「提督さーん、また来たのあなた」
教習所、免停喰らって俺は今ここにいる。今、「お前に免許なんていらねーだろ。空歩けんだから」とか思った奴、そげぶ。
「で、今回は何したの?」
「酔っ払い運転ですね」
「何してるのあなたは……」
「や、違うんですよ。羽黒の酒癖が思いの外悪くて……」
俺は飲めないっつったのによ。そもそも未成年だっつの。
「何言ってるか分からないけど、まぁもう基本的なことは分かってると思うから、今回は合同で受けてもらうからね」
「うーっす」
「では、ちょっとこっち来て」
教官に呼ばれ、後ろから誰か出てきた。
「暁よ!一人前のレディーとして扱ってよね!」
「」
「暁さんだよ。ま、仲良く……」
と、言いかけた教官の頬を俺は掴んだ。
「おい、何考えてんだあんた。どう見ても18歳未満どころか中学生未満だろうが。ロリコンか?ロリコンなのかあんたは」
「や、違うよ!こおこがおうしても習いたいって上目遣いで……」
「それに吊られた時点で十分ロリコンだろうが!」
なんてやってると、俺の裾が引っ張られた。
「よろしくたのむわね!司令官!」
「帰れ、てかなんでいるんだお前」
「一人前のレディーは免許くらい持ってるって足柄さんが言ってたの」
「元凶は38歳か。あいつはエジプトに飛ばすとして、お前は帰れ」
「なんでよ!」
「お前にはまだ早い」
「子供扱いしないでよ!」
「ガキだろうが純然たる。360°あらゆる角度から見てもガキ以外の何者でもねーよ」
「とにかく!暁は免許を取るんだから!」
そこで、教官が入ってくる。
「とにかく、2人には一緒に運転してもらうから、提督さんには助席に座ってもらうからね」
「はーい!」
「……うす」
今日、俺死ぬかもしんないな。まぁ、そんなわけで前後や車の下などの確認を終わらせ、いよいよ運転。
「じゃあ、くれぐれも『〜かもしれない運転』を忘れないようにね」
「暁は、一人前のレディかもしれない!」
「それはないかもしれないっつーかそれはない」
「司令官!バカにしないでよね!」
そのままさっそく座って、シートベルトを装着する暁。俺も隣の助席に座る。教官がいろいろ指示した後、ようやく発進!が、中々動き出さない。
「おい何してんだ。早くアクセル踏め」
「しれいかぁん……」
「ど、どうした」
なぜか涙目だ。
「足、届かないよぉ……」
「」
どうやら物理的に不可能なようだ。
「これで分かっただろ。お前に運転は無理だ」
と、俺が言いかけた所で教官が厚底ブーツを持ってきた。
「これに履き替えなさい」
「ありがとう!教官!」
どこまでロリコンだこいつ。で、その教官はさっそく暁の靴に手を掛ける。そして、なぜかハァハァ言いながら靴を脱がし、チラッと下から暁の太ももの方に視線を浴びせ……、
「くたばれ変態がァッ‼︎」
「ぐぼっふぉっ!」
俺の足が教官の顔面に減り込んだ。
「おい暁、帰るぞ」
「嫌よ!暁は一人前のレディになるんだから!」
「運転なら俺が教えてやるから。だから帰ろうぜ。お前は免許取得のテストだけ受けろ」
「むぅー!仕方ないわね!」
そのまま俺と暁は帰った。
そんなわけで、鎮守府。俺の車(made in 夕張工場)で暁と運転の特訓。
「さて、じゃあ始めようか」
「はーい!」
「ちゃんとメロン(笑)に言って椅子低くしてやったから、ブレーキも踏めんだろ」
「わかったわ!」
「それと、特別講師の天城だ。クジ引きで選んだ」
「よろしくお願いします。暁ちゃん」
「よろしく!天城さん!」
「じゃ、天城。あとよろしく頼む」
俺は天城の肩に手を置いた。が、
「あの、天城は運転出来ませんよ?」
「え、その歳で?」
「どういう意味です?」
「や、ごめんなさい。歳いってるとかじゃなくて……大人っぽいというか……そう、なんだっけ、千石撫子?」
「大和撫子ですか?」
「そうそれ!」
「そんな……天城はそんなこと……」
顔を真っ赤にしてそっぽを向く天城。俺はそれを軽く流して暁との運転教室を始めた。
「っし、じゃあアクセルを踏んでみろ」
その瞬間、マフラーからものっそい土星エンジンが放出し、車が空中分解した。夕張マジ殺すわ。