闘技場のモブ(自称)は今日も頑張る   作:富竹14号

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 疲れた。

PS

なんとなくな用語の説明

『躯力』

 肉体から捻出されるエネルギー、主に肉体的な還元が多いため、肉体的な能力使用及び強化等で使用されるよ…ハンター×ハンターで言う所の強化系用のエネルギーだよ。

『理力』

精神から捻出されるエネルギー、主に複雑な操作等で使用されるよ…ハンター×ハンターで言う所の具現化系、操作系、変化系用のエネルギーだよ。


結論 元にした漫画見たほうが分かりやすい。




学校終わって夢の中

 

 

「…どうするかなぁ」 

 

 机の上に突っ伏して、グダグタと女々しそうに俺は呟いた。

 

 ここは高校の教室…ココさんからの話を半ば脊髄反射で許諾した俺はあの後、話が終わったということで改めて学校へと登校した…当然のことではあるが、遅刻した。

 

 遅刻の理由は寝坊…馬鹿正直に闘技場の話をするような奴はいないということで、本当のことは話さずそれでいて普通にありそうな理由を俺はでっち上げた。

 

 普段からあまり遅刻することのない俺の遅刻…それも寝坊という割かし適当な理由に対して担任の先生は珍しいなと一言添えた後、軽い注意を幾ばくか行った末に俺は解放され…今、こうして机の上で突っ伏している。

 

 時刻は授業の半分を終えて丁度昼…飯時というやつであった。

 

 朝みたくグ〜っと腹が鳴る、自覚したが為か急速に俺の脳内を蝕む空腹の合図に俺は無言で鞄の中身を漁り、中からラップに包まれた大きめのカツサンドを三個ほど取り出した…因みに手作りである。

 

 ラップから取り出して齧り付く、冷めたカツ特有の感触と僅かに漏れ出る肉汁が口の中に広がる、適当に作ったタレの味がこれまた良い感じに空腹感を満たしてくれるのがなんとなく有り難かった。

 

 そうしてムシャムシャとカツサンドを頬張りながら俺はふとしたように考える…ココさんに告げられた、俺を求める誰かの言葉を。

 

 

「俺と戦いたい…ねぇ」

 

 空となったラップ、それをクシャクシャに丸めながら鞄の中へと放り捨てて、俺はこれまた机の上へと突っ伏した。

 

 俺との闘いを望む誰か…今にして思えば、ココさんにその人の名前を聞いておけば良かったなと考えながら、俺は軽くため息を吐き出した。

 

 …別に、戦うのが嫌いというわけではない…痛いのが嫌という訳でも傷つくのが嫌という訳でもない…そもそも、ただ試合をするだけなら文句も不満も何一つとして抱くことなどないのだ、本来なら。

 

 ただ…そう、ただ───

 

 

「───…ガッカリされたり、しないかなぁ」

 

 口から漏れ出たほんの呟き、周囲の人間に聞こえるか聞こえないか程度の音量で響いたそれはしかし、紛うことのない俺の本音だった。

 

 そう、俺が恐れているのは相手に負けることでもなければ何かしらの問題を起こすことでもない…わざわざ俺を指名してきてくれたらしい誰かの期待を裏切って、ガッカリさせてしまうことが怖いのだ。

 

 周囲の人間に聞いて回り、挙げ句の果てには会長の所まで行って俺に会いたい、俺と戦わせろと直談判までしてきた人だ、それ相応の以上に俺に対する執着というか、目的というものがあるのだろう。

 

 だから怖い、そこまでして探し出した人間がこんなにも弱かったと知った時、そうまでして戦った人間がこうもあっけなく負けるのだと知ったその時、その果てに生まれるであろう失望の表情を見るのが…どうしようもなく、恐ろしい。

 

 なんてことはない、ガッカリさせたくないなら勝てば良い、思い切りぶつかって勝つなり良い勝負の果てに負けるなりすれば良い…ただ、牧村司という人間がそれを簡単に出来るほど強くないということを、俺は良く知っている。

 

 それが出来ないくらい弱かったから、俺は中学の異能部で戦力外通告食らったわけなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 時間は経過して放課後である…夕焼け空が嫌に眩しく感じる今日この頃、俺は鞄を背負いながら自宅のアパートの扉を開けた。

 

 ギィっと開いた扉の先に見えるのは見慣れた玄関と廊下、それを瞳に納めた俺は一日の終わりを実感しながら靴を脱いで自室へと歩を進めた。

 

 トテトテと響く足音、木材を踏みつける音と木材の軋む音、静かな空間に響くその音を耳に残しながら、俺は鞄を放り投げてベットの上へと寝転がった。

 

 …疲れる一日だったと思う、本当に精神的な意味で疲れるような一日だったと、心底から思う。

 

 たった一日の小さな出来事、ほんの数分そこいらの出来事であるはずなのに、たったそれだけのことで俺の一日は滅茶苦茶になってしまったような気がする…が、そんなことはないだろうと思い直しもする。

 

 ふぅっと息を吐く、無感情に無感動に天井を見上げながら、食事を取ることも風呂に入ることも何もかもを忘れて、特にやることも思い浮かばず静かに瞳を閉じる───

 

 

───ピリリリッ…!!

 

 瞬間、鳴り響くのはコールの音…閉じていた瞳が開かれる、落ちようとしていた意識が戻ってくる…気怠げに、スマホへと手を伸ばした。

 

 

「……はい…牧村です」

 

『あぁ〜もしもし司? 朝の話の続きなんだけど…今は大丈夫か?』

 

 何処か他人事のように電話に対応する俺、何かと色んなことが面倒になっていくその中で、響いてきたのは今日の朝方に聞いた我等がボスの声…何処か此方の様子を伺うような声色で今は大丈夫か…っと問いを投げるココさんに対して、俺は特に考えることもなく暇ですよ…っと、言葉を返した。

 

 そんな俺に対してココさんはじゃあ手早く言うけどな…っと前置きをした上で、俺へと告げた。

 

『今日の朝に言ってた例の件な、明後日の午後八時の辺りで話が纏まったから…寝過ごすなよ?』

 

 何処かイタズラに成功した子供のような声色でそう告げたココさんに対して、俺は一言簡潔に了解…っと言葉を返して、通話を切った…スマホを放り、今度こそ瞳を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これが、夢だという自覚があった。

 

───だって、過ぎたはずのことだから。

 

───だって、当に終わった過去の光景だったから。

 

 

 

 眼前で、レーザーのようなものが俺の真横を通り過ぎていく…建物を貫通し、そこに残ったもの全てを溶かし尽くさんとの残る熱量の証に俺は自然と息を呑んでいた。

 

 横目で見つめていたそれから目を逸らして前を向く……拳が、眼前に迫っていた。

 

 

『…っ…!!』

 

 首を傾けて拳をギリギリで躱す、音を引き裂きながら頬を掠めるその拳の圧に大量の冷や汗を流しながらギリっと歯を強く噛み締めながら、俺は拳を振り抜いた相手の顔面へと逆に拳を叩きつけた。

 

 鳴り響く激突の音、まるで鋼を打ったのでないかと錯覚してしまいそうになるほどに硬質な音と感触、人間の身体とは到底思えないようなその強度に思わず舌打ちをしてしまう。

 

 仰け反った身体、先の顔面への一撃よる衝撃、それによって多少なりとも体勢の崩れた敵手へと俺は手に持っていた刀を振るおうとして………ソレを見た。

 

 吊り上がる口角にそこから漏れ出る吐息、ギンギンっと輝くオレンジ色の瞳にその奥で爛々と光を放つ炎の色…仰け反った体勢から楽々と、お前の攻撃なぞ大して効いてもいないと宣言するかのように余裕綽々と言った様子で自身を見つめる埒外の存在を前に、俺の思考は停止する一歩手前まで行った。

 

 広げられる雄々しい翼、野生の究極とすら思ってしまう程の圧倒的な強さの奔流にそれとは比べ物にならない程に純粋で無邪気な子供のような雰囲気…どれもが、俺を殺してやろうと徒党を組んで襲ってくる。

 

 気付けば手が動いていた…火花を撒き散らして激突した俺の刀と敵の爪、互いに鍔迫り合いの状態になりながら相手の側へと押し込もうと力を込める…結果は即座に現れた、残酷なまでに。

 

 押し込まれる、いとも容易く。

 

 押し込まれる、まるで子供が大人にと通せんぼされるみたいに。

 

 押し切られる、まるで濁流が家宅を押し流すように、あっさりと。

 

 

『───ッッッ!!!』

 

 

 歯を食い縛る、押し切られるとそう判断した瞬間に俺は刀から手を離して、そこから更に流れるような動きで敵手の腹部へと最大出力のエネルギーを込めた拳を叩き込む。

 

 ズドンッと鳴り響く打撃の音、鋼の感触を突き抜けて確かに届いたと実感出来る手応えを拳に感じて、その証拠とでも言うように敵手の身体が大きく後ろへと引き摺られるように下がっていく……だけど───

 

 

『…あはっ…!!』

 

 敵は…嗤っていた。

 

 何かを堪えるように、何かを吐き出すように、何かを喜ぶように…その身に溢れる暴威をそのままに、狂気に満ち満ちた笑みを俺へと向けながら敵は…竜はその口を開く。

 

 

『もっとだっ…!! もっとやろうっ!!!』

 

 

 瞬間、その身から発せられた圧倒的なまでの力の奔流に、俺は目を奪われた。

 

 これは『理力』か、それとも『躯力』なのか、はたまたその両方か…そのどれであろうが関係ないだけの暴の息吹、絶望的なまでの存在としての格の違いが、形となって俺の目の前に存在しているその現実に、俺は乾いたような笑みを浮かべることしか出来なかった。

 

 呆れてしまうのだ…こんな化物が現実にいるものなのかと、こんな漫画やアニメのような存在が現実に存在しているものなのかと…あまりにらしさが凄くて、最早見惚れてすらしまうその光景を前に…俺はただ、静かに刀を構えた。

 

 その時の俺の表情は、乾いたでもなく呆れたでもなく…何処までも純粋で綺麗な、憧れを見つけた時のような満面の笑みを浮かべていたのだと、後のココさんは語った……バカなんじゃねぇのと、俺は思った。

 

 

 





〇〇中等学校VS中高一貫〇〇学園 戦績

桐生ココVS牧村司 

約『三十分』にも及ぶ『激闘』の末に、桐生ココが勝利を収める。

公式記録より



PS

何でも良いから戦闘を入れたかった、会話とか地の文だけは呪術じゃないからキツイのです。

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