構われたくない一般通過男子生徒VS全力で構いたい生徒達……れでぃ、ふぁい!!!   作:究極進化さむらい(2歳)

9 / 9
IFのお話
幸せが何処に転がっているかは、当人次第・砂狼シロコ


 

荒れ果てた校舎を目標に、青いマフラーを掛けた少女───砂狼シロコは歩いていた。

隙間が生み出されてボロボロになった傘と、賞味期限がギリギリの食料が入った袋を携えている。

傘の隙間から侵入してくる雨に多少の苛立ちを感じながらも、自身の帰りを待っているであろう者の為に帰路へ着く。

 

 

「……ここ最近、ずっと雨が続いてる」

 

 

ふと、雨を降らし続けている空を見上げてみた。

シロコが見上げた先に広がるのは、赤一色に包まれた空であった。

その光景は何処までも不気味で、形容しがたい嫌悪感を感じさせる。

 

今や、かつてキヴォトスを美しく彩っていた晴れ渡る青空など、何処にも存在しない。

シロコは青空を懐かしむと同時に、今空を支配する真っ赤な空に不安を募らせる。

ただ見上げていただけなのに、突如として得体の知れない感情に自身の身を侵されていた。

 

何故だか、どうしようもなく怖くて、寒くて、悲しくて、寂しかった。

 

焦りのあまりか、手に持っていた傘や袋を放り捨て、目の前に建っている荒れ果てた校舎へと足を進めた。

 

 

 

 

────

 

 

 

 

乱れる呼吸を整え、シロコは部室の前に佇ずんでいた。

本来、部活動の名前が記入されている教室札は、文字を認識することが困難な程にボロボロに荒れ果てている。

他にも、窓は所々ひび割れており、壁は亀裂が生じていた。

 

荒廃した校内を見て、シロコを支配する恐怖は更に加速していく。

周りを見れば見るほど不安が募ってしまい、自らを苦しめてしまう。

ガクガクと震える手で、扉を開いた。

 

 

「はぁ……はぁ……ぁ…た、ただい、ぁ、……ユウスケ」

 

 

自分でも驚いてしまうほど、震えている声色で帰りを告げる。

部室の扉を広くと、そこには見慣れた光景が広がっていた。

シロコが今最も求めている人物である、早瀬ユウスケは自身の腕に噛み付いていた。

腕には大量の噛み跡が残っており、少し肉が剥げておりそこから真っ赤な血が流れ出ている。

そう、この悍ましい事態もいつもの光景であった。

キヴォトスが崩壊してから、ユウスケはトラウマを植え付けられてしまった。

最初こそ「お姉ちゃんにあいたい」などと幼子のような願いだったのが、同じ対策委員会のメンバーの死によって悪化、そして加速され、行き場のないストレスから言語能力が低下してしまい噛み癖がついた。

 

 

「……ユウスケ、自分の腕は噛んじゃ駄目」

 

 

帰宅してきたシロコに言葉どころか視線も向けず、自傷に浸るユウスケを無理やり静止した。

そうすると、彼は苛立ちの篭った目線をシロコへと向け喉を唸らせている。

 

 

「噛むなら私にして」

 

 

シロコはそう言って自らの制服を脱ぎ、下着一枚の姿となった。

その体にはユウスケの腕と同じように噛み跡が幾つも残されている。

決して欲情を煽っているわけではなく、これはルーティンなのだ。

そしてシロコは、自身の大切なマフラーを一度外し首元を差し出す。

ユウスケはよたよたと覚束ない足取りでとシロコのもとへ向かい、その首元に噛みついた。

 

 

「あっ……ん……っ…!」

 

 

自身の首元へ噛み付いてるユウスケに、シロコは痛みと同時にそれを遥かに上回る愛おしさを感じていた。

先程まで自身を支配していた恐怖や寂しさはとうに消え、今彼女を支配するのは幸福感であった。

 

そして、そんなシロコとは裏腹にユウスケは涙を流していた。

自身への情けなさだろうか、理由は定かではないが嗚咽を漏らしている。

 

 

「ん、大丈夫。私がここにいるからね」

 

 

情緒が不安定気味になってしまったユウスケをシロコは抱きしめる。

優しく抱き寄せられたユウスケは、抵抗することなくそのままされるがままになっていた。

泣いている幼子をあやす様に、シロコはまるで母親の様に優しく、ユウスケの頭を撫でた。

そうしている内に少しずつ、彼がゆっくりと落ち着いていくのを肌で感じ取れた。

 

シロコはユウスケがこうして暴走し始めた時は、決まって抱擁によって落ち着かせる様にしていた。

 

しばらくすると、ユウスケの体温が少しだけ高まったことに気づいた。

荒れていた呼吸も穏やかになってきており、シロコは安堵のため息を吐いた。

 

 

「…………ご、ぇ……なぁ、い」

 

「ううん、全然気にしてない。……帰ってきたら必ずこうするから……ね」

 

 

申し訳なさそうに呟く彼に優しく微笑みかけ、再度しっかりと抱き締める。

赤く染まった首筋をそっと触りながら、シロコは小さくため息をついた。

 

 

「ユウスケがいるなら、何が起こってもいいから。私が何とかするから、安心して」

 

 

安心しきって眠ってしまったユウスケを抱きしめながら、シロコは呟く。

このキヴォトスに生き残っている者が何人いるのかは知らないが、例えどんな雌にもユウスケだけは渡さないと、自分たちの幸せを奪わせないと。

 

真っ赤な空に向かって誓うのだった

 




お久しぶりです。
さむらいです

最近色々な事情が重なってくっそ病んでおりました
まだ解決した訳では無いですが、ちょっと落ち着いたのでゆっくり活動していきます。

ウマ娘が最高です、ヴィヴロスとマルシュとタクトが好きです。
ウマ娘もかこかな

一応シロコテラーには至らない世界線です。
プレ先世界ではないモス

シロコの感情云々はキヴォトスに宿る神秘が腐ってしまい神秘を持つものに根源的恐怖を植え付けている、的な設定でお考えください
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ヘイロー持ち男子生徒の過去を知った結果(作者:縁の下の焼き鳥)(原作:ブルーアーカイブ)

ヘイロー持ちの所属学園無しで殆どの情報が存在しない男子生徒のエゲツない過去を知ってしまった先生や生徒達が曇ったりして過保護になったり拘束しようとしたりするお話。▼っぱ曇らせでしか得られない栄養が半端なく最高だわ。▼時系列はエデン条約編終了後。


総合評価:1661/評価:6.75/連載:6話/更新日時:2025年12月29日(月) 17:27 小説情報

キヴォトスの生活費?Vtuberで稼ぐか...(作者:開拓者)(原作:ブルーアーカイブ)

キヴォトスに来た一人の少年が居た▼彼は一言。▼「お金がない!...そうだ!Vtuber始めよう!」▼これはVtuberで生活費を稼ぐ人生不安定な人間と彼を愛してやまないためにスパチャを投げまくる少女達のお話▼週1か2投稿を目指しています▼追記 お気に入り1000&評価70人突破ありがとうございます!


総合評価:1871/評価:7.47/連載:12話/更新日時:2026年03月26日(木) 22:34 小説情報

残機無限のブルーアーカイブ(作者:エドアルド)(原作:ブルーアーカイブ)

死んでも生き返る残機無限のとある生徒のお話し。▼なお、他人の為なら平気で命を使うものとする。


総合評価:3489/評価:7.06/連載:34話/更新日時:2026年02月07日(土) 08:00 小説情報

久しぶりに会ったけどみんな様子おかしくない?(作者:オレ)(原作:ブルーアーカイブ)

▼「なんか久しぶりに会ったらみんなちょっと変なんだよな。なんつーか、心配性というか。そんな変わったか?腕一本もってかれただけだろ?隻腕ってなんかカッコよくね?」▼↑(このあとボコボコにされる)▼思いつき投稿


総合評価:1750/評価:7.78/連載:5話/更新日時:2026年04月28日(火) 00:34 小説情報

特に理由のない幸せが男子生徒を襲う(作者:ガチャ石は貯めない)(原作:ブルーアーカイブ)

元アリウス一般男子生徒が、自由に過ごしながら幸せになる話。▼なお、男子生徒の意見は聞かないものとする───▼「なんでさ!?」▼


総合評価:2432/評価:6.4/短編:86話/更新日時:2026年03月02日(月) 13:01 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>