【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい   作:ぱちぱち

135 / 159
誤字修正、garaasaa様、でぃせんと様、somey様ありがとうございます。


試合以外のあまちゃんは芸人! みぃんな言うとるばい!

 聖ザは優勝候補の横浜ブルーライト高校を破りベスト8へ進出した。しかも勝ち方が偶然とかじゃない、実力で押し切った形だから通なアマチュア野球ファンはこぞって聖ザの評価を上げてる――はず。もしも僕が見る立場だったらそうなるだろうからそうなってるって予想だよ。この世界にはまだSNSなんてないからエゴサがしにくいんだよねぇ。

 

 

「ベスト8進出おめでとう! いやー、いい試合やったなぁ」

 

「うぃぃっす」

 

「なんでテンション低いの?」

 

「明日も試合だからですよ。あー、帰ってバナナパフェ食べて体を休めたいなー」

 

「「「HAHAHA!」」」

 

 

 いや今のはゲラ笑のタイミングじゃないでしょ、まぁ司会の芸人さんも笑ってるから良いのか。な、なんだか関西は東京と笑いのテンポが違うというか何事も速いって感じがするね。せっかちともまた違う感じがする。

 

 

「ところであまちゃん。甲子園の実況頼まれたって聞いたけどほんま?」

 

「ほんまですよ。僕、出場選手なんだけどって言ったらオリンピックでもやったでしょって言われました。オリンピックとは事情が全然違うんですけどね!」

 

「あっちはあまちゃんプロデューサーやったね。あれ、日本で発表された時どえらい騒ぎだったのよ」

 

「僕、オリンピック期間ずっと向こうに居たから知らないんですよね。対岸の火事みたいな」

 

「火元は君やないかーい」

 

「「「HAHAHA!」」」

 

 

 あ、今のゲラ笑は僕とタイミング一緒だったな。もちろんこの実況の仕事は断った。何が悲しくて折角甲子園に出場するのに毎日毎時間実況しないといけないんだよ。しかも、ここでは言わないけど高野連さん、出場選手だからって事で事務所も通さないでロハでやってくれないか、とか言ってたんだからね。

 

 僕がげいのーじんであるのはもうまごう事無く事実だから、そんな事したら色んな所の顔を潰すしあそこは良くてなんでうちが、みたいな事を言われるんだから。それこそ事前にボランティアとかチャリティーとか銘打ってないと無銭労働はできないしそもそもやっちゃいけないんだよ。

 

 ちなみにオリンピック委員会が例の実況その他の仕事で僕に支払った報酬は東京ドームでの巨神戦の売り上げ位である。あ、これは僕の取り分だけの話だよ? もちろん事務所にはもっと払ってる。そっちの値段は知らないけどね。

 

 ブライアン伯父さん曰く、この値段でも僕がやった事を考えれば圧倒的に格安らしい。いやー、権藤あまね。経済動かしちゃったかぁ……ふんすふんす。

 

 実を言うと次のオリンピックの話もすでに来ていて、今度は最初から野球のプロデュース全般を受け持ってくれないかって言われてるんだよね。ただ、プロデューサー業を生業にする気はあんまりないからちょっと迷ってる所でもある。その頃には大学に行ってるか、それとも北埼玉デッドボールに就職してるか、もしかしたらプロになってるなんて道もあるからね。忙しくてプロデューサーなんてやってる暇がないかもしれない。でも、楽しかったのは間違いないからなぁ。悩みどころだね。

 

 

 

 

 春夏連続ベスト8。こうなるともう聖ザをただのフロックだとか言う人たちも居なくなってくる。春の時は結構居たみたいなんだよね。たまたまくじ運に恵まれた~とかさ。優勝候補の横浜ブルーライト高校に負けた時はそら見た事かって言われて先輩たちも結構頭に来たらしいんだけど、今回からはもうそんな事は言わせない。

 

 優勝候補を破って勝ち上がった新進気鋭の強豪校。聖ザの次の相手は福岡県の強豪西福岡西大付属高校。なんと星監督の出身校でもあるらしい。へー、星監督って福岡出身なんだ。全然博多弁が出てこないから分かんなかったよ。

 

 

「そりゃー、この年になるともう福岡を出てからのが長いからなぁ。でも久留米なんかと話してるとたまーに出てくるぞ」

 

「ああ、釣られちゃうやつ」

 

 

 相手の監督さんは星監督の同級生らしく、最近コーチから監督になった人らしい。ほほぅ、これも一つの野球エリートの出世コースだね。挨拶に行くかと誘われたからほいほい一緒について行くと、相手の監督さんはごく自然な様子で僕にサイン色紙を渡してきた。うん、権藤権藤あまね権藤っと。サイン色紙を出されたら自然とサインを書いちゃうの、もう完全に身についちゃったよ。

 

 

「おい、福永ぁ」

 

「良かろうが別に! 試合以外のあまちゃんは芸人! みぃんな言うとるばい!」

 

「そこはせめてげいのーじんって呼んでほしいです」

 

 

 大の大人が二人して取っ組み合いをしているのを尻目に、僕はそう自己主張をしてから西福岡西大付属のベンチに目を向ける。流石は甲子園常連校。ここも横浜ブルーライト高校と同じく知り合いが結構ベンチ入りしてるねぇ。あ、あっちの人は久留米さんが居た大牟田選抜に居た人だ。挨拶しとこっと。

 

 あれ、そういえばその久留米さんはどうしたんだろ。元チームメイトに声をかけないような人じゃないんだけどなっと周囲を見回すと、久留米さんと森さんは10人くらいの西福岡西大付属の選手に囲まれて「裏切者!」「なんで誘ってくれんかった!」と責められていた。

 

 うん、余裕そうな表情だし大丈夫そうだね! さぁて今日勝てばベスト4。優勝目指して頑張るぞぉ!




毎日更新の励みになるので評価お気に入りよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。