あれから榛名が俺を見かけても無視するようになった。いやこっちから話しかけてもないし、会ったからって話しかけるような仲でもないんだけど。俺はといえば何時ものように仕事中。や、今回はフリじゃなくて普通にやってるから。
「あーつっかれたぁ〜…」
伸びをして休憩。さて、クッキーどのくらい出来てるかなー。お、五兆か。そこそこだな。……飽きた。たまには鎮守府の中でも見回るか。なるべく人がいない所を見付けてそこを俺専用スポットにしよう。いざ、新世界へ!
「あ、テートクー!」
執務室から出た瞬間だった。この喧しい声は金剛か。どーせ抱きついて来るからカウンターの準備でもしとこう。と、思ったら違った。思いっきり蹴られた。その上、比叡と霧島に捕まる。
「えっ、ちょっなに…」
そのまま金剛型の部屋に連れ込まれた。
「提督!」
「は、はい!」
三人に睨まれ、思わず体育会系の返事をしてしまった。
「榛名を泣かしましたネ?」
「え?あ……うん」
「司令、昨日すごく泣いてましたよ榛名。私の比叡カレーにも全然手を付けてくれなくて…」
「俺の前に比叡カレーが出たら涙流して落胆し、食欲がなくなるでしょ。つまり、いつも通り…」
「そうではなくてですね……」
霧島が呆れている。じゃあなんだよ。
「とりあえず、榛名が最近元気ないネ。だからさっさと仲直りするデース!」
「いやそんなこと言っても榛名口聞いてくれないし…喧嘩して口聞いてくれない時はその喧嘩自体を時の流れにより消滅させるのがベストじゃね?」
「そんなの私が許さないデス!可愛い妹を泣かすのはいくら提督でも許せないネ!」
「うーん…そんなこと言われても……」
「司令は仲直りしたくないのですか?」
「や、そうじゃなくて…俺って小さい頃から謝れない子だったから…なんつーの?照れくさい?」
「すぐに榛名や加賀さんに土下座してる人がなに言ってるんですか…」
「わかってないなダメガネ…じゃない霧島。改めて謝るのとその場で謝るのは全然違う。俺の精神的な面で」
「それは司令の問題じゃないですか!」
「そうだけど?」
その瞬間、全員がため息をつく。んだお前ら、腹立つぞ。
「とにかく!私達は榛名に謝るまで許さないからネ!」
「わーったよ謝りゃいいんだろ謝れば…」
それだけ言って金剛型の部屋を出た。でも急に話しかけて急に謝ってもなにこいつ、みたいになるよな…。どうしたもんかね…。
「とりあえず飯食いたい…」
腹が減っては戦は出来ぬと言うしネ!さて、じゃあ今日はラーメンにでも…。
「てーとくー!」
なに、今度は誰?と、思ったらゴーヤやらイクやらあの辺。
「なに、どした?」
「榛名さんが!なんかヤバイらしいのね!」
「でち!」
「ゴーヤ、魚雷借りるぞ」
「へ?」
拳銃はあるな。そのままみたスカイウォーク。界王拳×スカイウォークでカスガダマへ。見ると、榛名と大和の姿が見当たらない。他の連中は交戦中だった。今回は千歳の代わりに瑞鳳、比叡の代わりに大和に出てもらってる。
敵を見つけ次第、魚雷を投げ込んだ。そして、魚雷が当たる瞬間、その魚雷を拳銃で撃って強制的に爆発させる。で、加賀さんの隣に立つ。
「榛名と大和は!?」
「う、海の中に…大和さんは助けに潜りました」
「ちぃっ!」
はい、ブルーウォーク。大丈夫、まだ見える位置にいる。二人を抱き上げて浮上。
「ケホッケホッ!すいません提督…助かりました。てかさっき海の中走ってました?」
「大丈夫だ。榛名、おーい生きてるー?」
ダメだ意識がない。
「加賀さん。榛名連れて撤退。敵艦見つけてもシカト。全身全霊全力全開全速力で帰ってください」
「分かりました」
そのまま撤退する六人。さて、
「全員、駆逐してやる」
医務室。榛名、目を覚まさない。その医務室でマッサージチェアに揺られていた。
「あー…きーもちよかーおーい来てご覧!はーあーい」
あれ、これなんのCMだっけ。てか何年前だっけ。
「………てい、とく?」
「あ、起きた。おっはー、山ちゃんでーす」
いや山ちゃんじゃないけど。
「あれ?榛名は……」
「お前、沈み掛けてたから」
「また、助けて、くれたのですか?」
「え?あー…」
いや助けたけどバレたら怒られそうだな……。
「助けたのは大和。大和といえば最近入った秋月っているじゃん?大和の子供の時に見えない?」
「そう、ですか……」
はぁーいスルースキルねー。ヒドイやヒドイや。
「と、まぁ冗談はこのくらいにして、俺提督やめるから」
「は?」
「言ったじゃん。誰か沈んだらやめるって。今回はお前を沈ませかけたし」
「そ、そんな……」
「退職したらどうしよっかなーってことで求人誌ある?」
「ま、待ってください!そんな、やめないで…」
「ないかー…まぁとりあえず上層部に掛け合わないと。じゃ、ゆっくり治せよ」
「て、提督!……痛っ………」
「あ、あと一個。この前は悪かったな」
「………」
さぁて、辞職願の書き方調べないと。