機械仕掛けの君   作:ORC機関

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久しぶりです、お元気してましたか?
最近仕事が忙しくてなかなか投稿出来ずお待たせしてしまって申し訳ない。
ネタが浮かんだので冷めない内に書きました。
でっかい妹って聞いて某生徒会長が浮かんだのは私だけではないはず…


でかい妹(ビッグ・シスター)

「ケイ!無理はしないでください!」

「わかってるって!」

唸るエンジン、鳴り響くサイレン音、周囲の景色が飛ぶように流れて行く。

正面には逃走車両が無謀な走行を繰り返していた。

「お兄様!」

「ケイ!そのまま追い込め!」

無線からアキトの指示が飛ぶ。

「こちら16号車、サギリ・スミ通りを左に曲がりました。」

犯人の後を追い交差点を左折すると沙百合さんが報告を上げた。

「こちら283号車、俺んところまで追い込め」

サクマさんが応答し、アクセルを踏み込む。

長い幹線道路を駆け抜けてまた交差点に辿り着く。

サクマさんと瑠璃の姉貴が通りを封鎖し進路を固定していた。

犯人はこちらの狙い通り曲がって行く、サクマさんのリボルバーが犯人車両の足回りへ襲いかかった。

しかし、車両の速度と合わさり命中なし、無理もない。

逆に私のパトカーのボンネットに穴が一つ空いた!

「クソ!今のは危なかった!」

「こちら16号車!被弾しました!ちゃんと狙ってください!」

私の言葉に沙百合さんが声を荒げた。

「うげ!すまん16号車!」

サクマさんの謝罪がすぐに飛んできた。

逃走車両の先、通りの奥にパトカーが見える。

アキト達だ!

逃走車両が通り抜ける一瞬にアキトが道路に何かを投擲した。

「沙百合さん捕まって!」

私は急ブレーキをかけて逃走車両と距離を取る。

それは車両のタイヤを破損させ逃走を阻害する道具、スパイクシステムだ。

逃走車両が通り抜けると共にアキトが路肩に引き寄せた。

背後で霞が嬉しそうに飛び跳ねている。

犯人は操作不能になったのか路肩の電柱に突っ込んだ。

派手な衝撃音と共に車の後輪が浮いた。

私は車を滑らせ犯人に対して遮蔽になるように停める。

殺人的ブレーキ音と共に後輪から煙が上がった。

ドアを開け、パトカーを盾に隠れ、銃を構える。

沙百合さんはトランクから散弾銃を取り出すとパトカーの陰で弾薬を装填していた。

逃走車両に霞が先頭でアキト達が近づく。

霞の手にはMP5Jが握られ、真昼間だがハンドガードのライトを照射しながら近づいていた。

アキトはいつものXM177E2を装備している。

逃走車両が蹴破られ千鳥足で犯人が出てきた。

脳震盪だろう。

あれだけの事故だ。

「お巡りが!くたばりやがれ!!」

男が懐から腕を振り回したかと思えば派手な銃声が響いた。

Vz61、チェコスロバキア製SMGだ。

「容疑者が発砲!繰り返す!容疑者が発砲」

素早く遮蔽物へ身を隠し、私は肩についている送信機で報告を上げた。

「お兄様!」

霞が叫びアキトの前に飛び出すと銃声が響いた。

「職員が撃たれた!応戦する!」

私は構えていた拳銃を発砲し犯人の手を打ち抜いた。

ちょうど弾切れだったのだろう、動きを止めた右手から銃が床に落ちる。

右手を抑え怯んだ犯人に沙百合さんが距離を詰めた。

彼女の膝打ちが犯人の腹を直撃、その場に崩れ落ちる。

私も銃口を外さず犯人に接近、抵抗が見られないためうつ伏せにして手錠をかけた。

「霞、大丈夫か?」

アキトの声に振り返れば力無く横たわる霞を抱きかかえていた。

彼の足元に青い血溜まりができつつある、最悪の事態になってしまった。

沙百合さんが飛ぶように駆けていく、私も犯人を駆けつけた人員に任せて後を追う。

沙百合さんが傷口を押さえるが出血が止まらない。

「霞、傷は痛むか?」

心配そうにアキトは声をかける。

霞は静かに首を振った。

「大丈夫ですお兄様、少し痛いだけです」

「擬似痛覚は切れないのか?」

必死なアキトに霞はフフフっと笑う。

「嫌です、お兄様の温もりが感じられなくなっちゃいます」

「それにお兄様が撃たれた時と同じ体験がしたくて…」

「このバカちんが…」

これでお揃いですねと彼女は笑っていた。

そんな様子にアキトは絞り出すように叱責を口にする。

人間と同じく擬似血液が失われてしまうとオーバーヒートを起こす。

人間と違うのは安全装置が作動して機能停止が実行される点だ。

「心配しないでお兄様、機能停止を実行します」

「すぐに戻りますから」

アキトの頬を優しく撫でると彼女は微笑み瞼を閉じた。

時を同じく搬送車が現場へと到着、私は彼らを呼ぶため大きく手を振った。

「アキト、行こう」

私の言葉に彼は半分放心状態で霞を抱き上げると搬送車へと歩み出す。

彼の背を支えて私も後に続いた。

うんざりする快晴が私達を照り付けていた。

 

「霞の容態だが内部機関と骨格に…損傷具合から暫くは別素体で業務に入る事になった」

我らが上司である局長がバインダーを片手に連絡を行う。

霞がやられてから2日ほど経った朝礼のこと、沙百合さんは相変わらずの無表情だが何処となく落ち込んでいる様子だ。

「今朝、アキトが迎えに行ったんだが…」

「おはようございます…いたっ」

局長がアキト不在を言いかけた時、我々のオフィスのドアが開かれた。

視線をそちらに向ければ宙に浮くアキトと霞の面影を感じる背の高い大人びたドールが入り口で頭をぶつけたかと思えばこちらに向かってきていた。

「おはようさん…なぁ?霞、降ろしてくれや?」

アキトはそういうと首を捻り背の高いドールへと視線を向けた。

「お兄様、もう少しだけ…」

霞と呼ばれたドールは頬を染めながらそう答えた。

「なんだいアキト、筋肉痛かい?」

ナオが珈琲の入ったマグカップをマルベリーから受け取りアキトに問いかけた。

背後の燕ちゃんは嬉しそうに目を輝かせた。

「違えよ、霞が朝からこの調子なんだ」

脇の下に手を入れられ宙ぶらりんなアキトが否定した。

なんだか持ち上げられている猫のようだった。

「小さい頃のお兄様みたいに持ち上げられるのが嬉しくってつい」

随分と大きくなった霞が口元をにやけさせモジモジとする。

結構アキトが揺れてるが大丈夫だろうか?

「オイやめろ霞、酔う!酔うから!」

辛そうに叫ぶアキトに局長が頭を抱えた。

表情の変わらない沙百合さんだがなんだか興味あり気に眺めている。

「ひ ら め い た」

「ダメです」

彼女の言葉に私は即座に却下する。

「お姉ちゃん、まだ何も言ってはないですよ?」

「どうせ背を伸ばしたいって言うに決まってるじゃん」

不服そうな彼女に私は手でバツを作る。

「じゃあ、背を伸ばして何するの?」

「ケイを抱っこしたり、高い高いします」

「俺はもう大人だよ」

私の言葉に沙百合さんはしょんぼりと肩を落とした。

視線をナオに移すと早速影響されたのか燕ちゃんがナオを持ち上げている。

マルベリーはそんな様子に小さく拍手していた。

「燕ちゃん?降ろしてくれない?珈琲こぼしそう」

ナオが必死にマグカップの中身をこぼさないよう腕を動かしていた。

そんな生殺与奪を握られた様な彼を気にする様子もなく燕ちゃんは頬を染め少し興奮気味だ。

「今、私…ご主人様を支配してる」

そんな事を呟いては少し危ない目でナオを見ていた。

君そういう趣味だったの?

唯一の頼みであるマルベリーに目を向ければ、彼女も少し危ない目をしていた。

一緒のマスターを持つのに喧嘩する様子がなかったのは似たもの同士だったか、謎が解けた感じがする。

「あー…業務に戻ってくれ…」

呆れた様子の局長が解散を告げると各々のデスクに戻って行った。

宙ぶらりんのアキトは自分のデスクを指差すと霞が移動を開始する。

新手の人型機動兵器かな?

デスクの机に到着すると霞はそのまま着席してアキトを膝の上に乗せる。

とうとう彼は両手で顔を覆ってしまった…ご愁傷様。

「ケイ、負けてられません!」

霞を見ていて対抗意識が沸いたのか沙百合さんが両手を胸元で握りしめてこちらを覗き込む。

「いや、負けておこうよ」

彼女の提案を再度却下しナオへ視線を向ける。

燕の膝の上で特に気にする様子もなくPCを使用した事務作業をしていた。

慣れとは恐ろしいものである。

そんな様子を眺め、私はデスクの上に置いておいたマグカップを手に取る。

少し変わった日常が始まりを告げた。




霞「お兄様を大人な私で悩殺します!」
(素体入れ替え後)
アキト「デカ過ぎんだろ…」
霞「デカ過ぎました…」
(見上げるアキトと見下ろす霞)
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