大姪と私   作:クライングフリーマン

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草掃除?庭掃除でしょ。前にお母さんに聞いたわ。オッチャン、『心筋梗塞』になった時、庭掃除してて、気分悪くなって、休憩してたけど、どうもおかしいと思って戸締まりちゃんとしてから救急車呼んだって。


8.庭掃除1

==== この物語はあくまでもフィクションです =========

私の名前は野本由起夫。姪の名前は如月来夢(らむ)。

私は、脊柱管狭窄症が進み、車椅子生活になった。私と大姪との同居生活が始まったのだ。

母が亡くなった後、私は徹底して『終活片づけ』をしていたので、大姪(妹の孫)は2階に居住した。

私が母と同居していた時の名残の『ナースコール』を復活して、私は必要時に大姪を呼ぶことになった。

 

「草掃除?庭掃除でしょ。前にお母さんに聞いたわ。オッチャン、『心筋梗塞』になった時、庭掃除してて、気分悪くなって、休憩してたけど、どうもおかしいと思って戸締まりちゃんとしてから救急車呼んだって。担当の先生がもう少しで命落すとこだったって言ったって。よく戸締まり出来たね。」

「うん。救急車を自分で呼ぶのは初めてだった。ゴールデンウィークの少し前、誕生日の前々日だった。緊急だからって、ベッドに横になったまま誓約書にサインさせられて手術。何やら管を入れるって言うから、内視鏡検査かと思ったら、カテーテル手術でステントとか言う部品を、詰まっている部分に入れた。本当に死ぬかと思った。多分夢なんだろうけど、『三途の川』を渡りそうになった。浅い川でね。深さは腰の辺りまでしかない。で向こう岸まで歩いて行こうとしたら、向こう岸に、オッチャンのお母さんの方のひいお婆ちゃん、お父さんの方のひいお婆ちゃん、それに、亡くなった従姉のおねえちゃんが、何か叫んでいるんだ。最初、何言ってるか分からなかった。でも、だんだん声が大きくなってきた。『来るな!まだ来ちゃいけない!!』そう言ってたんだ。大きくなった声が、突然変わった。担当医の声だった。『終りましたよ』って声だった。」

「その時死んでたら、私に会えなかったね。」「そうかも知れないな。まだ小さかったし。」

「で、段取りは?」

「前庭、側庭の草を引く。手で引き抜ける場合が多いが、『火鋏(ひばさみ)』で掴んでゴミ袋に入れて行く。『火鋏(ひばさみ)』は、色んな言い方がある。『ゴミはさみ』とか『炭つかみ』とか。ひいお婆ちゃんは『カネ火箸』と言っていたが、本来のそれは、2本一対の箸。囲炉裏とかに使うやつ。雑煮箸のデカいやつ。玄関の傘立ての横に刺してあっただろう?」

「ピンセットのデカいやつ?あ。とげ抜きのデカいやつ。」

「そう。それ。錆びてるやつが、元の実家にあったもの。錆びてないのが、この家の。昔はステンレスじゃ無かったからな。オッチャンが産まれる前からあったんだ、錆びてる方は。で、抜いた草を・・・あ、軍手しろよ。玄関にあるから。抜いた草を回収したら、今度は、草が生えていた所に、除草剤を撒く。軍手濡らさないようにな。もしこぼしちゃったら、後で手をよく洗う。除草剤は液体の場合も顆粒状の場合もあるが、心構えは同じだ。可愛いおててが荒れちゃうからな。取り敢えずは前庭と側庭でいい。第二弾は、裏庭と『中庭』だ。来夢、明日の天気は?」

「雨。ずうっと雨。明後日の朝まで止まない。」「だから、今日だ。」

「え?」「晴れた日にも作業は出来るが、除草剤は染みこんでいかない。除草剤が一般的で無かった頃は、食塩を使っていたんだよ、みんな。オッチャンも、余った食塩撒いた時もあった。これは、虫や小動物の為でもある。食塩で死ぬ生き物はナア、実はいないから。」

「え?ナメクジは?」「ナメクジが出たら、食塩だ。でも、あれで退治出来る訳じゃない。ミクロ化するから、人間に見つかりにくくなるだけ。ナメクジは、捕食する動物に殺される。」

「今回は、食塩使わないんだね。」「うん。使いたかったら使ってもいいけどね。壁際は撒き難いよ。ついでに言うと、土って、生きてるんだよ。『土地が肥えてる』とか『痩せてる』とか言う言い方があるが、それは、農家の人達が作物を作るのに必要な養分を沢山持ってるかどうかって、話なんだ。化学肥料を真っ向から反対する人もいるけど、必要な婆もあるんだ。」

「『土地が痩せてる』場合ね。」「そう。ウチは、建売住宅だけど、元は農地だったんだ。それで『土地が肥えてる』から、雑草が生えやすい。」

来夢は、ノートに一杯メモ書きをした。

「オッチャン、博学だから好き!!」と、私に抱きついた。

「あ。反応した?」「した。」「スケベおやじ!!」

笑いながら、玄関で軍手や除草剤、火鋏、ゴミ袋を用意して、来夢は出て行った。

若いナアと思いながら、結局、「反応した?」という、いつも誘導に引っかかってしまった。

夕方からは、雨である。

―完―

 

 

 

 

 

 




「オッチャン、博学だから好き!!」と、私に抱きついた。
「あ。反応した?」「した。」「スケベおやじ!!」
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