構われたくない一般通過男子生徒VS全力で構いたい生徒達……れでぃ、ふぁい!!! 作:究極進化さむらい(2歳)
幸せが何処に転がっているかは、当人次第・砂狼シロコ
荒れ果てた校舎を目標に、青いマフラーを掛けた少女───砂狼シロコは歩いていた。
隙間が生み出されてボロボロになった傘と、賞味期限がギリギリの食料が入った袋を携えている。
傘の隙間から侵入してくる雨に多少の苛立ちを感じながらも、自身の帰りを待っているであろう者の為に帰路へ着く。
「……ここ最近、ずっと雨が続いてる」
ふと、雨を降らし続けている空を見上げてみた。
シロコが見上げた先に広がるのは、赤一色に包まれた空であった。
その光景は何処までも不気味で、形容しがたい嫌悪感を感じさせる。
今や、かつてキヴォトスを美しく彩っていた晴れ渡る青空など、何処にも存在しない。
シロコは青空を懐かしむと同時に、今空を支配する真っ赤な空に不安を募らせる。
ただ見上げていただけなのに、突如として得体の知れない感情に自身の身を侵されていた。
何故だか、どうしようもなく怖くて、寒くて、悲しくて、寂しかった。
焦りのあまりか、手に持っていた傘や袋を放り捨て、目の前に建っている荒れ果てた校舎へと足を進めた。
────
乱れる呼吸を整え、シロコは部室の前に佇ずんでいた。
本来、部活動の名前が記入されている教室札は、文字を認識することが困難な程にボロボロに荒れ果てている。
他にも、窓は所々ひび割れており、壁は亀裂が生じていた。
荒廃した校内を見て、シロコを支配する恐怖は更に加速していく。
周りを見れば見るほど不安が募ってしまい、自らを苦しめてしまう。
ガクガクと震える手で、扉を開いた。
「はぁ……はぁ……ぁ…た、ただい、ぁ、……ユウスケ」
自分でも驚いてしまうほど、震えている声色で帰りを告げる。
部室の扉を広くと、そこには見慣れた光景が広がっていた。
シロコが今最も求めている人物である、早瀬ユウスケは自身の腕に噛み付いていた。
腕には大量の噛み跡が残っており、少し肉が剥げておりそこから真っ赤な血が流れ出ている。
そう、この悍ましい事態もいつもの光景であった。
キヴォトスが崩壊してから、ユウスケはトラウマを植え付けられてしまった。
最初こそ「お姉ちゃんにあいたい」などと幼子のような願いだったのが、同じ対策委員会のメンバーの死によって悪化、そして加速され、行き場のないストレスから言語能力が低下してしまい噛み癖がついた。
「……ユウスケ、自分の腕は噛んじゃ駄目」
帰宅してきたシロコに言葉どころか視線も向けず、自傷に浸るユウスケを無理やり静止した。
そうすると、彼は苛立ちの篭った目線をシロコへと向け喉を唸らせている。
「噛むなら私にして」
シロコはそう言って自らの制服を脱ぎ、下着一枚の姿となった。
その体にはユウスケの腕と同じように噛み跡が幾つも残されている。
決して欲情を煽っているわけではなく、これはルーティンなのだ。
そしてシロコは、自身の大切なマフラーを一度外し首元を差し出す。
ユウスケはよたよたと覚束ない足取りでとシロコのもとへ向かい、その首元に噛みついた。
「あっ……ん……っ…!」
自身の首元へ噛み付いてるユウスケに、シロコは痛みと同時にそれを遥かに上回る愛おしさを感じていた。
先程まで自身を支配していた恐怖や寂しさはとうに消え、今彼女を支配するのは幸福感であった。
そして、そんなシロコとは裏腹にユウスケは涙を流していた。
自身への情けなさだろうか、理由は定かではないが嗚咽を漏らしている。
「ん、大丈夫。私がここにいるからね」
情緒が不安定気味になってしまったユウスケをシロコは抱きしめる。
優しく抱き寄せられたユウスケは、抵抗することなくそのままされるがままになっていた。
泣いている幼子をあやす様に、シロコはまるで母親の様に優しく、ユウスケの頭を撫でた。
そうしている内に少しずつ、彼がゆっくりと落ち着いていくのを肌で感じ取れた。
シロコはユウスケがこうして暴走し始めた時は、決まって抱擁によって落ち着かせる様にしていた。
しばらくすると、ユウスケの体温が少しだけ高まったことに気づいた。
荒れていた呼吸も穏やかになってきており、シロコは安堵のため息を吐いた。
「…………ご、ぇ……なぁ、い」
「ううん、全然気にしてない。……帰ってきたら必ずこうするから……ね」
申し訳なさそうに呟く彼に優しく微笑みかけ、再度しっかりと抱き締める。
赤く染まった首筋をそっと触りながら、シロコは小さくため息をついた。
「ユウスケがいるなら、何が起こってもいいから。私が何とかするから、安心して」
安心しきって眠ってしまったユウスケを抱きしめながら、シロコは呟く。
このキヴォトスに生き残っている者が何人いるのかは知らないが、例えどんな雌にもユウスケだけは渡さないと、自分たちの幸せを奪わせないと。
真っ赤な空に向かって誓うのだった
お久しぶりです。
さむらいです
最近色々な事情が重なってくっそ病んでおりました
まだ解決した訳では無いですが、ちょっと落ち着いたのでゆっくり活動していきます。
ウマ娘が最高です、ヴィヴロスとマルシュとタクトが好きです。
ウマ娘もかこかな
一応シロコテラーには至らない世界線です。
プレ先世界ではないモス
シロコの感情云々はキヴォトスに宿る神秘が腐ってしまい神秘を持つものに根源的恐怖を植え付けている、的な設定でお考えください