闇の中、それも人工的な闇。聞こえてくるのはおそらくピアノの音、そこに別の楽器の音が次々と加わっていった。さらに、テレビに映る謎の文字。その状況に俺はただ震えていた。ただし、恐怖からではない。武者震いというやつであろう。そして、机の上に置かれている飲み物を少量、口に含むと、一息付いてマイクを握った。
「ミカンでマッサージ!ざっつらいじんふおぉぉぉおっっ‼︎‼︎」
「やっと見つけましたよ提督」
サビが始まった辺りで能代に見つかってしまった。カラオケである。おい、これからだろうがこの歌は!そんな俺の気も知らずにパチッと電気を着ける能代。
「まったく…たまには提督を探すこちらの身にもなってくださ…」
「昼がない、世界。異常な幻聴。綴った『べ』は何十層。ネジ取りなんかじゃない、静かに騒ぎ出したホモォ」
そこで音楽は途絶えた。能代が演奏中止したからだ。今までの人より対応が冷たいや。
「ほら行きますよ。仕事終わってないんだから」
「ちょっ…おまっ耳引っ張って引き摺ん…いだだだっ‼︎‼︎」
まだ一曲も歌ってねぇのによ…。マジ金返せ。
執務室。能代に「サボらないで下さいね!」と念押しされたので仕方なく仕事。音楽かけてETERNAL WINDの鼻歌を歌いながら仕事。20分で飽きたので白猫起動。相変わらずの集中力である。
「あっスタールーン」
よし、これでガーネットが友情覚醒するぞ。タウン→まずはコイン入手→ついでに宿のレベル上げ→さてガーネッ…!
「提督、いますか?」
執務室にいきなり能代が入ってきて速攻で携帯を机の下に隠した。
「………ゲームやってましたね」
「や、やってねぇよ!」
「正直に答えた見逃してあげます」
「やってましたごめんなさい」
「次はありませんからね。っと、提督。お願いがあるのですが」
「ん?」
「演習場に来てもらえませんか?」
「は?なに?公開処刑?」
「いや違いますから。いいから来てください」
実に嫌な予感しかしないので行きたくなかったのだが仕方ない。で、演習場。覗いてみると酒匂に飛び付かれた。
「ぴゃあー!司令ー!」
「やめろ。お前が着痩せするなタイプなのは前の一件で…」
「提督?どういうことですか?」
にっこり能代怖い。
「や、なんでもないから。で、なんのよう?」
「あとで詳しく聞かせてもらいますからね…それで、実は」
「あたし、敵の攻撃避けるのが苦手なの」
と、酒匂が能代の台詞を遮って解説。
「で、司令って瑞鶴さんとかの爆撃いつも避けてるでしょ?だからコツを教えてもらおうと思って…」
「よく見ろ。終わり」
「それじゃ分からないよー!」
って言われてもなぁ…実際そんなもんだし、俺はたまにピキィィンってなんか感じるだけだしなぁ。
「なんか、勘?」
「提督、真面目に答えて下さい」
能代にジト目で見られるがそんなこと言われてもなぁ…。
「俺は本当に感覚だけだからなぁ…あとはよく見てるだけなんだよね」
「そうですか…」
役立たずが、とでも言われるのだろうか。すると、酒匂が思い付いたように言った。
「ぴゃん!いいこと思い付いた!」
「どうしたの?」
「それはねぇー能代ちゃん」
で、ヒソヒソなんか話し出すと思った演習場を出て行く酒匂。能代は能代でいたずらっぽい笑みを浮かべた。嫌な予感しかしねぇ…。
で、俺の前に並んでるのは加賀さん、赤城さん、大和、榛名、北上、木曾の六人。
「………どゆこと?」
「これから演習を始めます」
なんでこうなるんだよ…。