大姪が驚いたのは、台所に貼ってあるリメイクシールだった。
==== この物語はあくまでもフィクションです =========
私の名前は野本由起夫。姪の名前は如月来夢(らむ)。
私は、脊柱管狭窄症が進み、車椅子生活になった。私と大姪との同居生活が始まったのだ。
母が亡くなった後、私は徹底して『終活片づけ』をしていたので、大姪(妹の孫)は2階に居住した。
私が母と同居していた時の名残の『ナースコール』を復活して、私は必要時に大姪を呼ぶことになった。
「リメイクシール?これ、シールなの?」
大姪が驚いたのは、台所に貼ってあるリメイクシールだった。
まだ、母の介護をしていた頃、自宅に「訪問」してくれたケアマネジャーも、かなり驚いていた。何日かに分け、同じ紙を用意し、扉に合せ、模様に合せカットしていく。
その「合せ」技が結構大変だった。
台所だけでなく、洗面所もリメイクシールを貼った。
母が生きていて同居し出した頃、床に「フロアクッション」を貼り、天井にもシールを貼った。もうそんな体力はない。天井などは、「海老反り」しなくては貼れないのだ。
どんなものでも、年数が経つと、色あせてくる。
私は、台所の「開き」、洗面所の「開き」のリメイクをした。
100円均一の店には、色んなものが置いてある。
ホームセンターや文房具店より安く手に入り手軽に使える。
無論、用途にもよる。
私は、大姪に100円均一の店に買いに行かせ、リメイクシールの貼り方を伝授した。
容量を呑み込んだ大姪は、母が使っていた和箪笥の引き出しを見事に「メイクアップ」した。
「お前も綺麗だが、タンスも綺麗になった。」と、大姪を褒める。
「ありがとう。」と言って大姪は私に抱きつくが、数秒後経つと、こう言う。
「反応した?」「した。」「スケベー!!」
勢いよく二階に上がって行く大姪を見ながら、私は呟く。
「ジジイ揶揄う癖、仕事場で出したりしないだろうな。勘違いされるぞ。」
姪からスマホに電話があった。
「呼んだ?」「呼んでない。」「なあんだ。」「なあんだ、じゃなくて何か用事があったんじゃないのか?」
「どうしてるかなあ、と思って。」
私はリメイクシールのことを話した。
「もっと、色々教えてやって。オッチャンに教わると、『タダ』だから。じゃねえ。」
この親にして、この子あり、か。
何とか、流しに立ち、コーヒーの用意をする。
いつもインスタントコーヒーだ。
コーヒーメーカーも、父の葬儀の時、葬儀社から貰ったのが健在だが、面倒くさいのだ。
そうだ。大姪に使い方を教えよう。私が死んだら、遺品になるのだろうし。」
―完―
私はリメイクシールのことを話した。
「もっと、色々教えてやって。オッチャンに教わると、『タダ』だから。じゃねえ。」