その後も色んな艦娘にチョコをもらい、紙袋に全部ぶち込んで一度職務室に置いてから食堂へ。なんだかんだでもうお昼だ。飯が食いたい。
「あ、提督ー」
こっちを見る北上と舌打ちする大井。
「はいこれ、チョコ」
「あ、どうも。悪いね」
「うーうん。あ、ちなみにそれ本命だから」
「そういう冗談いらねーよ。ついうっかり本気にしちゃうだろうが」
「………まぁ、本気なんだけどね」
「? なんか言った?」
「なんでもないよー。ほら大井っちも」
北上に言われて、ヤケに顔を赤くする大井。左手をモジモジさせ、こっちをチラッと見たかと思うとすぐに目を逸らす。右手は背中に隠している。すると、決心したようにふんっと鼻から息を吐く。
「提督、いいですか?義理、ですからね!」
「え、お前もチョコあんの?大丈夫?ポイズンとか入ってない?」
ま、どーせ毒とか効かないけど。
「提督は私をなんだと思ってるんですか!?」
「クソレズ。もしくは愛の暗殺者」
「あ、愛!?そ、それは誰に対する……」
「北上」
「死んでください」
「なんで!?てか魚雷はやめとけ。俺には効かない上に食堂壊すだけだ」
「クッ…化け物め」
「懐かしいなぁ、最初の頃は二階から落ちただけで手とか骨折してたのに……」
「本当ですよ。本当になんでそうなっちゃったんですか?」
「喧嘩してるうちに体に突然変異でも起きたんじゃね?」
「それは自分が人間であることを否定してますよ……」
で、昼飯が終わって今度は演習場へ。お、単装砲ぢゃん。使ってみよう。俺は単装砲を二つ持って軽くジャンプした。ちょうど25mくらいか。俺は脚を開いて二つ揃えて構える。
「ターゲット確認。これより、破壊する」
バオンッ!と音を立てて発射。それが的にあたる直前、間に扶桑が入って直撃した。あっやべっ。
「大丈夫か扶桑!?」
急いで駆け寄る。
「だ、大丈夫ですよ……はい。大丈夫です……」
「わ、悪い。ついこう、調子に乗った。ていうか誰かに当たると思わなくて」
「いえ、勝手に入った私が悪かったです…」
と、思ったら飛んでくる主砲。昨日鋼材を(無断で)使って作ったエリュシデータで斬り落とす。
「あら?提督。扶桑姉様に何してくれてるんですか?」
「ま、マウンテンキャッスル……」
「山城です」
め、面倒な奴に捕まった……!
「や、違うんだよ。わざとじゃなくて……」
「大丈夫よ山城。提督はわざと当てたわけではないのだし、中破してるわけでもないわ」
「ふ、扶桑姉様がそう仰るなら……」
「あ、提督。いい機会ですからこれ、受け取ってください」
扶桑の懐から出されたのは綺麗にラッピングされたチョコレートだった。
「え?お前もくれるの?」
「えぇ、私だけじゃないですよ。ね?山城?」
「ね、姉様!」
なんだ?話が読めない。と、思ったら山城が顔を真っ赤にしながら両手を自分の後ろに隠す。で、変に深呼吸する。
「……なに?暗殺?」
「ち、違います!いいから受け取んなさい!」
「おいおい、命令かよ」
とか言いながらも受け取る。
「ありがと」
「ふん、一応上司ですからね」
「手作りの癖に」
「ふ、扶桑姉様!」
そのまま二人は走り去った。
剣道場。そこに足を運ぶと、天龍と日向が稽古をしていた。
「提督か?」
日向に声を掛けられる。
「剣道か。俺もやりたい」
「いいだろう。天龍、相手をしな」
「いいぜ。覚悟しろよ提督!」
で、俺は竹刀を受け取る。
「喰らえェェェッッ‼︎」
と、走りこんでくる天龍。
「めーん」
竹刀を振り降ろすと、天龍の脳天に直撃し、体が地面に埋まった。
「あっ」
静まり返る剣道場。
「ごめっ天りゅ……」
「うえっ、うえぇぇぇ……」
泣いちゃったよ……。日向に助けの視線。目を閉じたまま頷いてくれた。で、なんとか引き上げる。
「ごめんな。まさか減り込むとは……」
「うん……」
「次からは加減するな」
「うん……」
今も加減したとは言えない。
「ああそうだ。提督」
日向が思い出したように言った。
「チョコレートだ。受け取ってくれ」
「え?ヒナタもくれるの?」
「今のであげたくなくなったな」
「や、冗談ですごめんなさい」
そんなわけで受け取る。と、思ったら俺の目の前に転がり込んでくるチョコ。
「俺のだ」
「て、天龍が…こんな可愛らしいラッピングを……」
「う、ウルセェバーカ!俺だって女だ!」
「見りゃ分かるよ」
「んなっ……!」
何故か顔を赤くする。
「この…変態がァァァッッ‼︎‼︎」
殴りかかってくる天龍。それを受け止めてもっかい埋めた。
この後、龍田にボコボコにされた。