好奇心で首を突っ込んだら攻略難易度ルナティックの黒幕美少女に目を付けられた件 作:ああああああ
1:イッチ
さて、家の前に美少女がいるのに何で嬉しくないのだろう。朝から美少女と対面とかギャルゲーの醍醐味なのに
動画
2:名無しのパンピー転生者
そりゃ、イッチの家を教えてないのに探し当てるからでは
3:名無しのパンピー転生者
怖いって!笑顔なのに!怖い!呼び鈴連打は怖いから
4:名無しのパンピー転生者
ホラーだよな
5:名無しのパンピー転生者
こらあかん
6:名無しのパンピー転生者
逃げるのは無理やろ
7:イッチ
黙れ!ワイは逃げるぞお前!
8:名無しのパンピー転生者
イッチ、出ないと後が怖いぞ
9:イッチ
………はい
10:名無しのパンピー転生者
それにしても、この黒幕ちゃんの情報が不足してるよな。イッチが対応している間に教えてくれ
11:名無しのパンピー転生者
何だこれ、怖すぎ
12:名無しのパンピー転生者
これはホラーゲームですか?
13:名無しのパンピー転生者
朝凪結芽の概要
黒髪で桜色の瞳を持つ美少女
作中の事件の8割は彼女が黒幕
ヒロインの過去や葛藤を推理しながら進めるギャルゲーのヒロインとしては異質で、彼女の過去は彼女自身から語られる。クリティカルな言葉と行動をできるかがポイント。過去が明かされるまでの選択肢はマジで間違えるプレイヤーで屍の山が発生した。
これでどうや。ワイは攻略サイトを見ながらやったから3回で済んだ。
14:名無しのパンピー転生者
草
15:名無しのパンピー転生者
攻略サイトを読んで何で死んでるんだよ
16:名無しのパンピー転生者
「これはこの選択肢だ、それ以外はあり得ない!行くぞ」
グサ(ナイフで刺される音)………
3回やりました。
17:名無しのパンピー転生者
主人公とイッチは同じ学年なんか?
18:名無しのパンピー転生者
イッチが高校2年生で、原作時朝凪は高校3年生だからまだ入学してない。
19:名無しのパンピー転生者
あー
20:名無しのパンピー転生者
じゃあ、それまでの耐久レースやな
チャイムの悪魔、朝凪結芽を見て溜息を吐きつつ、語は家に入れた。
「意外と素直ですね」結芽はそう零してから、思い出したように靴を脱いで部屋に上がる。語は、視線をもう一度後ろに向ける──女子だった。別に付き合ったわけじゃない女子が部屋にいる。目の前にいた。
それもとびきり可愛い、お伽噺に出てくるような気品溢れるお姫様だ。内面は別だろうが。
「それで何の用だよ?」
「もう少し会話というものを楽しめないのですか?」
「朝から家を特定して呼び鈴を連打する女と楽しく会話できるメンタルはない」
「………私、可愛いですよ?」
その場に立ち、クルリと一回転する。純白のワンピースによく映える黒髪がふわりと舞う。
「自信満々だな」
「世界の常識ですから」
心底理解できないという顔で、コテン、と小首をかしげ、いたずらっぽく語を見上げた。可愛いと自信があり、見せ方を知り尽くしている人間にしかできない動きだった。
「…まあいいでしょう。単刀直入に言います。
「あー、えーっと、今日は無理で」
「私ほどの美少女が誘っているのです。予定は返上して来てください」
「自己肯定感化物か?」
「演劇部の友人が劇をやるのです。他校と競い、外部の方に判定される演劇部の大会のような場だと聞きました」
「話聞いてる?」
「今回の台本は友人がすべて手掛けたものらしく、ぜひ見に行きたいのです」
「マジで無視かよ」
チケットを2枚差し出す結芽。
「………俺達、この間ちゃんと話したばかりの関係だよな」
「関係とは深めていくものですよ。黙って従ってください」
「関係を深める気ある?」
「ダメ…でしょうか」
結芽は上目遣いで語を見つめた。それを見て顔を顰める。休日の朝から突然押しかけられ、半ば強引に家に入り込まれ、そして演劇に誘われる。まさに怒涛の展開だった。端的に言って、疲労していた。
「あー、学校では絡んでくるなよ」
了承としてそのチケットを受け取った。その際、指先に触れる。きめ細かい肌の感触と冷たい体温が語の体温を奪っていく錯覚を覚える。
舞台は、薄暗い照明に照らされた市営のホール。熱気に満ちた観客席は、演劇部の生徒たちが作り上げた世界を眺める観客で溢れている。最前列の席に座る語は、隣に座る結芽を見て溜息を吐いた。誘われるがままに来たこの劇、正直なところ最初はあまり期待していなかったが、それなりのレベルだった。他県からも演劇部が目当てで来る子がいると聞いていたが、想像以上である。
浮気を題材としたストーリーで、浮気男が友人に諭されて復縁するまでの物語である。
物語はいよいよクライマックス。喜劇的結末を迎えようとする場面で、舞台奥の照明が一段と強く輝き、荘厳な音楽が会場を包み込む。その瞬間
「バンッ!」
乾いた破裂音が、音楽の隙間を切り裂くように響いた。何が起こったのか、最初は誰も理解できなかったが、次の瞬間、舞台中央から勢いよく火花が飛び出し、それが弧を描いて客席へと向かってくるのが見えた。
語は目を丸くした。それは、劇の演出の一部にしてはあまりにも現実的な、本物の花火だった。赤や緑の火の粉が、まるで流れ星のように客席に降り注ぐ。語は反射的に結芽の腕を掴み、身を屈めた。火花が当たらないよう脱いでいた上着を被せる。結芽はその行動自体に驚いた表情で語を見つめている。
「頭を下げろ!」
最前列に近い席から、悲鳴が上がった。花火は後方の座席に落ち、そこから小さな煙が立ち上がっていた。おそらく花火の直撃を受けた人がいるのではないか、軌道から予測し語が後ろを見ると40代であろう女性が驚愕に固まっていた。
焦げ臭い匂いが鼻をつく。観客は困惑しており、これが演出なのか機材トラブルか判断が付いていない。会場は一瞬にして静寂に包まれた。
舞台上では、役者たちが状況を把握できずに立ち尽くしていたが、一人の男性生徒が「何て美しい花火だ」そう続け、劇を再開した。少しだけ異様な雰囲気のまま、劇は終了した。
ざわつく観客が次々と席を立ち、帰宅していく中、語達はその場にとどまっていた。
語の視線に気づいたのか、結芽はゆっくりとこちらに顔を向けた。その瞳は、まるで舞台の闇をそのまま吸い込んだかのように深い。少し気まずさを感じながらも「あれはアクシデントか?」語が尋ねると、結芽は目を閉じ笑った。
「私にそれを尋ねるのですか?」
「驚いてないから」
「………劇の内容、中々悪くないでしょう?実に可愛らしいです」
彼女は話題を逸らして劇の感想戦に移行する。
「可愛らしい?」
「浮気した男性は打ちのめされながら反省して、再出発するという終わり方ですが、意図は別にあるのではないでしょうか。あの劇には壊れたものを直す、捨てないという描写が多いと思いませんか?」
「確かに花瓶とか元カノからもらったブレスレットとかを捨てないで保管するシーンがあったな」
「シナリオを描いたあの子は何を思って書いているのでしょうね?」
嘲笑交じりの声色だったが、彼女の手元は拳を作っており何かを耐えているようにも見えた。