現地人なめんなファンタジー 作:ハクスラ
俺の幼馴染はスゴイ奴だ。
多分、この世界の誰よりも。
村の名家の出身で、女でも生まれた時から喧嘩は強かったし、武器の扱いも長けていた。
女神様から預けられる『
大抵の事はやれば何でもすぐに覚えたし、計算だって出来る。
ガキの頃から強くとなろうとして、アイツは努力も続けていた。その御蔭で、村じゃ大人だってアイツに勝てる奴は居ない。
偶に、まるで
ここまでの力を持っておいて、オマケに見た目も可愛くて……唯一無いのは胸くらいな物だ。当人に言うと樹海の下に埋められるから絶対に言わないケド。
周りはそんなアイツを褒め称えて、愛でに愛でた。子供も大人も変わらずに女神や現人神に関わるような触れ方だった。
それは不気味がってのいた事の裏返しなのかもしれないが……それでも一目置かれていたのは事実だし、慕われていたのも間違いなく事実だ。
村や近隣に魔物が攻め込んできたら子供なのに駆り出されていたし、その魔物を容易く倒してみせるのがアイツだ。
まぁ、子供心にそんな奴がいて面白くなかったのが俺だ。親からも何度も比べられたし、俺自身、固有スキルも大した物は貰えなかった。
武器の取り扱いだってアイツより下だったし、何もかもが俺の遥か上の幼馴染に、俺は嫉妬で狂いそうになった。
ガキの頃から何度も何度も喧嘩をふっかけて、何度も何度もコテンパンにされた。そして、その度にアイツの功績が、強い所が増えていった。
やがて、親は俺とアイツを比べるのを辞めた。きっと子供とか大人とか、そういう枠組みを超えた物だと理解したんだろう。
だけど、俺は親と比べられ劣等感や嫉妬が静まる年頃になってもアイツに喧嘩を売り続けた。アイツに勝つ為に努力をし続けた。
なんで続けたのか……分からない。ただ意固地になっていただけなのか、強すぎて子供扱いすらされないアイツを哀れんでなのか、それとも、ただ強いやつと戦いだけか?
きっと、そのどれもが本当の気持ちで、どれもが誤魔化す為の詭弁なのだろう。
だとしても、俺は修行をやめない。
せっかくここまでやり続けてきたんだ、ここで投げ出すのはあまりにも勿体ない。
これは俺、レオン・ティネイルが。
アイツ、リオ・シューチトへと、ほんの一歩近づいて、三歩くらい先へ行かれる。そんな物語だ。
さぁ、今日も日課だ。
アイツに喧嘩を売りに行こう。
私の名前はリオ・シューチト。なんて言えば良いのかな……ありきたりな言い方をすれば、私は転生者だ。
死んだ後に女神様に出会って昔ハマっていたファンタジーゲームの世界に転生させてもらった、ゲームの題名は『バトル・オア・ライフ』。
ダンジョンに潜って戦い続けるハクスラゲームか、空き地に村を作って発展させるスローライフシュミレーターか、どちらかの生き方を選んで遊ぶオープンワールドRPGだ。
私はこのゲームのハクスラ要素に酷くドハマリして、兎に角自キャラを強くしまくっていた。スキルツリーも繋げまくったし、ネットでランキングに名を残すことも珍しくなかった。最終的に一番深いところまで潜っていたのは私だと思う。
ストーリーは王道なファンタジーと言った感じで特段深いものではなかったが、それでも魅力的なキャラは結構いたし凝られたストーリーもいくつか存在する。
というのもこのゲーム、大筋となるメインストーリー的な物はなく膨大なサブストーリーを詰め込んだタイプのゲームなのだ。
そんな無限に遊べるゲームを文字通り人生のめいいっぱいまでやり込んだ私は、ゲームの中の経験値やステータスも引き継がせて転生さへめもらった。
正に強くてニューゲーム、勝ったな!風呂入ってくる!みたいな状況だ。
実際、今までは村の子供や大人どころか魔物にだって負けたことはない。お陰で、若干8歳の頃から既に街の用心棒扱いだ。
原作のゲームのサブストーリーで悲惨な末路を迎える子を助けにでたことだってある。おかげで、村の交流関係も広がって村長に感謝もされた。
見た目も前世のゲームでキャラクリエイトした時に作った物だから、銀髪の可憐な美少女って感じでかなり気に入ってる。
お陰で、周りからは女神のように慕われてる。その噂が王国の方にも届いたのか、王国のダンジョン探索者の育成学校に通わせてくれるなんて話も出てきた。
だけど、まぁ、そんなに強いと色々と周りから壁を感じることもある。精神的にはとっくに大人とは言え8歳の頃から私に村の用心棒を任せるし、周りの子供は私を崇拝するようなことばかり言って取り入ろうとしてくる。
大人なんか私が名家の生まれだから余計に取り入ろうと考えてくる。子供だと思って滑られてるのかな……と、同時にそんな私を恐れておるのも感じる……私の
まぁ、そんな風につまらない気の使われ方をしてるものだから……何もなければ、いっそ誘いを受けて故郷から出て王国の学校に言って、さっさと卒業してダンジョンに潜るのも良いなって思うんだけど。
でも、そう出来ない理由があるの……それは……
「オラァッ!リオォッ!今日も俺と勝負しようぜ!」
……今、ドアを乱暴に蹴破って入ってきたこの青年。名前は……レオン・ティネイル。私と同郷の幼馴染で自他ともに認める負けず嫌い。
子供の頃軽く負かした時から毎回毎回私に喧嘩をふっかけてくる。勿論、私の全勝、彼の全敗。
でも、彼は何回も負けようと、どんな負け方をしようと、どれだけ努力が実らなかろうと、彼は努力を惜しまなかった、私へ挑戦し続けた。
お陰で、私も尻に火が付くようになってつられてレベル上げをするようになって、余計に強くなってしまったよ。
周りは彼のことを凡人凡人と言うけれど、私はそうは思わない。ただ、私に勝つ為……それだけのためにあそこまで力を研鑽できるのは、それはもう立派な才能だ。怠け者の私とは大違いだとつくづく思う。
「……リオ?聞いてんのか?」
この子のまっすぐな瞳が、転生チートなんてズルを引っさげてる私を真正面から越えようとしているこの男が、私にはとても眩しく見えた。
それはそれとして手は抜かないし毎回完膚無きまでにボコボコにするけどね。手を抜いたらそれこそレオンに失礼だし。
「リオ!」
「デカい声出さなくても聞こえてるって、分かってる。さっさとやるわよ。」
私はそう言って、立て掛けておいた愛武器のハルバードを手に持つ。これも前世のゲームで愛用していた武器だ、私の戦闘スタイル自体、主体はパワーこそすべてな脳筋ビルドだから安定してダメージを出せるこの武器種が強い。
「案外今日はノリがいいな……っしゃ!」
そう言って彼が背から取り出すのは、蛇腹剣だ。前世のゲームでは高いリーチと攻撃力を両立したが、扱いが難しい玄人武器だ。これを、レオンはかなりの水準で使いこなしてる……長年の努力の賜物だ。
っぱ私の事なんか言えないくらい凄くないか?コイツ……こりゃ油断して胡座かいてたらいつかならず追い抜かれるな。
私も負けてられないなぁ、どうせチートを持って生まれたんなら、ずっと最恐でいたいもんね。
「おら!外行くぞ!今日こそおれが勝つ!」
「はいはい……」
その今日が来るのは、いつのなるのかな……まぁ、気長に待ちますか!