闘技場のモブ(自称)は今日も頑張る   作:富竹14号

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 かっこいい名前なんて俺は作れないよぉぉっ!!!(泣き顔)


爪と腕、牙と刃

 

 

───エネルギーについて話そう…エネルギーとは、異能を持った者達が戦闘の際に使用する魂の力…肉体から捻出される『躯力』と精神から捻出される『理力』の二種類から成る異能使いの根幹。

 

 

 拳を叩きつける、真正面から地面を踏み抜いて接近を果たしそこから勢い任せに叩き込まれる拳の一撃…それに対して獅白ぼたんは同じく拳を振るう。

 

 激突する両者の一撃、周囲に衝撃を放ちながら激突した両者の拳は互いに磁石のように大きく弾かれる、地面を削りながら後方へと下げられた両者は次の瞬間には再び地面を蹴っている。

 

 

 

───能力者の持つ力量には一定の法則性が存在する、それらの特徴分析は相手の能力を知る上で重要な判断材料となる。

 

───例えば獣人種は躯力が多い、八対二で分けられる程に躯力の割合が多く、それ故に近接戦や基礎的な部分を重視した…或いはそれら起点とした能力を開発するということが多い。

 

───逆に自然種は理力が多い、上記同様に八対二で分けられる程に理力の割合が多い自然種は兎にも角にも遠距離重視した戦いを得意とする、躯力とは違い複雑な能力操作を得意とする理力は操作性や変換性に優れる…例えるなら理力の性質を炎や水に変換する等が上げられる。

 

 

 再び激突…しかし、今回に関してはただ真正面からぶつかったという訳でもない。

 

 敢えて先手を打たせる…わざと攻撃を放たず敢えてぼたんに攻撃を打たせ、そしてその勢いを適度に流しながらも受け止めた司はそこから瞬時にぼたんの背後へと回り込み、その腰回りをガッチリ掴む。

 

 身体能力に優れる獣人種でさえも一瞬とは言え見失う程の動き、単純な速さというよりも緩急付けての視線の誤魔化しと言ったほうが正しいのであろうその動きに獅白ぼたんは瞬時に対応しようもする…が、それよりも早く───

 

 

「───どっっせぇぁぁぁぁっ!!!」

 

 牧村司が、獅白ぼたんへとバックドロップを叩き込んだ。

 

 裂帛の気合、雄叫びをあげながら放たれたプロレス技が獅白ぼたんへと襲いかかる、地面へと勢い良く叩きつけられる…深くヒビ割れ、いっそ沈んですらいるその場へと叩きつけられた彼女はやってきた衝撃と痛みに意識が飛ぶ───

 

 

「───お返しだ」

 

 なんてことはなく、そんな悪戯染みた声色と共に放たれた言葉と共に司の首へとぼたんの足が巻き付けられる。

 

 足技、絞め技…獣人種特有の怪力によって強く首を締め付けられる司、なんとか逃げ出そうとするも流石に獣人種、そう簡単に逃がしてくれるほどに甘くもない。

 

 ならばと司は腰を浮かせようとする、抜け出せないならこのままもう一度叩きつけて拘束を解かせてやろうと自身に巻き付く足ごとぼたんを持ち上げ再び地面へと叩きつけようとする…が、持ち上がらない、体重を掛けられているということもあって持ち上げられない。

 

 

───重たっ…!?

 

 そう思考した直後、まるで分かっていたかのように司の視点がとてつもない勢いで動き、気が付いたら時にはぼたん同様に地面へと叩きつけられていた。

 

 何をされたのか、簡単である…投げられたのだ、足で。

 

 フランケンシュタイナーと言うべきか、ヘッドシザースと言うべきなのか…兎にも角にも足で司の頭を挟んだぼたんは倒れ込んだ状態から地面に手を付き、そこから一気に司を地面へと叩き付けた…それが、顛末だった。

 

 パラリと舞う粉塵、いててっと痛みに呻きながら立ち上がったぼたんはパンパンッと服に付いた埃を払ながら叩き付けた司の方へと振り向き、口を開いた。

 

「───お返しだ…そう言ったでしょ?」

 

 

───続けてそれら両種の特徴を持たない所謂ノーマルな人種…人類種と呼ばれた種族は総じて上記二つのような特性を持たない。

 

───躯力も理力も揃って五対五、獣人種のように身体能力が高いわけでもなければ自然種のように理力適性が高いわけでもない…バランス型とでも呼ぶべきこの種族は誰の意見から見ても基本的に弱い種族であると言える。

 

───だが、努力次第では平然と化ける…この世界に於いて人類種が上記二つの種族に勝ったという事例は当然のように存在し、全体的にこれら三つの上位互換とも呼べる『幻想種』にさえも勝利を納めたという事例も存在している。

 

───故に、人間だからこいつは弱いと判断していると痛い目を見ることが確定してしまう…そんな種族だった。

 

 

 地面が弾ける、爆音と共に爆ぜたヒビ割れた地面の中心地、破片を撒き散らしながら向かってきたその人影にぼたんは咄嗟に爪を振るい、逆に人影…司はそれに合わせるように飛び蹴りを叩き込んだ。

 

 再び鳴り響く轟音、躯力による強化が行われた打撃同士の何度目かの激突…笑みを浮かべた百獣の獣は眼前に立つ人間へとそうこなくちゃとでも言うように二撃目を振るった。

 

 

 

───躯力は強化と増加、理力は変換と操作…これが、この世界に於けるエネルギーの基礎なのである。

 

 

 激音が響き渡る…場面が、動く。

 

 

 

 

 

 

───どうしよう、ちょっと厳しいな…。

 

 

 眼前にて拳を叩きつけてくる男の姿に、獅白ぼたんはそう考えた。

 

 先程から続く連撃連打、打撃に次ぐ打撃の応酬を繰り広げたぼたんは牧村司という人間の実力の程を少しずつではあるが理解し始めていた。

  

 一言で言うのであれば近接特化の躯力使い、理力を殆ど使わず純粋な体術や技量のみで相手を追い詰める生粋の近接アタッカー…能力を使っているところを見ていないこともあって断言は出来ないがそうであると判断しても問題無い程度にはそちら方面に振り切っているように感じた…ひょっとしたら、純粋な近接戦では自身よりも上なのかもしれない。

 

 

 ならばどうするか…此方の異能を解禁する。

 

 

 理力を駆動させ、異能を発動する…瞬間、獅白ぼたんの手に握られたのは…鈍い灰銀色に輝く獅子の意匠が施された大型の拳銃だった。

 

 獅白ぼたんの異能、恵与(ギフト)獅子武装(ウェポンズ・レオ)』…その能力は武装の召喚という単純明快且つ簡潔なモノ、それだけならばあぁ成る程、使い易い能力だねと言われるだけの異能…だがしかし───

 

 

「───『獅子ノ心臓(レグルス)』」

 

 その権威は、別格である。

 

 呼びつけるのは獅子の心臓を背負った星の名、古くにそう呼ばれたその名を背負ったその拳銃はその名に反して鈍い輝きを放つ。

 

 ガチャリと向ける、片手でさも当然のように差し向けられる白獅子の銃口、三歩踏み込んでしまえば即座に弾けてしまう距離で向けられたその牙に、牧村司は怖気を覚えた。

 

 

「───チィッ!!」

 

 

 咄嗟の判断、舌打ちを盛大に鳴らしながら踏み込もうとした行動を中断し即座に回避行動へと移る…その判断は、呆れてしまう程に正しかった。

 

 瞬間、先程まで司の居た場所を突き抜ける…熱線。

 

 地面を溶かし、通り過ぎた全てを貫通し、あまりに綺麗な風穴を開けて消えていった熱線にさしもの司も唖然とする…タメも糞も無い、あの一瞬に放ったにしてはあまりに強力過ぎるその一撃に言葉が出なかった。

 

 ズザァァッと土埃を上げる、咄嗟の回避行動であっただけに安定性はそこまで無く、何処となく乱雑な体勢で着地した司は内心でズルだろそれはっ…!! っと文句を垂れ流しながら異能を駆動させる。

 

 

「───『血蔵(ちぐら)』」

 

 

 その名を呼ぶのと同時に司の掌から流れ落ちる血液、別に肌を切った訳でもないのに勝手に内側から肌を突き破って流れ出てくるその赤色は重力に逆らって司の腕を伝っていく。

 

 別に量そのものはそこまで多くはない、精々が一般的なガムテープを伸びした程度の幅の量…そして、そこから生々しい音と共に現れる何かの取っ手。

 

 曲がり、湾曲した何かの取っ手、徐々に徐々にズズズッと音を立ててその全貌を明らかにしようとするその何かを、司はトロいとでも言うようにその取っ手を掴み取り、一息に引き抜いた。

 

 撒き散らされる少なくない血液、飛び散る赤色の液体とその赤がこびり付いた引き抜かれた何か…湾曲し、折り畳まれたような形状をしたソレは、曲刀と呼ばれるはずのものだった。

 

 

 牧村司の異能、恵与(ギフト)『血遊び』…その能力は簡易的な血液操作…そして、血蔵はそんな『血遊び』に元からデフォルトで内蔵されていた拡張能力。

 

 その能力は血を媒介とした無生物、物体を対象とした収納と取り出しの二択の選択…奇しくも似たりよったりの異能を持ち合わせていたらしい両名は自らが取り出した獲物を携えて、更なる闘争へと身を投じる。

 

 

 

 ラウンド2、開幕である。

 

 

 

 

 





 明確な原作があるって本当に楽だったんだなぁって……これ、ホロ廻戦みたいな話作ったほうが楽だったのでは?
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