気に入ってくれたら幸いです。
寂れたホテルの廊下を行く、薄暗い現在時刻は午後7:00。
「とりあえず、終わったら夕飯にしよう」
私は向かいの相棒に提案してホルスターから銃を抜く。
ドイツ製45口径拳銃、弾倉に8発と薬室に1発の計9発、弾倉内の残弾を確認しスライドを少し引いてチャンバーチェックを行う。
バレル先端には消音器を取り付けるネジが切られており、残念ながら今回の通常業務では使用する事はない。
そのため、スレッドカバーが装着されている。
「そうですね、帰宅して作りますね」
隣を歩く彼女の手には9mmパラベラム弾の装填されたP226自動拳銃。
メイド服の装いの彼女だが、普通のエプロンではなく白い防弾ベストを身に纏っている。
「えー、沙百合さんも大変だろうし外食でいいんじゃない?」
気遣って放った私の言葉に彼女は顔を顰める。
沙百合さんはいつもそうだ。
「ダメです、2日前の夕食もそう言って外食にしましたよね?」
アンドロイドの彼女にとって自身の仕事を奪われる事をよく思って居ないのだろう。
昔、家に丸い掃除ロボを導入した時もそうだった。
無駄に張り合っていたっけ。
こうなると彼女は頑固だ。
「そんなに働いてたら、体壊れちゃうよ」
「大丈夫です、パーツを取り替えれば元通りなので」
「そう言う事じゃないんだよ」
すまし顔でそんなことを言う彼女に私は溜め息を一つこぼす。
彼女のそう言うところが好きではない。
そんな会話をしているとホテルの一室に辿り着いた。
私たちは扉の左右に張り付き突入の段取りを始める。
「それではいつも通り私が扉を」
「了解、その後私が突入するね」
拳銃のスライドを少し引く、薬室に装填された45口径弾が見えた。
「私が先陣じゃダメですか?」
彼女の心配そうな声に顔を上げる、不安そうな表情をしている。
「大丈夫だよ沙百合さん」
きっと彼女は私の身を案じているのだろう。
彼女を安心させるべく、笑顔で答えた。
少し納得いかないような表情で彼女はホルスターに拳銃をしまう。
スカートを少したくし上げた。
「行きますよ?」
彼女の問いに左手の親指を立てて答える。
「3、2、1」
彼女の蹴りが扉に命中した。
扉が勢い良く開かれた。
「国土安全委員会だ!」
銃を構え怒鳴りながら足を踏み入れた。
私の後ろに沙百合さんが続く。
両手を上げる男が2人、ベットの上にはスーツケースが開いて置いてあった。
中には緑茶の缶が転がっている。
沙百合さんが男達に銃口を向けて制圧し、私が床へ押し倒す。
うつ伏せになった被疑者に手錠をかけていく。
手錠のかかった2人を床に転がして置き、私は彼らの持ち物を漁り証拠を探す。
「重要参考人のショウゴ・ヤトベはどこに居ますか?」
彼女は手錠をかけられた男に問いかける。
すると彼は下品な笑みを浮かべた。
「1発抜いてくれたら考えてやるよ」
体を捻り横向きになる。
彼女の目がゴミを見るような冷ややかなものになるのと同時に股間へ蹴りをかました。
流石に威力を抑えているとは言え恐ろしい。
同じ男として私の股間も冷えたような気がした。
「ケイ、何か見つかりましたか?」
呻いている男に背を向けた彼女は此方の進捗を確認してきた。
試験薬の結果を見せる。
「お茶の缶にヤクを詰めるなんて奴らも考えたな」
試験薬が青く色ついたことからタレコミのあった違法薬物だろう。
「ハジキはヤリギン、旧露の軍用拳銃だ」
バックに入っていたMP443拳銃から弾を抜く、見慣れた9mmパラベラムが装填されていた。
「今は軍閥同士の内戦中、資金稼ぎの可能性が高いですね」
沙百合さんは拳銃を手に取り眺めると興味がなくなったのか机の上に置いた。
すると扉が開き入室する者が1人。
私と彼女は銃を取り出す。
「悪い、タコスソース切れてたから別の店に行ってた」
マッシュルームカットの若い男がバーガー屋の紙袋を持って顔を出す。
「あぁ、クソ」
「おい、待て!ヤトベ!」
此方と目が合ったヤトベは紙袋をその場に捨て踵を返す。
逃げ出す背中に2発、私は発砲した。
素早い身のこなしで弾を避けるとヤツは廊下に飛び出した。
「ケイ、車を」
沙百合さんはそう言うと窓を突き破り飛び降りた。
「嘘でしょ?」
行ってしまった彼女に追いつくべく部屋を飛び出した。
やっとこさ表に出ればヤトベとその仲間が銃撃戦を繰り広げている。
パトカーのトランクを開き、中からHK416Dを取り出す。
弾薬の入ったバックに首を通し、彼女の武器と弾薬も忘れずに。
「ケイ!早くしなさい!」
路肩のポストに身を隠して応戦する彼女から急かされて、自動車の影へ身を隠した。
「沙百合さん!」
彼女にHK33を投げ渡した。
弾倉と弾薬ポーチも投げ渡す。
素早い身のこなしで身につけると弾を込めて射撃を開始する。
1人、また1人と倒れて行く。
「ヤトベ!観念しろ!」
私はビルの角に身を隠す彼へ射撃を行う。
彼は乗り捨てられた車へ飛び込むと発進させた。
「ケイ!」
「わかってるって!」
彼女の呼び声と共にパトカーへ走り戻る。
エンジンを始動させ彼女の傍まで進めた。
「ヤツの車に寄せてください!」
素早く彼女は乗り込むと私はアクセルを踏み込んだ。
回転灯とサイレンを鳴らして追跡する。
「こちら615!容疑者が逃亡!現在追跡中!」
「CP了解、応援部隊がそちらに向かってる追跡を続行せよ」
無線報告を行いつつ車両を運転する。
追跡経路は傍にいる沙百合さんに無線を投げ渡した。
「そのまま追跡してください」
彼女は助手席の窓を開けて身を乗り出すとHK33を発砲した。
見事に前を走るヤトベのタイヤに穴をあける。
ヤツはバランスを崩して電柱へと突っ込んだ。
私達は車を止めて降車する。
HK416Dの弾倉交換を行う、彼女の銃口は運転席をとらえている。
私も銃を構え運転席に接近した。
割れた窓の向こうで呻くヤトベを確認し、車から引きずり降ろした。
「俺はなにもしてねぇって」
「黙れ、お前には黙秘権がある」
喚くヤトベを車に押し付け手錠をかけた。
これが私達の日常。
やっと今日が幕を閉じた。
モチベが有れば書こうと思ってます。
誤字脱字が有れば遠慮なく言ってください。
評価や感想は雑談ぐらい気軽にどうぞ。
モチベ上がるのであったら嬉しいな()