私は朝食もそこそこに、マニュアルを作って大姪に渡した。
「いい?今日完璧にやらなくていいから。今日はパート1だ。第一回だ。」
「オッケー!!」大姪は走って風呂場に急いだ。
ラベル剥がしスプレー、スクレーパー、軍手。用意万端だ。
様子をそっと伺う。
スクレーパー
==== この物語はあくまでもフィクションです =========
私の名前は野本由起夫。姪の名前は如月来夢(らむ)。
私は、脊柱管狭窄症が進み、車椅子生活になった。私と大姪との同居生活が始まったのだ。
母が亡くなった後、私は徹底して『終活片づけ』をしていたので、大姪(妹の孫)は2階に居住した。
私が母と同居していた時の名残の『ナースコール』を復活して、私は必要時に大姪を呼ぶことになった。
月曜日。朝。
今日は学校がある日の筈だが、午前5時半には起きている私に合わせてか、ストレッチや準備運動をしている。
ふと寒暖計を見ると、27度だ。
私は朝食もそこそこに、マニュアルを作って大姪に渡した。
「いい?今日完璧にやらなくていいから。今日はパート1だ。第一回だ。」
「オッケー!!」大姪は走って風呂場に急いだ。
ラベル剥がしスプレー、スクレーパー、軍手。用意万端だ。
様子をそっと伺う。
注意したように窓は開けている。まあ、普段から空いているが、密室にすると後が大変だ。
あまり知られていないが、この手のスプレーにはシンナーが薬剤として入っている。
ラベルではないが、粘着テープは熱に弱く、年数が経つと、大姪が言ったように気持ちの悪いグミ状になる。
スプレーは、この粘着グミを溶かして、液状に変化させる。
すると、スクレーパーなどで剥がし易くなる。面積が狭ければヘラでもいい。
根気よく続ければ綺麗になっていく。
窓側だけの作業を終え、片づけて私の所に来た大姪は私の体に倒れかかった。
ひょっとしたら、シンナーにやられたか。次に作業させる時は、ゴーグルとマスクを用意しなくては。
ついつい夢中になってしまいがちな作業だから、一人で作業する時なぞはキチンタイマーが必要だ。
私は、鼻うがいの装具を持って来て、台所で鼻うがいをさせた。
「すっきりした?」「うん。すっき・・・遅刻しちゃう。」
慌てて準備をして出て行った。
幾ら気温が下がったとは言え、今やらなくてもよさそうなものだが、「思い立ったが吉日」はDNAだな。
夕方、帰宅した大姪は尋ねた。「私が倒れた時、反応した?」「した。」「でも、手当した。偉い。でも、すけべ。来週パート2ね。」
そう言って駆け上がった。
もう何回「した」って言わされたかな?
笑いながら、私はまたPCに向かった。
―完―
※スクレーパーは金属ヘラです。竹ヘラより手入れが楽です。
ホームセンター、100円均一の店で売っています。
スプレーは、100円均一には無いかもしれません。
ホームセンターでなくとも、インターネットで買えます。
ラベルではないが、粘着テープは熱に弱く、年数が経つと、大姪が言ったように気持ちの悪いグミ状になる。
スプレーは、この粘着グミを溶かして、液状に変化させる。
すると、スクレーパーなどで剥がし易くなる。面積が狭ければヘラでもいい。
根気よく続ければ綺麗になっていく。