星見が施設を去ってから4年。
総護たちは13歳となっていた。
小学校を卒業し、中学生となった彼ら。
季節は移り変わり、まだまだ肌を劈く寒さの3月、髪を軽く揺らす風が心地のいい4月、だんだんと湿気で空気が肌にまとわりつく5〜6月を経て、ジリジリと肌を焦がすような日差しが照りつける7月、夏になった。
安らぎ荘は小学校を改築して作成された施設のため、ところどころにその名残がある。
このプールもそのうちの一つ。
夏の風物詩として、施設の子どもたちには大人気である。
今日はプール開きの日。
プールの床や壁面、プールサイドを綺麗にして、水を張ることで、プール開きは完了する。
しかし、プールほどの大容量の水を使用するのにかかる金額を皆さんはご存知だろうか?
一般的な25mプールで約21〜25万円程度。
そんな贅沢を児童養護施設ができるわけもない。
ではなぜ、毎年これができているのかというと…
_ザパァァァァ
空中から突如水が流れ出し、プールをあっという間に埋めていく。
そう、総護の個性で水をしまってあったのだ。
他にもバルーン製のウォータースライダーをプールサイドからプールにかけて設置する。
総護はちび達を空中へと移動させてプールへと落とす遊びを催促される。
子供達は存外、高いところが好きなのである。
怖いもの知らずの子供達は、もっと高くと催促し、総護を一つの遊具として扱うのであった。
──
夕方になり、水から上がった子供達は、塩素でキシキシした髪を風呂で洗い流し、ひと段落するもの達と、夕食の準備をするために早めに上がるもの達に分かれる。
プールから上がり、着替えを済ませると、濡れた髪を乾かそうと総護にドライヤーを借りる蛍火。
総護がドライヤーを取り出すと、コンセントを繋いでいないのに風を吹き出した。
いつものことと特に気に留めていなかったが、総護はふと考えに至る。
総護はコンセントだけを収納する。
すると、なぜかドライヤーにエネルギーが供給され、稼働した。
暫く使っていると、だんだんと異様な匂いが部屋に充満し始めた。
嗅いだことのある、鼻をツンと刺激する匂い。
そう、これはコゲの匂いだ。
突如爆発したドライヤーにより、漫画のように髪がチリつき、顔が煤だらけになった蛍火を見て、全員が笑い転げる。
後に調べたら、エネルギーの過剰供給により過負荷で電熱線が焼き切れてショートしたらしい。
結果的には蛍火や周りにいた者にも怪我はなく、事なきを経た。
そして総護は今後個性で電化製品を収納することを禁じられてしまった。