NEXT AGE   作:やげん軟骨

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閑話 職場体験(天駆/砂原&城戸/円堂&斬鉄/江練/不知火の場合)

 

(天哉)ソームニウム!勝手に飛んでいくんじゃない!!」

 

天哉は空へと飛び立つ天駆の足をガシッと掴み、ロボットのような動きで彼女に注意した。

 

(天駆)えー?パトロールじゃないの?だったら飛んだほうが見えるじゃん」

 

(天晴)いざって時に燃料切れしたらどうすんだ?それに、お前はまだインゲニウムの許可なしに個性を使用しちゃダメだ」

 

文句を垂れながら地面へと降りる天駆に対し、親である天晴が頭にチョップする。

 

(サイドキック)あのおてんば娘もビッグ・イングとインゲニウムの2人の元じゃ流石に形無しですね」

 

サイドキック達に笑いが溢れる。

 

ちなみに元祖インゲニウムである天晴が復帰したことで、【インゲニウム】が2名になったが、ややこしいため天晴は【ビッグ・イング】と呼ばれるようになった。

 

(天駆)もっとパーっとヒーローらしく事件解決とかしたいっ!」

 

飛ぶことも制限され、トボトボと歩きながら不貞腐れる天駆に、天哉と天晴はダブルで天駆の頭にチョップを入れる。

 

(天晴)滅多なこと言うな」

 

(天哉)平和なことはいいことだ!我々は本来暇な方がいいんだ」

 

理屈ではわかるが、やはり学生の身からするとヒーローらしい活動をしたいと言う欲は捨てきれないようで、天駆は「わかってるよー」と返事をしつつも少し退屈を感じていた。

 

 

──

 

「いただ(砂原・城戸)きます」

 

「おぉ!(ファットガム)たんと食いぃや!俺の奢りやさかいな!」

 

そう言いながらファットガムはパンケーキのように積まれたお好み焼きを頬張る。

物凄い速度でなくなっていくそのお好み焼きタワーに気持ちよさを感じるとともに、フォルムとも相まって丸いピンクの星の戦士を思い浮かべてしまう砂原と城戸。

 

(天喰)ファット…そんなに一気に食べたら消化に悪い…」

 

それに対して天喰は海鮮もんじゃをちびちびとつまみながらそう言った。

 

「俺の胃(ファットガム)袋はそんなやわじゃないわ!オッちゃん、おかわりジャンジャン持ってきて〜」

 

砂原・城戸の2人はファットガムが焼いてくれたお好み焼きを口に運ぶ。

 

(城戸)うっめェェ!!」

 

城戸はテンションが上がって楽状態(ジョイフルモード)になると、掌から暴発した衝撃波でコップが割れてしまった。

 

(砂原)おい、気をつけろよ」

 

砂原の砂で水が鉄板に溢れる前に吸収することができた。

 

「ナイス(ファットガム)キャッチや!」

 

(城戸)うぅ…すみません…俺はなんでダメなやつなんだ…ミジンコ、いや、ミカヅキモになりたい…」

 

ズゥゥンと沈んだ城戸は、今度は哀状態(ブルースモード)になってしまい、店全体の客の動きに抵抗がかけられる。

 

()なんだ!?」

()身体が、動きにくい…!?」

 

「"メンタル(ファットガム)エモート"、気にしなさんな!済んだことや!第一料理は無駄になってないんやから!ほれ、もっと食いぃ。食い終わったら今日はチームアップミッションや」

 

ファットガムが再びお皿にお好み焼きをよそうとゆっくりとそれを口に頬張り、ようやく通常状態へと戻ることができた。

 

("メンタル"(ファットガム)の課題はメンタルコントロールやなァ。全く、なんでうちの事務所はこうメンタルに課題がある奴が集まってくるんだか…)

 

ファットはすでに平らげていた皿を重ね、爪楊枝で歯の間を突きながらそう考えていた。

 

──

 

「ファット!(切島・鉄哲)サンイーター!お久しぶりです!」

 

本日はチームアップミッションということで、ファットガム事務所、烈怒頼雄斗(レッドライオット)事務所、リアルスティール事務所での合同パトロールがあった。

 

ヒーロー同士の交流は昨今かなり増えてきており、中でもサイドキックやインターンなどでお世話になった後輩ヒーローたちは先輩ヒーローとよくチームアップする傾向がある。

 

(江練)オッスみんな!と、A組の…斬撃の人だよな、体育祭でバカ目立ってた」

 

リアルスティールの元へ職場体験に言った江練、ヒーロー名は"エナジーサイクル"

 

(円堂)おう、みんな!こいつはA組の斬鉄、ヒーロー名は"アクソクザン"だ!"サースト"は同じチームだから知ってるよな!」

(斬鉄)む、砂原じゃないか。おっと、今はヒーロー名で呼ばなければな」

 

斬鉄と同じ烈怒頼雄斗の元へ職場体験に行った円堂。

ヒーロー名は"ドライブリング"。

 

(砂原)お互いヒーロー名で呼び合うのはまだ慣れねェな」

(城戸)よろしく、アクソクザン」

 

そしてファットガム事務所に職場体験にきた砂原と城戸。

ヒーロー名は"サースト(砂原)"と"メンタルエモート(城戸)"。

 

級友とのコスチュームを着て外で会うと言う、少しの気恥ずかしさを感じつつパトロールを行った。

 

──

 

「「「(ファン)ギィヤァァァァァ!!!!」」」

 

ある種、悲鳴のような歓声が会場を震わせる。

 

ここは遊園地。

イベントとして招待されたあるヒーローが会場に姿を現した途端、彼のファンが狂喜乱舞したのだ。

 

()皆さん、落ち着いて。司会の方が困ってます」

 

現No.2ヒーロー・ショートである。

 

端正な顔立ちと分け隔てなくぎこちないファンサにより、ファンは急増。

確かな実力も兼ね備えた現在旬とも言えるヒーローである。

 

軽く挨拶が終わり、休憩にはいる。

 

(不知火)…俺はヒーロー活動をしにきたんですが」

 

()わりィな、職場体験の日程とイベントが被っちまったんだ。だが、これもヒーロー活動の一環だ。応援してくれる人たちや、守るべき人たちとの交流。自分の人となりを知ってもらって、より信頼してもらうためには重要だ」

 

轟も不知火の言っているヒーロー活動は敵との交戦を意味していることは分かっていた。

 

()不知火はなんでヒーローになろうと思ったんだ?」

 

(不知火)…平和のためです」

 

()世界平和か?スケールがでけェな…」.

 

何か含みのある言い方をした不知火。

しかし轟にはそれが伝わらず、そのままの意味で解釈されそうになる。

 

(不知火)…そんな大層な話じゃないですよ」

 

──

 

午後の部が始まり、ショートと共にステージに立つ。

 

ショートの背後から観客席を眺めていると、相変わらずの女性ファンの歓声と同じくらい、子どもの声が聞こえることに気がつく。

 

ふと、観客席にいた女の子が目に入った。

お父さんに肩車され、ショートの個性による氷の礫がキラキラ光る擬似的なダイヤモンドダストに目を輝かせてみるみる笑顔になっていく。

 

(不知火)……ショート、俺にも手伝わせてくれませんか?」

 

()!、あぁ。頼むぞ、"イグニアス"」

 

ショートが出した炎の形を操って空中に円を描いたり、文字を示したりと炎によるショーを繰り広げた。

氷と炎により、幻想的になったその空間。

 

さらに笑顔になっていく子どもたちの顔を見て、不知火は静かに笑みをこぼした。

 





時期が時期なら間瀬垣の納涼ゴチンコ祭を舞台にしたかった…
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