【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい   作:ぱちぱち

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誤字修正、モルゲンスタイン様、でぃせんと様、ライ腐様ありがとうございます!


配信始めました

「動画配信をする? 僕が?」

 

 

 二学期も始まり、中間テストでまたケーちゃんが悲鳴を上げ始めたころ。事務所に呼び出された僕にマネージャーの有川さんがそんなことを言ってきた。

 

 

「はい。ブライアン様が投資している国内の動画配信サービスが近日稼働を始めますので、当事務所でもその支援を行う事に決まりまして。ただ、当事務所のスタッフたちも演劇やモデル撮影なら兎も角こういったネットでのエンタメというものには不慣れでして。事務所一の専門家であるお嬢様に是非見本を示してほしいと」

 

「いつの間に僕が事務所一の専門家になったのかは後で詳しく話し合うとして、僕だって動画の撮り方なんか知らないんだけども」

 

「なにぶん新しい分野でございますし、ブライアン様からは全て任せるとのお言葉が。お嬢様が面白いと思う動画を撮影してみて検証するのが良いのではないでしょうか」

 

「あ。僕がなにか撮るのは事務所的に確定なのね。はい」

 

 

 どうやら断れない類の仕事だったらしいというかブライアン伯父さんが音頭取ってるのか。完全に社命じゃん断れないよそんなん。

 

 と思ったら断る事は良いんだけど、動画的に考えるのではなく日常的な権藤あまねの生活を撮影するのは難しいかと伯父さんに言われたので、賢い僕は考えた。

 

 そうか、日常的な生活を撮影でいいのか。なら良い考えがあるぞ。

 

 

「という訳でうちの純喫茶アンデッドにカメラが来ました! 拍手!」

 

「わーぱちぱち」

 

「なんでアンデッドにカメラを……?」

 

 

 業者さんに頼んで24時間動くタイプのカメラをお店に設置し、晴れて僕が運営する動画ちゃんねる・純喫茶アンデッドチャンネルが出来上がった。日常の権藤あまねが見たいんならやっぱりここに置くのが一番だよね!

 

 という建前で、事務所のお金で防犯カメラをゲットだぜ! しかも動画を見てる暇な人がなにかあれば通報までしてくれるかもしれないというほぼ警備員付な防犯カメラだ。僕が人気のうちはちゃんと機能してくれるだろうし、普通の防犯カメラとかよりも経費が抑えられるんじゃないかと期待してる。

 

 あ、もちろん純喫茶アンデッドはちゃんとした警備会社とも契約してるよ? ボタン押したら急いでガチムチお兄さんたちが駆け付けてくれる奴。ただ、カメラがあるとないとじゃやっぱり抑止力が違うからね。人は見られてるってブレーキがあるとないとじゃ全然犯罪発生率は違うんだ。

 

 

「というわけでみんなーよろしくねー」

 

 

 音も拾うタイプのカメラなので、そちらに向かって挨拶をしておく。ケーちゃんが動画サイトを確認すると、なんでも流れてる映像にコメントを付けられるタイプのサイトらしく画面の文字が多すぎて僕の映像がほとんど見えなくなってるみたい。おお、凄いなこれ。弾幕って言うんだっけ? こういう時は左舷が薄いぞって言えばいいのかな?

 

 あ、あとお店にカメラ撮影してるって張り紙も貼っとかないとね。普通にご飯食べに来てるお客さんも多いから、カメラに映ってますよって注意しとかないと嫌がる人も居るかもだし。しょーぞーけんはしんぱんしちゃいけない。僕も事務所に散々やられたからね、他人事じゃないんだ。

 

 

 

 

 

「なんて言ってたら連日満員なんだけどなんでだろうね?」

 

「なんででしょうね~」

 

 

 表の行列をちゃんと並ばせてから、ご近所さんに迷惑をかけたお詫びを言って、更にお水が切れたテーブルにお水を配る。あんまりにも忙しすぎて自作のメイド制服がちょっと汗ばんできちゃったよ! 野球の試合でもあんまり汗かかないのに!

 

 思わず愚痴をこぼすようなことをおかーさんに言うと、おかーさんも良く分からないのかきょとんとした顔で首をかしげる。

 

 

「それはだね、権藤あまねさん。君の影響力の大きさが全ての要因だよ。北埼玉デッドボールの試合で君はいつも純喫茶アンデッドを宣伝していたけど、基本的に言葉だけでの宣伝だったから実態が分からなかった所に、TVなどで純喫茶アンデッド自体が映り、看板奥様の存在が全国区で知れ渡った。美人過ぎる人妻ウェイトレスに、たまに大人気アイドルよりも人気者な若手芸人の権藤あまねさんがウェイトレスをしているかもしれないというお店がぼったくり価格でもない手ごろな料金で満足できる出来栄えの料理を出してくれる。これでここに通わない理由なんてないのに、更に君は若い人たちに動画配信という形でこの店の情報を流しているよね。学生ランチ500円であのボリュームがお出しされるという情報は、はっきり言って禁じ手といっても過言ではない。この3つがあるお店がむしろ流行らない理由はないよ」

 

「え、あ、はい」

 

 

 僕とおかーさんの会話を聞いたのか、いつもカウンターでメモ帳を書きながらご飯を食べてる自称無職のおじさんが、つらつらとそう原因についてを語り始めた。おお、記者さんみたいだなぁと口にしたら無職だと頑なに首を振る姿には、もしかして無職であるという事になにか拘りみたいなものがあるのかもしれない。

 

 無職とかいう割には身なりも良いし、食い逃げとかもしたことないからお金は多分あるんだろう。もしかして最近噂のファイアーとかいう奴かな。お金持ちになったらファイアーするって聞いた事あるし、この人もどっかで燃えたのかもしれないね。

 

 僕も結構お金持ちになったと思うんだけど、どこかでファイアーするのかな? それに備えて星さん経由で大阪の球団が毎年やってる精神修行に参加するべきかもしれないね……!




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