木枯らしが吹き、落ち葉が地面を踊る。
冷たい風は衣服の隙間から容赦なく襲いかかり、着込みが甘い者の身体を凍えさせた。
季節は冬。
少し大きくなった少年少女達は児童養護施設、
"安らぎ荘"を巣立つものも居れば、そうでない者もいた。
雄英生による個性制御訓練と個性カウンセリングがその後も定期的にお行われたことで、殆どのものが自分の個性を受け入れ、暴走しないように制御できるようになっていた。
2人に声をかけた少年は小石を二つ拾い上げると、指先の周りをくるくると回転させ始める。
テルにぃと呼ばれた少年は眠かったのか、大きなあくびをすると、口から黒い靄のようなものが漏れた。
星見はそう2人に尋ねる。
総護はそう尋ね返すと、星見は「もちろん」と返す。
既にいくつも浮かんでいる候補と、その耳障りの格好良さに2人は興奮する。
_ボゴォォンッ!!
左後方から突然の爆発音。
4人は一斉に振り向いた。
品のある制服を見にまとった児童達が蜘蛛の子を散らすように爆発音の方から逃げ出してきた。
ドガッと大きな音を轟かせて30メートルほど先に巨大な体躯をした異形の姿が着地した。
アスファルトにヒビが入り、3人の足元にも振動が伝わる。
1人の少女が転倒して逃げ遅れる。
その少女に狙いを定めた敵は、品定めかの如く全身を舐め回すように視姦し、気持ちの悪い笑みを浮かべた。
2人の間に割って入るように突然姿を現した総護の姿に2人は驚く。
空中に突如放たれた巨大な岩が敵の身体を押し倒した。
──
個性を使ったのがバレるといけないため、警察に聴取をされる前に4人はその場から姿を消した。
幸い、女の子も無事で、被害は学校のみで済んだようだった。
──
安らぎ荘に帰宅すると、見たこともないほど長い車が止まっていた。
星見の想像通り、身請けにきた者達だった。
いつも通りグラウンドで遊んでいると、度々視線を感じるが、子供達はあまり気にしていない様子だ。
それはここでの生活が充実していたからだろう。
劣悪な環境ならば早く抜け出したいという思いが芽生えるのも自然だが、安らぎ荘では気を許せる友人、面倒見のいい施設長との共同生活のため、''両親がいない"というコンプレックスや寂しさ意外に不満を感じることはほとんどなかった。
しかし、そんな中で彼らに興味を強く示したのは星見だった。
星見は足元に転がってきたサッカーボールを足元に収めてじっと見る。
_ボソッ
これからやろうとしているのは個性使用ありのハンドサッカー。
ハンドサッカーとは言っているが、蹴りもアリで、ドリブル方法はバスケのドリブルかサッカーのドリブル。
シュートは手でも足でも自由。
手で持ったら動けるのは3歩までといろいろルールが混じっている。
簡単にいうと、ボールをゴールに入れ合う競技だ。
チーム分けは
Aチーム Bチーム
・御門総護 ・星見廻
・円堂輪倶 ・小玉陽向
・鎖々木封斗 ・尾崎九狐
・照元光輝(キーパー) ・山車鳥餅(キーパー)
となった。
勿論殺傷NG。
総護の個性はボールに直接干渉禁止(チートすぎるため)
Bチームボールから試合は開始した。
尾崎は山車からボールを受け取ると、そのままゴールへとドリブルして向かう。
進路を塞ぐように円堂がカットイン。
リングを潜って加速しボールに向かって一直線にスライディングで向かう。
絶妙なタイミングでの横入りに、ボールをスティールされる寸前、尾崎は尻尾を上手く使って突撃をいなし、星見へとパスをした。
星見は高く飛び上がりボールをキャッチ。
そのボールに強烈な回転を与えながら、自分の周りを巡回させてボールを加速、タイミングよく個性を解除してボールをゴールへと放つ。
鎖々木が指から鎖を出し、ボールを絡め取ろうとするが、それを強烈な回転が弾き飛ばす。
照元は手から闇を生み出す。
闇は引力を発生させ、見事にボールをキャッチした。
照元が総護にパスを出す。
ドリブルでゴールへと上がるが、行く手を阻むように小玉がマークについた。
誰もいない方向にボールを蹴ったと思えば、そこに瞬間移動してダイレクトでもう一度蹴り返し、再び瞬間移動することで"ひとりワンツー"を行い、小玉のディフェンスを難なく躱わす。
そのまま円堂へとパス。
円堂は丁寧にトラップしてボールを足下に収めると、リングをボールの前方へと3つ配列させる。
円堂が蹴ったボールがそこを通過すると、ボールが一気に加速してゴールへと向かう。
かなりの速度を誇るシュートに対して、星見が立ちはだかった。
小玉の"小さな太陽"を周りに巡回させ、それを連続してボールにヒットさせることで威力を削いでいく。
自分の腕を鳥餅へと変化させ、ボールを絡め取る。
それでもなお直進しようとするボールの勢いを、踏ん張って止める。
後方に数メートル引きずられながらも、ゴールラインを割らずに止めることに成功した。
身請け人がこちらを見ているのに気がついた。
ゆっくりとこちらに近いてくる。
身請け人は星見を見下ろしながら名前を尋ねた。
堂々とした立ち振る舞いと個性を気に入ったのか、星見の肩に手を置き、「この子を」とだけ言って応接室に戻って行った。
数日後__
身請け人の迎えのリムジンが安らぎ荘の前につけられた。
キャリーケースに手をかけ、こちらを振り向いて星見はそう言った。
これから、関西へ行くらしい。
涙ぐむ者も多い中、総護と照元は一番前で笑った。
そういうと、星見は一度も振り向かずに車へと乗って行った。
個性 惑星
触れたものに自転・公転を付与することができる。
自転はその物体が回転し、公転は自分を中心に回転する。
個性 闇
闇を発生させる。
闇は引力を持ち、あらゆるものを引き込み、飲み込む。
個性 九尾狐
九つの尻尾を持つ狐の異形型。
狐ができることは大体できる。
普段は尻尾が生えているだけだが、戦闘態勢になると獣化する。
個性 トリモチ
身体をトリモチに変化させることができる。
伸縮自在。
個性 炸裂礫
複数回炸裂するエネルギー状の礫を生み出す。
個性 小さな太陽
小さな太陽のようなエネルギーの塊を生み出す。
温度は調整可能。
個性 ブーストリング
通過したモノの威力、速度などを増幅するリングを生み出す。
個性 封鎖
触れるとパワーを吸う鎖を身体から出して操る。
骨張っているところからしか出せない。
リーチは約15m。
吸ったパワーは鎖に溜まり、威力が増す。