続きを書くなら卒業ライバーも出したいなと思う…けど一部出したら問題になりそうなのガガガ…!
例えば、異能が当たり前の世界があったのだとしたら、それは一体どんな世界なのだろう?
某ヒーローが当たり前にいる漫画の世界のようになっているのだろうか? それとも呪いが蔓延る漫画の世界のようになっているのだろうか? はたまたそれとも…考え出せばキリが無い。
無限に存在するもしも、無限に存在する可能性、無数に枝分かれては分岐して、そこから更に進めど進めど無尽蔵に枝分かれを繰り返すルートの数々…数え出せば終わりは見えず、気がついた頃には倍近い数へと増えているのがオチという、なんともやる気の起きないものである。
…まぁ…それでも、ただ見ている分には楽しいし、時間も忘れてしまう程に面白い物なのだが…そんな話をしてみた後に、『私』は君へと問いかける。
───君の瞳に映るこの
雨が降っている…大雨だ。
ゴロゴロゴロゴロと雷が鳴り響く、今にも落ちて来て何処ぞの木々を丸焦げにしてしまうのではないかと、そう思わせられる程に大きく強い雷の音。
ビュービューと風が吹き荒ぶ…あまりに強い風の勢いに家の窓がガタガタと揺れる、あまりの勢いと振動に割れてしまうのではないかと心配させられてしまう。
雨が地面を叩く音がする…本当に雨なのかと思わせられる程の大音量、子供からしてみれば最早洪水と勘違いしても可笑しくない…そんな勢いの大雨だった。
…嵐…そう、嵐だ、これはもう大雨とか雷とかどうこうではなく、単なる嵐でしかなかった。
…水が、冷たい…いや、いっそ痛い。
水が強く身体を叩いてくるのだ、服越しにとは言え長時間も当たっていればそれはその内、服による疎外なんて簡単に貫通してくる…服が水を吸い込んだ影響もあってか、身体が嫌に重い気がする。
厄日だ…何が厄日って、こんな天候の日でも絶対に外に出ていなきゃならない理由があるってところが、余計に。
嵐に紛れて、足音がやってくる。
大雨に雷に突風、それらの音に紛れるように響く足音、一定の感覚を交互に繰り返しながら素早く此方へと向けて疾走してくるその存在からは、俺に対する明確な殺意が伺えた。
銀線が奔る、降り注ぐ雨水を斬り裂きながら迫る一閃、明瞭に単純にただ確実に殺すという意思を以て振り抜かれたその一撃を、俺は自らの獲物で弾いた。
ガァンっと響く鉄の音、火花を散らして互いの隙間を僅かに照らすオレンジ色の輝き、暗い暗いこの嵐の夜の中で広がるその音と輝きは、俺と眼前の存在との戦端を開く合図となった。
銀線が…振るわれた刀が翻る、弾かれた状態から返す刀で再び俺目掛けて放たれる斬撃、今度は身体ではなく首を狙ってやってくる刀を俺は身体を屈めることで躱した。
頭の上を勢い良く通り過ぎる斬撃、まともに当たっていたらそれこそ晒し首だったのではないかと言わんばかりの勢いと鋭さを持った斬撃に冷や汗を掻きながら、俺は屈んだ状態から自らの獲物を…折り畳まれたような形状をした曲刀を敵手へと振り抜いた。
なんというか、何処となく某獣狩りの夜を彷彿とさせるような形状をしているが、断じて俺が作らせたわけではないということをここに明言しておく…まぁ、こんな時に何を言ってるんだとは思うが。
下から上へと飛び上がるように振り抜かれた曲刀、曲がり曲線を描いたその刃が敵手の顔面を下から上へと両断せんと迫る…それに対して敵手は、僅か一歩半下がるだけでその一撃を素通りさせた。
敵手の顔面スレスレを通り過ぎる俺の一撃、これを躱すかと内心で驚きながら、俺はチッと半ば無意識の内に舌を打っていた。
今の一撃は結構な物と自負していただけにこうも容易く避けられると自信が無くなってくるなぁ…なんて馬鹿なことを考えながら、ガラ空きになった俺の身体へと迫る敵手のヤクザキックを、俺は身体を無理矢理回転させることで何とか避けた。
互いの靴音が響く、蹴りを回転しながら躱した俺はそれと共に敵手から距離を取り、敵手もまたそれを追っては来なかった。
膠着状態へと陥る両者、地面に手を突き低い態勢を維持しながらも曲刀を構える俺に対して、敵手はただ静かに刀を正眼に構えていた…街灯が、敵手の姿を照らす。
銀色に輝く長く美しい長髪、一部先端部分に赤色が混じってるように見えるから、もしかしたらメッシュなのかもしれない。
白い角に紅い瞳…鬼人というやつなのだろう、整った顔立ちを鋭く細めて真っ直ぐと俺を見据えるその姿には、見惚れてしまいそうな程の美しさがあった。
美少女…紛うことなき美少女である、どうしてこんな場面で出くわした挙句に殺し合わねばならないのかと文句を言いたくなるレベルの美少女であった…ナンパとか許されるかなとか思ってみたり。
服装は恐らく何処ぞの学校の制服なのだろう、ブレザーにスカート…そしてその背面にチラチラと映っている二振りの鞘、一つは空だったがもう一方の鞘にはキチンと柄が生えていた。
───二刀か。
姿勢を維持しながらもそう考える、後ろ腰に携えられているその刀は視認できる鞘の長さからして現在少女の持っている刀とほぼ同じ長さであるように思えた…つまり、某有名な二刀流剣豪のような小太刀を交えた二刀流ではなく、某黒の剣士タイプの二刀流なのだろうと勝手に予想した。
その事実に、その存在に内心相手にするの嫌だなぁ…なんてことを考えながら…ふとしたように、足へと力を込めた。
ピクリっと、少女の目元が動いた。
ダッと前へと踏み出す、地面を全力で踏み締めながら前へ前へと踏み込んでいく…0から100へと一気にアクセルを踏み込むが如く、一息に加速に次ぐ加速を繰り返しながら少女の懐へと一気に侵入する。
驚愕に見開かれる紅い瞳、それを気にする余裕もなく俺はその首元目掛けて曲刀を振り抜こうと動く、下がる間すら与えぬと言わんばかりに懐へと大きく距離を詰めながら刃を急所目掛けて振り抜く…その瞬間だった。
ガッと、何かに腕を掴まれた…いや、何かなんて抽象的なものではないことはとっくに分かっている。
少女の腕、色白の綺麗な…触ったらきっと柔らかいのであろうその細腕が曲刀を振るおうとしていた俺の腕をガッチリと掴み取っていた。
万力の力、鬼人であるが所以とも言うべき鬼としての本領が掴み取った俺の右腕へと注がれる、急速に強まっていく力とそこからやってくる猛烈な痛みと嫌な感覚…それと共に鳴り響き始める、ミシミシっと言う骨の音。
「───ッッ…!!」
咄嗟に少女の顔面を殴りつけた、やってくる痛みと音の感覚に嫌な想像を浮かべ、そしてそれが容易く現実へと至ることを実感しているが故の行動だった。
バキィと強く突き刺さる俺の拳、モロに突き刺さった俺の拳に少女の頭が横へとズレる…が、何とも無かったかのように、口元から僅かながらの血を流しながらもその表情は動くことはなく、ただただ淡々とした様子のまま、少女は俺の腕から手を離すことはなかった。
グイッと引き寄せられる、俺の右手を掴んだ少女はその腕を大きく自分の方向へと引き寄せ俺の身体を懐へと誘う、俺自身もまた抵抗は許さぬと言わんばかりの万力の力を相手に何をするでもなくただ無抵抗のままに引き寄せられた。
瞬間、突き刺さる膝蹴り…内臓の奥の奥、五臓六腑全てに響き渡るようにして突き刺さったその一撃に思わずとカハッと息を吐き出した…ひょっとしたら、血も一緒に出ていたのかもしれない。
少女が刀を構える、突きの姿勢だ、掴み取った腕をそのままに決して逃さぬと言わんばかりの紅い眼光が俺を貫く。
───あっ…これ死ぬ?
悟った、悟りにしては何処か疑問形のような気もしたが…このままでは冗談抜きで死ぬと悟った、この突きを避けられぬと悟った。
膝蹴りによって生じた痛みと衝撃の感覚全てを無視して、俺は俺の右手を掴み取っている少女の腕を自らの身体ごと大きく引っ張る、突きの範囲の中に丁度少女の身体が入り込むように思い切り引っ張る。
身体が動く、万力とは言え足の力はそうでも無かったのかもしれない、放たれようとしていた突きの視界の中に自身の肉体が入ったこと、後は単純に体勢が崩れたこともあって少女が突きを放つことは無かった…と言っても稼げて精々が一秒二秒そこらなのだが……いやまぁ、充分なのだが。
ポロリと曲刀から手を離す、万力に掴み取られた腕の影響によって遂に俺は曲刀を取り落とした…そう見えるように、手を離した。
刀の切っ先が俺へと向く、狙いは心臓か脳天か。
紅く染まった瞳の奥にて縦に割れた瞳孔が俺を見つめる、ただ静かに鋭く、殺すという明確で単純な意思の元に少女はただ俺を見つめていた。
放たれる、神速の突き…狙いは俺の脳天、まともに当たれば即刻死に絶えること間違いなしのその一撃に俺は諦めたように薄く笑みを浮かべて…今正に、手から離れて地面へと落ちようとしていた自らの獲物を無事な左手で掴み取った。
火花が爆ぜる、掴み取ると同時に振り抜かれた曲刀が放たれた突きを横側から強く打ったが故の火花だった、内心で安堵してしまったことは、間違いなかった。
しかし、その放たれた突きの勢いもまた強く、横側から思い切り打ち付けたにも関わらず放たれた突きは俺目掛けて突き進み───
───ザンッ!!
俺の左頬を、大きく抉っていった。
痛みが奔る、左頬をそのまま焼かれたのではないかと錯覚してしまいそうになる程の酷い激痛…知ったことかと無視を決め込み、俺は横にある刀の刀身に擦らせるようにして少女へと肉薄し、その腹部へと斬撃を放つ。
これには流石に鬼人も距離を取った、掴み取っていた俺の腕から手を離し、一つ二つと足音を響かせながら距離を取る…その姿に俺は立ち上がりながら息を一つ吐き出し…内心でふと、言葉を溢した。
───強っよ…。
刀を無造作に構えるその姿を見て、心の底から溢した紛うことなき本音…稀に見る類を見ない程の強敵を前にして、俺は情けもなく無様に逃げ出したい気分になった。
掴まれていた右手に上手く力が入らない、何気なく視線を落としてみればそこにあるのは青く腫れ上がった自身の右手首、力を入れようとする度にプルプルと震えると共に、痛みの信号を脳へと届けて来る。
「…どうしますかねぇ」
ここに来て、初めて言葉を溢した…あんまりにもあんまりなこの状況に無理にでも口に出しておかないと嫌になる自信があった。
油断なく鋭い目付きで自身を見つめる一人の鬼、右手一つがほぼ使い物にならなくなったことに加えて、相手の『異能』も手札も何一つとして判明していないというほぼ最悪に等しいこの状況の中で、どうやら俺はこの怪物を倒さねばならないらしい。
はてさて、一体全体何をどうしてこうなったのか…眼前の鬼人を相手にしなければならないこの不幸の原因を思い出すように、俺の意識は過去の出来事を掘り起こそうとしていた。
そう…全てはほんの二日前…何時も通りに朝起きて家を出る…そんな、なんてことのない当たり前から全てが始まったのだ。
この嵐の夜にこうして殺し合いを演じることになった…その全てが。
久しぶりに書いた気がする。