらへと向かっていった。
「もうすっかり雄英生だねェ」
「やめろよ…一つしか違わないだろ」
「あの子、知り合いか?」
「めっちゃかわいい子じゃん!やるなァ出水の奴!」
そこにある集団の人影が近づく。
それは誰もが知っている人物達。
「わァ!エリちゃんと洸汰くんだァ!」
「お!ほんとだ!久しぶり!」
「お久しぶりですわ!!」
「ケロケロ!久しぶりね!洸汰くんはこの間ぶりね!」
「2人とも、おっきくなったなァ…」
「皆さん!お久しぶりです!!」
「どうも、お久しぶりです」
コスチュームをつけたヒーローの集団にエリと洸汰が駆け寄っていく。
そのヒーローたちを見てクラスメイトは驚いた。
「…あれデク先生と同期の…」
「インビジブルガールにピンキー、レッドライオットにクリエイティ!」
「フロッピーにウラビティ、チャージズマにテンタコル、ツクヨミ、グレープジュース…"OFA世代"1-Aだ!」
「まッじか!やべぇ!揃い踏みだ!」
クラスメイトたちは感嘆の様子で洸汰を見つめるしかなかった。
「エリちゃん…こんなに立派に育っちまっ_」_グサッドッドッドッ!!
「アンタ、見境なしだね」
「そろそろ犯罪だぞ」
「もう警察突き出そうぜ」
「この前ファンに送ったエロDMで炎上したのに懲りてねェな」
峰田が耳郎にのされて障子と切島に突っ込まれる。
そんなことは日常茶飯事とばかりに話を続ける。
「私らと一緒のA組かァ…」
「はい!担任も緑谷兄ちゃ__デク先生ですし」
「実は洸汰くんだけじゃないのよ。ほら、あっちを見て」
蛙吹が総護たちの方を指差す。
「活真くん!総護くんに照元くんに鎖々木くんも!!」
「うおぉ!デカくなってる!!」
「みんな、かっこよくなっちゃってー!」
「みなさん、お久しぶりです」
「ご無沙汰してます」
「ご活躍、拝見してます!」
「覚えていてくれたんですね!」
面識のある面々がプロヒーロー達に挨拶へ行く。
「こんなに知ってる子達の担任になるなんて、デクくん、運良す_「ギャァァ!!!」
話を遮るように悲鳴と間違えるほどの黄色い声と共に現れたのは…
「ショートだァァ!!!」
「すっげェ!No.2ヒーロー!」
「い、イケメンだ…」
「わりぃ、会議で遅れちまった」
「おう、まだ開始前だからセーフだ」
「爆豪は?」
「仕事で遅れてるって。開会式には間に合う見てーだよ」
「!…エリちゃん…大きくなったな。みんなも、立派になった」
少し屈んで頭を撫でる轟。
「なにあの女…」
「ずるい…!!」
「ショート様に頭撫でられるなんて…!」
「なんて羨ましい…!!」
女性ファンたちが血の涙を流したのは内緒。
「ゴチンコだ!」
「_!、間瀬垣の…雄英合格できたんだな。おめでとう」
「ゴチンコも2位すげーな!俺も頑張るぜ!」
「緑谷クラスのみんな!今日はサプライズがあるから、楽しみにしてろよな!」
「「「???」」」
「ちょ、上鳴そーゆーこと言わないほうがいいんじゃない?」
「_?、内容言ってないから別にいいっしょ?」
後輩達にエールを送ると、OFA世代のプロヒーロー達は観客席へと向かった。
ー控え室
「コスチューム着れねぇの!?」
「公平を期すために着用不可らしい。鍛えた自分の“個性”だけで挑めってさ。サポート科も自作したアイテムだけらしいし」
「まじかよぉ」
「オメーは関係ねーだろ」
「てへっ⭐︎」
「これさ、俺の場合ってどうなんの?サポートアイテムとか事前準備したもので戦うのが俺の個性の戦略なんだけど」
「確かに、戦力半減じゃん」
「でも、瞬間移動とかはできるじゃん」
「いや、そーだけども」
開始前、控え室にて雑談。
みんなあまり緊張感がないのは自信の裏返しだろうか?
「皆!入場の時間だ!行こう!」
そんなこんなをしているうちに、緑谷が扉を開いてが声を上げた。いよいよ雄英体育祭が幕を上げる。
──
『雄英体育祭!ヒーローの卵たちが、我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!今年は特にヤベェ世代だって聞いてんぜ!?先頭を切るのはこいつらだ!』
通路を歩くにつれて、徐々に実況と歓声が大きくなっていく。そして出入り口手前で一旦止まり、体育祭進行係の指示通りにその場で待機する。後はプレゼント・マイクの実況と共に入場する手筈となっている。
『ヒーロー科!1年A組ィ!!』
その実況と同時に総護達は歩き出す。
ついに入場の瞬間である。
入場と共に歓声が雨のように降ってきた。
絶え間なく光るカメラのフラッシュがキラキラと輝いて美しい。
『次ヒーロー科!B組ィ! 続いて普通科C・D・E組! サポート科F・G・H組も来たぞー! そして経営科I・J・K組だ!』
A組に続き、他のクラスが会場入りしていく。
一年が集結し、宣誓台に上がる一人の男。
「おおー!で、今年の1年の主審は……誰?」
「お前知ってる?」
「いや、しらねぇ」
「わからん」
『さァさァ、今年の司会を務めるヒーローは…コイツだァ!」
「よろしく〜!」
スルッと衣服が脱ぎ捨てられ、その正体を表した。
そこにはNo.3ヒーロー・Mt.レディの姿が。
その瞬間、大きな声援が会場に響く。
「早速いくわよ!――選手宣誓!!――選手代表!!――1-B"不知火心火"!!」
「はい」
そして宣誓台に上がったはマイクの前で立ち止まると、腕を上げて宣誓した。
「宣誓――我々、選手一同はヒーローシップにのっとり、積み重ねた努力を発揮し、正々堂々と戦い抜く事を誓います____あ、あと、俺が優勝します」
観客の反応は…
「うぉぉ!!宣誓で優勝宣言!?」
「こりゃまた久々に大物が出て来たね!」
「盛り上がってきたなァ!!」
A組の反応は…
「なんだアイツ!舐めやがってェー!!」
「すごい自信だな…」
「あ、あんな注目…考えただけでも…ブルル」
「…チョーシに乗ってやがんなァ」
B組の反応は…
「あー、やっぱやりやがった…」
「ンの野郎…喧嘩売ってんのか…?」
「やるねぇー!負っけないぞォー!!」
──
「「「ブッヒャッヒャッヒャ!!」」」
「数年前の誰かさん見てるみてェ!」
「ひー、腹いてェ…」
「……ほーう、誰かさんって、誰だか言ってみろやクソ髪ィ、アホ面ァ…」
ビクッと身体を震わせる2人。
冷や汗をダラダラと垂らしながら振り返ると目尻が天井に突き刺さるのではないかというほど吊り上がった怒りの化身が。
「御愁傷様…」
首根っこを掴まれた2人に手を合わせる。
しかし、グリンッと瀬呂の方を振り向く爆豪。
「_てめェもだ醤油顔…一緒に笑ってたよなァ?」
「あ……はい…」
顔が腫れ上がった3名をよそに、体育祭の進行は進んでいく。
「早速いくわよっ!!――第一競技――」
―― 大玉転がし ーー
モニターに映る競技名。
何もない空間から大量の大玉が出現した。
──雄英体育祭が今始まった。