ザパァーンと波の音がした。目を覚ますと、無人島だった。は?無人島?グリングリンと目をこする。はいテイク2よーい、カンッー☆
ザパァーンと波の音がした。目を覚ますと、無人島だった。は?無人島?グリングリンと目をこする。はいテイク3よーい、カンッー☆
ザパァーンと波の音がした。目を覚ますと、無人島だった。は?無人島?グリングリンと目をこする。はいテイク4よーい、カンッー☆
「いやしつけぇよ。手抜きか」
そんな声が漏れて、ボーッとする。俺、どうなるんだろ…いや真面目に。流石にこれはねぇだろ。無人島ってなに?いや漫画みたいにお腹空いたわけじゃないよ?スーパーの試食コーナー食い荒らしたし。でもこれはない。あ、そーいや古鷹は?
「おーい、古鷹ー」
まるで中島が野球に誘いに来たみたいな呼び方だ。あ、携帯で…、あれ?携帯は?ポケットをまさぐる。が、ない。携帯が、ない…。
「榛名ァァァァッッ‼︎加賀さァァァァんんんッッ‼︎‼︎古鷹ァァァッッ‼︎‼︎サヨウナラァァァァッッッ‼︎‼︎‼︎」
「なにやってるんですか提督」
後ろから声。古鷹がいた。
「心配して探してみたら…なにを言って…」
「古鷹ァァァァァッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎」
全力で抱き着いた。その瞬間、顔を真っ赤にしてる古鷹だがそんなもの関係ない。
「ちょっ…提督!?なっなっなっなにを……!」
「古鷹古鷹古鷹良かったー!いくらボッチでも終わった世界で一人暮らしは嫌だー!」
「わ、分かったから落ち着いて下さい!」
それでもぎゅうぅぅぅっと抱き締めた後、正気に戻って離すと全力で肩を落とした。
「恥ずかしい恥ずかしい…全力で抱き締めたことが恥ずかしい…憲兵に突き出すのだけはやめてよ…」
「大丈夫ですって…私も嬉しかったですし……(小声)」
「え?なに?」
「な、なんでもありません!それよりどうするんですか?脱出とか…」
「無理だと思うぞ。方角も分からないんだから。下手に海に出てアメリカに行っちまったり、途中で深海棲艦に出会したら最悪だもん」
「ですよね…とりあえずここでどう暮らして行くか、そして皆さんに連絡を取る方法が必要ですね」
「んーでも俺にサバイバル知識はないぞ。携帯海の底だからないし。そーいえば古鷹の携帯は?」
「えーっと…ありますけど圏外ですね」
「……なんで水没してないの?」
「さぁ……」
まぁそんなこと考えても意味ないな。
「とりあえず、森の中行こうぜ。なんかあるかもよ?」
「そうですね。逸れないようにしましょうね」
「手でも繋ぐ?」
「ふぇっ!?」
「あ、嫌ですよねごめんなさい生きてて」
「あっ!いえいえそんなことないです!むしろ繋がせてください!」
「は?」
「や、今のは…その…い、いいから行きますよ!」
「?」
なんだ?まぁいいや。そんなわけで森の中、あ、キノコ。毒ですね。てかなんもねーな。せめてサボテンでもあれば水分取れんのによ…。
「提督、お腹空きました…」
「なんか、悪いな…」
「今回は提督は悪くないですよ。私こそすいません、わがまま言って」
…限界近いな。せめて動物でもいれば…と、そこで俺達の目の前に現れたのは猪。
「ブヒブヒ」
「緊張感のかけらも無い鳴き方だな」
古鷹に戦わせるわけにはいかないか。特攻してくる猪。ふはは、火事場の馬鹿力見せてやるよ。
「て、提督…」
「二連釘パンチッ!」
メコッとクリティカルヒットしてぶっ飛ぶ猪。
「いやー鎮守府に着任する前に練習した甲斐があったな」
「れ、練習してどうにかなるものなんですか?」
「とりあえず食おうぜ。艤装は出せるか?」
「は、はい!」
一度森を出て猪を食べる。砲撃して火を出してもらった。焼く。
「固ぇな…」
「でも美味しいですよ?」
「うん。そだな」
「提督、ありがとうございます」
「あ?こんなんチョロいわ。それより暇だ。寝よう」
「ね、寝るんですか?」
「もう疲れた。眠い、明日だ明日。何事も明日だ」
「は、はい」
てなわけで、寝る。古鷹に上着を掛けてやると、俺はその辺にあった木の棒を持って寝ない。両方寝たら襲われた時どーすんだ。さて、しばらくやってなかったけど、獅子歌歌の練習でもするか。
しばらくっつーか一回もやったことないけど。
次の日、目が覚めると鎮守府にいた。あれ?俺寝ちゃってたの?医務室の中だった。
「提督!」
ガバッと飛び付いてくるのは榛名だった。えーっと、なんかあったの?あ、確か、えっと…あー助けてもらったのね。
「えーっと、どーせ遠征組がたまたま発見したとかそんなんだろーけど一応聞くわ。なんでここにいるの?」
「分かってるなら言わせないで下さい!まっっったく心配かけさせて!」
「お前は俺の母ちゃんか。てか古鷹は?」
「いいから黙ってて!」
えぇー…な、なんでだよぉー…。しばらくキョロキョロすると、加古に抱き着かれてる古鷹を見付けた。あーなんだ、無事ならいいか。
「や、その、なんだ?ごめんなさい」
「やです。古鷹さんまで危険な目に合わせて」
「え?俺が悪いの?」
「当たり前です!」
「当たり前なんだ…」
すげぇとばっちりだ。
「とにかく、みんな心配してたんですからちゃんと謝ってくださいね!」
「はいはい…」
「提督」
榛名とは別の声がした。古鷹だ。
「あの時、嘘つきましたね?」
「や、日頃から嘘ついてるぞ俺」
「そうではなくて、寝るとか言っときながら私のこと守っててくれたみたいですね。起きて」
「え?あー…うん。いや寝落ちしたと思うんだけど?」
「おいおい、覚えてねーのか?この加古様が助けてやったのを。お前が獅子歌歌やってたのをあたしが見かけたから助けられたんだぜ?その後、あたしの背中で寝落ちしたんだろうが」
全然覚えてない。睡眠って怖いね。
「そうか…とにかく、さんきゅーな」
「いいってことよ!」
「提督、私に嘘つきましたよね?」
「あー…うん」
「だから、罰」
言うと古鷹は立ち上がった。なにされんだ。しっぺ?デコピン?ババチョップ?と、思ったら顔を両手で挟まれる。なんだ、頭突きか?と、思ったら唇に柔らかい感覚。
「なっ!?」
「はっ!?」
「…? …!?」
おれだけ遅れて気付いた。ぐぐっと三秒ほど押し付けられた後、ぷはっと離れる。その瞬間、顔が真っ赤になる古鷹。
「そ、そういうことですから!」
「お、おい待てよ古鷹!その体で走ったら…ほら転んだ!」
なんて声が古鷹の走り去った廊下から聞こえた。まぁ、その、なんだ?柔らかかったな…。その方向をただボーッと眺めてると、バシッと榛名に叩かれた。
「鼻の下、伸びてますよ」
「鼻の下ってあの口の上の溝だよな。あれ本当になんであるんだろうな」
「バカ提督」
「へ?ちょっ…なに今の!」
だが榛名も行ってしまった。なんなんだ…。