コナン書いてたらなんか遅くなった…半ば衝動的に書いた代物だからプロットもクソもないんだよなアレ、しかもオマージュ元まである…これは自爆ですねぇ。
違和感は、確かにあったのだ。
何時まで経っても来ない待ち人二人、音を聞けば簡単に分かってしまう程に強い大雨…そして、連絡すら来ない現状に違和感を抱くな…というのは流石に無理があった。
遅れたなら連絡くらいしてくるだろう、メールなり電話なり…方法は幾らでもある…そんな状況で何の音沙汰が無いと言うのは、どうしようもなくミオの不安を煽った。
…そして、その不安はどうしようもなく的中してしまう。
「───えっ?」
漏れ出た声と共にミオの耳がぴくりと動く、それと同じくするように白上フブキもまた何かを察知したかのように虚空へと視線を投げた。
「この反応…羅刹の…」
呟かれた言葉、半ば実の妹か家族のように可愛がっている鬼の娘、その得物が放つ特有の反応にミオはまさかと言ったような声色で呟き…その呟きに反応してか、フブキはしまったとでも言ったようにその顔を顰めた。
「…やらかしたね、あやめちゃん」
思わずと言ったように飛び出たその言葉、やんちゃな問題児が起こしたのであろうその問題に頭を痛めるようにフブキは封をしてあった己の刀へと手を掛ける。
百鬼あやめが何をしているか…この反応を出した時点でそれは自明の理だ、司と戦いたい『鬼神』と戦いたいと騒いでいたあやめの反応を思えば寧ろこの展開は予測しておかなければならない事態だったのだ。
百鬼あやめは牧村司を襲撃している…恐らく間違っていないであろうその予測を前に、白上フブキは扉を開け放ちながら全速力で駆け出す…両者が、互いに無事であることを祈りながら。
───『野薔薇』
顕となった妖刀の刀身、赤い紅い血を染み込ませたかのような色をした刀身を這うように存在する茨のような刃紋…抜き放っただけで猛烈に感じ取れてしまう濃厚な血の匂いに百鬼あやめは冷や汗を流した。
妖刀…己の羅刹と同じ、それそのものが異能を持ち合わせる特別な武具…今までも妖刀や魔剣そのものは幾度か見たことはあったが、ここまでの物を見るのはあやめからしても初めてのことであった。
キンッと刃が鞘へと納められる、硬い硬質の音を鳴らしてその姿を隠した妖刀にキョトンと表情を浮かべるあやめに薄っすらと司はあやめへと視線を向ける。
「───『
瞬間、司の腕へと無数に突き刺さる小振りの茨、鞘から出現したようにも見えるその紅い植物達は突き刺さった司の腕からまるで飲み物でも飲むかのようにゴキュリッゴキュリッと何かを吸い出していく…それがなんであるかなど、最早考えるまでもなかった。
茨の紅が、深くなる。
───『茨』
瞬間、司の周囲を侍っていた茨達が一斉にあやめへとその身を振るわせる、音を突き抜けながら迫る鋭い棘の群れにあやめは瞬時にその場を飛び退いた。
ズガンッと響く破砕音、地面を容易く砕きながら土煙を巻き上げたその茨達へと百鬼あやめは羅刹を振り上げる。
───『雷公』
迸る紅い雷、雷鳴でも落ちてきたのでないかと錯覚してしまう程に強い光が周囲を包む、ピカッと一瞬映り込んだほんの少しの空白の後にあやめはその刀を振り下ろす。
響く轟音、振り下ろした刀に導かれるように茨の元へと堕ちた落雷のような一撃、光に等しい速度を持ったその一撃は躱すことも防ぐことも許されない…そんな一撃を食らった茨達は、しかしその姿形を保ったまま更にあやめへと襲いかかる。
「いぃっ!?」
驚愕の声なのだろうか、奇妙な声を上げながらあやめは咄嗟に身体を捻らせて茨の一撃を躱す…焦げ付いてこそいるがその姿は未だ健在。
───『炎帝』
ならばと今度は炎でどうだと言わんばかりに発動する炎帝、炎を纏った一撃が茨へと叩きつけられる。
流石に先程のような威力とは言えない、威力を出すのであれば何をするにしてもタメがいるのは当たり前のことであろう…だが、例え最大火力でなかったとしてもその威力は折り紙付き…ましてや炎なのだ、植物には良く効くことだろう。
…そして、そんなあやめへと罰点を叩きつけるかのように響いた鉄の音は、炎帝を纏ったあやめの妖刀による斬撃を平然と防いだ。
火花が散る、音を鳴らして弾かれた一撃に百鬼あやめは反射的に思考する…硬い…と。
鉄の音こそしたが感じた感触は鉄以上、触れた感覚からしても鉄と言えよりも何方かと言うと生物のような感覚すらした…どんな能力だと、あやめは頭を悩ませる。
そんなあやめの内心なぞ知ったことかと言わんばかりに茨は脈動する、紅く血管のようにその肌をなぞる紅い筋、それを鼓動させながらあやめの命を奪い取らんとその棘を鋭く突き抜く。
「───チッ」
舌打ちと共に炎帝から雷公へと切り替えてその場から離脱する、雷を纏いながらの回避には流石の茨も追いつけないらしい、無数にやってきていた茨の其々の一撃が互いに激突し合っていた。
自由落下、空中から地上へと投げ出されるように落下するあやめ、互いに激突しふらりっとその身を離れさせる茨の姿にまるで生き物のようだと内心で感じながら物は試しと羅刹の三つ目の能力を駆動させようとした…その瞬間だった。
その真横から、牧村司が斬り掛かってくる。
抜刀術…鞘からの抜き放ちながら重たい一撃、先ほどまでとは比べ物にならないほどの速度で以って振り抜かれたその一撃をあやめは半ば本能的に防いだ…そうでもしなければ、防げないほどの速度だった。
紅い残光と赤い稲妻、赤と紅の激突にそれに呼応するように周囲の景色が紅く染まる、ギリっと鍔迫る両者の瞳と思考には最早眼前の敵しか存在しない。
野薔薇を抜き放ったことで司の
「───ノッてきたねぇっ!!?」
「───お前のせいでなっ!!」
妖刀と妖刀の激突、空間が軋みを上げるような音を発する。
互いに刀を振り抜き相手を弾く、空中で弾かれた衝撃故に両者の間合いから離れるが、それを補うように両者は妖刀の能力を曝け出す。
───『
───『
水が唸る、周辺の水溜りから雨に至るまで全ての水が百鬼あやめの元へと集う、無数に押し寄せ操られたその水は最早洪水と同義であった。
本来であれば司の能力的には防ぎようがないほどの圧倒的質量攻撃、そもそも水という時点で牧村司にはどうしようもない…だが、今の司の手元には野薔薇がある。
呟かれた言葉に野薔薇が鼓動する、許しを得た野薔薇の内から現れる紅い大蛇、無数の花弁を撒き散らし踊るように現世へとその身を現した怪物はやってきた洪水に近しい水の質量を何不自由な弾き飛ばす。
どういう仕組みなのか、撒き散らされた花弁を中心に次から次へと爆ぜ飛ぶ操られた水々達、爆炎が存在しないから爆ぜるという言葉使いは違うのかもしれないが…そうとしか言いようがないのが現状であった。
妖刀『野薔薇』…その材料は、とある花畑を根城としていたとされる紅い大蛇だった。
紅い薔薇、白い薔薇、青い薔薇に黒い薔薇…無数の色の薔薇が群生し色を成す通称『虹の薔薇園』…当時は…というか今でも観光地としても有名であったその場所に住み着いたその蛇はその地に住み着き獲物を喰らった。
特に人を狙っていたという訳でもない…事実としてその地に住み着いた蛇は花園の世話に来た人間や観光に来た人間を積極的に襲うことはなかったと言う。
喰らうのは何時だって獣や自身を狙った不届き者、そしてその花畑を壊そうとする何者か…一切の例外無く敵対生物を殺し尽くしてきたその蛇は、その紅い肉体が故か別名として『紅大蛇』と呼ばれていた。
しかし、討伐された…何度も言うが人に害を成したわけではない、花畑に住み着いたそれを邪魔に思った富豪か何かが蛇の存在を抹殺しようとし、それに成功しただけに過ぎない。
倒れ伏す蛇、血を撒き散らして絶命する紅い蛇…それに喜ぶ人間達と機嫌を良くする富豪と誰か…その直後、この世に成らざる出来事が引き起こされる。
茨とツル…薔薇のものと思わしき無数のソレが人間達に襲い掛かった、紛うことなき不意打ちに喜び油断していた当時の富豪達は成す術も無く全滅…当時、その死体を花園を管理していた一族が発見するまで誰にもそれを知られることはなかったという。
その後、蛇の死体を花園近くへと埋葬された…管理し、花園の中からその紅い肉体に準えて特に紅の深い薔薇を多く添えて……その後のことだった、『野薔薇』が出回ったのは。
作成者『不明』…作られた月日『不明』…何もかもが不明だった、分かっていたのはその材質に使われたのが花園の蛇であったこと、その死体が墓から掘り起こされていたということだけだった。
年月が経った今でも出回るその逸話、一族そのものは既にその姿形を無くしてこそいるが…それでも未だにその末裔が刀を探しているという噂が広まっている。
不明な点が多い謎だらけの妖刀…しかし、明確に判明していることが一つある。
妖刀『野薔薇』に宿るのは、その材料に使われた紅い蛇とその側に供えられた人殺しの薔薇達の力の、二種類である…ということだった。
『花蛇』が擦り寄ってくる、舌をチロチロと出して甘えるようにその身を寄せてくる…能力で呼び出しただけなのに妙に生き物臭い動きをするその姿に最初こそ戸惑ったが、最早慣れてしまったのか司はされるがままとなっていた。
懐く要素なんてあったかな…そんなことを内心で考えながら地上へと降り立つ、戯れてくる花蛇の身体を軽く撫でながら刀を鞘へと納める…キンッと子気味の良い鉄の音がした。
居合、抜刀術…再びあの一撃が放たれる、先程は本能的に防げたが今度はどうだろうかとあやめは思考する。
水君はダメ、炎帝もダメ、雷公もダメ…本人は通じるだろうがあの蛇と茨が存在する限り羅刹の能力は意味が無いかもしれない。
ならばどうするか……答えは一つ。
「───起きろ『阿修羅』」
此方も、切り札を解禁すれば良いのだ。
───鬼神刀『阿修羅』…解放。
百鬼あやめに大神ミオのお説教が飛んでくるまで、残り───
一族について
現在は牧村という名に変わっている、因みに司は当時蛇の埋葬した人物の直系の子孫に当たる。