_ドゴゴゴ!!!!
現場に着くと、車や歩道橋、しまいには都市ビルまでもが逆さまになっている異様な光景が広がっていた。
「_大人しくするんだ!!」
「ウルセェ!こんな世の中もうウンザリなんだよ!俺はこの"個性"で…大逆転するんだァァ!!」
何かに絶望して暴走しているタイプの敵。
あちこちところ構わず個性を使っているため近付きにくい。
(_梃子摺ってるのか?)
「あぁいうタイプは精神が幼稚なタイプが多いからなァ…」
「もろソレだろ!!」
ルミリオンが逃げ遅れた人を非難させながら説得を試みているが、聞く耳を持たない。
「シェア!"視界で認識した物を反対にする"個性だ!」
「了解です!避難は任せてください!敵はお願いします!」
「_まっかせろぃ!!」
ストッと地面に落ちると、一瞬のうちに地面から弾き出され、まるでワープのように敵の前に移動。
「_大人しく…しろッ!!」
殴りつけた敵は吹き飛ばされ、自分で逆さまにて横転させたトラックに背中をぶつける。
「観念するんだ」
「う、うぅ……来るな!まだ…俺の、俺の人生は…ぁぁあ!!!!」
敵を確保するルミリオン。
捕まって自分の人生が終わることを今更恐れたのか、振り解いて逃げ出そうとした。
_ギュルンッ
「_!?」
「_なッ!」
「__危ない!!」
逃げ出そうとした敵の視界に入ってしまった遠くの歩道橋が逆さまになった。
上にはシルバーカーに身を委ねて歩く老婆がいる。
(_くそッ間に合わな__)
「_あっぶね〜…」
「「「「_!!」」」」
反転した瞬間、即座に反応した総護がお婆ちゃんを抱きかかえて救出した。
「おや?私は階段をやっと登ったところ…」
「ごめんね、お婆ちゃん。敵の攻撃がそれて危なかったから…素敵なシルバーカーは壊れちゃったけど、痛いところはない?」
「あらあら…助けてくれたのかい?それありがとうねぇ…おかげさまで怪我はないよ」
「どういたしまして!」
「お礼に飴ちゃんあげようねぇ」
「あ、ありがとうございます…」
その後、ルミリオンは敵を目隠しで視界を奪って確保。
警察が到着し、その場は収められた。
「やるね!早速助けられちゃったよ!」
「不甲斐ないところを見せたね…」
事務所に帰りながら謝られた。
「いえ、とんでもないです。迅速な対応、流石でした!」
(とはいえ、あれだけのもの見せつけられた後だと…焦るなぁ)
シェアセンスは心の中でそう呟く。
確かに、総護の個性が1番助けられる可能性が高かった。
しかし、あの場で1番先に動いたのが総護だった。
"助ける"という意思と行動。
動き出しの速さでプロの自分達が敵わないとは。
「事務所に帰ったら俺と手合わせしようよ!」
「え!仕事は…」
「いいって!今回は助けられたし!お礼もかねてやろうよ!」
ちらっとシェアセンスの方を見る。
案の定、頭を抱えていた。
ー事務所・地下ー
(_事務所の地下にこんな空間があったなんて…)
部屋を見渡しながら大きさに驚く。
確かに、戦闘面で連携を取るのも訓練が必要。
あったほうがいい施設ではある。
「早速、始めよっか!」
「_うすっ!」
ミリオは伸脚をしながらそう言った。
「さて、セイバー。君は僕の瞬間移動での戦闘を参考にしたいってことだったよね?」
「はい」
「答えは二つある。何だかわかるかい?」
「二つ……」
問いかけに少し思考する。
「……"経験"…ですかね…?」
「_正解!残り一つ!」
「もう一つは……"慣れ"…は経験に入るのか?んん〜」
「時間切れー!」
ブブーと両手でバツ印を作るミリオ。
そのまま人差し指を額にトントンと当てる。
「もう一つは__"予測"だ!」
「"予測"…」
「俺の個性は透過してる間、光をも透過する。つまり、視界も消える。何もない空間にただただ落ちていく感覚なんだよね。だからこそ、相手をよく見て、どう動くのかを判断、行動することが大切なんだ!」
「…なるほど…」
答えはいつも意外とシンプルだ。
基本が大切。
それが身にしみて分かった。
「じゃ、早速手合わせしてみようか!」
「え!いきなりですか?」
「経験を得るにはとにかく場数なんだよね!」
「わかりました…行きます!!」
総護は両手に銃を取り出し、引き金に指をかけて銭湯体制に入る。
そこからはひたすら手合わせをすると言う訓練が始まった。
──
_スカッ!
_ドゴッ!
「〜ンがッ!」
こちらの攻撃がスカされ、ルミリオンの攻撃が顔面にヒットする。
(_最初より力の差を感じる…!これが"予測"の力か…!!)
何も擬似ワープの時だけじゃない。
透過で攻撃をスカす時も予測をして的確に透過させて自分の攻撃だけを当てる。
そしてそれを実現させる繊細な個性コントロール。
(_これなら…!)
総護は手元の銃から弾倉を落としてそのまま収納。
右手には水撃弾、左手には発雷弾の弾倉を放出してそのままグリップの下へと放って装填する。
_ズドドッ
「_〜〜ッ、痺れるゥ、やるねっ!」
擬似ワープで出てくる位置を"予測"し、水撃弾と発雷弾を地面に撃ち込む。
出てきた瞬間、水に流された電流がミリオの身体を硬直させるが、すぐに地中へと落ちて距離を取ることで身体の麻痺による隙を打ち消す。
「ルミリオンに…攻撃を当てた…!?」
「やるなァ!」
「どうやったんだよ!?」
「擬似ワープの後隙を狙う。いろんな敵がやってたことだけど、まさか無敵のルミリオンを高校生が破るとはね…」
「これが"予測"の力…」
和気藹々としたやりとりを尻目に、この予測の精度をもっと上げたいと総護はギュッと硬く拳を握る。
「早く!実戦だ!!もっとその精度を上げるんだ!」
「はい!お願いします!」
そこから3日はパトロールとミリオとの戦闘訓練が1日のほぼ全てを占めた。