昴くんはなにもしない   作:あまも

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そういえば主人公最近動いてないから怪我してないな。

……せや!


閲覧ありがとうございます!



45-1:捜索と回収と探しもの

 

 

 

 なんというべきやら。

 

 大冒険してきたんだねぇ。

 

 

 追跡メガネで反応を追い、賢橋駅構内のコインロッカーの中に丸くなり、緊張と疲れで眠っていた新一くんを発見し、回収。

 

 改めて、これ結構便利だね。

 

 景光くんのサングラスにもつけてもらうか?今後もこうして新一くんや少年探偵団やら皆々様がどっかいっちゃうことも多々あるだろうから。

 

 ……ってなると、零くんも欲しいよね。お揃っち。

 ふむ……零くんはどんなメガネが似合うかな……変装用かな……黒縁クソデカメガネで可愛さ出させてみるか……?

 

 

 

 いっぱい食わされた“バーボン”への愚痴やら負け惜しみやらを、キャンキャンと吠え騒ぐ新一くんを宥めながら、阿笠さんちに送り届けた。

 

 バーボンさんたら、江戸川コナンくんを鼻で笑って『(あっさ)いガキンチョ(意訳)だな』と煽ってきたそうな。

 私だってそんな事しないぞ。……あれ、どうだろ?やるかも?

 

 

 メッセージの零くんの言い訳を要約したノアズ・アーク曰く。

 

 今回はジンに見張られているとはいえその見張り自体はウォッカだったので、せっかくだから私や景光くんが褒めそやしている“江戸川コナン”ってのはどんなものかなと思い、試してやったそうな。

 

 結果的には無事で済んだものの、メッセージで景光くんが『後で説教だ!( ‘ᾥ’ )』と憤慨していたので近々の報告会が若干楽しみである。

 

 

 零くんにも、ウォッカさんなら大丈夫って自信あったのかね?

 ……ゾンビのおじちゃんがウォッカさんでまちがいなかったなら、意外と良い人っぽいし…色々見逃してくれたり、付き合いやすいのかも。

 

 

 

「昴くん、コクーンの方は良いのかのお?」

「今は休憩中です。ぶっ続けでやってたら脳ミソおかしくなっちゃうので」

 

 阿笠さんちに来たので、ついでに朝ごはんとして適当に冷蔵庫開けて手に取った野菜と玉子の雑炊でもちゃちゃっと作っちゃおうかな〜とね。

 

 一晩中、新一くんと小林くんのことを心配して待っていたという阿笠さんはこの後仮眠するらしいから、あまりガッツリしたものは食べない方がいいかな。

 生姜入れてとろみつけて、グッツグツのアッツアツにしてやろ。冬の生姜なんていくら入れたっていいんだから。

 

 

 鍋の上に、薄い手袋越しに手を翳してみるが、湯気が温かいなと思う程度。

 

 さっきは蛇口からの水が、温水かどうかよくわからなかった。

 

 やーっぱこれ、おかしいよなぁ。

 

 

 目の端で、身だしなみをちゃんとした灰原さんと、にゃむにゃむと眠そうに顔を洗いに行く新一くん。

 洗面所前で半目の灰原さんと鉢合わせして、「なんで昨日帰った人が居るのかしら」と詰問されている。まったく、詰めが甘いね。

 

 

 …………そこにコーヒー用に沸かしたお湯が、やかんからぴぃーと音を立てて……熱そうな湯気を吹き出しておるじゃろ?

 

 

『お兄ちゃん?』

「昴くん?やかんの湯気、その向きでは危なかろう」

 

「……ああ、すいません」

 

 目敏いなぁふたりとも。

 やかんの注ぎ口を、誰も居ない側へ向ける。

 

 ……いやいや、それは流石にやらないが。

 後で、冷ましたお湯で試してみるか。

 

 

 

 ■

 

 

 組織が、天才プログラマーの板倉卓に依頼したが断られ、しかし脅して無理矢理作らせたという……板倉卓が世のためを思い、完成を渋りに渋って未完のままとなった謎のシステム、なるもの。

 

 はたしてそれはどんなものだろうか、と個別で新一くんと景光くんそれぞれから聞かれたので、素直にそれぞれに「さぁ?私にはわかりかねます」と答えておいた。

 

「もっとしっかり考えて」とか言われたが、そんなん言われてもな。

 

 

 プログラムに限らず、“モノ”なんて結局使い方と使う人間の善し悪し。応用可能かって話。

 人間のためであろうとためにならなかろうと、作った人の意図とは違う道に進めたがる人はいるし、人に迷惑掛けて困らせて優位に立ちたい人たちも沢山いるからな。

 

 そんなん言ったら、このいい子ちゃんなノアズ・アークだって悪いように使おうと思えば、今の初期の発展途上なネットワークなんてチョチョイのチョイでぶっ壊せるだろうし。

 断固として使わせないし、ノアズ・アークには善悪しっかり学んでもらっているからそうはならないと今後も信じているが。

 

 あんなに楽しいコクーンも、ひとさまの脳ミソを電子レンジのようにチン出来てしまう……機能は実は無いけど、人間を廃人には出来る。これもチョチョイのチョイだよ。

 ちょいと……中で、麻薬使ったのと同じ状態を再現してやればいいのだから。

 依存性を高め、コクーンの利用にどっぷりと浸からせてしまえば……後は人なんてどうとでもなる。

 脳ミソに直接干渉できるってのはそういうことだ。

 いや、やらせないけど。……でもたぶん、出来るんだよなあれ……

 

 ……死者を甦らせる……時に逆らう……人類のためには作られてはならないもの……ねぇ…………?

 

 案外、本当に“人間”の情報化だったりして。

 

 ……いや、無いな。マトリックスになっちゃうし。救世主はもういるから。

 

 現在、コクーンの公開発表はまたもや延期している。

 コクーンの一般テストプレイのテストプレイの結果、バグもゲームも大丈夫そう……ではあったものの、別の意味で大問題になりそうなものが出てしまった。

 

 それが私の、『長時間プレイ後、感覚に強い違和感がある』という体験談。

 

 これにより、現象の再調査のためまたしばらくARATAの社員さんたちは頑張ることとなってしまった。

 あれが私の体の問題なのか、それとも私のこの時のプレイ状態が原因だったのか……

 長時間の連続稼働、強制終了などなど、原因として考えられる動作は多かったので、色々試してみる必要がある。

 

 これで私だけの問題ではないとなるといよいよ大問題発覚だが、私だけならそれはそれで、私的には大問題だな。

 いよいよ苦手になっちゃうぞ。

 

 樫村さんは「違和感を感じたり、危ないと思った時点でテストを中止しても良かった」、と言うのだが、ゲーマーが面白いゲームを途中で体調不良なんて理由で中断出来るかって言われたら……うーん……

 

「でもFPSやめれないんだけど」の言葉を思い出してしまった。

 あの方は無事で何より。

 

 

 面白いゲームやってて、その最中にストップ掛かって、中断ねぇ。

 ……無理……かな……少なくとも私は、楽しみにしていた新作ゲームは出たら可能な限り徹夜でやる。やり込む。

 コクーンなんて……あんな面白ゲーム、出たらみんなこぞってやるだろう。

 

 ……市販、しない方が良い気がするんだよな。

 制限かけようが、自宅に置いてあったらやれる限りやりたいしやれなくてもやる。

 いっそ、全数ゲーミングカフェみたいにコクーン本体をズラっと置いて、時間で貸し出しする、みたいな仕組みでの提供の方が安全だと思う。

 値段も抑えられるし……予約制とかにしてさ。

 

 …………あれは……好きなタイトルが出たら、絶対やり込み勢は出ちゃうぞ。1playの値段とか気にしないぞ。

 そんだけ体験としては素敵なものだ。頑張ってもらいたい。

 

 なんて、そんな案も置いてきたわけだが。

 

 

 

 ■

 

 

 さて、大阪の遠山 銀司郎さんから、『安室探偵事務所所属の情報捜査担当、沖矢昴』宛の依頼が来た。

 依頼というか、ただの頼み事だが。

 

 なんでも、元刑事で彼の部下だった“楠川”さん、という方が東京(こちら)で探偵をしているらしいのだけど、手紙で『大事な話がある』と伝えてきたっきり、後に何も彼からの連絡がなく、銀司郎さんから連絡をしても繋がらず、とまぁ……実質音信不通なのだそうな。

 

 

 様子を見てきて欲しい、という……電話での銀司郎さんの口調からして、そこまで心配ではない様子であった。

 

『なんや、妙な予感があってなぁ。明日うちの和葉と平次くんが東京(そっち)行くんで、あの子らに頼んでもええんやけど……沖矢くんがもし暇なんやったら、ね。おお、依頼料も払うで』

 

 ってね。

 おそらくは久しぶりのお電話ついでに、私……というか、“安室探偵事務所”の仕事はどんなことやってるのか、とかの確認も含めてたのではとも思う。

 

 ぶっちゃけ、正真正銘ただのもののついでなのだが、頼まれたからにはパパっとね。

 

 せっかく遊びに来る服部くんと和葉さんには、気持ちよく新一くんや蘭ちゃんと遊んで帰って欲しいし。

 ……余計な事件に巻き込まれそうだが。

 

 …………って事は、これ、もしかして服部くんがこの楠川さんの様子を見に行った時に何か起こる……?

 

 

 ……景光くんに、連絡しておこうか。

 

 

 

 というわけで、色々と調べてからやって来ました杯戸町4丁目の有鳩荘。

 

 ちょっぴり歴史を感じる外観のこちらが、楠川さんのアパート。

 

 

 

 ここから、私は酷い目に遭うこととなる。

 

 

 ■

 

 昼前には戻る、という張り紙はあったがとっくに昼は過ぎている。まだ帰っていない。

 ……帰れていない、状況かな。

 

 一応、こちらで調べられる限りのことは探って、それぞれバイト中の景光くんと、銀司郎さんにメッセージとメールで伝えてある。

 

 ……楠川さんの足跡を辿ると、賢橋町の弁護士の家に向かってから出てきていない事。

 その家にはどうも怪しい人物の出入りがあること。

 その弁護士について、詳細をまとめて……

 

 さらに細かい情報も潜る(・・)許可を与え、ノアズ・アークに潜って貰っている。

 もしかしたら、これ急ぎの案件かもしれないので、探ってる途中でこうして急いでアパートに来たってわけ。

 

 今も耳からノアズ・アークが新着情報をくれるが、どうもお金に余裕のある方々への、脱税の上手いやり方ってのをHow toしてくれてるみたいで。

 

 確か、脱税の指南ってのも罪で合ってるよな?

 

 脱税自体悪いことだったはず……税金関係、細かいところが難しくて、自分がちゃんとする事しか覚えてないから、どうやると許されてどこまでやると許されないのか、わからないんだよ……

 

 もっとカードゲームみたいにテキストを分かりやすくして欲しい。この効果が発動した時この効果が適用されます……みたいにさ。

 

 え?タイミング?優先?対象と選択?

 ………………

 

 ルールは一見複雑そうだけど、やれば複雑だぜ!

 

 

 ノアズ・アークにも、この後私に何かあったらバイト中なはずでも緊急の時は電話を3回鳴らせば来てくれる約束の景光くんに、連絡してもらうこととして……

 

 意を決してピンポンを鳴らすと、しばらくしてから出てきたのは、恰幅方向に体格の良いバンダナを巻いた、やや不衛生な印象の男性。

 目つきは悪く、こちらを睨みつけて来ている。

 

 うん、私の知ってる楠川さんの顔と違う。

 

「……誰だ、アンタ?」

「ああ、こんにちは。私、とある人を探していまして……楠川さんという探偵が、安く引き受けてくださると聞いたので、伺いました。

 あなたが楠川さんですか?」

「…………はァ、そうですが(・・・・・)

 

 はいアウト。

 

 カマかけてみたら、私が楠川さんの顔を知らない、と思ったのか、成り代わるつもりのような返事を返してきた。

 

 どうやら楠川さんはしっかりと、既に事件に巻き込まれている。

 

 そしてこいつ、犯人は1人ではないとは思ってたけど、あの下手人と思われる弁護士女性相手なら銃とか出ても行けると思ったがこれは……分が悪すぎる。

 

 どうしようかな……もうこの時点で既に警察に連絡してもいい気もするが……銀司郎さんには連絡してたっけ。警察には知らせてあるか。

 

 ……とはいえ遥々大阪の彼が、東京(こちら)に協力や連携頼むにしても、まだ、楠川さんに何が起きたかわからない。

 

 この、出てきた男が何者なのかも。

 ︎︎ワンチャン関係ないとか、別の事件とかあるかもしれないし。

 

 うーん……まぁもしもの時はノアズ・アークが連絡してくれるし……

 

 うん、よし。

 

「そうなんですか。良かったら、昨日から連絡が取れない私の知人を探して頂きたくて……」

「今立て込んでるんだ。依頼は受けられねぇな」

「そうですか……

 

 その探してる方の名前、“楠川”さんっていうんですけど――」

 

 

 薄らと開けられていたドアが跳ね除けるように勢いよく開き、私はギョッとして身を引いたが、私が取れた行動はそこまで。

 

 

 首に熱いものと、脳天から足元まで突き抜ける激痛。

 ︎︎

 当てられた体の右側がぎゅっと詰まって、強張る感覚。

 

 

 誤作動で阿笠さんの手袋の電流に触っちゃった時に何回か経験してるヤツやこれ。

 

 

 コノヤロー、そんな立派な体格してんのにスタンガンなんて持ちやがって。

 

 

 痺れはするが、一瞬ならまだ。

 ︎︎痛いけど。アホかってくらい痛いけど。

 

 これ電流の痛みでショック起こさせる程度のやつか。

 ︎︎手袋の方がキツイな。痛いけど。

 ︎︎電流で機械類が逝って無いかだけ心配。

 ︎︎ノアズ・アークが声かけてくれないから、イヤホンがショートした説はある。

 ︎︎毎度思うがスマホ持ってこなくて良かった。

 

 スタンガンを当ててきた腕を掴む。あんま力入らん。

 ︎︎いてぇ。

 

 

「……ア?まだ動けるのかてめぇ」

「 」

 

 

 声にならない。

 ︎︎バチバチと何度も、押し当てられた所から痛みが……拷問かこれ。

 

 立ってらんないよ〜!

 

 

 いや、泣き言いいたくもなる。流石にキツイ。

 

 ︎︎スタンガン連発がこんなにキツいとは。

 ︎︎1回で意識を飛ばせれば良かったのに、変に耐性があるせいで。

 

 

 タンパク質とかの焼けた臭い匂いがする。

 ︎︎おい、髪焦がすなよバカ。

 

 ……お肉焼けてない?大丈夫かこれ。

 

 

「クソ、なんだコイツ……いい加減離せ!」

 

 

 アホかよ。電流で筋肉が収縮して離せないに決まってんだろうが。

 全身丸めて、まるで男の足元に縋りついてるみたいな形になってしまった私を、男は最後にボールみたいに蹴り飛ばし。

 

 

 その先に、床はなかった。

 

 あ〜……

 ︎︎史実には無かった池田屋、北添浪士再現、行っきまーす……ってね!

 

 

 ︎︎零くんとあんなに練習した受け身は、身体が痺れて上手く出来そうにない。

 ︎︎唯一ワンチャンは、身体が丸まってることだけかな。でもこれ首もグワングワンでむりみが

 

 

 

 

 ふふ。飛び散ったお星様がきれいだこと。

 

 私は、1段目で左側頭部及び後頭部を強打した辺りで意識が飛んだ。

 

 ︎︎後は野となれ山となれ というやつ。

 

 





するってぇとこうなるを教えるべく、見通しが甘い人がいたら見通しが甘いことしないといけない説がありまして

これ2回くらい書き直したんですが、どうしても主人公死んじゃうのでなんとか生存ルート探したらこうなりました。


読んでいただきありがとうございました!
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