【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい   作:ぱちぱち

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誤字修正、花浜匙様ありがとうございます!


韓国出国~中国~台湾

「色々。本当に色々お世話になりました」

 

 

 滞在先のホテルから空港へ向かうバスの前。お世話になったキム・ジウォンちゃんが最後のあいさつにやってきた。お世話になったのはこっちの方な気がするけど、昨日の試合結果が望外に良かったみたいでジウォンちゃんは目に涙を浮かべて感謝を告げてくる。

 

 去年は、本当にひどかったみたいだからね。あの頃はまだAMACHAN工作を始める前だったからテレビの前でジウォンちゃんをビンタした監督に全責任をおっ被せてスケープゴートにしても関係者各位の家に生卵が投げ込まれたりしたみたいだから。

 

 それが今年は、韓国の各メディアが全部魔球の文字で埋め尽くされていて韓国ナショナルチームが10-0で負けたのなんて何処も報道していない状況だ。国の代表が10-0で負けても文句が出ないんだから、僕の仕事は完ぺきにこなしたと言っていいだろう。ふんすふんす。

 

 

「あ、そこはAMACHANが3本もホームランを打ったから、逆に10点で抑えた、100点取られなかった歴代最強チームとか言われてます」

 

「韓国だと僕はどういう生き物だと思われてるのかな???」

 

「私も、途中でわざと緩めの球を打たせて貰えて。家族に一生自慢できます。ありがとうございます」

 

 

 100点なんて野球の試合の点数じゃないよね。ま、まぁ世の中には魔球を投げるために100点差をわざと与えてそっから逆転するなんてものもあるかもしれないけどさ。あと、その一球は普通にカウント用のボールを拾われちゃっただけだから気にしないでね? こと投げる方の勝負じゃ僕は容赦なんてしてないから、チャンスをきっちり掴んだジウォンちゃん自身の功績だよ、それは。

 

 まぁ、そんなことは兎も角として。

 

 

「1週間ありがとう! ジウォンちゃんも元気でね!」

 

「シスター! またメールするからね! いつでも日本にあそびに来てね!」

 

 

 1週間ほどの滞在期間を終え、僕たち女子日本代表は韓国を旅立った。いやぁ、やっぱり焼肉は良いね。肉を食べるという狩猟民族の本能が呼び起こされた気分だよ。

 

 

「おい、4分の3日本人。なに4分の1に負けてんのよ」

 

「4分の3イギリス人のあすみちゃんの舌じゃわっかんないかなぁ。お米と焼肉とのコラボレーションのあじわいがだね?」

 

 

 そこまで言うとノータイムであすみちゃんの手が僕の頭をぐしゃぐしゃにしようと飛んできたので、僕も即座にあすみちゃんの縦ロールツインに手を伸ばす。しなばもろとも! しなばもろともだ!

 

 バスの中で暴れたせいで1分もしない内にトロ子ちゃんの拳骨を貰ったけど、僕は悪逆に抵抗しただけだからね。そう、拳で!

 

 

 

 

 さて。そんなこんなでワールドツアー最初の国、韓国での滞在を終えたんだけど、今回のワールドツアーの課題というか重要事項を僕たち日本代表にしっかり教えてくれるいい経験になったね。ただ試合に勝つんじゃなく、現地住民に楽しいと思ってもらえないといけない。普通に戦って普通に勝つだけじゃ片手落ちになっちゃうんだ。

 

 そこで賢い僕は考えた。大体の国では1週間くらい滞在するから、その間に1日その国の観光名所とかを観光する旅番組みたいな時間を作るのはどうかってね。よその国のスターが自国を観光してる姿とかを撮影した映像が話題になるってよくあるじゃん? 自分たちの事を知ってもらえるってのは、万国共通の喜び方の一つだと思うから、それを各国で行うのはどうかなってね。

 

 もちろん日本代表には帯同するテレビカメラも居るけど、その人たちとは別に現地のテレビカメラなんかも引き連れて、現地のテレビ局が放映するのが大事だ。これだけで結構好感度を稼げると思うから、やらない理由はないよね。

 

 という事を真久部監督と、帯同するテレビカメラを指揮するプロデューサー兼カメラマンさんに相談してみたんだけども。

 

 

「さすがですね、権藤さん。やはりその道のプロは頼りになる」

 

「エンタメを良く分かってるよねぇあまちゃんは。じゃあ現地のテレビ局との折衝は僕が受け持つんで」

 

「その道のプロじゃないんだけど宜しくお願い致します」

 

 

 いくつか疑問符がつくセリフが出てきた気がするけど! ともあれ今回のワールドツアーにおいて強い決定権を持つ真久部監督とテレビ側の代表者に話を通したことにより僕の要望は通され、次に滞在する香港では早速現地の案内人とテレビカメラを引き連れての香港観光ツアーが敢行されることになった。ダジャレじゃないよ。飛行機降りてすぐに話を通したから、結構な無理を香港側にかけちゃったんだよねぇ。

 

 それでも流石は大観光地香港。急遽要請した結果とは思えないほどに色々な場所を観光できたし、美味しいものも食べることが出来た。

 

 そしてそのお礼に僕は開幕と終わり際にマウンドに上がり、マキュウを1試合二度使うという大盤振る舞いで試合を盛り上げるというね。あ、それ以外はセンターに居ました。ほら、他の投手にも活躍の場はって事だからさ。

 

 まぁ、そういう構成だから最終回の魔球はガチャ魔球にしたんだけど、女神様がガチャは2週間ぶりだからって随分と奮発して、トロ子ちゃんとバットを合わせたバッターさんが骨まで見える電流に晒されることになったのはコラテラルダメージだよね。

 

 トロ子ちゃんには普段、あんまりダメージいかない魔球をチケットで投げてたから、忖度なしのガチャ魔球は初めて投げたんだけどしっかり捕球はしてくれて良かった。ただ、これを一日に何度も受けるのは勘弁してくれって言われたからやっぱりブーさんみたいに特別な訓練を受けてないとガチャ魔球を連投は出来ないな、と痛感したね。

 

 あ、香港で戦った中国代表は15-0で勝ちました。佐竹さん、最初と最後の魔球交換がなければノーヒットノーランだったんだよね。練習試合とはいえ流石に気まずかったけど、当人はいつもの様子で「最初の魔球であっちが完全お客様モードだったから」って笑ってた。そう言ってもらえるとありがたいよ。他人の個人記録を潰すのが、やっぱ一番堪えるよね。

 

 この香港滞在は全体的にかなり好感触というか、最初に放映した日本代表の旅番組チックな観光姿が現地の人に結構受けたらしく今後滞在する国でも同じように現地での観光パートは追加しようという話になったみたい。プロデューサー兼カメラマンさんがかなり忙しそうにしてたみたいだけど、人脈が増えるってわはわは笑ってたから苦労した分のリターンは返せてる筈。多分きっとメイビー。

 

 次は前に行った台湾か。前は観光なんて出来る雰囲気じゃなかったけど、今回は楽しめたら嬉しいなぁ。




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