NEXT AGE   作:やげん軟骨

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第37話 "個性"の話

 

(総護)入院生活って、暇だ……」

 

だだっ広い部屋にポツンと1人。

不自由はないが、かと言ってベッドから出られるわけでもなく。

 

個性を使ってジャグリングなど、暇つぶしの策を探しては見たが…1時間も続ければ流石に飽きる。

腕は固定されて自由に使えないため、スマホを自由にいじることもできない。

 

まあ、そもそもスマホはヴァンパイアとの交戦時に壊れたのだためいじりたくてもいじれないのだが…

 

かろうじて部屋のテレビで動画配信サービスのアニメや映画などを見て時間を潰せるのが唯一の救いだ。

本来は漫画派なのだが、それはこの際どうこう言ってられない。

 

忙しいと暇を欲しがり、暇になると忙しさを欲しがるとは、人間は何と欲に塗れた生き物だろうか。

 

そんなことを1人考えていると、病室のドアをノックする音が聞こえた。

 

(造利)おう」

 

(総護)造利、何でここに!?」

 

(造利)あ"?ンなもん、てめェを解剖するために決まってんだろーが」

 

病室に入ってきたのは、雄英高校サポート科の造利だった。

 

 

──

 

(総護)解剖なんて物騒なこと言うから何すんのかと思ったけど、個性を調べるってことかよ」

 

(造利)どーせ暇だろーと思ってなァ。てゆうかてめェ見たぞ、何だあの(たま)!これのサポートアイテムじゃねぇよなァ?」

 

総護は経緯を説明する。

自分自身にも詳しいことはわからないと。

すると、造利はスマホを取り出し、どこかに電話をかけ始めた。

 

(造利)あ"〜、俺だ。マサチューセッツ病院、VIP室の奴の個性を調べたい。__あぁ___あぁ___よろしく」

 

ブツッと雑に電話を切る。

 

(総護)どこに電話したんだ?」

 

(造利)あ"?お得意様だ」

 

数分後、何やら廊下にガラガラと何かが運搬されている音が聞こえる。

 

(デヴィッド)_やあMr.ツクリ。相変わらず君は人使いが荒いな…おっと、初めましてオールセイバー。私はデヴィッド・シールドだ。よろしくね」

 

そこにやってきたのは個性研究の権威である"デヴィッド・シールド"であった。

 

(総護)…お前の人脈ってどんなだよ」

 

(造利)知るかよ。依頼元と知り合いになってるだけだ」

 

(デヴィッド)彼の個性はサポートアイテム界隈では有名なんだ。素材同士を融合したり、不純物を取り除いたりと、彼がいることで生まれたアイテムはかなり多い。斯くいう私も、彼に世話になったからね。君たちの先生、デクのアーマーも彼の加工が大きな役割を果たしている」

 

なぜ高校生の彼が既に表舞台に立っているのか?

それは彼がサポートアイテムのコンテストを総なめしまくったり、経営科志望の友人のSNS運用の題材にされバズったことで世間に広く認知されたためである。

 

そのため、彼のカリキュラムは授業には基本自由参加、いつでも開発に勤しんで良いなどの特例づくしである。

 

(デヴィッド)まぁ、彼の頼みっていうのもあるが、君にも興味があったからね」

 

(総護)_?」

 

聞くと、ニュースで見てから総護の個性に興味が湧いていたという。

造利もそれを見越して連絡をよこしたと言うわけだ。

 

挨拶が済むと、部屋に運ばれてきた巨大な機材を総護の身体に繋げて弄り出した。

 

(デヴィッド)_Hmm…、なるほど…コレは…」

 

(造利)なんかわかったか?」

 

デヴィッドはかけていた眼鏡を机に置き、目頭を押さえながら説明を始めた。

 

(デヴィッド)弾丸が発熱・発光する現象はおそらく、母方の個性の要素が覚醒したんだろうな」

 

(総護)母の?」

 

(デヴィッド)心当たりはあるかい?」

 

(総護)すみません、母とは物心がつく前に死別していて…」

 

デヴィッドは「すまない」と謝罪する。

その時、造利が鞄から書類を取り出した。

 

(造利)これ、個性届の情報だ。てめェの母親は【注力】っつー個性を持ってた。触れたモノに自分のエネルギーを注ぎ込む。電化製品も電源要らずなんだと」

 

(総護)お前、そんな情報どこから…」

 

(造利)ンなもん軽くハッキングすりゃ簡単に手に入るわ」

 

ヒーロー公安委員会の機密情報だぞ、というツッコミは最早意味を成さないことをこれまでのことで理解していた総護は、彼が悪用するような性格でないことから無駄なことは言わずにそのまま受け入れることにした。

 

(造利)それがわかりゃ次は実験だ。おい、形見(ソレ)に力込めてみろ」

 

(総護)力込めろったって…」

 

(造利)いーんだよ。とりあえずやろうとしてみろ」

 

言われた通りにしてみると、形見は微発光し、発熱した。

 

(デヴィッド)_!」

 

(造利)出来たな。次はコレにやってみろ」

 

渡されたのはハンディタイプのサーキュレーターだった。

同じように力を込めようとすると、スイッチを入れていないのに動き出す。次第に回転は加速し、サーキュレーターの強風とは思えないほどのまさに暴風が発生した。

 

手放すと、なんとか以前のドライヤーのように爆発せずに済んだ。

 

(造利)_次はコレだ」

 

恐る恐る同じように力を込めようとするが、今度は暴発することはなく、普通に使用できた。

 

(造利)……なるほどな…。てめェの注力は特に"銀"に反応しやすいみてェだな。次点で銅だな」

 

(デヴィッド)なるほど、電気伝導率か…」

 

(造利)あ"ぁ。仮説だが、電気伝導率の高い金属に対して同じように謎エネルギーの伝導率が高いんだろうな」

 

デヴィッドは画面の数値を見て少し黙り込む。

少しの間をおいて、自分の疑問を口にし始めた。

 

(デヴィッド)だとしたら少しおかしいところがある。注がれているエネルギーの大元は何処なのかということだ」

 

(造利)母親の個性から考えりゃ自分の活力なんだろーが、そういうわけじゃなさそうだなァ」

 

(デヴィッド)あぁ、御門君のどの数値も減っていない。おそらく、何処からか熱量を引き出して注ぎ込んでいると思われるが…御門君、君が収納する空間ってどんな感じなんだい?」

 

自分の話なのに置いてけぼりにされていた総護は、突然質問を投げかけられてビクッと身体を跳ね上がらせた。

 

(総護)_!?、あ、えっと…なんかマーブル模様みたいな空間で、終わりが見えないというか…そう、亜空間みたいな感じですね」

 

それを聞いた2人は再び黙り込んでしまった。

おそらく、脳内では常人では考えられない思考速度で考察が繰り広げられているのだろう。

 

そして、暫くの沈黙の後、2人での討論の末、ある仮定が浮かび上がった。

 

(総護)で、結局どういうことなんですか?」

 

(造利)_あ"ぁ…おそらく、てめェの注いでるエネルギーの大元はてめェがいつもブツを収納してるどこか異次元にある空間だ」

 

(デヴィッド)宇宙は今でも膨張し続けているという話は聞いたことがあるかい?」

 

(総護)…?、はい、でもそれが俺の個性となんの関係が…?」

 

(造利)てめェの異空間はおそらく四次元空間、底なしの容量を見るに、それも宇宙みてーに膨張し続けてる。で、膨張するにはエネルギーが必要だ」

 

(デヴィッド)宇宙の膨張エネルギーは"ダークエネルギー"と呼ばれるが、おそらくそのようなエネルギー、亜空エネルギーとでも呼ぼうか。それを取り出して注ぎ込んでいるんだろうと我々は仮定した」

 

総護は、なんだかでかい規模の話になってきたなと呑気に考えているのに対し、2人は興奮した様子で色々意見をぶつけ合っている。

自分の話なのに何処か絵空事のようだった。

 

(造利)あ"〜、つまりな、てめェの個性は異次元に空間に物体を出し入れする個性じゃなくて、異次元の空間とリンクして物体の出し入れをしたり、亜空エネルギーってやつを取り出すことができる個性ってこった」

 

(総護)…なるほど」

 

(デヴィッド)中でも銀に膨大なエネルギーを注ぎ込むことができるなら、これまでエネルギー不足が問題で実現できなかったサポートアイテムの小型化も可能になる!是非僕にも君のサポートアイテムを開発させてくれ!」

 

この日、総護の個性登録の名称が、『出し入れ』から『リンク』に変わった。

 

 





主人公の個性の詳細設定

御門 総護(みかど そうご)
個性 リンク
異次元にある空間に干渉・接続することで、物体を収納したり、収納した物体を取り出したりすることができる。
また、この空間は常に膨張を続けている四次元空間であり、そのエネルギー(今後の呼称:亜空エネルギー)を異次元空間に干渉することで取り出し、物体に込めることができる。


能力モデル
・オビト&カカシの神威(NARUTO)
…別空間への物体の収納や取り出す能力とワープ
  (視点の物体を飛ばして引きちぎることはできない)

・ギルガメッシュ(Fate)
 …武器の取り出し&射出

・灰廻航一(ヴイジランテ)
…異次元から膨大な熱量を引き出す

・戦星のバルジ
…ダークエネルギー(亜空エネルギー)


能力詳細
・収納
…視認したモノに対してのみ発動可能。動いているものは基本的に視点を合わせなければならない。(来る場所が確定していればタイミングを合わせるだけでも可)

・放出
…視界の範囲内、もしくはあらかじめ設定しておいた場所(トラップのような使い方)やパターン化した場所(武器を一斉射出する時に開く場所を自分との位置関係含め身体と脳に刻み込んである)のみ発動可能。

※狙いは射出する角度で定めています。

・ワープ
…神威(NARUTO)と姿現し(ハリーポッター)を足して2で割ったイメージ。ほぼ一瞬で移動できる。
ワープできる地点は、視界の範囲内もしくはある程度の距離や座標がわかる場所のみ。

・チャージ
…直接、もしくは至近距離で間接的に触れている物体に亜空エネルギーを込めることができる。込められる亜空エネルギー量は物体によって異なることがわかっている(銀>>>銅>金>>アルミ)

※電化製品が充電しなくても使えたり、ドライヤーが爆発したりしたのはコレが理由です。
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