グッドエンディング後の勝手な補完です

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今宵は双月

 電車の車窓から夕陽が差し込む。人が多く、混雑する京王線だが幸いにも座れており、それなりに快適な時間を送れていた。とはいえ、夕方という人々が家に帰る時間。混むんだり、マナーの悪い客がいるのも避けることは出来ず、少し隣と距離が詰まってしまうのは避けられなかった。

 

「…狭くない?」

 

 隣で俺の腕に絡みつきながら揺られる彼女…ラヴズオンリーユーに声をかける。今日はお出かけ…いや、デートで都心で一日を送っていたのだ。流石に疲れただろう。普段からマルチタスクをこなし、激しいトレーニングをしているとはいえ遊びで消費するエネルギーというものはそれとは別なのだ。それなのに、窮屈な思いをさせては折角座った意味がない。

 俺が立ってスペースを開けようかとも考えたが、ラヴズに腕をがっちりホールドされて動こうにも動けずじまい。かれこれ20分以上、俺は鞄を膝に抱えるしかなかった。

 

「ん~?大丈夫だって。君の体温(ラヴ)も感じられるし♡」

「ならいいけど…」

 

 男のそういうの感じて嬉しい?などという野暮な質問は出来なかった。こんなに愛おしそうに言われてしまっては、困惑より恥ずかしさの方が勝って赤くなった顔を鎮めるのに精一杯になる。

 

『次は~、調布~調布~』

 

 まだ府中まではある!!もう少しはこのままな事実を突きつけられ、心臓の鼓動が少し早くなるのを感じながらも、俺はただ、ラヴズの体温を感じる他なかった。

 今日はいつもより一段露出の多い服なのも相まって、心臓の高鳴りが抑えられない。再び直視し、ラヴズが俺の腕に抱き着いていることを再確認した暁には恥ずかしさが限界を超えるので首を動かすこともできない。最近再認識しただけどさ…ラヴズすっっっっっっっっごく可愛くない!?こんなに可愛い子俺担当してたの!?ファンコミュのみんなに感謝しないとな…俺が架け橋かけてもらった側になってたもんなぁ…。

 そんなこれまでへの感謝を思い浮かべながら、俺は夕日に沈む武蔵の地を走ってく。

 

 

______

 

 

 

 学園に帰る前に、俺たちは河川敷に寄っていた。そのまま帰るには…なんだか名残惜しかった。そう思って連れ出したのだ。隣で微笑むラヴズと、河川敷を歩く。向こうではトレーニング中であろう学生らの声が、遠く響く。

 

「もう、まだデートしたいだなんてトレーナーくんも素直になってきたわね」

「…ま、まぁね」

 

 否定できないが、肯定するのもこっぱずかしいのではぐらかす。それすら見透かされているのか、ラヴズはただ嬉しそうに微笑むだけだった。

 トレーニングの声はもう聞こえない。

 

「ラヴズ」

「ん?どうしたの?」

 

 仰々しく呼び止める。こちらを見つめる彼女の瞳に俺が映る。温かく見つめるラヴズの眼差しが…心を高鳴らせる。はやる気持ちを抑え、ゆっくり言葉を送り出していく。

 

「今日はデート、ありがとうね」

「ううん。トレーナーくんこそ、私のワガママ聞いてくれてありがとうね♡」

「そんな。俺だって楽しませてもらったんだし」

「…良かった」

 

 笑顔が弾け出る。君の笑顔をこの数年。液晶ごしに、あるいは隣で、ずっと見てきた。見てきたが…やっぱり美しい。この笑顔を守るため、叶えるため頑張ってきた甲斐があったというものだ。

 

「俺さ…ラヴズに幸せになって欲しいなって思ってる。苦難なく、涙を流すことなく、幸せで楽しい…笑顔に満ちた未来を駆けていて欲しいって」

「トレーナーくん…?」

 

 唐突な独白に困惑する彼女を、微笑みで制止して続ける。とめどない思いを、ぽつりぽつりとつぶやいていく。

 空が少し暗くなる。太陽と月が見守る。

 

「トレーナーとしてだけじゃなく、ずっと見てきたファンとして、君にずっと幸せでいて欲しい。そこに俺がいても、いなくても関係ない。…それが俺の…(ラヴ)

 

 宵闇がラヴズの顔を覆う。

 

「…そう思ってたんだけどなぁ」

「!」

 

 そっと彼女を抱き寄せる。息がかかるほど近く、鼓動を感じられるほど密着して。

 

「きゃっ!?」

「ラヴズ…今は、俺の傍にいて欲しいって思ってる。俺の手で君を幸せにしたい。それに…君に俺を幸せにして欲しいって思ってる。ずっと、2人で一緒がいいって思ってる」

 

 浜辺でラヴズに想いを告げられた日から、ずっと揺れてた。いざ彼女に託され、みんなに託され、俺自身は今後どういう形であるべきか、ずっと心の奥で悩んでいた。どうすべきか、どうあるのが最適か。そう考えていた。でも…今日デートをして思わされた。俺はラヴズといたいと。あるべきか、最適かなんかじゃない。俺はこうしていたい、こうありたいと。

 

「…私も」

「ああ、知ってる。だからもう一回、誓わせて。…ラヴズオンリーユー(君だけを愛する)って」

 

 抱いていた彼女を少し離し、片手のハートを差し出す。そこに、ハートのもう1ピースがはまる。

 

「うん…!…ラヴズオンリーユーだよ!」

 

 今宵の月はとても大きく、この上なく美しかった。




ラヴズシナリオに完落ちしました。告白後イチャコラトレラヴもう一本挙げてラヴズマイブームは終わらせたいと思います。他のが…あるからね

今回は結構お洒落な感じ目指してみましたが…情景描写、意図通りに伝わっていたら幸いです!

完全私事なんですけど、私現在適応障害にかかってるんですよね。抑うつ気分完全にラヴズが吹き飛ばしてくれました。ある種救世主っすラヴズちゃんは

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