トイレ。流石に中には入ってこなかったようで何より。さて、俺は窓から飛び降りた。逃げよう。
ズダァァァンッッ‼︎と着地すると目の前には霞がいた。どうやら目の前に落ちてしまったようだ。
「ひうっ!」
ビクッと跳ね上がる霞。しばらく涙目で目をパチパチさせると、ようやく機能したのか聞いてきた。
「な、なにやってんのよ!このクズ!」
「シッ!」
俺はガッと霞の口を押さえた。
「んぎゅっ!」
あれ?今ので鼻血が出てしまったようで、俺の手に血が付着するが、気にせずに言った。
「頼むから静かにしてくれ。今、鳳翔さんに見つかったら面倒なの」
「はぁ?あんた何言って……ていうかなんか赤……これ血?」
「アレだ。ゲーセンでプーさんのぬいぐるみとってやる」
「し、仕方ないわね」
やはり駆逐艦はちょろい。そう思った時だ。
「あら提督♪」
やけに弾んだ声。そして、今最も聞きたくなかった声だ。
「お手洗いに行ったのではなかったのですか?」
「ほう、しょう、さん……」
「どういうことですか?」
ニッコリ微笑む鳳翔さんが怖い。
「クズ、あんたまた仕事サボったの?」
「へ?あ、いや……」
「クズ……?」
そう反応したのは鳳翔さんだ。
「霞ちゃん?今のクズというのは提督のことかしら?」
「へ?そ、そうですけど……」
「仮にも上官、それも歳上の方にその口の聞き方はどういうこと?」
「えっ?」
「ここが旧陸軍ならあなたは銃殺刑よ?そうでなくても殴られても仕方ないこと言ってるの、分からない?」
「あ、あの……」
「あなたといい曙ちゃんといい…何を考えているのかしら。人に言っていいことと悪い事も分からないなんて……」
「次、提督に舐めた口聞いたら、射ますよ?」
………流石に言い過ぎじゃね?いや俺の言えた台詞じゃないけど。
「あの、鳳翔さん?」
引き気味に尋ねると、鳳翔さんはニッコニコニー笑顔で振り向いた。いつの間にか霞は逃げて行った。
「はい?」
「いや、はい?じゃなくて…言い過ぎじゃね?」
「そうですか?そんなことより提督。お手洗いに行ったんですよね?どういうことですか?」
「へ?や、あの………」
「私に嘘をついたんですか?他の女と一緒にいるために?どうして?私が一緒にいるじゃないですか。どうして?そんなに他の女がいいの?どうして?どうして?どうして?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして」
「鳳翔さん……」
あぁ、この人が真似てることが分かった。珍しく俺は真面目になった。
「やっすいヤンデレだな」
「えっ……?」
その瞬間、俺の手刀が鳳翔さんの頭にヒット。
「きゅうぅ………」
そう声を上げながら鳳翔さんは気絶した。
医務室。
「ん………」
鳳翔さんが目を覚ました。
「あ、起きました?」
「私は、一体……」
「あなたはナパーム弾の直撃を喰らい、なんとかシールドを使おうとしましたが、シールドとテレヴィジョンを間違えて気絶してしまい、現在医務室で寝ているのです」
「そ、そうですか…それはご迷惑をお掛けしました」
「まあ、しばらく寝ていてください。間違ってもこの二日間のことは思い出そうとしないように。黒歴史となってしまいます」
「わ、分かりました……」
よし、これで一件落着だな。次の日、鳳翔さんが部屋から出て来なくなってしまったが一件落着だうん。
ヤンデレって難しいんですね。初めて知りました。