大姪と私   作:クライングフリーマン

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午後から、やってきた大姪は、まだ、にゃんこ枕を抱いて悩んでいる。
「んー。思いつかない。」
「だから、無理しなくていいよ。


15.結束バンド

==== この物語はあくまでもフィクションです =========

私の名前は野本由起夫。姪の名前は如月来夢(らむ)。

私は、脊柱管狭窄症が進み、車椅子生活になった。私と大姪との同居生活が始まったのだ。

母が亡くなった後、私は徹底して『終活片づけ』をしていたので、大姪(妹の孫)は2階に居住した。

私が母と同居していた時の名残の『ナースコール』を復活して、私は必要時に大姪を呼ぶことになった。

 

午後から、やってきた大姪は、まだ、にゃんこ枕を抱いて悩んでいる。

「んー。思いつかない。」

「だから、無理しなくていいよ。本物のにゃんこだったら、名前は必要かも知れないよ。自分のことをどう呼ぶか認識しないと、食事もおやつも逃すかも知れないから、にゃんこにとっても大事だ。でも、それはクッション。オッチャンが枕にしてるだけ。」

「も少し考える。」

「それよりかさ、来夢、チャレンジしてみない?」「え?」

「昨日、宅配便で届いたのが、これ。」

「何、これ。」「けっそくばんどー。」

「可愛くない。」「あ、そう。」

「この前、君のお祖母さまが粗相して、隅に追いやった扇風機。やっぱり使おうと思ってね。触るな、って言ってるのに触りに行って怪我したやつ。」

「電源入るんだよね。プロペラ回るんだよね。使うの?」

「うん。エアコン、きつく感じることあるんだ。併用しようと思って。あの時は、『応急処置』しただけだったから。だから触るな、って言ったんだよね。」

「ごめんなさい。代わりに謝っておく。」「ありがとう。で、『本格処置』しようと思って取り寄せたんだ。やる気あるって顔だな。よし、軍手とペンチ用意。場所分かるよね。」

「うん。」

大姪は、すぐに扇風機をベッドの近くに持って来て。丸椅子を前に置く。

そして、軍手とペンチを用意してきた。

「こっちの先端が四角になってるよね。」「うん。」

「で、反対側が先細りになってる。」「ズボンのベルトみたいだね。」

「いいところに気が付いたねえ。この先っぽを四角に通して輪っかを作る。すると、その輪っかの内側にあるものを締めることになる。扇風機の部品、一番大きいのが前ガード、後ろガード。羽根を挟み込む構造だ。羽根を固定しているのが『スピンナー』とか『スピンナート』とか呼ばれている部品。案外知られていないのが、普通とは『逆締め』。日本語または英語で矢印と一緒に書かれている。何で逆に締めたり緩めたりするか分かる?」

「ううん。なんで?」

「遠心力って習わなかった?理科とかで。」

「えと・・・重りに紐をつけて振り回し、突然紐が切れると、重りがとんでっちゃうヤツ。」「概ね、そんなとこかな。扇風機の羽根が回る方向にスピンナーが締めてあると、その切れた重りみたいになっちゃうんだ。それで、前にある蓋は『逆締め』になっている。簡単に言うと、『時計と反対方向』が締める方向、『時計の方向』が開ける方向。これ、普通に考えて力尽くで廻すと、スピンナーが壊れる。老朽化で、このスピンナーが壊れる場合もある。この扇風機の前の代のが、そういう現象だった。こういう場合は諦めるしかない。ちょっと話が横道にそれたけど、前ガードが折れちゃって、後ろガードに挟み込めなくなった、のが故障原因。モーターは、来夢が言った通り、まだ生きてる。で、応急処置したんだが、確かに針金で縛っていると、危ない。」

「この拘束バンドは外れないの?」「外れにくい。最近は、悪用して犯罪に使われることもある。ギザギザが見えるだろ?」

「うん。」「そのギザギザが極単に言うと、こんな感じ。」

私は、空中に絵を描いた。

「じゃ、前ガードと後ろガードの位置確認しながら、ガード跨いだ輪っか作って。それで締める。尻尾が出来ちゃうから、適当に切る。で、数カ所同じ作業して、針金の方をペンチで切って。分解掃除しにくくなるけど、結束バンド切れば、分解掃除は出来なくもない。」

「埃貯まったら、捨てちゃえば。」「うん。そうする。」

「オッチャンのことは捨てないからね。」作業が終り片づけてから、大姪はそう言った。

「反応した?」「した。」「すけべ。」

またしても大姪に嵌められた。

大好きな、大姪に。

―完―

 

 

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