闘技場のモブ(自称)は今日も頑張る   作:富竹14号

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 ……ノッシノッシ キョロ (艸д゚*三*°д艸) キョロ

 ソ~  ( * ´˘`*)ノ 凸ポチッ

 キョロ (艸д゚*三*°д艸) キョロ   |彡サッ!


 ( ゚д゚)ハッ!  →   (∩´∀`)∩ワーイ    スイッチ2&ゼンゼロアップデート

  




 


飛ぶのかな

 

 

 身体が浮き上がる…前方から放たれた猛烈なる衝撃、ダメージを与えるというより何方かと言えば吹き飛ばすこと目的としているらしいその打撃が司の肉体を教室の外へと押し出した。

 

 破砕音、壁にぶつかった際に生まれる背中への強打と僅かに聞こえた風の音…その後にもう一度やってくる背中への衝撃……吹き飛ばされた際に教室の壁を破壊しながらグラウンドへと吹き飛ばされた司はいちちっと軽い言葉を漏らしながら視線を上へと上げる。

 

 吹き上がる煙、アスファルトとコンクリートの音、グラウンドに叩きつけられたの際に舞い上がった土煙が風に舞う、先程まで穴など空いていなかったはずのそこに空いた大穴の向こう側で猫又おかゆは静かに笑った。

 

 

───行くよ?

 

 誰に聞こえるでもなく呟いた…きっと届いているなんてことはないだろうその目に映る愛しき敵手へと、おかゆはトンッと身投げをするかの如くその身を投げ出し、加速する。

 

 静かな、音すら立てないような踏み込みからは到底想像も付かような速度にまで猫又おかゆの肉体は加速する。

 

 接敵にして大凡一秒足らず、自分を見上げる司の姿と気配、そして匂いを目印に妖猫は容易くその間合いへの侵入を果たす。

 

 視線の交差は一瞬だった…間合いへと侵入した、間合いへと入られた…そう互いが認識したその瞬間に妖猫と鬼の攻防は始まっている。

 

 地面への接地から流れるように前へと踏み出し、その鋭い爪を用いた貫手が司の目玉目掛けて振るわれる。

 

 一切の容赦を感じさせない手加減抜きの殺しの一撃、下手をしなくても対象の命を奪い取り、そのまま手配者を発行されること間違い無しのその一撃を、しかし牧村司は容易く掴み取る。

 

 向かってくるのだ貫手を手首を掴み取ることでその勢いを殺す、万力の力で握り締められたその手からはミシリっと骨の軋む音が感覚で伝わってくる…じゃあ次だとおかゆは司の足を無造作に払った。

 

 簡単に、当たり前に…文字通りの無造作、あまりにも自然体に行われたその動作は牧村司の知覚をすり抜ける。

 

 到達に崩れたように思えるバランス、足元が急に滑ったという感覚に近いような状態が本当の本当に突然やってきた…その事実に司の脳内は一瞬だけ混乱に落ちる。

 

 その瞬間を見逃すおかゆではない…僅かに乱れた思考、その乱れに思い切り乗っかるようにおかゆはその両手に躯力を集中させて、体重を乗せた一撃を腹部へと直撃させる。

 

 言葉で言うなら諸手突きか両手突き、両の拳を纏めて腹部へと直撃させられた司は耐えきれぬと言わんばかりに空気を吐き出す。

 

 ドンッ…と力強くグラウンドと鳴り響いた打撃の音、痛みと衝撃に身体を揺さぶられ、酸素を吐き出させられるに至った司の肉体は地面をゴロゴロと転がりながらも本能的に体勢を立て直す。

 

 

「───っ…ゲボォッ…!!」

 

 

 まるで嘔吐でもするようかのように息を吐き出す、噎せ返るように吐き出し吸い上げ、ツンっと喉の奥で感じる酸の感覚をぐっと堪えて奥へと飲み干す。

 

 あれ…猫又さんの打撃ってこんなに重かったかなぁ、前よりも数段くらい重くやってやしないかなぁ…なんて、そんな言葉が脳裏を過る、関係があるか無いかで言えば間違いなくある部類であるのが何とも言えない。

 

 

 

「…すごいねぇ、司くん…前ならこれで終わってたのに……本当に───」

 

 

 

───強く…なったんだね。

 

 

 寂しげな感情の中に嬉しさを混ぜ合わせたような表情、転がり距離の放たれた司の元へと悠然と歩みを進めてくるおかゆに司は変わらず息を吐き出しながら立ち上がった。

 

 強くなった…そう言われても司として何とも言えない、何かが変わったようには到底思えなかったからだ…ただ、それはそれとして───

 

 

───無手は、少しキツイか。

 

 

「───『血蔵』」

 

 

 司の掌に切り口が浮かぶ、滴り落ちる原初の赤、突如として浮かび上がるその色濃い匂いにおかゆの鼻がピクリと動き、その悠然と進めていたはずの足が止まる。

 

 牧村司を知る者であれば誰もが知っている、牧村司の戦いを知っているものであれば誰もがそれを知っている。

 

 その名を告げたが後こそが、牧村司の本番であることを。

 

 

 司の掌から刃が飛び出す…大振りの刃だ、刀と言うには湾曲が存在せず、直刀と言うには少しばかり大きく刃の形状が異なる…それは、何方かと言えばサバイバルナイフに近かった。

 

 刀身が地面へと落ちる…長く幅広な刃、広げた指を除いた掌にからギリギリ出てきたような幅をした無骨なそれがギラリっと鈍く輝いた。

 

 それは薙刀だった…しかし、薙刀と呼ぶには少しばかり抵抗を覚えるような形状をしていた…何故ならそれは、大きなサバイバルナイフのような形状をしたその刀身に、四角い棒を自分でくっつけたような…そんなあまりに適当な形状をしていたから。

 

 滴る血を浴びながら現れたそのあまりにも適当感を感じさせるその得物、武器として見るなら粗雑の一言が付いている回ってしまいそうなその見た目におかゆは思わず困惑してしまう…そんなおかゆを納得させるように、そんな妖猫の抱いた困惑を消し去るように。

 

 

 

「───ッ!?」

 

 

 猫又おかゆの目と鼻の先に、その刃は突きつけられた。

 

 その顔が浮かべた表情はその速度の証で、その本能が鳴らした警報はその無造作の証だった。

 

 咄嗟に首を捻って回避行動を取る、チッと掠った刀身が首筋へと傷を入れ僅かながらに血を流させる、見開かれたその両の瞳から遊びが消えるのに一秒と掛からなかった。

 

 突き出された刃を躱したほんの直ぐ後、そこからとてつもない瞬発力を発揮しながら猫又おかゆは司の間合い、その内側へと侵入する。

 

 長物であれば、長物であるのならば、間合いの内へと入り込んでしまえば此方のモノ…そんな思考の下に行われたその行動はしかし、長物を扱える人間であれば誰もが考える常套句である…そして、猫又おかゆとてそれを分かっていないわけではない、それを分かって尚も踏み込むことに対するリターンが大きいというだけの話でしかない。

 

 踏み込んでくる妖猫、凄まじい瞬発力と獣人特有のフィジカルで以て一瞬の内に司の間合へと侵入を果たした猫又おかゆ…そんなおかゆへと、まるで待っていましたと言わんばかりに司は左手の服の裾からジャコッとソレを取り出した。

 

 

───仕込み短刀っ!?

 

 

 服の内側からニョキッと生えるように現れる刀身と遅れるようにしてその手元へと渡ったその柄、素人目から見てみても相当な代物であると認識されるだろうソレが不意と共に司の手元へと現れた。

 

 してやったり…そう言いたげな笑みを浮かべながら司がおかゆへと斬り掛かる…これは不意打ちだ、避けるのにも苦労する類の実に嫌なタイミングでの不意打ちだった。

 

 

「ッ!!」

 

 咄嗟のブレーキ、振るわれる短刀を足を踏みつけることで速度を殺し、そこから更にその身を低く屈ませることで短刀による斬撃を躱す。

 

 流石の瞬発力、獣人…取り分け、身のこなしの軽い猫の獣人であるからこそ出来た動きであるとも言えた。

 

 斜め上から逆手斬撃が空を切る、しかし特にこれと言って驚くこともなく、寧ろ司は分かっていたと言わんばかりに流れるように次の行動へと移る。

 

 

 短刀を手放し、突き出した長物へと手を伸ばす。

 

 四角張った持ち手、薙刀と言うには少しばかり粗雑で乱雑で無骨に過ぎる、布を巻き付けただけにも思えるソレへとその手を触れて…ふと、トンッと軽く足を踏み出した。

 

 

 瞬間、牧村司は舞った。

 

 

 猫又おかゆの蹴りが空を切る、まるで空に投げ出されたように宙を舞った司の動きによって、偶然にも似た状態でその攻撃は回避の形へと収まった。

 

 長物は空中にて静止していた…突き出された状態のまま、そこを軸に、手の置き場所して舞うように宙へと躍り出た司の足は、トンッと長物の柄を叩いた…長物は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

───そういう絡繰りか…!

 

 

 重力も何も感じさせない、まるでそうあることが当たり前であるかのようなその状態に猫又おかゆは得心が言ったと内心で言葉を溢す、道理であんな変な避け方が出来た訳だと。

 

 跳んだにしては挙動が可笑しいとは思っていたのだ、何となくではあるが重力を無視しているようにおかゆは感じていたのだ…あの武器がそういう能力を持っていたのか…と、おかゆは納得の感情を浮かばせた。

 

 そんなおかゆの耳に靴の音、何かを靴の底で叩いたような音が響くのとほぼ同時に真下から振り上げられた長物がおかゆの顎を狙う。

 

 ザンっと虚空を描く斬撃の軌跡、地面を切り裂きながら迫ったその一撃を躯力を纏わせた腕で防ぎながらその肉体が後ろへと引き摺られる、地面を削る音を耳に残しながら切り裂かれた制服の上から響く痛みにおかゆは顔を顰めた。

 

 

 

───想像以上の威力…躯力で防御してこれなら、マトモに食らったら致命傷かな、これは。

 

 

 手をブラブラと振りながら痺れを消す、今までのものとは一線を画すような一撃…本当に、何時の間にここまで強くなったのやらと感嘆の声を上げたくなる。

 

 長物を無造作に持ちながら此方を見据える司の姿、長物を扱うとは思えないような持ち方だが…それを実践してくるであろうという凄みが今の司にはあった……その事実に嬉しさも浮かんでくるが…やはりそれと同時に寂しさも浮かび上がってくる。

 

 

───そろそろ飛ぶのかな、君も。

 

 

 そんな、何処か抽象的な言葉を溢しながら、そんな感傷を感じさせない笑みを浮かべながら、猫又おかゆはエネルギーを迸らせながら再び前へと進み出た。

 

 

 

 

 

 

 『第三段階(サードギア)』解放まで、残り───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





主人公

 あやめとの戦闘のせいで枷が外れやすくなっている男、今の今まで強者との連戦が無かったということもあってか、経験としては恐らく初めて。
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