襲撃があったその後、会場に来ていたヒーローによって事態は収束された。
騒ぎに乗じて現れた反ヒーロー派たちも先生方や居合わせたヒーローたちによって取り押さえられた。
会場内での戦闘は体育祭の放送がついていたため、そのまま放送された。
これによって敵が現れたことよりも騒ぎになったことがあった。
それが、"ワンフォーオールヒーロー・デクの復活"であった。
体育祭が中断し、騒ぎが大きくなりすぎたため中止、それに加えて1週間の寮or自宅待機となった。
テレビにはここ1週間目に穴が開くほど見たニュースが流れている。
ポケットの中のスマホが振動する。
取り出して確認すると、見覚えのない番号からの着信だった。
「…もしもし」
「_あ"〜、御門か?」
「えっと…どちら様ですか?」
「俺か?俺はてめェのサポートアイテム作ったモンだが、一緒にぶち込んどいた特殊弾あったろ?その感想が送られてこねェからよ。こっちから電話かけちまったぜ」
確かにそんなこと書かれてたなと思い出す。
「あー、アレですか…すごい良かったですよ!もう少し氷と雷は効果が強くなれば嬉しいかなァ」
「ほー、なるほどな……すぐ作ってやる。あ"〜、明日取り来い」
「取り来いって…どこにですか?」
「開発工房だ、校舎一階のな。んじゃ」
「_ちょっ、……え、もしかして雄英生…?」
──
翌日、雄英高校一階の廊下の奥にある"開発工房"を訪れた。
ノックをしようとすると、中から爆発音が聞こえる。
何事だと思いながら総護は、固唾を飲みながらノックをする。
返事がないため扉を開けると、煙に包まれた部屋の中で、瓦礫に埋まった脚が総護を出迎えた。
「おー、すまねェな。弾はそこのケースの中にあっからよ。銃に込めてそっちの人形に向かって撃て」
「話がトントン進みすぎててまだ飲み込めてねぇんだが…まずアンタの名前は?」
「ンなことどーだっていいだろーが…あ"〜、造利 融吾だ。さ、いいから撃ってくれ!」
──
造利 融吾
個性 加工
素材を自在に加工することができる。
形状操作から原料抽出、合金の生成までなんでもござれだ!
──
急かされるままに銃に弾を込め、放つ。
すると、着弾と同時にハジケた電撃が轟音を轟かせて部屋の明かりを強制的に断絶した。
「つ、強すぎ…」
「んー、加減ミスったな。まあでもコレはコレで使えんだろ。もーちょい弱めに調整したの作るから待ってろ。…次コレな」
渡されたのは凍結弾。
結果は予想通りで、撃ったマネキンだけじゃなく後ろの壁を一面凍結させた。
「フンフン、こっちは殺傷力はない分このままでもいけるだろ」
そういうと、追加の試作弾、火炎弾と水撃弾の入ったアタッシュケースを押し付けるように渡す。
「てか、コス案に書いてあった『電化製品NG』ってどーゆーこった?」
「あー、なんか昔から勝手に充電されてたり、電源繋がってないのに使えたりとかしたんだよな。でもなんか過充電かなんかでドライヤーが爆発したことがあって…それからは電化製品は収納禁止なんだよ」
それを聞いた造利は頭の中で高速で思考する。
「…コイツの個性はおそらくどこか別の空間に接続して対象を収納したり、取り出したりする個性だろう…それと電化製品がどんな関係が…?そもそも別の空間って何処だ?容量が際限ねェとこを見るとどっか異次元の、それも四次元空間に接続してんのか…?」
「お、おい…」
「…考えてもわかんねェな。検証しねーと何処まで行っても推測の域を出ねェ。悪ィが今は依頼が溜まってっから時間がねぇんだ。今度時間ある時付き合ってくれ。もしかしたら何かに活きるかも知れねェしな。それまでになんかわかったことあったら教えてくれ。じゃな」
と、一方的に話が終わり、ドアの外に閉め出されてしまった。
待機期間が終わり、登校初日。
教室の扉を開けると、自宅待機だった者たちが既に登校していた。
「おー!御門ひさびさ!」
「久々つったって一週間しかたってねぇだろ」
「いやそーだけどさ、毎日顔合わせてりゃな」
自分の机に荷物を置き、集まっているところに自分も移動する。
「何話してたんだ?」
「デク先生のことだよ!」
「あー"ヒーロー・デクの電撃復活"ね。すげーよな、ランキングも一気に4位だよ」
「この休み中テレビつけりゃずっとその話題だったもんな」
「自宅組はまだマシだろ!こっちはどれだけ大変だったか…」
疲労が溜まっているような様子の寮待機組。
それが気になった洸汰は訪ねた。
「なんかあったの?」
「…連日記者たちが雄英に押し寄せてくるんだよ」
「いい記者ならいいんだけどね…夜に忍び込もうとしたりする記者もいてさァ…」
「雄英バリアでは入れないとはいえ、警報が鳴るからうるさいのなんの…」
それほどに衝撃の話題だったのだ。
個性を失った大戦の英雄がサポートアイテムのアーマーを纏って復活した。
これほどのニュースはないだろう。
今なら政治家の汚職も大したニュースにならないかもしれない。
「そりゃ災難でしたねぇ」
「テメェ…棒読みだぞ」
「あ、バレた」
ムキー!と言いながら身体の形を激しく変化させて怒る来栖だった。
「お、おはよう…ございまーす…」
何やら気まずそうに肩を含めながらドアを開けて教室に入ってきた緑谷。
「デク先生!!」
「なんなのあのサポートアイテムはなんなの!?」
「これからヒーローとしても活動するんですか!?」
「あ、あはは…」
そこに再びドアが開き、入ってきたのは相澤だった。
「静かにしろお前ら。これから説明してやる」
そこから大まかだが説明を受けた。
あのサポートアイテムは緑谷の同級生達の共同出資によって開発された特注のパワードスーツで、これからのサポートアイテムの可能性を広げるためのもので、併用テストも兼ねておりとにかく多機能なスーツらしい。
緑谷はそのスーツでヒーローとして復帰を果たした。
「初戦闘でアレって…」
「やっぱ先生、"デク"なんですね…」
「バケモンじみてるな…」
興奮を抑えられない生徒たち。
相澤は続けた。
「まあ、終戦の英雄で更に現役復帰したNo.4ヒーローがこのクラスの担任ってこった。せいぜいしっかり言うことを聞くように。以上」
「ちょ、相澤先生…」
「あとは任せたぞ…"緑谷先生"」
「う、はい……」
そこから仕切り直してホームルームが始まった。
「えー体育祭は中止になってしまったけど、職場体験は通常通り行います!」
雄英体育祭の目的の一つである、職場体験の逆指名。
アピールチャンスは減ってはしまったものの、2回戦までで個性は見られたとのことでいつも通り行うことになったらしい。
「それに際して、指名も届いてるので各自に配った紙を見て行きたい場所を決めてね」
一人一人にリスト化された紙が配られる。
反応は様々。
だが、全体として良いようにも思える。
毎年ここで格差が出るようだが、今年に関しては皆個性が特徴もあって強いこと、そしてアピールチャンスが平等だったこともあって指名がバラける傾向にあった。
「みんな凄いよ!指名が来てない人が0なんて…」
しみじみと言う緑谷。
そして続ける。
「今年は敵も、反ヒーロー過激派も動きが活発になってる。実戦に遭遇することもあるかもしれない。例年よりも厳しい職場体験になると思う。でも、得られるものも多い!みんな、よく考えて決めるように!…そして今日の本題というか楽しみはこれから!」
緑谷が視線をドアの方に向ける。
それに釣られるように生徒たちはドアの方に視線を向けた。
「_私が来たァ!!」
「「「オ、オールマイトォォ!!?」」」