昴くんはなにもしない   作:あまも

111 / 154

やっぱり案の定年末忙しくなりそうです

大掃除終わらなくて草


閲覧ありがとうございます!


48-2:悪霊退散とうっかりさん

 

 

 

 関口社長の死について、警察も駆けつけて捜査中。

 屋敷の主人、国友淳大さんが、持病の心臓の病で亡くなった。

 

 ……とだけ聞くとただの病死。

 

 首吊り自殺に、病死と……1日のうちに立て続けに起きてしまった不幸な連続死。恐ろしき悪霊の強い怨念を感じざるを得ない……

 

 

 怨念がおんねんってね!

 

 タハー

 

 

『スバルさん、誰も出てきてないね?』

「へぁ?ああ、救急隊の方が3人、担架を持って入って、同じ数出ました。他には出てきていませんよ」

 

 

 ふざけてたらインターホン越しに新一くんから注意のお言葉が。

 

 

 ……もちろん、そんな自然死なわけはなく。

 

 淳大さんが上げたインターホン越しの臨場感たっぷりな実況と悲鳴と、いち早く駆け込んだ新一くんの見つけた証拠と痕跡たちから、考えられる状況として。

 彼は他に誰もいないはずの自室にて強いショックを受け、心臓に大きな負担がかかり、しかしそれを抑える薬の摂取を何者かに邪魔された……という……

 

 第三者がそこにいたことは紛うことなき、つまるところの殺人事件でございました。

 

 

 関口社長だって、自分で首吊ったにしては怪しい点が多々ありまくりってんでね。

 吊るした縄が短いにしても、吊りにくい長さってのは中々無いよ。

 

 ドアノブやベッドの柵で死ぬとか、狭いとこならあるけど……ここは広いからね。

 

 

 

 つまりこいつぁ……連続殺人だ!

 って新一くんが言ってるから間違いないッピ!

 

 

 

 それで現在、ほぼ密室に近かった3階にて起きた、事件の真っ最中。

 

 ……現在進行形だよ。

 ︎︎事件は今起こってるのさ。

 

 私としては、このままここで出入り口の監視をしておきたいところだけど、ベランダ越しに侵入した新一くんがいるから逆に犯人がそれを出来ない保証がなくなってしまって……

 あんまり……見張りの意味がなくなっちゃったな。

 

 

 新一くんが見た限りの状況では、

 犯人がまだ、3階から逃走していないのでは?

 ……ということで捜索中なのに。

 

 下の垂れロープの前に、警察さんの見張りは頼んだが、彼も通常業務があるんだからいつまでも見張っててもらうわけにはいかない。

 

 現在、まっこと面倒くさいことに、先程入ったみんなでひと塊になって1部屋ずつ調べているそうな。

 

 ︎︎時間かかるね!

 まったく、面倒なこと!

 

 だから私は止めたのに、みんなしてどやどややいやい入りおって……新一くんが横溝さんと小五郎さん以外入るなって言ったのにさ。

 話聞けよな。

 

 そうして、各部屋を見回った末にその犯行現場となった淳大さんの寝室らしい。

 

「ここまでそちら、誰も怪しい人はいなかったんですね?」

『ああ。そんなわけないのに……』

「後ろは見ましたか?」

『……うしろ?』

 

 後ろというか、見たところというか。

 

「最初に横溝警部が確認した後、皆さんで確認し、次へ……と、ひと部屋ずつ見ていったんですよね?」

『そうだけど……』

「では小五郎さんに、皆さんをその部屋に集めた状態でアリバイを聞いてもらって、その間に横溝警部と君で、改めて部屋をもう一度確認してくる事をおすすめします」

『ああ?二度手間じゃねーか!』

 

 声が変わった。小五郎さんが苛立ち混じりで声を荒らげておられる。

 

 こーれ……景光くんと隠れんぼしてた時にやられてて、毎回タイムアップと同時に背後から声かけられて死ぬほどビックリしてたんだよな。

 当時はわからなかったけど、零くんに聞いたら彼は呆れて鼻で笑うばかりで教えて貰えなくて。

 秀吉に聞いたら「後ろは見たの?」ってよぉ……

 挙句、幼い蘭ちゃんにまでそのテクニック教えやがって……

 

 ハッキリ教えてくれなきゃ、わかんないんだからね!!

 

「これは小林くん直伝の、ものを探す時のあるあるですが、『そこはもう見たでしょう』と……1度確認した所は2度見ない事が多いそうですね」

『……そうか!おじさん!横溝警部!――』

 

 適当なこと言ったが、新一くんはわかってくれたらしい。

 インターホンの向こうで何かわちゃわちゃし始めた。

 ︎︎言っててなんだけど、実際第三者が隠れてるかどうかは私にはわからない。

 しかし名探偵(新一くん)が“いるはず”なのにみつからないと言うのなら、何か上手いことして隠れてるとかだろうし……

 

 これで隠れていた人が景光くんや蘭ちゃん並に隠れるのがとんでもなく上手い人物だったら、「屋敷が火事だ」とでも叫んで、出てきてもらうくらいしか方法が無いが……あそこまでの隠れんぼの神と女神はそういないだろうし……

 

 そもそもこんなに物理的に殺しに来るなら悪霊の可能性はないだろうし……

 

 たぶん、第三者……いるんじゃないかなぁ?

 

 

 

 ■

 

 

 13年前に亡くなったと思われていた、綿引さんの双子の(・・・)弟さんが生きておられたそうな。

 綿引さんと弟さんは瓜二つ、そっくりなふたりだったから、国友家と関口社長への復讐のために入れ替わりを計画。

 

 警察さんを1人、3階に追加して、彼に廊下を見張らせた状態のまま、もう一度各部屋を横溝警部と新一くんが探す。

 捜索に来た横溝警部は半信半疑だったが、新一くんは確信を持って荒らしまわってくれたおかげで、無事綿引さんを発見。

 

 

 ……トリックがどうのこうのはさておき、死んだはずの人が生きていて、何故か人が死んだところに怪しい感じで隠れていたのは、もう誰よりも怪しいだろう。

 

 

 

 ついでに扉の見張りしながら待ってる間に調べたが、関口社長の前任、彼の元上司が、丁度13年前の事故の頃から行方不明だそうな。

 

 それと、案外あっさり白状した綿引兄弟、その弟さんが教えてくれた経緯……当時の事故の原因だと思われる、船のスクリューに絡まったバックと、そこから覗いた人の腕……

 

 

 まーーーー……諸々全部、当時の関口社長がやったんでしょうなぁ。

 

 

 そしてそれを、船を出すのに乗せた、となると、処理を手伝わされた国友家の主人と夫人も同罪か?

 

 しかもどうせこれ、その処理に失敗して他の皆さんに見られたからって……

 ︎︎船ごと乗ってた人たちまとめてやっちゃった……ってコト!?

 

 

 ……極悪人なのではなくって!?

 

 

 綿引兄弟はその話を旦那さんの前でしたわけではないが、淳大さんが悪夢を見たと騒いだ日や本当にたまたまブレーキが壊れていた日、そして、船の捜索を淳大さんがやめさせた日が全て仏滅だったから、こうして当時の殺された人物の霊が悪霊となったかのような、オカルトな犯人による仕業に見立てることにしたのだとさ。

 

 

 結局、事件解決にはとっぷり丑三つ時までかかってしまったが、夫人までの完遂はさせずに済んだ。

 

 綿引兄弟は2人とも、主犯の関口と事件の隠蔽をしていた淳大さんを主に狙っていたそうで夫人までは狙ってないとはいうけれど、彼女も知ってて黙ってた人だからね。対象ではあったはず。

 

 協力的な態度だったし、残りの詳しいことは警察で充分だろう。

 ︎︎トリックも、新一くんがふんふんとひとりで頷いているから後で推理ショーしてくれそうだし。

 

 

 残念なのは小五郎さん。

 ︎︎豪邸での1泊を楽しみにしてたけど、人が亡くなった屋敷でそんなにぐっすり楽しく寝れるはずもなく。

 

 時間も時間なので、仮眠だけ取らせてもらって朝、パトカーにて帰路に就いた。

 

 

 

 ……なんだか色々、考慮されていいような事件だった。

 

 

 というかあの使用人たち、綿引さん含め、関口の身勝手な犯罪に巻き込まれて、それぞれ身内を亡くして……彼らの方がかわいそうだ。

 

 綿引さんたちだって、関口社長を罪に問えるかもわからない状況ではあったから……やってしまう前にどこかに相談できてたらよかったのに。

 

 彼らの弁護、いつも通り妃先生に任せたいけど、彼女最近立て続けに頼りすぎて……しかも森田さんの事件の大詰めで忙しいから……

 

 久しぶりに、佐久さんに頼んでみるか?

 あの人刑事事件得意だし……

 

 

 ……やっぱ金持ち絡みは私、来るべきじゃないなぁ。

 淳大さんを守ることはできなかったけど、悪霊の真相は暴いたとして依頼料だけは予定の三分の一だけ貰ってきた。足は使ってないが足代である。

 これは小五郎さんのお小遣いだからね。

 

 ……こういうの、やっぱり小林くん向きだよ。

 

 

 

 ところで、横溝警部って双子なのね。

 

 横溝重悟と横溝参悟って、九九みたいな名前ッスね……

 

 

 ■

 

 

 

 とある土曜日の朝のこと。

 

 恐ろしいほどの偶然が重なって、なんだかわからないが、新一くんが黒ずくめの組織の仲間を見つけたらしい。

 

 で……灰原さんと私にバレないようにして、阿笠さんに車を出して欲しいという電話だった。

 

 

 そんな電話を受けた阿笠さんの様子を、灰原さんと一緒に、阿笠研究所のPCのセキュリティ対策講座してたから全部見て聞いてたわけだがね。

 

 

「バカね……」

「いやはや、まったく」

「なはは……聞いてしまったかのお?」

 

 たりめーよ。

 焦ってるのか、新一くんも阿笠さんもふたりして大声なんだからまったく。

 

 さて、どうするかな。

 

 

 私の車を出す……でもいいんだが、あっちはあっちで急ぎらしい。

 となると……別で動いた方が良いかな。

 

「阿笠さん。私は小林くんと連絡を取りつつ、街の様子を探ってみるので……こちらを。新一くんにも渡してください」

「これ……」

「通信用のイヤホンの試運転じゃな」

 

 

 私がイヤホンを使えない間、阿笠さんと小林くんで何か作っていたようで……出来上がったのは通信用の無線イヤホンだった。

 季節外れなハロウィンの時に貸したものが使いやすかったらしく、阿笠さんに同じものを作れとせがんだ結果、そんなことに。

 何を頑張ってるのかと思ったら、そのイヤホンを始めとして身近なあれこれのワイヤレス化と、それに付随する充電バッテリー問題との戦いを繰り広げていたそうな。

 お出かけしまくってたのは、有効通信距離や海、山、森の中での通信状況チェックも兼ねてたとか。

 ……教えてくれたら私だって試したのに!!

 

 試しに聴いてみたが、音質はちょっと悪いけどなかなか小型で使い勝手が良さそうな……見た目はハンズフリーイヤホンの安いやつ。

 現状はお試し試運転で、研究室から動かせない専用のボックスにセットしないと充電できないが、いずれはそれも小型化するつもりだそう。

 ……なにはともあれ、通信革命である。

 

 

「後で合流かしら」

「わかりません。状況を見て動きましょう――灰原さん、ダメですよ」

「あら。連絡役は必要でしょう?」

 

 いそいそと用意する阿笠さんの横で、上着を手に取った灰原さんを呼び止めるが、どうやら彼女は行く気満々らしい。

 

「阿笠さんに今渡したものがあるでしょう。それに電話だってある。連絡役がついていく必要はありません。

 君は私と一緒にここに残りなさい。状況も分からないのに無駄なリスクは支払うべきでない」

「…………わかったわよ」

 

 渋々ではあったが、灰原さんがPCの前に戻ってきてくれた。むっすりと腕も足も組んで睨みつけてくる。

 阿笠さんには急いで向かってもらい、その間に小林くん……と零くんに連絡とって、今日街で起こるイベントの予定を調べて……

 

『どれかやろうか?』

「小林くんとの連絡を取らないといけませんね」

 

 改良された私のイヤホンから、ノアズ・アークが声をかけてくれる。小林くんへの連絡と、事情の説明を頼んだ。

 昨日の夜は花金バイトのヘルプしてた小林くん、もう起きて動いててくれるだろうか。

 小林くんが移動しながら、零くんとやり取りしてくれたら助かる。

 

 出発した阿笠さんの、遠ざかるビートルのエンジン音を遠くに聴きながら、灰原さんへ今日の東都でのイベント予定を一通り出してもらう。むすむすしてはいるが、やることはやってくれる様子で調べ始めてくれたので……さて、こっちだ。

 

 私は蘭ちゃんへ連絡を。

 ︎︎直近の新一くんがどんな様子だったのか聞きたい。

 

 数コールで出てくれた彼女曰く、

 新一くん、小五郎さん、そして蘭ちゃんは、昨日から今朝にかけて、アナウンサーの水無怜奈さんの依頼で彼女の家のピンポンダッシュの犯人を突き止めるため、彼女の家にいたらしい。

 その犯人のイタズラともなんとも言えないほっこり事件を解決した後、帰路の途中で新一くんが偶然出会った阿笠さんとトロピカルランドに遊びに行くことになった、などという寝耳にウォーターな話が出てきたが、そこの話は合わせておいた。お預かりしますね。

 

 にしてももうちょいマシな言い訳無なかったんかな。

 

 しかし、なるほど。

 水無怜奈……彼女はアナウンサー、報道関係者だ。

 零くんが言っていた「報道関係者に注意しろ」、というのが今回の動きの話だったのなら、彼女が組織のメンバー……かもしれないってことだろうな。

 

 ……で、焦ってる新一くん……『恐ろしい程の偶然が重なった結果』……ピンポンダッシュの犯人の調査……

 

「これ、発信機か盗聴器……彼女に仕掛けてしまったのでは?」

「はぁ?」

 

 灰原さんが眉を顰めて声を洩らすが、どうだろう。

 

 流石の新一くんだって、依頼人本人に仕掛けるなんて真似はしないだろうが、依頼人のインターホン周りにでも仕掛けて、玄関に来た人にくっつくようにしてあったりしたら?

 それを“偶然”、ほっこり犯人もしくは依頼人が触ってしまったのだとしたら……?

 

 仕掛けたその時点では組織の人間が関与してる話だなんて思いもしなかった彼が軽い気持ちで仕掛けてしまって……“偶然”くっついた相手が、実は組織の人だった!って“偶然”が起きてしまったために、彼は慌てている……うん?

 

 常ならば警戒はしてるであろう相手も、そんな子供のイタズラ程度の話でまさか発信機やら盗聴器やら、スパイ映画の見すぎみたいな探偵道具仕掛けられるとは思ってなかったから、“偶然”気付かず、その気付いてないままで、組織の人とやり取りして……

 

 新一くんがあれほどまでに慌てていた……ってことは……

 

 

 小林くんから着信。

 左で電話に出て、同時にノアズ・アークも右耳のイヤホンから連絡。

 阿笠さんと新一くんも合流したのか、スピーカーにした灰原さんの携帯も電話がかかってきた。

 

『スバルさん!おっちゃんと蘭を研究所に!』

『ハル!毛利探偵が危ないぞ!』

『お兄ちゃん、零さんから、毛利小五郎の保護を最優先でって連絡が来てるよ』

 

 

「――そうなりますよねぇ」

 

 

 毛利小五郎が命の危機かもしれん。

 いや、天才3人とノアズ・アークが声を揃えて、そして私の嫌な予感までそうかもと思ってるんだから、これはきっとガチでマズイやつ。

 

 えーと……げ、劇場版にこんなのあったかな……?

 

 

 





仕事は納めて休みには入ったので投稿できたら良いんですが……
頑張りまする


読んでいただきありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。