【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい   作:ぱちぱち

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誤字修正、でぃせんと様ありがとうございます


おかーさんの帰郷

 はるばるイギリスに里帰り! という訳で僕たち権藤一家は山田一家と一緒に年末年始を過ごすためイギリスはロンドンへとやってきた。いやー、寒いね。同じ島国とはちょっと思えない位寒いんだけど!

 

 今年の夏にちょっとだけ挨拶に来た時は涼しいって思ったけど、やっぱり冬に寒い所に来るのはいやだね。うう、本当は沖縄に行きたかったけどおかーさんがどうしてもおじいちゃんやおばあちゃんと顔を合わせたいっていうからね。

 

 おとーさんと結婚してほぼ勘当扱いで家を出たからもう生涯顔を合わせることはないだろうって思ってたけど、おかーさんもおじいちゃんおばあちゃんの事が嫌いで家を出た訳じゃないからね。ちゃんと会えるなら家族みんなで会いに行きたいから、今年はこっちを優先する事にしたんだ。

 

 僕にとっては4回目くらいのイギリスになるかな? 毎回夏休みに来るようにしてたから、冬がこんなに寒いなんて知らなかったよ……

 

 

『お嬢様! ああ、お嬢様! 再びお嬢様がこの地に……!』

 

『おじい様、今は御自重を。お初にお目にかかります、アリスお嬢様。ブライアン様とアリスお嬢様のお迎えに上がりました』

 

『久しぶりね、リチャード。それに貴方はリチャードのお孫さんだったかしら』

 

『レイモンドと申します』

 

 

 空港に着いたらものすごく高そうな黒塗りの高級車のお出迎えを受け、その車に揺られて大体1時間くらい。ロンドン郊外にある山田家は最初の門をくぐった後、そこから更に車で数分ほど走ってようやく本屋敷に到着するとっても大きな豪邸だ。

 

 初めて見た時から思ってたけど、本当に金持ちの一族なんだね。山田さん家は。そんな家から娘をかっさらって喫茶店で働かせてるおとーさんってどういう人なんだ……よく無事に生まれたな、僕。

 

 などと僕が自分の誕生の神秘に思いを馳せていると、高そうなスーツに身を包んだ使用人のリチャードさん?というお爺さんが、大きなドアを開ける。

 

 

『おお、アリス……よくぞ帰ってきてくれた』

 

『お帰りなさい、アリス。私に顔を良く見せて』

 

『おかえり、アリス。変わってないな、可愛い僕らのアリスのままだ』

 

『お兄様。アリスも大人になって親になったのよ? そんな言い方はよしてあげて。アリス、本当によく帰ってきてくれたわね。おかえりなさい』

 

『アリス叔母様、はじめまして。ウィリアムの息子のアーサーです』

 

『叔母様、イライザの娘のミリーです!』

 

 

 ドアを開けた先には、おかーさんやブライアン伯父さんと似た顔面偏差値の高い人たちが一斉にアリス母さんに話しかけてきた。最初に話しかけたのがジョージおじいちゃんで、次がソフィアおばあちゃん。この二人とは夏にも会ったけど、還暦を過ぎたとは思えないくらいにピンシャンとしたエネルギッシュなおじいちゃんおばあちゃんだ。

 

 そして残りの四人は、多分小学校低学年のころに来た時に会ったことがあるはずなんだけど、たしか――

 

 

『ウィリアム伯父様、イライザ叔母様。お久しぶりでございます。今年の夏は、ご挨拶が出来ず申し訳ありません』

 

『ああ、いらっしゃいアスミ。今年の活躍は僕らも耳にしたよ! 野球というスポーツはあまり詳しくないけど、君とアマネの活躍はインターネットで見たんだ』

 

『本当は応援に行きたかったのだけどね。その時はちょうどフランスの方で仕事があったから』

 

『俺も学校でアマネの事を聞いた時は驚いたよ。パソコンで見たら見覚えのあるちっちゃいのとおっきいのがいてさ』

 

『あら。アマネは私に比べたらずぅっと大きいわよ。お従兄様の事もそのうち追い越すんじゃないかしら?』

 

 

 ああ、そうだ。大人二人はウィリアム伯父さんとイライザ伯母さんで、子供二人は伯父さんたちの息子と娘、つまり僕にとって従兄と従姉にあたる人たちだね。たしか後もう一人従兄が居たはずなんだけど、今日は居ないのかな?

 

 ウィリアム伯父さんは山田家の長男で、山田家の事業全般を担ってる人だ。そしてイライザ伯母さんはウィリアム伯父さんとブライアン伯父さんの妹で、うちのおかーさんの姉に当たる人だね。イギリス貴族の家に嫁入りしていて、今はその家で経営してる服飾メーカーのCEOを務めてるらしい。あすみちゃんのおかーさんのオリヴィア伯母さんもそこで働いてるんだって。

 

 山田家は欧州を基盤に世界中に事業を展開していて、結構色々な事をしてるらしい。特に海運業に関しては世界でも有数のシェアを握ってるらしいからそりゃこんだけでっかい屋敷を建てられるし維持も出来るよね。

 

 

『いやいや。近年は他社も伸びてきて少し押され気味だからね。アマネが提案してくれたアイディアには我々も期待しているんだ』

 

『いやー、僕はただブライアン伯父さんにこういうのがいいんじゃないって提案しただけだから』

 

『それをアイディアというんだよ。ブライアンが経営に食い込んだYOUCUBEは急速にシェアを伸ばしているし、日本で新規に始めたニヨニヨとかいう動画配信サービスも爆発的に人気が広がっているというしね。お陰でわが社の他部門も引っ張られるように業績を伸ばしているし』

 

『お兄様、お仕事の話はそのへんで。可愛い姪っ子たち、私にハグをさせてくれないかしら?』

 

『よろこんで!』

 

 

 おじいちゃんおばあちゃんはおかーさんにかかりっきりだけど、伯父さんと伯母さんが僕やあすみちゃんに挨拶をしてハグをかわしてくる。イギリスだとアメリカほどハグばっかって感じじゃないけど、親しい人にはやる感じなんだよね。あ、伯父さんも伯母さんもすっごく高そうな香水使ってるな。

 

 それとアーサーくん、あすみちゃんにハグする瞬間明らかに身を固くしてたけど、まぁわかるよ。スポーツ選手だから結構肩幅とかがっしりしてるけど、あすみちゃんってもろに欧州の人が100人いたら100人が美人って言う金髪碧眼長身モデル体型の美女だもんね。つい意識しちゃってもおかしくはない。そして早速イザベラにそれをからかわれて顔を赤くしてるな。にやにや。もしかしてもう一人の従兄もこれが嫌でここに顔を出してないのかな?

 

 あと、流石におとーさんに対しては皆がすっごい複雑そうな顔で応対してるけどさ。ほら、その娘の僕がこんなに可愛く生まれたのはおとーさんが居たおかげだからって主張すると皆苦笑しておとーさんと握手を交わしてくれた。僕が大人になるまでには、これがハグにまでなってくれると嬉しいんだけどね。

 




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