もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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正月明け。既に正月休みは終わり、今日から仕事始めとなった。そんな中、俺はコタツに入る。だって仕事だるいし眠いし面倒だし。

そんな中、今日の秘書艦が入ってきた。

 

「提督、ちゃんと仕事してますー?って、やっぱりかぁ…」

 

今日の秘書艦は比叡さんみたいですね。まぁ今日は仕事する気ないし、誰でもいいや。聞こえないフリと寝たフリをダブル発動して、完全にダラダラモード。ていうか、なんかマジでダルいんだよね。

 

「もー!ほら早く起きて!」

 

「………」

 

意地でも起きねぇぞ。マジでだるいし心なしか頭も痛いしなにより面倒臭い。やってられるか。

 

「提督ー!」

 

五月蝿い…この野郎。仕方ないので切り札でも出すか。

 

「昨日、金剛がこのコタツで寝てたぞ」

 

「気合!入れて!寝ます!」

 

ふっ、チョロい。そのまま二人で睡眠。かと思ったら拳骨が来た。

 

「なに仕事サボってるんですか?」

 

「げっ、榛名…」

 

にっこり笑っている榛名。これは怖い笑顔だ。

 

「比叡姉様も。なに提督をサボらせているんですか?」

 

「は、榛名…どうしてここに…?」

 

「加賀さんに姉様じゃ頼りないからって言われて見張りに来たら、案の定この様ですか」

 

「で、でも仕方ないじゃない!このコタツで昨日、金剛姉様が寝てたって…」

 

「そんなはずありませんよ?昨日、金剛姉様は霧島とお買い物行ってましたから。ていうか、提督も昨日は駆逐艦の子達と雪合戦させられてたじゃないですか」

 

そういやそうだったな。あいつら子供は手加減という言葉を知らないからなぁ。偽装を夕張に改造してもらって単装砲から雪とは思えないほどの威力の物が飛んで来るんだよ。なんてしみじみ思い出してると、二人にジト目で睨まれていた。

 

「「提督……?」」

 

「や、違った。あれ金剛かと思ったら文月だったなうん…まぁ間違いは誰にでもあるし、むしろ人間は間違えることによって成長するんだからこれもまた俺の成長の兆しなわけであって…」

 

「提督、気合入れられたいんですか?」

 

「勝手は榛名が許しませんよ?」

 

「嘘つきましたすいません…」

 

で、仕事させられることになった。ちっ、仕事始めから監視二人かぁ…しかもアホと真面目だからなぁ…。まぁグダグダ言ってても仕方ない。最初だけ仕事するフリだけして後半は逃げよう。それ仕事全くしてねぇな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼頃。

 

「そろそろお昼にしましょうか」

 

榛名がそう切り出すと、比叡もん〜っと伸びをする。俺はといえば仕事するふりして絵を描いてたのであんまり疲れてない。いやむしろいつもより疲れはしたのかもしれないな。

あ、そーいえば木曾にガンプラ選びを頼まれてたな。

 

「じゃ、お疲れっした。俺ちょっと用あるから」

 

返事を待たずに執務室を出る。これこそ仕事から早く離れるための必殺技だ。で、球磨型の部屋へ。ふぅ、緊張するな女の子の部屋に入るのは。木曾だけなら問題ないんだけど、球磨と多摩も同じ部屋だったからな。

 

「木曾ーいるかー?」

 

ガチャッと開けると着替え中の木曾。え、なんで顔赤くしてんの?

 

「きゃあっ!て、提督なんで…」

 

「いやガンプラ選びの約束あったろ?てかなんでブラしてんの?」

 

「これはブラじゃなくて大胸筋矯正サポー…じゃねぇよ!なんで俺がブラしちゃいけねぇんだよ!」

 

「や、女装趣味もそこまで行くとちょっとアレだわ…国木さんみたいにおもしろければ別だけど」

 

そう言うと、木曾の眉がピクッと動く。

 

「お前今なんつった?」

 

「え?国木さん?」

 

「その前だ!」

 

「ガンプラ?」

 

「行き過ぎ!」

 

「女装?」

 

「はいそこぉっ!」

 

なんだよ…。

 

「お前、俺のこと男だと思ってたのか?」

 

「え?あー…違うの?」

 

そう言うと、ぷるぷると肩を震わせる木曾。で、目を見開くと思いっきり拳を振りかぶり、

 

「死ねぇぇぇっっ!」

 

顔面に拳を浴びた。それだよ、人を殴る時に手のひらじゃないから男の子なんだよ君は。ぐふっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

医務室。比叡に頬に湿布を貼ってもらってる。

 

「大丈夫ですか提督?」

 

「あーうん」

 

「今回は提督が悪いです」

 

「や、分かるんだけどよ。だってあいつ俺って言うし、口調も男だし、胸なんて胸筋だと思ってたし…」

 

「まぁ、分からなくはないですけどね…」

 

ほらね?とは言えなかった。まぁ俺も中学の時に顔が可愛いという理由だけで髪型変えられて死にたくなったもんだ。

 

「でもほら、やっぱり謝った方がいいですよ?木曾さん泣いてましたし」

 

「分かってるけどさ…勇気が出ない…」

 

「それは知りませんよ。がんばってください」

 

「いや一番肝心なとこじゃね?」

 

はぁ…困った。とりあえず謝らないとなぁ。せっかくこの鎮守府で唯一の男知り合いだと思ってたのによ。

 

 

 

 

 

 

 

俺(木曾)は部屋でしょぼくれていた。あぁ…男だと思われてたから俺にヤケに親しかったんだな…。確かに天龍のやろうはタケノコ二つ着いてるし、麻耶の姉貴はあたしって言ってるもんなぁ…。

 

「どうしたクマ?」

 

「うおわぁっ!球磨姉!ビックリした…」

 

「なんか悩んでるにゃ?」

 

「や、なんでもねぇ」

 

「そう言わずにさ相談すれば?木曾っちはなんか悩んでる時って目が泳いでて目に涙が溜まってて目に覇気がないんだよ?」

 

「目ばっかじゃねぇか…ていうか片目しか出してないのになんでそこまで分かる…」

 

「ほら、北上さんが相談してって言ってるんだからしなさい?それに木曾ちゃんは一番下の子なんだから私達に甘えてもいいのよ?」

 

「…………」

 

そこまで言われたら話すしかないか。

 

「実はな…」

 

で、さっきの話。それを聞いた瞬間、四人とも「うわぁー…」って顔になる。ですよねー。

 

「それは」

 

「さすがに」

 

「提督が、」

 

「悪いわね…」

 

うん、だよな。良かった。俺は間違ってなかった。

 

「でも木曾の普段の言動がそういう勘違いをさせるっていうのもあるクマ」

 

「まぁそうだよね〜。実際、胸だって私よりないし」

 

「北上さんはわたしよりないですもんね」

 

「あっ!コラ大井っちー!」

 

そのまま百合百合しくじゃれ合う姉貴二人。てか大井姉、顔ヤバイぞ。なんで涎垂らしてんだ。

 

「そうだ!いっそのこと木曾を改造するにゃ!」

 

「は?」

 

その言葉に球磨姉と北上姉がニヤリと薄く笑う。うおぉ…嫌な予感しかしねぇ…。

 

「それはそれはおもしろそうクマ」

 

「いいねぇ、痺れるねぇ♪」

 

「あの、みなさん?お願いだから木曾ちゃんが自殺するようなことしないでくださいね?」

 

大井姉が庇ってくれるが無駄だ。三人は既にその改造の準備とやらをしていた。チラッと引き裂けた服が見えた。その瞬間、俺の行動は早かった。出口に向かって全力ダッシュを図ったが、多摩姉の猫が鼠を捉えるほどの速さで捕まった。

 

「待つにゃ木曾!」

 

「いーやーだー!お前ら俺にどんな改造をさせる気だ!」

 

「き、近代化回収的なアレだにゃ!」

 

「近代化どころか縄文時代くらいまで太古の化石にされそうなんですが!」

 

「大丈夫!平成の次辺りまで飛ばしてあげるにゃ!」

 

「それはそれで嫌だ!つーか未来の人って全身タイツのイメージがあるんだよ!」

 

その瞬間、後ろから後頭部になにかが直撃し、俺は気を失った。

 

「木曾っち、五月蝿い」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺(提督)は昼食を取ったあと、執務室にて比叡と執務をこなす。なんか木曾を泣かしたとかで無理矢理働かされている。そもそも労働っていうのは無理矢理やらすものではないと思うんだよね。

俺としては一生下っ端でもいいからのんびりと働きたい。だから高卒で就職したのになんで提督になってるんだ…どういうことなんだよマジで。だれの陰謀だ。水平線上の陰謀か?てかなんでコナンの映画のCMって「新一ぃーっ!」「らぁーん!」って入るの?アレ大嫌いなんだけど。

とか思ってると、コンコンとノックの音。

 

「だれ?」

 

「き、木曾だ…じゃなくて、き、木曾だにゃん♪」

 

「おー入れ入……は?」

 

比叡も「?」って顔をする。ガチャッと音を立てて中に入ってきたのは木曾ではなかった。いや木曾なんだけど、木曾もどきっていうか、木曾の基礎を抜いたらこうなりましたみたいな…やっぱ基礎は大事ですね。

 

「き、木曾さん…なんで、猫メイドなんて…」

 

「う、うるせぇ!バカ姉貴三人が…!じゃなくて三人がにゃ…」

 

「いや無理しなくていいから」

 

顔を真っ赤にして反論する木曾。さすがに可哀想だ…。まぁなにも言わないであげるのが一番だな。俺が仕事に戻ろうとした時だ。

 

「木曾さん、頭でも打ちました?」

 

その言葉と共に号泣しながら出て行く木曾。

 

「比叡、トドメ刺すなよ…」

 

「は?なにがです?」

 

…狙ってやってないとか天性のスナイパーかよ。弟の方かな?とりあえず、なんとかしないといけないな。

 

「悪い。ちょっと出てくる」

 

「は、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び球磨型の部屋。今度はノックして入った。中には誰もいなくて、木曾だけがグスッとしゃくりあげている。

 

「なんだよ…」

 

「その、まずは大丈夫か?」

 

「大丈夫に見えるかよ…死にたい……」

 

うわあ…え、えげつねぇ…。

 

「まぁアレだ。俺は気にしてないから!誰にも言わないから!それでそんなことより俺はお前に用がある」

 

「なんだよぅ…」

 

まだ泣いてるのか。まぁいいや。

 

「その、知らなかったとはいえ悪かったな…男とか言っちまって…まぁ、さっきのは女の子らしくて可愛かったからさ。だから、許してくれ」

 

「………」

 

どうだ。ダメか…?

 

「………かったのか?」

 

「はい?」

 

「可愛かったのかって聞いてんだ!」

 

「は、はい!可愛かったです!いやもうマジ天使!むしろ小悪魔!」

 

「……ふへへ」

 

なんだ?怖いぞ?

 

「よし!なら明日だ!ガンプラ選びに付き合ってくれ!」

 

「は?」

 

「さすがにこんな格好はしないが、ちゃんと女の子らしい格好してくるからな!」

 

「や、キンケドゥの好きな格好でいいんじゃねぇの?」

 

「金欠?なに言ってんだ?いいから!明日だからな!首を洗って待ってろよ!」

 

「なに、挑戦状だったの?」

 

そのままウキウキ気分でどっか言ってしまった。あーあ…またややこしいことになったな。と、思ったら廊下から天龍と麻耶のバカにし腐った声と木曾の悲鳴が聞こえた。

 

 

 

 

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