「ただいまー。友達連れてきたぞー」
D.E.T.O.N.A.T.E.を連れて家に帰ってくる。
俺は勝手にD.E.T.O.N.A.T.E.の靴を脱がせた。
たぶんアメリカとかあっちの出身だから靴を脱ぐ文化はねえだろう。
手を引っ張ってD.E.T.O.N.A.T.E.をリビングにまで連れてくると、仁が立ち上がった。
「おい」
「あっ、やべ! 忘れてた、お前D.E.T.O.N.A.T.E.のこと殺したいんだっけ!」
D.E.T.O.N.A.T.E.は、その顔を見た人間をすべて爆殺してきた。
だから誰にも顔が知られてないし、都合がいいじゃん、ヴィランだってバレねえ、と思って油断していた。
仁はD.E.T.O.N.A.T.E.と戦って生き延びた唯一のヴィランだったのだ。
あれは俺の薬がなかったら生還していなかったので、殺しは成功と言えなくもない。
D.E.T.O.N.A.T.E.に話しかける。
「
全ての標的を葬り去って来たと言っていたのに、アイアンクラッドは生きている。
そのあたりどうなん? とD.E.T.O.N.A.T.E.に聞けば、仁の殺気が少ししぼんだ。
怒りの他に、哀れみの感情が見える。
「……とうとう本気でイカレたのか」
「失礼な。イカレてるやつに合わせてるだけだ」
「ならイカレてんだろ」
狂人の振りをするものはすなわち狂人である、というあれか。
仕方ねえだろ、この喋り方しねえと会話成立しねえんだから。
「
なるほど、アイアンクラッドはとばっちりで死にかけたらしい。
アイアンクラッドがターゲットだったのならば、殺しの確認もせず、追撃もないのが変だと思っていたのだ。
ここまで命令を忠実に遂行してきたD.E.T.O.N.A.T.E.だ。詰めは甘くないはずである。
「D.E.T.O.N.A.T.E.はお前じゃねえやつ殺したかったけど巻き込んじまったんだと。悪かったっつってるし許してやったら?」
「……本当にそんなこと言ってんだろうな」
「お前英語わかんねえんだな。けどどんな言語だろうが罵倒されてたらわかるだろ? ほら見ろよこの申し訳なさそうな顔」
D.E.T.O.N.A.T.E.は目を極限まで見開き、ピンク色の瞳孔をあちこちに動かした。
……いや、目をぎょろぎょろさせた、ただの狂人の顔だなこれは。
この説得は無理筋だったかもしれない。
「
「狂ってるから直接ごめんとは言えねえんだよ、めっちゃ謝ってるぞ」
「……チッ」
仁はどかっと座り直した。
眉間に深いシワを刻みながら吐き捨てる。
「戦ったら家が無くなる」
「それはマジでそう。賃貸だから勘弁してくれや」
いっそ家が消し飛ぶくらいの被害だったら俺のせいにはならず、国から補償出るかな。
さて、次の説得はすだまだ。
仁があまりに殺気だったので、しばらく黙っていてくれたのだろう。
今にも説教を始めたそうに、しっぽをたしたしと動かしている。
「新しく仲間になったD.E.T.O.N.A.T.E.くんです、どうぞよろしく」
「おぬしなあ! 今度はどんな怪異じゃ!」
「人をバケモンみてえに。バラバラになります」
「バケモンじゃろうが!」
かわいいもんだろ、バラバラになるくらいなら。
爆発物だったら俺も連れて帰ってねえんだわ。
「
D.E.T.O.N.A.T.E.の言葉を聞いて、すだまはぽかんと口を開けた。
「しかもあれか、異国語しか話せんのか!? わし日本から出たことないからなんにもわからんぞ!」
「ああ、すだまに英語能力は期待してねえ。英語喋れても会話にならねえだろうし」
「じゃあどうやって会話するんじゃ!?」
「まあ、しなくてもいいんじゃね? 目は見えてるっぽいから表情とかジェスチャーでいけねえかな」
「知能が足りないあやかしへの対応で良いのか?」
「……いいんじゃね?」
すだまは手の骨を鳴らした。
「ではまず上下関係を教えるために叩きのめすか」
「やめてくれ。俺の思ってた対応とは違った、ステイステイ」
そんな弱肉強食的なガチのマウントを取りに行くとは思っていなかった。
すだまは人間として暮らし方が上手いためすっかり忘れていたが、そういえば狐なんだったな。
群れの中での強者を確立するというのは大事か。狐が群れ作ってるイメージねえな。
「言いたいことあったら俺が翻訳してやるよ。なんならこいつと会話できるのはこの世で俺一人まであるぜ」
「どんな奥地から出てきたんじゃ、こやつは」
「さあ。そのうち聞いとくわ」
何しろ時間はある。こいつこれからここに住むんだからな。
家が狭い。もう限界を超えている。