【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい   作:ぱちぱち

114 / 159
誤字修正、でぃせんと様、もちっとした猫好き様ありがとうございます


高校生はじめました

 真新しい制服に袖を通すのはやっぱり気持ちいい。ミッション系の学校はシスターさんみたいな制服になると思ってたんだけど、聖ザは制服が可愛いんだよね。ブレザーだよ、ブレザー!

 

 聖ザの制服に身を包んでおとーさんやおかーさんに見せると、二人は揃って似合ってると褒めてくれた。おとーさんは最近買ったっていう高そうなカメラでパシャパシャと僕の写真を撮り始める。どうせ写真を撮るなら家族写真にすればいいのに、と言ったら実家の方からせがまれてるんだって。

 

 権藤の方の実家かぁ。あっちのおじいちゃん、嫌いじゃないけど野球を辞めろって言ってくるから苦手なんだよね。あ、女の子はおしとやかにとかじゃないよ? 権藤のおじいちゃんは京都で剣術の道場をやってて、そっちの跡取りになれってうるさいんだ。おとーさんの弟さんが道場の跡継ぎなんだからそっちに期待して欲しいんだけどね!

 

 

「あ、そろそろ時間だ。じゃあ、いってきまーす!」

 

「いってらっしゃい」

 

「あまね、気を付けてね」

 

 

 おとーさんとおかーさんの声を背に、僕は玄関の外へ出る。今日から高校生。念願の、高校生活が始まった。

 

 

 

 

 

「トロ子ちゃーん! いっしょのクラスだね!」

 

「おー。まぁ、あたしらだけだけどなー」

 

「まぁ、皆スポーツ推薦だからね。僕ら以外スポーツ科ばっかり」

 

 

 東京都私立(せんと)ザビー学園。僕らがこの春から通うこの学校はキリスト教系のミッション大学、聖ザビー大学の付属高で結構偏差値が高い学校だ。通ってる子もどことなく品のある人が多くて、地元だといいとこのお子さんが通う学校って事でちょっと有名。

 

 スポーツにも力を入れてる学校で10年くらい前までは野球にも力を入れてたんだけど、大きな不祥事が原因で野球部は一気に廃れちゃった。というのが数年前までのこの学校の評価だったんだけど、去年からは違う(キリッ)

 

 去年からは監督とコーチを変更。なんとコーチには元プロ野球選手の星さんを招聘し、部員たちも地元の強豪シニアから有力選手をバンバン引っ張り、更に更に一昨年の巨神カップ優勝投手である久留米さんを引っ張ってきた新体制聖ザ学園は、夏の県予選でいきなりベスト4へと到達。更に秋季大会ではなんと県予選を突破して地区予選で上位に入り、そのままの勢いで選抜甲子園にまで出ちゃったのだ。

 

 選抜では準々決勝でエース先輩率いる横浜ブルーライト学園に負けちゃったみたいだけど、ほとんど1年生のみのチームでベスト8入りというのは快挙と言っても良いだろう。そしてそのメンバーはそのまま今年も来年も居るわけだからね。

 

 そして今年の聖ザは去年までよりも更に豪華な新入部員が加入する! なんせ女子野球代表としてオリンピックに出た僕とあすみちゃん、トロ子ちゃんの代表組についに日本選手権と巨神カップを制した田中ケータと田中コータのリトルシニア最強バッテリーが聖ザに加わったのだ! あ、あとハラキリトルシニアの仲間もだね。諸星くんとか。

 

 そして――

 

 

『不思議な気分。日本は4月から学生になるんだ』

 

『アメリカだと9月だっけ? 半年違うんだねぇ』

 

『学年の数え方も違うしね。まぁ、私は野球しにきたようなものだからそこら辺は良いかな。どうでも』

 

 

 米国から野球をするために長期留学でやってきた、彼女の名はアンジー・スチュアート。現在世界最強の女打者として君臨する女子野球界の女傑である。あ、最高の打者は僕だからね? アンジーよりもオリンピックでの打率は高かったからさ。ふんすふんす。

 

 なにを考えて誘ってたのか知らないけど、トロ子ちゃんは代表戦の時に知り合ったアンジーを聖ザに勧誘していたらしく。ミッション系らしく海外からの留学生枠が設けられている聖ザはアンジーにとってもありな選択肢だったみたいで、本当に留学してきちゃったんだよね。トロ子ちゃん、本当にいつの間にアンジーと仲良くなってたんだ……?

 

 去年のオリンピックが終わってからは留学に備えて日本語の勉強とか色々頑張ってたみたいで、来日して最初の日には拙い日本語で「コレカラ、ガンバルマス」って言ってたのが印象深い。英語が出来る僕やあすみちゃんの前だと英語が出ちゃうけど、これからはガンガン日本語で話して早く日本語に慣れて貰わないとね!

 

 

 

 

 

「今年から監督に就任した星聖也だ。2,3年はつい1週間前までコーチだったから監督って呼びにくいかもしれないが、慣れろ。しばらく俺の体制だからな」

 

「はーいかんとくー! よろしくおねがいしまーす!」

 

「あまね、じゃなくて権藤。グラウンド10周な」

 

「なんで!!?」

 

 

 聖ザのユニフォームを身に着けた星元選手――ややこしいな。星監督が僕に理不尽な仕打ちを命じてきた。おかしい、ただ僕は元気いっぱいに監督に挨拶をしただけなのに!!!

 

 

「権藤さん! い、いや……権藤! 今日からよろしくな!」

 

「あ、久留米パイセン! お久しぶりです。いやぁ、久留米さんをパイセンって呼ぶことになるとは。初めて対戦した時は思いませんでしたねー」

 

 

 5周くらいした辺りで当日の訓示が終わったのか、投手組がランニングに参加し始めてきたので挨拶兼並走を開始だ。1周300mくらいだから10周だと3km。まぁ準備体操としてはほどいいくらいの距離だね。

 

 ランニングしながら聞いた感じだと、聖ザの練習は基本的に曜日によって切り替わるみたいだ。近隣に野球部の専用グラウンドがあるから、設備や機材が必要な練習はそっちで行って筋トレなんかは学校にあるトレーニングルームを使うみたい。ここは他の部活も使用するから、野球部が使えるのは月曜と木曜日だって。

 

 筋トレは毎日やっても効果が薄いからね。ちゃんと筋肉を休めないと効果がないんだ。僕としてはポイントの関係もあるから筋トレはほどほどにしたいんだけど。うぅん、パワー。パワーが欲しいけどそうすると全身筋肉娘になっちゃうからなぁ。

 

 まぁ、あんまりぱっと見だと分からない体幹トレーニングをメインに少しずつパワーを上げていく、今まで通りのやり方が一番無難だよね。




毎日更新の励みになるので評価お気に入りよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。