『決勝のカードが出揃ったところで…対戦の組み合わせを発表するぜ!』
喜びを分かち合っていた決勝出場チームは皆一斉にモニターに視線を向けた。
『決勝の組み合わせは…コ___』
_ドゴォォォンッッ!!!
「「「!?」」」
「なんだ!?」
「ゲホッゲホッ」
プレゼントマイクの声を遮るような突然の衝撃。
煙が立ち込め、それが薄れていくとステージ中央には何やら人影が立っていた。
土煙が晴れその姿を見せた時、ヒーローたちは戦慄した。
「…な……」
「ありえねぇだろ…」
「なんで…脳無が!?」
そこに立っていたのは第二次暗黒期の象徴とも言える敵連合、そこの科学者が作った人間兵器、脳無がいた。
「それも黒ォ!?」
「ハイエンドかよ…」
唖然とする会場。
静まり返った中で、脳無は拙い言葉で話し始めた。
「ヒ、ヒーロー…コ、ココロス…スベテ…」
そういうと、黒いモヤがステージ内に無数に現れ、白い脳無が姿を表した。
敵と対面したことがない生徒たちもわかった。
"コイツはやばい"と。
「_画展氷壁!」
氷結がある程度の敵を拘束する。
「「「ショート!!と…緑谷先生!?」」」
「みんな、下がって!」
「お、僕らも戦います!」
「ダメだ!」
「でも!緑谷兄ちゃ__デク先生、今先生は…」
相手は脳無。
プロヒーローのショート、ダイナマイトはまだしも、緑谷は今無個性の一般人。
いくら脳無との交戦経験があるとはいえ、前線に出るのは危ない。
「大丈夫。君たちには指一本触れさせやしないさ!」
そう言って微笑みかける緑谷。
「みんな!周りをお願い!他のヒーローは避難誘導を!!」
緑屋の手元にはアタッシュケースが握られていた。
それを見た元クラスメイト達は、緑谷の意図に気がつく。
「おうよ!」
「任せて!」
「承知致しましたわ!」
「任せたぞ」
緑谷の指示に従い、観客席にいたヒーローたちは動き出す。
「緑谷…使い方は大丈夫か?」
「大丈夫…とは言い切れないけど、そんなこと言ってられる状況じゃないしね…」
「久しぶりだな…こうして並ぶのは」
「_うんッ!!」
アタッシュケースのボタンを押すと、緑谷の身体がアーマーに包まれていく。
「_あ、あぁ……」
「__帰ってきた……!!」
「お、オレハ連合…崩壊…」
言葉にならない言葉を並べてものすごい速度で向かってくるハイエンド。
ショートが氷結で牽制するも、悠々と交わす。
ハイエンドは大きな掌を広げてショートの左腕掴もうとする。
「黒鞭ッ!!」
拳の射出口から、『黒鞭』を模した伸縮性のあるケーブルと巻き取り機能で轟を引き寄せる。
空振った掌が地面に触れると、あまりの腕力の強さに地面が割れ、そこから地面がボロボロと崩壊していった。
「コイツ…死柄木の『崩壊』を……」
「覚醒前みたいで助かったけどね…」
「悪ィ、助かった」
「敵連合には個性を複製する技術があった…きっとそれを複合させて作られた脳無だ。もしかしたら連合の個性をみんな持ってるかもしれない」
冷や汗をかきながらハイエンドを見つめる2人。
「ソ、ソウダ…オレハ敵連合…脳無ダァッ!」
_ッッヴォゥ!!
「燈矢の『蒼炎』…!!」
轟の氷炎でなんとか相殺する。
「フ、フハハ…!!イイイゾ…オモモッタヨリ、ツヨ、イナァ…」
そういうと、身体はからズルんともう1人のハイエンドが出てきた。
「トゥワイスの『2倍』…厄介なの持ってやがるな…」
それだけじゃ飽き足らず、ハイエンドは数体のハイエンドを作り出し…
「な…!燈矢…コンプレス…」
「トガヒミコに…ギガントマキア…死柄木まで…!!?」
「サァ…コココカラガ、ホンバン、ダダ…」
「あんなん無理だろォ…」
「あの特徴…もしかして敵連合じゃ…」
「復活したの!?」
「2人じゃ…」
「お、俺たちも」
『2倍』の個性と変身の個性は生徒たちの混乱を招いた。
「_シネェェェ!!!!」
_Boooooomb!!!!
そんな中突然の空中からの爆発。
ギガントマキアが一瞬で土へと帰った。
「よぉ出久、ショート…手こずってやがんなァ」
「かっちゃん!」
「まだ始まったばかりだ。てゆうかお前どこにいたんだ?」
「外の奴ら片付けてたんだわ!!出久テメェもなまってんな身体ァ…」
「うん…でも、君たちのおかげで戦えるよ…!」
突如登場したダイナマイト。
3人の姿を見ながら生徒たちがざわめく。
「だ、ダイナマイトだ!」
「あのデカいのを一発かよ!」
「スッゲェ!!」
「さて、ショート、出久……いや、今のテメェはちげぇな…」
「あぁ、久々だな…」
「"デク"!やるぞ!!」
「うん…!!」
3人が散らばり、敵に強襲。
轟、爆豪は無数に増え続ける敵。
緑谷は本体に向かう。
緑谷の顔を認識した脳無は怒り狂ったような声を上げる。
「ヤ、ヤハリィ、オマエカッッデクゥ!!」
脳無の蒼炎がデクに向かって放たれる。
『_Beep!_危険を感知しました。ユーティリティマントをシールドへと変形します』
アーマーのマントが変形して盾となり、蒼炎を防ぐ。
アーマーは特殊な光学樹脂が塗布されており、熱に耐性を持つ。
「"煙幕"!」
足元の発射機構から煙幕を放ち、姿をくらませる。
脳無が緑谷を見失っている間に、背後へと移動。
背中に掌底を打ちつける。
「"発勁"!!」
緑谷の掌にある発射口から衝撃波が放たれる。
2重の衝撃に身体が浮かされる脳無だったが、それでも怯まずに蒼炎での攻撃を繰り出す。
「"浮遊"、"変速"!!
スラスター機構により身体を浮遊させ、ジェット噴射で加速する。
蒼炎を連射する脳無の攻撃を空中軌道で躱わしていく。
「完全に圧倒してる…!!」
緑谷は攻撃を一撃も受けずにハイエンドに攻撃を続ける。
一方、分身側は…
「っち!キリがねぇ…」
「おいこらへばってんじゃねぇぞ!」
あまりの数の多さに苦戦していた。
連合のみならまだしも、ギガントマキアも何体も現れたとあれば苦戦するのも仕方がない。
耐久力が低いとは言ったものの数が多いと厄介であった。
「そっちばっかりに気を取られてていいのか?焦凍…」
声の方を見ると、生徒たちの方に向かうマキアがいた。
「なっ!?」
「何してやがる!とっとと逃げろやッ!」
ニヤッと笑う偽荼毘。
大きな拳を振りかぶる偽マキア。
「王の敵……」
その延長線上には叶がいた。
突然の攻撃。
その巨大の威圧感に動けずにいた。
「やらせるか…!!」
最大出力の闇に飲み込まれ、土に還った偽マキア。
「_!」
「叶さん、早くみんなのところへ!」
そう言って、叶を避難させる。
ステージ内では、既に生徒達も討伐に参戦していた。
「僕が全部食べちゃうもんねっ!」
「ハハッ強そうなのがいっぱい!試したいこといっぱいあるから、粘ってねー?」
「炎のやつは俺に任せろ。俺の周りの炎は全て俺の僕だ」
「雷喰らいたい奴からこっちおいで!」
「サポートばっかだったからね…そろそろ俺も暴れたいお時間だぜ!」
「チッ、体育祭のジャマしやがって…チョーシに乗ってんなァ」
「あー、醜態晒してむしゃくしゃしてたんだ…ちょっくら八つ当たりに付き合ってくれよ、なァ?」
「俺も不完全燃焼だったからね!全力で行かせてもらうぞ!」
「あんま俺に近づくなよ、爆発に巻き込んじまうから!」
「来い、砂で潰してやる」
「色々制限ありの競技ばっかでウズウズしてたんだ。斬鉄、ほら、刀いるだろ?」
「む、そうか、体育祭じゃないから使っていいんだな。つまり…サンキュー、マイロード!」
戦闘に長けた個性持ちの面々は、2倍で増えた敵達を殲滅していく。
避難誘導を終わらせたヒーロー達も戻ってきたことで、戦況に余裕ができた。
──
「おいこらデク!こっちはもう片付いたぞ!チンタラしてんじゃねぇ!」
「あとはそいつだけだ…任せたぞ」
「ソ、ソンナ…アリエナ……」
「_一気に決める!!」
黒鞭で敵を掴み、空中に放り投げる。
浮遊、変速で加速し、黒鞭を使ってもう一度敵を掴み、巻き取って急加速しながら敵を地面に叩きつける。
空中で体勢を切り替え、変速で地面へ加速。
右脚は電磁刺激で筋肉・神経を刺激し、パワーを引き上げられている。
そして…
「_マンチェスター・スマァッシュ!!」
_ッッドゴォォォッッッッ!!!!
会場の地面が陥没するほどの一撃。
ハイエンドは力なく倒れていた。
「_……ケッ、ようやくだなァ」
「あぁ…おかえり、緑谷」
「デク君!おかえり!!」
「「「おかえり!」」」
「「「デク先生〜!!!」」」
「_……ありがとう、皆んな!ただいま!!」
_パンッ!
ハイタッチをする3人
突然の襲撃は怪我人が1人も出ることなく、アクシデントにより雄英体育祭は幕を下ろした。