昴くんはなにもしない   作:あまも

105 / 154


この事件の犯人、中々だと思うのですがこれでも過去にはまだ良心らしきものがあったとされるの、過去から今までで何かあったに違いない…
これが東都の魔力か…

閲覧ありがとうございます!


45-2:無事なら無問題というもの

 

 

 

 せーせきはっぴょー!!!

 

 フルボッコだドン!

 

 

 

 

 目が覚めたら知らない床だった。咳き込みそうなほど埃っぽい。

 

 天井じゃないんかい。

 

 

 へー……こういうのって白い部屋とか病院以外で始まるパターンもあるのか。

 

 埃っぽい暗い部屋は、小さな窓から光が射し込んでおり、全体像ではなんとなく……屋根裏部屋という印象。

 細かい塵が光の中を舞っているから、空気は動いてるらしい。

 

 頭が1番痛いが、もれなく全身痛い。

 

 動けないほどではない……あ、嘘です無理です。体に意識向けたらこれダメです痛い痛い。

 

 色々とマズい打ち方したようで、頭の他にも特に左腕、右手の指がヤバそう。

 ︎︎足も痛いが、腕や頭ほどじゃない。

 指が揃わなかったり、関節の感覚がなかったり……

 ︎︎まーた左腕ですか。

 

 マズイなぁ……これ。

 ︎︎骨やってそう。

 痛いとか通り越して熱くて変な感じなのに、動かそうとすると『オイオイ、そこ、怪我してますよ!( •ω-  )☆』って痛みで主張してくる。

 

 てめぇ黙ってろ。

 ︎︎意識してしまうとどんどん痛くなるので、他の事で気を紛らわす努力を。

 いてぇけど。

 

 ……バカじゃないの?

 ︎︎なんでこんな怪我してるわけ?意味わかんない。

 

 出血もあったのか、乾いた血の塊で引っ張られた皮膚の感触が顔にある。

 こう……目やにとかヨダレとかそのままにしたみたいで非常に不快。

 

 

 

 たまにやる気出すとコレだから、まったく……米花町っていうのはさ。

 いや、襲われたのは杯戸町だったか?

 

 

 

 困ったことに、今回は私も浅はかだったもんで命があるだけまだマシだよねとしか言えない。

 

 コクーン内のゲーム感覚で、犯罪者ムーブやってたせいで、野蛮な方向の暴力への意識ばかり向いてしまっていたなぁ。

 あの体格なら殴ってくるとか、タックルとかで来ると思ったのに……あとは、危ない人達の危ない凶器とかさ。

 

 

 スタンガン……スタンガンは予想外。

 ︎︎ゲーム内の時代設計に無い武器だったね。

 ちゃんと今で考慮すべきだった。あれは決して“弱者のための”武器じゃない。

 

 薬物とか電気とか、状態異常で敵にデバフかけるのはどこでも強いとされてる戦法だし、自分でもやってるくせに。

 

 ……バカじゃないの?

 ︎︎だからポンだって言われるんだよ。歩いて3歩で忘れるニワトリかお前。

 

 

 

 縛られるでもなくここに放置されているようで、伏せた顔には眼鏡の感触が無いので階段ローリンボーイで落としたか、はたまた奪われたか。

 頭からの出血が派手だったもんで、ほっといても死ぬと思われたのか、それとも生きてるとわかっていて、情報が広まるのを恐れ監禁することにしたか……

 階段落ちからどれぐらい経ったのかわからない。

 光の角度的には横からではないようで、昼の前後……だと思う。

 待てどくらせどノアズ・アークの返事がない。

 ︎︎となると、どうせ携帯も奪われている。あの階段落ちならぶっ壊れてるかもわからん。

 ……また心配させてしまっただろうか。いいや、絶対に生きて帰らなきゃならない。

 言ったからには……景光くん達にそう頼んだからには、私もそうしてやらなきゃならない。

 心を強く持つことにしよう。

 

 ……しかしながら……うーん。いてぇ。

 ︎︎蹴飛ばされてた腹も痛い。だんだんじわじわ痛くなってきた。

 

 

 ふざけんなよ東都。

 ︎︎私、今回なんも悪いことしてないだろうが。

 

 ……んん、財界の中級やらかしヒューマンの裏漁ったりはさせてたわ。

 いやアイツら悪いことしてるからこれは捜査の一環で零くんが許してくれるやつ。

 うん、私は悪くない。

 

 

 

 

 ――誰かの話し声がする。

 

 ほとんど動けてはいないが、目が覚めた時の体勢に戻して、首や全身から力を抜く。

 髪のバラけ方までは再現出来ないが、そこまで覚えてるのは秀吉くらいだろ。

 ……いや、顔の血が不快過ぎて動かしてたから、血の塊ひび割れてたかも。

 顔伏せてるし、薄暗いから気付かない説。

 

 ……体温まではどうしようもない。相手が鈍い事を願う。

 

 

 これぞ狸寝入り!

 

 オポッサム程は尊厳的な意味で無理です!これでも社会的な人間やってるので!

 

 

 

 ガタガタと床板が揺れ、床の1部が開いた。

 ︎︎折り畳まれたハシゴがカタカタと組まれるような音。……さて、何人かな。

 

「……フン、まだおねんねしてるぜ。楠川の野郎にも(ツラ)を見せたが面識はねぇって言ってたろ」

 

 上がってきたらしい声。男だ。

 ︎︎私の様子を見るだけ見て、何か荷物らしきものを置いていった音。

 そしてハシゴを降りていったのか、声が遠くなる。

 

「ったく……お前、関係ない相手まで襲って、余計な仕事増やすんじゃないよ!」

 

 女の声が下から。にゃおんと猫の鳴き声も聞こえる。

 

「だがよぉ……あの男、妙な事言うもんだから……」

 

 情けない声は、たしか楠川さんの家で私を襲った男の声のはず。

 

「フン。……結局、どこの誰かもわかってないんだろう?」

「あいつ車の鍵は持ってても、その鍵で開く車は周りに置いてなかったんすよ……」

「……まぁいいわ。さっきの電話のボウヤと楠川、全員まとめて一緒に夜になったら処理しちまいな」

「「へい」」

 

 そこから足音が去っていく。

 

 “電話のボウヤ”、ねぇ……あの口ぶりだと、楠川さん、もう命が怪しいかも。

 

 

 ってことはこのままだと私も命が怪しいってこと。まずお!

 

 

 小林くんと、銀司郎さんへの連絡をノアズ・アークがしていてくれているはずだし……となると銀司郎さん経由で服部くんには連絡が行ってしまっているはず。

 

 ノアズ・アークから、『これガチめにヤバいヤマかも!』ってことまで伝わっていれば話は早いんだけど……“電話のボウヤ”かぁ……もう来てるかもなぁ。

 

 

 連絡手段もなんもない自分が考えててもどうしようもないな。

 

 今の自分で可能な動きの検証をするしかない。

 足は頑張らないと無理。腕は正直両方無理。頭は痛いしたぶん(あばら)の下の方やってる。

 

 

 総評は……ちょっと動けないかも!

 

 

 

 ………………銀司郎さんと小林くんがどうにかしてくれてることを祈るとしようか……

 

 こういう時、新一くんや零くんは抜け出せたりどうにかしたりできるんだろうな。

 改めて、バケモンバケモン。

 ︎︎野生の社会性あるゴリラ。

 ……おまえそれただのゴリラやないかい。

 

 ……諦めて、体力回復に努めるか。

 

 

 ■

 

 

 ガヤガヤと騒がしい声で目が覚めた。

 

 床の跳ね扉が開いて、ギャンギャンと騒ぎながら登ってきたのは……

 

「なんや、誰か……って、沖矢ハン!?」

「えっ!沖矢さん!?なんでここにおるん!?」

 

 この関西訛りの男女の声。服部くんと和葉さんか。

 

 後から連中も来ているようで、足音が続々と続いてくる。彼らが私と知り合いだとわかって、誰かが私の方に寄ってくる気配。

 自然、身が強ばりそうになる所を、つとめて力を抜いた。

 そして髪を鷲掴みにされて、頭を持ち上げられる。

 ︎︎何本かブチブチと抜けた感触がするし、引っ張られた頭の皮膚も大概ながら、無理やり動かされたせいで怪我してる頭と左腕の方が痛い。

 

 ……耐えろ、私の表情筋!(無表情)

 

 

「沖矢さん!沖矢さん!アカンで平次、沖矢さん、あんなボロボロで……」

「へぇ、このボウヤと知り合いなのかい?コイツも楠川について嗅ぎ回ってたのよ……アンタと同じ、探偵かしら?」

「……せやで、この人もこの東都の探偵事務所で助手やっとる人や。あの毛利小五郎とも知り合いのお人やで」

「へ、平次!」

「……頭部から出血……そん人に何したんやアンタら……!!」

「ハッ。勝手に階段から転げ落ちただけさ。あんな所で倒れてられたら大変だからね。“保護”してやってんのよ」

 

 服部くんが怒声を上げてくれているし、和葉さんは心配そうに呼びかけてくれている。

 私は探偵じゃないんだがな。まったく、服部くんたら何言ってんだか。

 

 ……しかし、これは……どういうこと?

 こっちとしてはなんで君らも捕まってるのか、そっちが気になる。

 剣道大会上位常連と、合気道有段者だろ?

 こんな連中どうにでも出来ただろうに。

 

 ……薄目を開けてみる。

 

 男の手に拳銃があるのを見て、納得した。

 ︎︎しかもその銃口は、和葉さんを狙っていた。

 うんうん、銃は怖いよね〜。(銃口見てれば回避余裕とか言ってた一部の人外は除く)

 

 もう1人の男も持っていた銃を私に向けて、服部くんを脅して何かさせようとしている。

 ……ってことは、彼らも私がまだ生きてることは分かってるんだな。あっこで椅子扱いされてる、私と同じく反応のないグッタリした、顔が判別できないくらいボコボコになった男性、メイビー楠川さんのことは死んでしまったと思ってるらしい。

 

 すっげーや。

 彼らの“おしゃべり”を聞いてるんだが、こういう普通に小悪党って感じの犯人、あんまり会ったこと無かったけど……

 こんなにも治安悪そうな人種も、日本人にいるんだな。

 米花町の小悪党、こういうのあんまりいないよね。野生のチンピラとかゲス野郎はいるけど、ここまでの『埋めれば万事解決!』タイプ……

 

 なんでこんなに暴力的なだけの連中が野生で跋扈してんだか。…………組織の下っ端の方がもっと上手くやるぞこれ。広田さんとかさ。何だかんだいって、強奪成功してるからな。

 ︎︎……ああ、だからこいつら、組織と関わりないのか。

 こんな浅い人たち、すぐボロ出して捕まっちゃうだろ。

 

 

 さて、どうやらこの2人。楠川さんを探してくるようにと銀司郎さんに頼まれて、彼の家から捜索を初め…

 この弁護士の家に辿り着いたらしい。

 

 そこで、楠川さんが掴んだ弁護士の悪事の証拠を保管している銀行の貸金庫の暗証番号……それを暗号で残したというので、この西の名探偵殿に解いてもらおうとそういう魂胆だそうな。

 

 説明するだけして、その暗号の書かれた紙を屋根裏に投げ捨て、3人は屋根裏部屋から立ち去った。

 どうも話を聞いていると、弁護士の女に対しての電話やらメールやらがひっきりなしにあちこちから来ているようで。警察が脱税関係者たちに手を回してるんだろうか。

 

「…………な、おい。2人とも、意識あるやろ」

「えっ!」

 

 こそりと潜めた声でかけられた服部くんからの確認に、驚く和葉さんへと、楠川さんと私はそれぞれ顔や、頭を動かす事で応えた。

 

「楠川さんは鼻んとこの埃が微かに動いとったし、沖矢ハンは痛み堪えてんねやろ。表情は変わらへんのに、足と手ェの先、縮こまっとったで」

「……おやおや、そんなんでバレますか……」

「流石、本部長の息子さんやな……」

 

 意識はあるけど、私も彼も“意識はある”だけだ。

 楠川さんも怪我の具合が酷い。

 本人も、さっきまで本当に気を失っていたというし、正直彼らが来るまで私も意識が飛んでいた。

 さっきの床の扉が開く衝撃で起きたようなものだ。

 

「一応、沖矢ハンから教えてもろてたからな。警察はもう動いとるで。せやけど、楠川さんが何処におるかわからんもんで、手がかり辿って……ほんで俺らはここに楠川さんがおるか、確認しに来ただけやったんや。……が、のォ……

 

 和葉ァ、せやからお前は毛利探偵ん所で待っとき言うたやろが」

「そんなん!平次がなんや怪しいとこ行こうとコソコソしてたからやんか!」

「あー!?怪しいもなんもあらへんやろうが!お前んとこの親父さんから頼まれた事先に片そ思てこちとら」

「あーあーあー痴話喧嘩は後にしてください……」

「「痴話喧嘩ちゃうわ!!」」

 

 痴話喧嘩やろがい。

 

 そしてあんまり騒ぐなって。

 扉のすぐ下で聴いてそうな気配がする。

 床に直接くっついている、寝転がった私と楠川さんだから気づける事だろうから、楠川さんがキツそうに腕を動かし、「シィー」と静かにするようジェスチャーした。

 それでようやく、若いふたりの痴話喧嘩は止まって、申し訳なさそうな、神妙な表情に戻る。

 

 

「……まさか沖矢ハンまでおるとは」

「お父ちゃんが『沖矢さんから情報もろて捜査中や』言うてたやん?その後捕まったんか?沖矢さん」

「はは……そんな感じです……」

「ホンマ、アンタ鈍臭いやっちゃのお」

「ふふ……面目ない……」

 

 うーん、鈍臭いのは間違いなく。

 予想してたらまだマシに対処できたはずなんだが……服部くん達がうっかり捕まっている事実からわかる通り、この犯人共、行動までが躊躇いなしで早すぎる。

 犯罪に躊躇がないのは、なんか組織でももうちょっと考えてるぞというか、組織さんってみんな結構考えてるんだなってか……

 考え無しのバカばっか。

 

 こしょこしょと話してくれる話曰く。

 

 銀司郎さんは、私が送った財界人連中の脱税の証拠の詳細を、“私”が送り続けている情報の精査、という方法で確認し続けてくれているようだが、部署やら大阪と東京という距離やらでちょっとだけ手こずっているそうで。

 

 そして――

 

『あっちの……ヤバいとこ(・・・・・)の連中も動いてくれとるみたいやから、平次くんはあんまり深入りせんとき。大事やから。 楠川の居場所、探すだけでええし……ああ、毛利探偵に頼んで協力してもらうんがええやろ。

 ︎︎……んで、これ、……沖矢くんの様子もおかしいから、彼にも詳しい話聞いてきたって。……気いつけや』

 

 と、銀司郎さんは服部くんを送り出し、そんな用心しろと言われた服部くんは、楠川さんの捜索と私への事情聴取に……江戸川くんを呼び出したそうな。

 

「別ルートっちゅうか、俺らは楠川さん方向からで、く――毛利のおっちゃんには、小林さんと一緒に沖矢ハンを探してもろてたんや」

「……小五郎さんと……コナンくんと小林くんが動いてるんですか?」

「せやで」

 

 主に後半の2人の名前に、服部くんは深く頷いてくれた。

 

 

 あー……

 

 

 その言葉が聞けたなら安心だ。

 

 小林くんと、新一くんが動いてくれて、そして銀司郎さんや服部くんが動いていたことがわかった。

 うんうん。

 

 犯人終わったなこれ。

 

 勝ったなガハハ。

 

 

「じゃあ安心ですね」

 

 

 それで安心して、ドっと一気に体から力が抜けた。

 会話のために少しばかり上げていた首も落ち、痛みでついついクソデカ安堵のため息が出る。

 

「おいおいおい、まだ安心するには早いやんけ」

「せや、沖矢さん、その怪我大丈夫なん!?頭、血ィそないに流して……」

「私より楠川さんですよ。頭を重点的に殴られてらっしゃる。早めに病院で精密検査してもらわなければ」

「そらあんたもやろ。兄ちゃん、関係ないはずなんに…なしてそんな怪我しとんの」

「せやせや。楠川さんが殴られたってんはわかるんやけど」

 

 ゴリゴリの関西弁2人に釣られて、古巣の訛りが出てきた楠川さんからも関西訛りで心配されてしまっている。

 

「いやねー、別に私は……ちょっとスタンガンで痺れながら階段から落ちただけで……」

「アカンやん!」

「アホか!池田屋の北添知らんのかアンタ!」

「あれは創作ですよ」

「創作でも人死ぬ勢いやねんで!」

 

 いやぁ。小五郎さんとかもあの急な階段転げ落ちて、足折るだけで済んでるしな。

 

 

 

 

 

 ふと、下からチャイムの音。

 そして射し込んでいた光がブレた。

 

 チャイムの音に注意が向いた和葉さんが疑問の声を上げる横で、光に気付いた服部くんと、楠川さん、そして私が揃って、唯一光を取り込んでいた小さな窓を見上げ……

 

 

 そこに、無表情の綺麗な美人を見て、服部くんが仰け反った衝撃で和葉さんが文句を言っている。

 

 

 これ絶対怖いやつ。

 

 まぁ、無表情な美人ってか小林くんってか景光くんなんだが、彼は小窓の下のカーテン、の裏へと消え、数秒程キュイ、カタ、カチンと何かの操作の音が。

 

 そしてぶわりと、カーテンの裏にあった大きな窓が開け放たれ、たくさんの光が屋根裏部屋を照らし出す。光の中、窓の縁に足と手をついているグレーのパーカー男。

 

 

 か、カッコイイ〜!ヒーロー!

 

 

 でも待って!

 このヒーロー、無表情でとっても怖いんだけど!

 

 

 彼は、殴られた服部くん、服部くんと共に後ろ手で括られた和葉さん、腫れ上がった顔で倒れている楠川さんとを順に見る。

 

 最後に私を視界に入れると、土足のまま部屋に滑り込んできた。

 

 

 そのまま真っ直ぐ、私の元へ来ると、しゃがんで私の左腕に手を添える。痛えんだけど。

 

 

「……また無茶したのか」

「……無茶ではなかったんですけど」

「黙ってろ」

「ひどい……」

 

 

 

 あーあ。ガチトーンですよこれ。

 

 どっかのお嬢様の横で『お前を殺す』って言う時と同じトーンですよこれ。デデンッて始まりそうですよこれ。

 景光くんが何故そんな感じなのか、大体は意味が分かっちゃうだけに、何も言えないのは困りもの。

 

 いやでも今回、私本当に無茶とかしてないんだってば。相手が悪いよ相手が。

 

 

 これ絶対怖いやつ〜!

 

 

 ■

 

 

 無表情の美人は下の階への扉を踏みつけ1発で蹴り抜いて(?)、同時に下からとんでもない音と物が吹き飛んで滅茶苦茶になる音、そしてその後、騒々しい破壊音が階下から響き渡った。

 

「えー……と」

「え……だ、大丈夫なん……?」

「あの兄ちゃん、やりすぎなんとちゃうか……?」

「……こ、殺すまではしてないかと……」

 

 騒がしさには慣れてるであろう関西人達から困惑の声をいただきまして。

 大丈夫なはず……自信はないけど……

 

 やがて、戻ってきたグレーのパーカー男と……赤い蝶ネクタイと大きな眼鏡の小さな少年、そして、小五郎さんが上がってきた。

 

 新一くんは真っ先に声をかけてきた服部くんに目を丸くして驚いていたが、服部くんの元へ寄ろうとした彼を、その当人が止める。

 

「警察は呼んどるんやろ?あとは救急車も必要や。……早急に」

「楠川さん!……に、って……」

 

 言われて新一くんは屋根裏を見渡し、楠川さんの方を見て、そして私で固まった。私に駆け寄って来て、頭、左腕、足と素早く目視。

 

「小林さん!」

「ああ」

「蘭ねーちゃん!救急車!2台!!急ぎで!」

 

 小林くんへとひと声だけかけて、下で待っているらしい蘭ちゃんへと救急車の要請の声をかけながら、彼は上がってきたばかりのはしご階段を降りていった。

 ︎︎代わりにぐるりと見渡した小五郎さんが酷く顔を顰める。

 

 

「オイオイオイ!!!探偵ボウズに和葉ちゃん!それに楠川さん、に……なんでオメーがいんだよパソコン小僧!!?」

 

 

 正味ホントそれ。

 

 文句はおそらく下で伸びてるだろう恰幅の良い男に言って欲しい。

 

 小五郎さんが楠川さんの容態を見ている間、小林くんが服部くんたちの拘束を解いている。

 

「平次くん達は怪我は?」

「平次がさっき殴られとったけど、それくらいや。やんな?」

「せや。こんくらいツバ付けときゃ治るやろ。

 それより楠川さんと沖矢ハンや。2人とも喋れてはいるんやけど、頭のほう、結構打っとるらしくてな。あんまし動かしたらアカンで」

「そ、そうか」

 

 服部くんが真剣な顔で言うものだから、小五郎さんや和葉さんまで真剣で神妙、シリアスムード満載な表情をなされてまぁ。

 

 よくわからんが、とりあえず下は全てを蹴散らしたっぽいし。

 

 彼らが行動したならきっと、証拠とかもどうとでもなる状態まで来れたんだろうし。

 ほなええか。

 

 

「言うて私、頭はもう血も止まってますし…………

 ︎︎助けも来たわけなんで……ちょっと私、仮眠しても良いですかね?」

「アカンで!」

「アカンアカン」

「寝るなよ」

「そうだぞパソコン小僧!死んでも起きてろよオメー!」

 

 

 ああん凄い皆からヒンシュク買ってる。

 

 死んでも起きろってなんですか小五郎さん……

 

 いやねー?正直、小林くんの顔見た瞬間から恐怖以上に安堵があってさ。安心したらドッと眠気が来てるんだよ……

 

 痛みも酷いし……

 

 

 うーん……

 

 そうだ、ノアズ・アークに早めに無事を伝えなきゃ…………

 

 でも……意識が……

 

 異変に気付いた景光くんが、私の頭のすぐ横に膝をついて覗き込んで来る。

 

「ハル?おい、寝るな!起きろ!」

 

 ペチペチと顔を叩かれるが、頭動かすなって言われてたでしょうに。

 ︎︎そうだ、たしか彼の携帯にはペンタ・ゴンちゃんが……

 

「みっちゃん……できれば携帯を……」

「ハル!!」

 

 貸して……欲しくて……

 

 

 

 

 ぐぅ。

 

 

 

 





何も心配はいらないです

やりたい話が多くて中々クラッシュ行けませんね…
だが奴は…弾けた

読んでいただきありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。