目が覚めたらSAN値が見えるようになってた 作:Desktop poison
コイツはここで殺す。
──そう決めたはいいが、今の俺には果たしてこの化物を殺すだけの手札はあるのか?
ベッド、カーテン、カルテ、点滴棒、娯楽用の本、ゲーム機…
近くを見回してみても、俺が化物にダメージを与えられそうなものは一つもない。おそらく、殴る、蹴るは通用しないだろう。
自身の自信は武器にもなり得ない。
化物が一歩、俺に歩を進める。
ふと、あの医者の言葉を想起する。
(……異能。)
漫画ではないが、あの医者が言う不思議な力があれば目の前のコイツも殺せるかも知れない。
あの医者の口振りからして、世の中にはこの眼のほかにもいろいろな超能力があるはずだ。それを知っているあの医者も超能力者であるはずである。
化物がまた一歩、俺に歩を進める。
近くにあるはずのナースコールへと目を向ける。
これを使ったとて、ここで大声を出して助けを呼んだとて、医者はおろかナースさえここへはたどり着けないだろう。
だってもう化物はこちらへ向かって拳を振り下ろして来ているのだから。
「………ヤバッ!」
人というのは、衝撃を受けたとき、少なからず硬直してしまうらしい。
奇跡的に思考を取り戻し、ベッドから飛び上がって化物の攻撃を回避することができた。
飛び上がった拍子に左の二の腕に刺さっていた点滴が剥がれ、肉が破れ、血が吹き出す。
目の前の化物は、その血に興奮したように目を見開く。
再び、化物の拳が振り上げられる。残された時間は少ない。
(…考えろ。ここで化物の殺し方を見つけないと死ぬだろ。)
あるはずだ。…異能という概念があるからには、その習得方法が。
医者はほのめかした。俺の魔眼以外の超能力の存在を。
俺の『常在顕性』は対象の正気を判定する。しかし、この能力だけでは後にも先にも生き残ることはできないだろう。
今ここで新しい超能力を発現させる必要がある。
(……『
【未習得の異能の使用申請命令を確認。異能名『念力』。…申請を承認。】
脳内で、またあの声が聞こえる。
【異能出力式を
瞬間、心臓が大きく跳ねる。全身に奇妙な感覚が行き渡る。
おそらく、俺の眼が何かをしたのだろうが、右腕の痛みで何も考えられない。
(…だが、これだけは解る。この力があれば、コイツは殺せる。)
右腕の痛みが引いていく。
とうに恐怖は無い。痛みも。震えも。代わりにあるのは全能感だけ。
掌を化物へ向けると、俺の身体に纏った何かが追従する。
そのまま、俺の意思に導かれるように何かは化物へ纏わりつく。
何か、はおそらく念力だろう。
俺の念力に包まれた化物は、動きを止める。…動けない。の方が正しいだろうか。
俺はそのまま化物の首を180度回転させてねじ切り、そのまま胴体をすりつぶした。
化物はベッドに血と臓物を撒き散らしたきり、動かなくなった。
「……ハハッ、意外とできるもんなんだな」
「そうだね、実に素晴らしいよ。小野沢君。」
《Topics》
『常在顕性』
権能:正気と狂気の判定。その数値化。
説明:今回小野沢が念力を使用できたのは、魔眼を通して邪神の別の権能にアクセスしたから。目玉だけになっても、未だ邪神との繋がりは健在。
『念力』第六等級異能
能力:思念体に実体を与え、所有者以外への物理的干渉を行う。
説明:本来肉や骨を潰すような力はないが、小野沢の高すぎる殺意に共鳴して強すぎるパワーを出力した。
常在「やべっ…マスター死にそうやんけ…どうすればええねん……最初に無口キャラした以上、ここから急に協力的になるのもなあ…」
小野沢「オラッ念力!」
常在「…よし、マスターから申請出たってことにしたろ!邪神、ちょっと能力リソース借りてええ?」
邪神「ええで~」
常在「ありがとナス!…よし、じゃああげる能力は…念力でええか。ペタッとな」
念力「……で、俺が生まれたってわけ。」
ちょっといつもより分量増やしてみたんですけど、いかがでしょうか、良ければ感想ください。