昴くんはなにもしない 作:あまも
年末年始に向けてラストスパートに忙しいので更新飛び飛びですいません
年末年始はめっちゃ忙しいか暇かのどちらかになります。
悪霊退散!メリクリ!
閲覧ありがとうございます!
手の怪我も治り、じっくりのんびり休憩を取らされた私はすっかり元気いっぱい。むしろなまってしまった気がして、朝の走り込み走りすぎちゃってちょっと脚が痛い。体力落ちちゃった。唯一に近い自慢なのに。
なんだか新しいことを始めてもいいような気分である。
︎︎ああ、体調が良いって素晴らしい。
今日は阿笠さんたちと少年探偵団、そして小林くんのメンツで山にキャンプへ。
阿笠さんたら……これでもかとキャンプ三昧してるが、行くたんびに何かあるのによく懲りないもんだ。
今回のキャンプでは、阿笠さんは特製の暗号を引っ提げて向かった。
この私が何の予備知識も無しに見ただけで秒で解けてしまうような簡単なものだったので、きっと子どもたち向けなのだろう。新一くんはまた解説役なのかな。
行けるかどうかの調整連絡中に、そんな暗号があると聞いた小林くんがいそいそと研究所までやって来て、暗号を見て暫く悩んでいたのには驚いた。
しかし答えに辿り着くや否や、指を鳴らして再度出て行き……虫かごや昆虫ゼリーを買って来てね。
鳥居に樹液を塗って、虫を集めて虫捕りさせてやろうという狙いだったらしい。
現地の様子と答えとを照らし合わせ、阿笠さんの真意と彼の予定していた“お宝”まで見抜き、阿笠さんをしょんもりさせていた。
なるほど、昆虫取り……木でやるものという先入観があった私、そこまではわからなかった。
︎︎やっぱすげーよ景光くんは。
蘭ちゃんと園子さんは海へ水遊びに出かけている。
彼女たち、夏になると毎回海に行くよね。
……そんなに海好きかね。あんな塩っけたっぷりでベタつくようなところ……好きなんだろうな。
……そう、季節は夏である。
外に出たらせっかく体調良くなったのにまた体調悪くなってしまうので、今日も今日とて空調効かせた新居でのんびり調べ物である。
結局、私の手が治るまでどれくらいかかったのか未だに曖昧だ。
青森や別荘からそれぞれ新出医院の面々も戻ってきて、ちゃんとした
︎︎健康なのである。
健康の代償に、まぁまぁな量の時間をまた失ったはずなんだけど……これがなんにも感覚がない。季節がいくつかあったような気も、まだ数ヶ月と経ってないような気もする。
せっかく11月は調子良かったのに、コクーンと気絶三昧で時間感覚またおかしくなっちゃったな。
……まぁいっか。これまでと同じだろう。
日付意識大事にね!
さてさて、今やっておきたい調べ物はいくつかある。
ひとつは、安室透探偵へ届いた依頼の情報収集。
これは彼の部下の人たちの集めたものと私とノアズ・アークの集めたものを合わせて、最終的に零くん自身が判断して動くため、それほど難しくない。
……1個、何やらあむぴより
小五郎さんに回して、新一くんに手伝ってもらった方がいい……かもしれないやつがある。
オカルト絡むと零くんが皮肉モードに入っちゃうから……厄介だし、面倒くさそうなやつだからね。
……それに、これ……逆に依頼料はふんだくゲフン――金払いは良さそうな相手なので、この間の大ポカ事件以来お小遣い制が導入された小五郎さんには飛びつきたくなる依頼じゃないかなと。
うん、よし。これは小五郎さんに回そう。きっと2人も良いよと言ってくれるはず。
ふたつめに、新一くんが蘭ちゃんからまたもや疑われた末に“工藤新一”名義の携帯の番号を教えちゃったらしいので、彼の携帯のセキュリティの強化を。
……蘭ちゃん、新一くんから『いつでもかけていい。でれねーかもしんねーけど……』と言われてるそうなので、ちゃんと大事な話をしたい時以外は自重するつもりではあるそうな。
…………今早速、何かメール送信されて、そのまま電話かけてるみたいだが……少年探偵団と一緒にいるはずの新一くんが通話に出ているので、その内容は帰ってきたら小林くんに聞くとして。
……新一くんは何考えてるんだ?
彼ら若いふたりの恋路は応援したいけど……本当に蘭ちゃんのこと守る気あるんかね?
そしてみっつめに……長野県の怪しい警察さんたちについて、である。
どうやらあちらの……長野県警の中に、“
泥参会をはじめとした力のある自由業な方々や悪いことしたがる人達から押収した拳銃などの銃火器、危険物、違法薬物を、裏ルートで売りさばいて私腹を肥やしている……っぽいんだが。
困ったことに、流された
そういった捜査をしている側なだけあって、何を残すとバレてしまうかをよくわかっているようだった。
……なるほど、こりゃ零くんも対応に慎重になるわけだ。
下手に動いて調査していることがバレると、連中は雲隠れしてほとぼり冷めるまで素知らぬ顔で捜査を切り抜け、逃げられてしまうのだろう。
……そしてこれ、どうも……歴史というか……長い時間かけて嫌なノウハウ積んだベテランのやってる悪事らしい。
ルートが2本ほど見つかったけど、これだけでは足りなくて……怪しい報告の件数的に、他にもいくつか売却ルートがあるはずなんだ。
そちらもまとめて探さないと……うーん……
零くんから制限といくつかの禁止事項をもらった上での許可と、くたびれメガネのおにいさんこと風見さんの協力を得て、指定された時間の間、指定されたPCと回線を使っての県警のデータの調査を許してもらって、やってみてるなう、なの、だけど……
情報……データとしての証拠が何も無い。
どうやらほぼ全ての重要なやり取りをアナログで行い、警察同士の連絡の中に隠語を含めて啄木鳥会としての活動をしているようなのだ。
脳内完結の出力無し時代遅れが1番セキュリティしっかりしてるんだから!!
やべー……私この件、役立たず確定なんだが。
参ったな……
一応、お互いに匿名ではあるが、1人。長野県警の人で、この件について協力してくれるという刑事さんを引っ掛けることはできた。
︎︎彼に県警内部を探ってもらうのは……私から頼むことではない。彼を使うなら公安として、零くんか、風見さんから言ってもらう必要がある。
彼、やる気はあるっぽいんだがな。
︎︎今のところ人となりしか分からないのがね。字面だけなら良い人っぽい。報告書形式で、私はちょっと読みにくいがね。
……でもこれ、本当に現地で直接、やり取りを見ながら証拠を集めないと実態を暴くなんて出来ない。
かといって匿名のこの人に無理させるのは良くないし……
うーん……いやらしいほど姑息で、上手に隠した手腕。
銃火器の出回り数が異常なだけはある。
それだけ様々な局面で、色々な手法で長年売りさばいているんだろう。
……どうにか頑張って、長野県警内部からの直の証拠集め、頑張ってもらうしかないのかな……
……これ以上は探れないとこまでは見れた。
この借りてたノートPCごとデータは風見さんに渡して、後は次の指示を零くんから待つだけだ。
収穫はゼロではなくて、状況的には押収されたはずなのに“0”表記で報告されている、横流しされたであろう品物の辿り着いた先は少しは探れたから……きっと零くんも許してくれるに違いない。
しかしなぁ。
調べ物ついでに色々見てたんだが、
それとなんで『被疑者死亡』の件がこんなにあるんだ?
……下手すると泥参会、あっちのが勢力強かったりする?
群馬に行くと、ちらほら見掛けるのは間違いないんだけど。山とかでさ。
よく穴掘ってたり囲んで焚き火してるんだよね。
遭遇するならクマよりはマシ。
ホモサピは鼻と耳と目が悪いからね。
…………これはマメなんだけど、どんなにお金に困っても、穴掘りバイトだけはやめた方がいいぞ!
山で見かけた小さなお山を思い出していたら突然チャイムが鳴ったのでかなりビックリしてしまった。
PCを閉じて出ると、大家さんの息子さんの開人くん。
しゃがんで目線を合わせてやるんだが、身を引いている。
こっちは頑張って笑顔にしているというのに。
「どうしました?」
「あ、えっと……そ、その……赤い人って……シロクロくんと…………
や、やっぱなんでもない!」
ええ?……なんなのぉ?
パタパタと走り去ってしまうお子様。
残された、玄関先でしゃがんで行き場のない手を伸ばした私。
……子供ってわかんねぇ〜!
何考えてるかイマイチ分からん。
やっぱり7歳まではどの子も神の子だからね、思考が空を浮いてるものさ。仕方ないね。
……はて、あの子何歳だろ。
……あまりにも興味無さ過ぎて、記憶に無いな。
今の小さい新一くんと同じぐらいか?
今後も付き合うなら、ちゃんと意識してやった方がいいんだろうか。
……え〜?めんどくさいでござるよ〜
あ、例によって例のごとく、キャンプに行った少年探偵団は事件に巻き込まれ……たというか、正確にはそちらではなく海に行った蘭ちゃんたちがナイフを持った男に襲われたり、その犯人の車に乗せられるなんてヤバヤバなピンチだったんだけど……
何だかんだして、蘭ちゃんの蹴り1発で無事を勝ち取ったらしい。
……強過ぎる……怖いけど、頼りになっちゃう子だ。
諸々含めて、頼りにしちゃいけない人でもあるんだがね。
■
悪霊に呪われたとかいう事件。
国友家、という、静岡の一等地に豪邸構えてるような大金持ち様からの依頼があむぴ宛に来ていたんだが、ネームバリューのある眠りの小五郎大先生の話をしたら見事にそちらへ乗り換えてくれた。
……執事の赤塚さん曰く、神社も寺も教会も行ってみたし、霊媒師も何人か呼んでみたが真相は不明のまま。
だから科学的な方面からも調べてみるべきではないかと、何にでも縋りたい思いで今回探偵に依頼することとなったそうな。
…………科学的な視点なんて、探偵よりゴーストバスターズにでも頼むべきだよ。
小五郎さんがそんなの持ってるわけないだろ!
…………とまぁ。
ひよっこからの横流しを豪邸で一泊食事付きで依頼料がっぽりに釣られて……“大変
いやはや、資産家は大変だねぇ。
件の国友家までの道中、詳しい“霊障”を国友家お付の運転手だという綿引さんと執事の赤塚さんが教えてくれたのだが……
なんでも屋敷に悪霊が棲みついて、悪夢見せたり、棚倒して食器ぶちまけるなんてポルターガイストな事をやってきたり。
謎の怪文書を届けてったり、車のブレーキオイル抜いたりするらしい。
後半のそれは……生きてる人じゃん。
いや……人だろうそれ。
話だけ聴いてる分には……どうも怨霊感が足りない。
もうちょっとこう……わかりやすく恨み
呪い感高めてこうよ。旦那様の体調が悪い?それは心労でしょ。
でもその話の最初、『悪霊が出る』というワードを聞いただけで蘭ちゃんは、渋る園子さんを誘って買い物に走り逃げ出した。
お化けじゃなさそうだし、大丈夫だと思うんだが。
むしろ、正体わかってから蘭ちゃんが「物理で殴れるなら怖くない」という真理に気付いてしまうことの方が怖い。
今日の私は、そんなお化け嫌いな蘭ちゃんの代わりに、絶対に着いて行く強い意志を見せた駄々っ子小学生のお守役である。
解決に必要なのはこの駄々っ子ちゃんなんだがね。
お屋敷系だし、フィジカル関係が絡むと困るから小林くんに頼もうかと思ったが、あっちはあっちで零くんから頼まれて、赤井さんの現在の居場所の確認を本腰入れて探しに行っている。
なんでも……組織のほうに、近々何か動きがあるそうだ。
それは赤井さん目的では無いけれど、東都に組織の幹部級が集まって来ているのは確かなため、挑発行為をやめろと釘刺し……というか未だに直で繋がる連絡方法がないのでそれを持たせたいらしい。
あと零くんは頼んでないが、誤解が多々ありそうな彼とこちらの情報のすり合わせを狙ってね。
彼はカメラに映ってくれないから、私は探してやれなくてねぇ。
出没地域はまとめて教えたけど……それくらい考えて動いてるだろうし……
まったく、面倒くさい男だねぇ!
………………新一くん、連絡方法持ってたりしない?しな……「僕はジョディさん経由」だって?
その手があったか……帰国しちゃってるけど、一応連絡先と一緒に小林くんに知らせとこう。
■
……悪霊の家?
角のない部屋的な話?
…………ああはならんやろ。
ひと通りの人物に会い、泊めてもらえる部屋に案内され、さて、と小五郎さんと新一くんと共に顔を合わせる。
小五郎さんは愚痴ぐちと、思ってたんと違う妙な屋敷に来ちゃったことを文句言ってくるが、解決したらがっぽがっぽのジャンジャンバリバリですからね。頑張りまっしょいね。
新一くんがぽつぽつと、ひとりごとみたいに考えをまとめながらいつもの指先を合わせるポーズで座り、“悪霊”について考えている。
彼のひとりごとと小五郎さんの愚痴に相槌や補足を入れながら、こちらも屋敷の主人の国友淳大の病院への通院履歴、その症状を確認してみる。
…………普通に病状が悪い。かなり負担がかかってるのだろう。
頻脈性か…ビックリさせちゃいけないものだろうに。
流れで他の面々の記録もあるものは見ていくが、なんだろう。この……集めました感。
小五郎さんも言っているが、本当になにやらおかしな家であった。
潔癖症でメモ魔の運転手、先端恐怖症のメイド頭、高所恐怖症のシェフ、几帳面な完璧主義者の執事……謎の怪文書に怯える主人夫婦に、ニヤニヤと面白がってる表情を崩さない、大仰なセキュリティ取り付けた、屋敷の主人の知人の男。
昼に紹介してもらった時も、みんなしてあれが怖い、これが嫌だ、と様々な恐怖症を教えてくれたわけだが。
こーれ、なんかのトリックに使われそう……
ってことは誰か死ぬってコト。
尖ったものが使えないから串刺しに出来ないとか、高いところから落とせないとか……えーと……
中身が散らばるのは許せないとか、触りたくないとか……?
これ執事さんか綿引さんが疑われたら多分シロですね。
動機にはきっと13年前の海上で起きた沈没事故が絡むのだろうけど。
私の予想では……あの1人余裕ぶっこいてるセキュリティ会社の社長、関口俊道が狙われそう。
この心臓の記録なら、屋敷の主人は薬すり替えるまでもなく怖がらせとけば勝手に死にそうだもの。
となると……狙いはやはり、13年前の事件で生き残った、彼らと夫人の3人……への復讐?
悩んだ末、ふたりの探偵は事件は仏滅にばかり起こっているのでは?と、それっぽい共通点を見出した。
新一くんがメモっておいた日付をこちらで見ると、確かに全て仏滅。
しかし原因だと思った13年前の事故は大安の出来事。六曜なんて関係ないんだよな。
「……仏滅にばかり動く悪霊、ねぇ」
「そういうのって何か謂れはある?」
名探偵たちは揃って懐疑的な目つき。
新一くんが、オカルトちょっと調べてた私に訊ねてくれるが……イワレですかぁ?
「謂れというか、別に幽霊とは関係ないんですよ、六曜。元々縁起の善し悪しに関しての目安ですし。仏様……つまり幽霊とは……なんにも。語源も違いますからね。
日本人的には、字面だけで気分がそんな気になっちゃうだけです。……何回か不幸がその日に、たまたま続けて起きたから、以降それに合わせた、ってパターンでは?」
新一くんが頷いてくれたが、小五郎さんは頭を傾げる。
「……ってことは、オメーはこれらのポルターガイスト、生きてる人間の仕業だと思ってんのか?」
「でしょうねぇ。
…………え、まさかおふたりとも、これが悪霊の仕業だと?」
「「思うわけねーだろーが」」
思わず新一くんが、子供のフリを忘れてツッコミ入れて来た。
小五郎さんに至っては拳が飛んできて脳天へポカンと。
あいててて……
……うーん……
「スバルさんは“五人目の魂”って言葉が引っかかってるの?」
「そうですね、……それぞれの事故で亡くなった身内を合わせても、4人しか居ない。5人目がいた……ってことなのでしょうが」
じゃあそれはどのタイミングで、誰が気付いて、なんのために、何故ここまでその5人目の死を黙ってたのか……ってとこが。
あからさまに怪しいのは……やはりあの大仰な指紋認証ゲートを売り込んだセキュリティ会社の社長、関口俊道。
絶対あいつなんかやらかして、それ誤魔化すのに国友家利用してるって。
「ちょっと調べてみますか」
いつもの通り、ノアズ・アークに情報を集めて貰いながら確認……しようとした矢先のこと。
ノアズ・アークが、0時を越えたことを伝えてきた。
問題の、悪霊が動くとされる……4日である。
そして、“ガン”と、音が。
………………?
「何だぁ?今の音……ベランダから聞こえたが」
何か、打つような音だったが……
真っ先に動こうとした新一くんを、寝転がっていたのに跳ね起きた小五郎さんが押しとどめ、私たちに“その場に”というジェスチャーをしながらゆっくりとベランダに向かった。
警戒しながら開けるも、そこには何も無い。
「何だぁ?」
「……っ!おじさん、上!!」
「あ?……って」
︎︎新一くんの警戒の声に、皆で上を見上げた。
そこに……足が2本。
上の階のベランダの柵から、地に足つかぬ……それら……間違いなく人の足である、それらがぶら下がっている。
「……上、3階か!
沖矢!救急車!あと警察も呼べ!」
「スバルさんはここで見張ってて!僕、赤塚さん呼んでくる!」
「え?あぁ…了解」
小五郎さんが上の階、3階に向けて部屋を飛び出して、新一くんたら私にそんな指示出して行ってしまわれた。
救急車……と、警察ね。ここの住所……静岡県警……あ、来るなら横溝さんかな?
見張るって……この人の足に下手なことされないように見てろかな。あと犯人逃げたりしないかってこと?
携帯でひと通りの連絡をしながら、ベランダに出て見上げてみる。
片足の靴が脱げているから、おそらく先程の音はその靴が落ちて、下のこのベランダの柵に当たった……のだろう。
残った革靴、そして凄絶な顔。
……やっぱ死んだか。関口社長。
ふむ……これは……中々難しい。
やりそうだなぁ、とアタリを付けてた筆頭の綿引さんは、今、淳大さんの送迎で出てるんだよな。
……これはアリバイ作りの香り!
こりゃ色々パターンありそうだ。
怖いねぇ〜!
試しに小指と薬指を使わずに箸で食べてみたんですが結構使いにくいんですね。無理では無かったんですが、安静にして左手で食べてたらしいです
読んでいただきありがとうございました!