闘技場のモブ(自称)は今日も頑張る   作:富竹14号

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 キョロキョロ(´゚д゚`)

 小説投下( ゚д゚ )クワッ!!

 キョロキョロ(´゚д゚`)

 …ウシ、ダレモイナイナ|д゚)チラッ


 コチラスネーク、コレヨリキカンスル(-.-)


あまりに早すぎる骨肉の争い

 

 

 数日が経った…百鬼あやめとの死闘の後、休みも明けてからの登校の日、月曜日という学生や社会人にその他諸々の…人間誰しもが嫌がり咽び泣く始まりの日に、牧村司はボケっとしたように空を眺めていた。

 

 その思考にあるのは百鬼あやめとの死闘の瞬間、妖刀まで引き摺り出した末の殺すか殺されるかの殺し合いへと突入しかけていたあの戦いのことを、司は忘れられないでいた。

 

 

───…楽しかったなぁ…。

 

 脳裏を過るのはそんな言葉…戦ってる最中はそんなこと一欠片も考えなかった癖に、いざ戦いが終わり家に帰って寝てみると何度も何度も夢に出てきて眠れなくなる…興奮が、収まらないのだ。

 

 彼処まで興奮したのは何時以来だったか、彼処まで高揚したのは本当に何時ぶりだっただろうか…それを覚えていられる程の時間を、司は過ごしたことが無かった。

 

 相手が自分よりも一回りも二回りも強い人物しかいなかったからだろうか、勝つことどころか引き分けになることすら少なかったからだろうか…何方にせよ牧村司という人間にとって彼処まで拮抗した戦いと言うのは本当に久しぶりだった。

 

 だからなのだろうか…手の感触が抜けないのだ。

 

 受けた衝撃、握った刀を振るい相手を斬りつけ攻撃を防ぐ…今でもその感覚がありありと残っているのだ、全くと言うほど消えてくれないのだ。

 

 そしてそれが…どうしようもなく、心地が良いのだ。

 

 

 

「ど〜うし〜たの〜牧村く〜ん?」

 

 

 そんなことを考えている最中、そんな言葉と共に唐突に背後から司へと抱きつく人影が一つ…無邪気に間延びさせた声と共にまるで甘えるかのように司の背中へと体重を預けたその影は司の首へと両腕を回し始めた。

 

 女性特有の柔らかい匂いが司の鼻を擽る、唐突にやってきたそれに対して司は特に焦ることも無ければ狼狽えるということもなく、それがさも当然であるかのようにされるがままの状態で、背後の存在へと言葉を投げかける。

 

 

「やめてくれ猫又さん…心臓に悪い」

 

「え〜酷いなぁ…女の子が抱きついてるんだから、もう少し慌てるなり驚くなり…それ相応に適した反応ってものがあるでしょ?」

 

 司の言葉に猫又と呼ばれた存在は更に体重をかけてくる、背中に当たる感触に気が付かないフリをしながら司はなんとか離れてもらおうと言葉を掛けようとして…ふと、横目に見える程に近づいた紫色の髪の毛にその目を奪われた。

 

 顔が近づいていた…肩に乗せられた見慣れた顔、猫の耳を頭から生やした紫色の髪の少女が、酷く拗ねたような表情を浮かべながらチラリっと司へと視線を投げつける。

 

「酷いなぁ、本当に…ボクはこんなにも君のことが好きなのに…君はボクのこと好きになってくれないんだぁ…ショックだなぁ…」

 

 そんな言葉を吐き出しながら首へと回された腕の力を強めていく、今はまだ強く抱きしめているという程度ではあるがこれ以上に続いた場合、それはもう単なる絞め技と化す。

 

 徐々に徐々に強くなっていく腕の力、普段は光り輝いているであろうその瞳はよくよく見てみれば若干光を失っていた…何処か虚ろな様子すら見せるその瞳に司は何かやらかしてしまっただろうかと内心で冷や汗を流した。

 

 沈黙が続く、周囲の人間は誰一人として現状を止めない、ただゆっくりと少しずつギリギリっギリギリっと首が少しずつ締まっていく…そんな中で猫又は…猫又おかゆはふとしたように言葉を吐き出した。

 

「…何してたの?」

 

「はいっ?」

 

 唐突に投げつけられたその言葉、意図の読めないその言葉に司は疑問の声を漏らす…その直後、ゆっくりとしていた腕の力が急速に強まり一気に司の首を絞め落としに掛かる。

 

 息が途切れる、唐突にやってきた本気の絞め落としに司は咄嗟に首筋に力を入れてそれに耐える、漏らす息を最小限に意識を保たんと拘束を外そうとする…そんな司の耳元に猫又おかゆは囁いた。

 

「先週の大雨の日…君は何してたの? …そんなに強い女の子の香りを付けて、その女の子と何してたの?」

 

 甘さと切なさ、そして悲しみを混ぜ込んだような複雑な声色…周囲の人間が誰一人として気にもしない中で届いたその言葉に司は一瞬何のことだと疑問を思い浮かべるが…その直後に気付く、気付いてしまう。

 

 

───もしかして、百鬼さんのことか?

 

 

 思い浮かべたのは死闘を繰り広げた鬼の少女、今尚も手に感触が残るほどに強く深く牧村司という人間の内に残っているその存在を脳裏に浮かべた瞬間、確信を持ったような声が司の耳に届く。

 

 

「そっか…言えないようなことしたんだ、そうなんだ……ねぇ、牧村くん───」

 

 

───ひどいよ 

 

 

 瞬間、突如としてその身に降り掛かる濃厚なまでの殺意、首へと込められた力が更に高まるのを感じた司は半ば本能的に動き出していた。

 

 背中に体重を預けるおかゆ、その足を後ろ蹴りの要領で崩しそのまま自分の身体ごと前へと飛び込み、そのまま落ちる形でおかゆの身体を地面へと叩きつけた。

 

 突如としてやってきた背中への衝撃…しかし流石と言うべきか、半ば不意打ちでもあったにも関わらず猫又おかゆの腕からは僅かばかりの力しか抜けず、本来であれば拘束から抜け出すのは到底無理な話であった…しかし、牧村司はその僅かな力の抜け落ちで充分だと言わんばかりにふっと息を吐き出した。

 

 瞬間、発露される万力の力、以前とは明確に別物と思わせられる程の力強い膂力が首を絞め上げていたおかゆの腕を引き剥がす、これにもさしもの猫又おかゆは驚きの表情を浮かべる…そんなおかゆのことなぞ露知らず、司は即座におかゆの腕から脱出を果たした。

 

 ゲホッと飛び出る咳の音、流石に首を絞め上げられたのは苦しかったのだろう、何度か咳を吐き出し喉の調子を整えるようにあぁあぁと何度か小さく声を出す司の姿におかゆは一言呟いた。

 

「強く…なったんだね…」

 

 何処か寂しそうにそう言葉を漏らす、抱いている感情そのものは何処までも愛情そのものなのに、しかしそこから捻出される行動は害する行動そのものだった…それが何故であるか、なんて無粋なことは今は言わないでおこう。

 

 騒音と大きな行動にようやく周囲の人間が司とおかゆの異変に気が付き始める、一触即発な気配を感じ取ったのか生徒の一部が教師を呼びに行ったのを皮切りにまるで見世物のように周辺の生徒達が集まってくる…そんな周囲の様子に、司は思わずため息を吐き出した。

 

「…どうすんのさこれ…まるで見世物小屋だぞこれじゃ」

 

「良いんじゃない、別に…たまには、君のことを知ってもらおうよ」

 

 そんな軽い言葉と共に猫又おかゆは構える、鋭い爪を見せびらかすようにゆらゆらと揺らし、その瞳と気配は鋭く鋭く尖っていく…そんなおかゆに呼応するように牧村司の表情からも段々と色が抜け落ちていく。

 

 一触即発、まさにその通り…何時始まるのか、誰かスタートを切るのか…重苦しい空気、誰もが口を噤み音を漏らさぬように気を張った、ほんの少しの拍子に両者共に動き出すと周囲の人間は理解していたが故に。

 

 突如として、あまりに唐突に引き起こされた意味不明な状況、周囲の人間からしてみればなんか大きな音が鳴ったと思ったら二人の男女が向かい合って一触即発な雰囲気を醸し出しているという本当に意味の分からない状況ではあるが…しかしそんなのもう慣れっこだとでも言う様に、周囲の人間はそれを気にしなかった。

 

 空気が鋭くなる、まるで刃物のように殺気が肌を刺す…そんな空気の中で、そんな雰囲気の中で…ふと、声が響いた。

 

「おい、なんの騒ぎだ───」

 

 

 その声を合図に、猫又おかゆは床を蹴る。

 

 俊足、速さという一点で言えば百鬼あやめよりも数段上の速度を前にしかし牧村司は怯まない、喉目掛けて突き出された貫手を僅かに横に反れることで躱し、更にお返しと言わんばかりに拳を振り被り…そのまま、身体が宙を舞った。

 

 振るわれた拳をおかゆはパシンっと横へとズラし、それと同時に足を払いその勢いを利用して宙へと投げ飛ばす…司の身体が宙を舞ったことのタネである。

 

 突如として宙を舞った己の身体、しかしだから何だと司は宙の上で更に拳を振り被り、それに呼応するようにおかゆは司目掛けて蹴りを放つ。

 

 衝突する拳と蹴り、衝撃を生み出した互いの一撃が机や椅子と言ったものを吹き飛ばしていく。

 

 

 誰が仕組んだ死闘やら、大雨の日から対して時間も経っていないのにこの状況、戦いの神が居たとするならきっと爆笑しているであろうこの状況の中で、互いは互いのことしか見ていなかった。

 

 

 

 鬼神と妖猫…唐突でこそあるが、激突開始である。

 

 

 

 

 

 

 

 





 Q:なんでこんな展開になったんですか? 

 A:エアマスターを見たから。
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