NEXT AGE   作:やげん軟骨

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第40話 期末試験②

 

演習場は魔境と化していた。

頭上では巨大な炎の魔人と水の魔人が力比べをし、地を這う影同士がぶつかり合う。

 

(久世)もー!僕の方がオリジナルなのに!なんで押し負けるのー!?」

(暗陰)個性の使い方が上手い…!俺たちのコピーするのは初めての筈なのに…」

 

状況は久世&暗陰ペアの劣勢。

ファントムシーフにより文字通り翻弄されていた。

 

(物間)はァッはッはァ!経験値が違うのさ!経験値が!」

 

久世は炎のブレスを放つドラゴンを描くが、それに対して物間は水の巨大スライムを描いて防ぐ。

雷を放つ化身で攻撃するが、避雷針を頭に乗せた土のゴーレムを描いて完全に防いで見せた。

 

暗陰が隙をついて攻撃をしても、物間の背後にある光源装置で強烈な光を照射され、威力を強めた物間の影に尽く弾かれる。

 

久世は強力な個性ゆえに、先制して圧倒することしか経験してきていない。

物間はコピーで久世が描いたものに対して有利になるものをぶつけ続け、じわじわと体力を奪っていく。

 

暗陰は光源があると影が濃くなり威力が上がるが、光源に向かって個性を放つのは抵抗がかかるため威力が落ちる。

物間は自分の影の威力を高めつつ、暗陰の影を弱体化させることで暗陰を圧倒していた。

 

(物間)どうしたのかなァA組ィ!?もうバテたのかい!?だらしないねェ!!やっぱり後輩もB組の方が優秀なのかなァ!!」

 

雄英という土地に戻り、A組に相対することで当時のアレな部分が再発してきた物間は、彼らしい独特な語り口調で二人を煽りながら追い詰める。

 

(暗陰)このままじゃ埒が明かんぞ…どうする、久世?」

 

(久世)どうするって言ってもさぁ!どんなこと描いても全部対応されちゃうし!」

 

(暗陰)何言ってる!お前の個性は変幻自在、"自由"さが売りだろう!」

 

(久世)_!、"自由……」

 

久世は自分の胸に問う。

自分はいつから自分に枷をかけていたんだろうか、と。

自分にとって絵は"自由"で、心の赴くままに筆を走らせるのが楽しかったのに。

 

(久世)_ふふっ…」

 

(暗陰)_おい、気が狂ったか?」

 

(久世)アハハッ、いや、らしくなかったなって思ってさ!そうだよね…絵は"自由"だ。僕が思い描けばなんだってできるッ!!」

 

力強く走らせた()で描かれた土のゴーレム。

しかし、物間はドリルを搭載した鉄のゴーレムを描き、土のゴーレムの胸を貫いた。

 

(物間)学習しないねェ!そんなのでこの僕に勝てるとでも!?」

 

久世はニヤリと笑う。

ゴーレムが砕けていくと、その中から突如竜巻が吹き荒れる。

ゴーレムの瓦礫を物間に向かって飛ばしつつ、物間の身体を浮かび上がらせ、背後に設置されていた光源装置も破壊する。

 

(物間)ゴーレムの中にも絵を…!?」

 

(久世)そうさ!絵は自由、思い描けばこんなこともできるんだッ!」

 

吹き荒れて打ち上げられた物間の身体。

暗陰はそれを逃さず影で追撃をする。

 

物間のコスチュームは全体的にタイトであり、空中では影が生まれにくい。

そのため、対応するには何か久世の個性で描いて防げしかなかった。

 

しかし、空中で吹き飛ばされている中でそんなものが描けるはずもなく、影がまとわりつくように物間の胴体と腕を拘束し、そのまま地面へと叩きつける。

確保の証拠になるカフスを手首に装着し、演習試験クリアとなった。

 

 

── 照元 & 活真 VS インゲニウム

 

(飯田)(_俺は敵、今の俺は敵…!)__ここは通さんぞ!ヒーローォォ!!!」

 

悪役になりきるインゲニウム。

 

(活真)_速すぎる…!」

(照元)焦っちゃダメだ!一旦引くよ!」

 

闇を手元に生み出して前方のものを引き寄せる。

そしてそのまま後退する二人。

 

飯田は後を追いたいが、闇に吸い込まれると引力で押し潰されてかなりのダメージを受ける。

それに、闇を消し去った後に空間が戻る余波で吹き荒れる暴風と引き寄せた瓦礫の激流に襲われる。

 

飯田は踵を返し、引力に逆らってお互いに一旦距離を取った。

 

 

 

 

 

_かに思えた。

 

(照元)_今だ!走れ!!」

 

照元と活真は左右に分かれて走り出す。

 

(飯田)_な!騙すとは卑怯な…!待ちたまえ!!」

 

馬鹿正直な飯田はまんまと2人の策に嵌められた。

2手に分かれ、どちらかが(ゲート)を潜る作戦だろう。

 

((飯田)_だが甘い!俺のスピードなら、間に合う!!)

 

先ずは『細胞活性』のドーピングで機動力の高い活真を捉えにかかる。

 

(飯田)_レシプロ…バース__!?」

 

必殺技であるレシプロバーストで一気に2人を確保せんと駆け出そうとしたタイミングで、活真が自分の方に振り向いた。

 

((飯田)_まずい…!)

(活真)__ゴフッ、〜〜〜ッ、絶対止めるッ!!」

 

なんとレシプロバーストで加速した飯田に対して真正面からタックル。

後方へと後退りながらも脚を地面に突き刺したかの如く踏ん張り、照元への進行を防ぐ。

 

まさに捨て身の死守により、照元は(ゲート)を通過した。

 

 

 

── 玉城 & 威叫 VS セメントス

 

(玉城)ウォラァァァ!!!」

(威叫)消し飛べェ"ェ"ァ"ァ"ァ"!!!!」

 

次々と迫り来るコンクリートの壁を、個性をぶっ放して破壊して進んでいく。

 

(威叫)_ゼヒュー、ゼヒュー、チッ、喉が死んでぎやがっだ…」

(玉城)_やっべェよ…もう意識ぶっ飛びそー…」

 

疲労の色を見せる2人に対して、余裕の表情のセメントス。

流石、コンクリートが溢れる現代都市では鬼強のヒーローである。

 

「…そろ(セメントス)そろ限界が近いかな?」

 

(ゲート)を背にして悠々と時間経過を待つセメントス。

しかし、攻めの手は止めない。

どんどんと波のように迫るコンクリートを2人は破壊して押し留めるのがやっとだった。

 

(威叫)_チッ……オイ、少しの間時間稼げ」

 

(玉城)_あ〜…なんか策あんのか…」

 

玉城は威叫の目を見ると、目の奥には光が宿っていた。

それを感じ取った玉城は威叫の前へと立つ。

 

(玉城)おし、なんかあンなら期待するぜ…!」

 

最大数生み出した暴食魂を四方八方へと乱発してコンクリートを食い止める。

しかし、やはり2人でやっと均衡を保てていた状況から一転、1人になったことで徐々に押し負けていた。

 

(玉城)_ンぐぉぉォォオ!!!!」

 

しかし、ギリギリのところでなんとか持ち堪えられたのは、玉城の根性による踏ん張りが大きい。

キャパオーバー寸前までフルスロットルで力を振り絞り、威叫のために数刻を稼ぐ。

 

その踏ん張りが実り、玉城を押し除け威叫が前へ出た。

 

(威叫)__GRoooooorrrrrrrッッ!!!!!」

 

威叫の口から放たれたボイスレーザーは、言葉とは言えない獣の咆哮の様な荒々しい声と共に周囲を照らす。

 

「_これは、(セメントス)凄まじいな…」

 

数十mはあるであろうコンクリートの壁に風穴を開け、セメントスの喉元まで刃を届かせた。

セメントスの右肩付近のコスチュームは消し飛び、頬と肩には火傷の様な跡が残っていた。

 

その直後、威叫は意識を失った。

 

 

── 鎖々木 & 来栖 & 霧幻 VS ツクヨミ

 

暴れ回り、猛威を振るう、闇の化身。

腕を払うと暴風が吹き荒れ、爪の跡で地面が抉れる。

 

(黒影)童ドモ、ココデ塵ニシテヤルァァ!!」

 

(霧幻)_ひィィ!!」

(来栖)やばいやばい!!この部屋暗すぎ!ダークシャドウが凄いことなってるよっ!!」

(鎖々木)_パワー、耐久力、まさにフィジカルの暴力だな…!」

 

鎖々木の出した鎖を引きちぎりながら3人を攻撃するダークシャドウを纏ったツクヨミ。

フィジカルというシンプルかつ圧倒的な力の差。

立ち向かうにも、あの勢いでは近づきようがない。

攻撃しようにも先に喰らって戦闘不能になるのがオチだろう。

 

(常闇)_闇は俺の庭。さァ、ヒーローよ…この逆境を超えてみろ…!!」

 

鎖々木は攻撃を回避しながら頭を回す。

 

((鎖々木)__試験という名目上、突破できない課題は与えないはず。しかし雄英のことだ、かなり高い壁を設定するはず。俺たちに課せられた課題は、力の離れた敵に対してどう対処するかということ…ツクヨミの弱点をつける光は俺たちにはない。なら…)

 

鎖々木は猛々しい様相の鎖を繰り出し、ダークシャドウを拘束する。

 

(黒影)コンナモン、マタ引キチギッテ…!?」

(常闇)_!、力が…吸われる……!!」

 

(鎖々木)それは俺の活力を限界まで吸わせた特別性です……_来栖!ヘルプ頼む!俺だけじゃ抑えきれん!!」

(来栖)_!、合点!!」

 

その更に上から来栖が顔に覆い被さる。

呼吸を防ぐことでよりツクヨミから力を奪う。

 

「_霧幻ッ(鎖々木・来栖)!!行けェェッッ!!」

 

霧幻がその隙をついて黒影に取り憑く。

制御権を奪い取り、常闇を地面に押さえつけ、カフスを装着した。

 

 





因みに玉城は威叫に押しのけられた時にはもう限界で意識を失っていました。

現代都市での待ち伏せっていう状況下でのセメントスって鬼強ですよね…
かなりの火力持ちじゃないと完封されると思います。

今回の犠牲者は威叫と玉城でした…
彼らは個性が強力な分力押しになる傾向があるため、その壁を感じさせるためにセメントスをぶつけたというのが教師陣の思惑だったのですが、威叫はその壁ごとぶち破ってしまいましたね笑
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