「あー……。つっかれたぁ〜……」
ダルーンと後ろにひっくり返る陽炎。
「もう、姉さんだらしないですよ」
と、注意してはいるが、どちらかというと「お疲れ様」みたいな意味を含めて言う浜風。
「じゃ、俺は仕事やるから。残りはお前らでやっとけよ」
「はーい」
「ありがとうございました。提督」
そのまま出て行く2人を見送りながら、俺は再び仕事に戻る。ダメだ……眠い……ダルい……なんもしたくない。少し勉強会だかなんだか知らないけど頭を使い過ぎたな。
「仕事しないと……いやでもやりたくねぇな……」
流石に勉強教えた後に仕事はやる気が出ない。誰かに擦りつけるか……。こういう時に一番使えるのは金剛だよな。俺はLINEした。
『10秒以内に執務室に来ればいい事あるかもよ』
さて、後は仕事やれの書き置きだけしといて出掛けよう。
そのまま俺は歩きながらテキトーに街に降りた。とりあえずゲーセンにはいった。しばらく歩いてると、なんか見たことないゲームが見えた。ゾンビを撃つタイプのガンゲーなのだが、タイトルがゾンこれだった。
「なんーだこれ……」
襲い掛かるソンビを迎え撃て……ね。概要は鎮守府にウィルスがばら撒かれて、ゾンビ化した艦娘達をワクチン単装砲(レベルが上がると連装砲なりと進化)で治す、か。
「…………はっ、バッカじゃねぇの。ありえねぇ、ありえねぇよ……」
ちょうどプレイしてる人がいたので後ろから覗いてみた。
『ガ、ガイシュ……イッ、イッショ、クヨ………』
『テ、テイトク、ノ……心ゾ……ハートヲ、ツ、ツカ…ツカムノハ、ワ、ワタ…ワタスィネ……』
『ヤ、リマ……スィタ……』
『ナノ、デス……ナノ、デス……ナノ、Death……』
「…………………」
ありえねぇ、ありえねぇって。つか、よくこんなもんあるなオイ……売れると思ってんのかよ。プレイしてる方もしてる方だなこれ……。そう思って、プレイしてる子を見ると、どっかで見た顔だった。
「…………………」
そいつはただ黙って真顔で、マシンガンを両脇に挟んでトリガーを握っていた。銀髪の女の子。ていうか、浜風だった。
「…………………」
俺は何も言えなかった。が、そんな俺とは真逆に、そいつはただ黙々と画面の中のゾン娘のウィルスを駆除している……ていうか、ウィルスを取り除くのになんで血が出てんだよ……。なんて考えながら見てると、ラスボスが現れた。が、まったく一発も被弾することなく、浜風は完勝した。周りから巻き起こる拍手。てか、いつの間にかギャラリーが17人くらいいる。
「ふぅ………」
息をついて、マシンガンを元の位置に戻す浜風。そして、気恥ずかしそうに拍手を無視してゲーセンの奥に逃げようとした時だ。俺と目が合った。
「あっ」
「………………」
顔を真っ赤にして口をパクパクさせる浜風。えーっと…なにこれ、どうすりゃいいの俺。うーわ……あれ、お前これ……気まずい……。