昴くんはなにもしない   作:あまも

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あけましておめでとうございます。

去年でキリいいところにいけなかったばかりか、年末年始の忙しさで何も進捗進んでおりません。
だのに三が日が過ぎようとしている……これは一体どういうことなの……?

そんなわけで中途半端な時間ですが珍しく夜更新です。

閲覧ありがとうございます!


49-1:たいへんな政治家

 

 

 

 灰原さんに阿笠さん(新一くん)の事情を聞いてもらっている間、小林くんと零くんとのやり取りをノアズ・アーク経由でグループメッセージで進める。

 

 今回ばかりは、新一くんも悪気はなく、ダメポイントはあるにはあるけどいつもなら「気を付けようね」で終われる程度だった。

 そりゃまぁ、簡単に盗聴器仕掛けるなとおこおこしたくなるのもわかるけど。

 

 ちょっと偶然……あまりにも偶然が重なりまくってしまっただけなのだ。

 

 

『あの!ガキ!!いい加減にしないか!!!』

 

『まぁまぁまぁ』

『どうどうどう』

 

 

 大変すんごくご立腹スーパーな零くんである。

 

 

 今回、零くんは来日しているベルモットさんの運転手なう、らしい。

 

 クリスさんが来てたこと、教えてもらえなかったと嘆く気持ちもある。

 零くん曰く、今回の件の為だけに来ていて、日本で私と遊ぶ暇は取れないし取らせないから知らせるつもりもなかったのだとさ。

 それは残念。

 ……なんだが、今回の件とやらがまぁ中々困った話でござって。

 

 今回、いわゆる“要人暗殺”ってやつだ。

 狙撃手まで用意して、パコンと一撃でブチ抜くつもりらしい。

 

 しかも狙われるのは日本の未来を担う……かもしれない、衆議院選挙に出馬予定の、土門康輝。

 政治には微塵も興味は無いが、零くんの説明によるとこの彼、正義感が強く、悪事、暴力、犯罪を許さぬ強硬な姿勢が魅力的とされる……結構支持率の高い人らしい。

 ……今度の衆議院選挙、帝都大学から教授が1人出馬予定ってのしか知らんかったな。それすらどこの科の誰かも知らん。

 

 そも選挙行く気すらもなかったのは零くんにバレると殺されるから言わんとこ。

 

 

 さて、土門さんの暗殺ね。

 

 そらもう正義の味方としては防ぎたい案件だもんで……というか国家の未来に関わる方だもんでくたびれ眼鏡お兄さんこと風見さんや、動かせるハムちゃんたちを駆使して情報収集していた。

 私を使えよと言ったが、組織案件であり政治家に関わらせたくないしなにより怪我してただろと言われてしまっては仕方ない。

 

 仕方ないか?

 

 土門さん自体には目立った問題はない、品行方正でやってる方。

 

 どっこい、そのお父様が不倫したのだとさ。

 …………20年くらいのずっと前に。

 

 時効じゃないかくらいそんな前のことは別にいいじゃんとも思うが、そこはそれ、品行方正悪事絶許で売ってる土門さん。

 当時やらかした、若気の至りみたいなものでも……実のお父上だとはいえ、悪事は悪事。不義理は不義理。

 

 正義の味方の零くんが言う程“正義感”が強いとされる人だ。どんなことでも許しちゃおけないだろう。

 

 そこからズルズルと、他の候補2人の悪事も引きずり出して、今回の衆議院選を滅茶苦茶にする、という案はベルモットに提示してみた。

 

 そんな掘れば出るような不祥事祭りで衆議院議員になられても困るだろう。

 てかそんな不祥事まみれの人間が政治家やってて大丈夫?

 …………後ろ暗い所がない人間なんてほとんどいないかぁ。

 

 しかし、滅茶苦茶案は通らなかった。

 最近失敗続きのベルモットとしては、任された任務はちゃんと遂行したい。

 第一、それで今回は見送れても、次回また父親の不祥事をどうにか片付けてイメージアップさせた土門康輝が立つのでは、また暗殺話が組織内から出てしまうだろう。

 

『なら、高々候補の1人でしかない今殺しておく方が手っ取り早いのではなくって?』だそうな。

 

 ……それはそう!

 

 ただし、その他の連中共も合わせて不祥事祭りなのは使えるかもしれない。

 

『だから……今回の暗殺に失敗するか、他にやらねばならない仕事が来るか、土門康輝の暗殺は労力が大きい、と判断されればあるいは……』

 

 失敗させようとして、暗殺の情報を流したり土門さんのボディーガードにハムちゃんたちを混ぜたりして対応してみてはいるらしいが、暗殺されるかもと聞いた本人が「悪には屈しない!」と躍起になってるんだと。

 

 うーん……次郎吉さんタイプ!

 

 

『それに、今回はメイン担当が違う人間だったからな。……事前交渉の結果、キールがアナウンサーとして、父親の不祥事を報道させない代わりに今回のインタビューを取り付けたようだ』

『それって取り引きじゃないですか!』

 

 隠蔽しようとしたって事か?

 ︎︎それって悪事じゃないの?

 ︎︎……それ含めてばら撒けってこと?

 

 やる?

 

『……他の2人より土門康輝に議員になってもらいたいから、彼の不祥事は最小限に留めたい』

『む』

 

 その言い方からすると、他の2人の候補さんは正義の味方としては応援したくない人達なんだろう。

 つまり……時期を見て、連中の悪事をばら撒けってことかい!?

 

 でもその2人潰せばえーんちゃうんかってぇと、その2人止めて土門さんだけ立たせたらそれこそやるしかねぇズラ!になっちゃう、と。

 

 えーい、政治って、むつかしい!!

 

 

『俺が撃とうか? 』

『やめろ。それも考えたが、お前がやる必要はない』

『そう?わかった』

 

 

 ……今さらっと、景光くんすごいこと書いた?

 

 …………そうか、死なない程度に先に狙撃して、『命が狙われている』という事実を事実として周知させる……のはアリかもしれない。

 とはいえ零くんの言う通り、それを景光くんがやる必要はないし、いざとなればハムちゃんたちのだれかがやるだろうし……

 

 ……いや、結構アリ……なのでは?

 不明な人物に狙撃された、と言って安全な所に土門さんが引っ込むならそれでいいじゃないか。

 なんで零くん、こんな即答で断ったんだ?

 

 私が疑問を浮かべているのを予測したのか、零くんから更に返信。

 

『……狙撃された後に土門康輝が生きていたなら、彼は自分を狙撃した相手を見つけ出して罪を償わせることで、彼の主張の体現となる。

 だが、こちらはヒロを捕まえさせるわけにはいかない』

『なるほど』

 

 景光くんなら捜査の手から逃げるのは容易だろうけれど、じゃあ逃がしたら逃がしたで『見逃すんですか!?』と国民の反発は上がる。

 

 せ、政治ってむつかしい〜!!

 

『いや、俺もそれくらいは考えたけどさ。

 キャンティとコルンより早くに……大怪我しない辺り撃って、狙撃への警戒をさせた後、警察には“その狙撃手を逮捕した”として――

 ――カルバドスを公開させりゃ良くないかと』

 

 やったのは組織の人ですよって言って捜査させようってコト?

 偽旗作戦みたいなこと言いおって……

 

『……それは俺も考えたが、組織では今、カルバドスはFBIによって殺されたとされている。

 こっちの内部でも一部の人間しか知らない、組織の名前持ち幹部が生きて、捕まっていることをバラすことにもなる。

 犯人を公開しないとしても、ダシにされたカルバドスが利用され、組織の人間だとバレた原因となったベルモットへの粛清ムードが高まるのは避けたい』

『にも?』

『土門康輝の性格だ。彼は狙われたとなれば、徹底して戦う姿勢を見せるだろう。そうなると組織もなんとしても相手を消す対応に入ってしまう。……そこまで来ると、隠れた状態の俺に防げる規模じゃない』

 

 やられたからやってやる!って姿勢は好感情。そういうもんだよね。

 でっけえ怨敵になる前に、お互いに軽く見ている今のうちに、なあなあにお茶濁して終わらせたいってなわけか。

 

 政治って(ry

 

『それで……元々どうするつもりだったんです?』

『今日の予報では雨だからな』

 

 …………あっ、続きがない。

 これ零くんの言わなくても解るだろのニュアンス問題だ。

 

『ほら、傘をさすだろ?』

 

 景光ズヒントが来たがえーと……

 雨が降ると、傘をさす?

 傘をさせば……高所からの狙撃での暗殺は難しくなる……みたいなこと?

 

 先も言っていたが、狙撃された上で土門康輝が生きていたなら犯人捜索には全力を尽くすだろうという見解は、零くんだけでなくジンニキも解ってることだろう。

 

 一撃で仕留めたい、からこそ狙撃手なんて用意してる…………ってことかね?

 

 ……狙撃手、高いところにいるんだ?

 

『……ま。今、雨、止んでるんだがな』

『そこなんだよな』

 

 先に現地に向かったらしい景光くんからのお天気情報。米花町(こちら)は降ってるが、杯戸町(あっち)は止んでいる。

 朝は降ってたんだが、止んでしまった。晴れ間まで見える。天が『今やれ』と言うておる。

 

 ふと、横から強い視線。

 

『……っと、失礼。

 江戸川くんから急かされているのですが、これらこちらの情報をどこまで伝えていいですか?

 どう動いてもらうのがいいでしょうか』

 

 灰原さんが睨みつけてくるし、スピーカーにしてもらった携帯の向こうからは新一くんが焦りに焦った声で『ベルモットとバーボンが関わってるじゃねーか!!』と半ギレされておられる。

 

 先程まで、今回の組織メンバーの方々で“打ち合わせ”してた音声を盗み聞きしてしまっていたようだ。

 

『あー……』

『…………ここまでの情報は全部流して良いぞ。ハムのことだけは隠せ』

『おや? 了解』

 

 返事までの時間が少しあったから、こっちで新一くんに話してる間に2人で相談するつもりなんだろう。

 

『確認するが、今回は江戸川少年もマズいことをしたとは理解してるんだな?』

『そのようです。彼も目標は水無怜奈に付いてしまった発信機と盗聴器の処理一点に絞って』

 

 ……

「発信機と盗聴器の処理を第一目標に?」

『ああ、まずそれを何とかしないとだろ』

 

 本人に電話で聞いてみたが、ちゃんと焦った様子の声色なので今はそれ以上手を出そうとは考えていないらしい。

 

『出来れば、この狙われてる“DJ”という人物の暗殺は阻止したいけど……そっちはジョディ先生や、小林さんたちが動いてるでしょ?』

 

 ……やる気はある、と。

 新一くんがこんなことを言うとりますけどもと、メッセージに送る。

 

『了解。こっちでどう動かすか検討してみる』

 

 さてさて、新一くんと阿笠さんに説明しなければ。

 それと、何やらいつの間にか新一くんと阿笠さんに合流していた……FBIってか、ジョディさん?帰ったんじゃなかった?

 

 クリスさんが来日したからジョディさんも来たの?

 

 今回は水無怜奈目的?

 

 …………まーまーまー、とりあえず説明しますから。そうキャンキャン鳴かないでくださいませね。

 

 

 ■

 

 

 まとめて全部説明した後、ジョディさんを杯戸公園まで連れて行ってもらい、そこでFBIの皆様にどうにかしてもらうこととなった。

 

 ベルモットを追っていた時ほどではないが、またもやこっそり、人員引き連れて日本に来ていたFBIの方々。

 

 そろそろ真面目に怒られてもいいんじゃない?

 

 ……まぁ、今回は彼らのおかげで色々隠せそうだから、一旦ね…………こうして司法取引やらなんやらが出来てくんですかね……政治っ(ry

 

 組織側にも、『FBIが不穏な動きを見せている』と、“バーボン”が見つけてきた情報として報告。

 ベルモットと合わせ、計画の中止をジンに伝えたが、ジンからは鼻で笑われたり、実行部隊の狙撃手からは「ビビりなワンちゃん」とからかわれたそうで。

 ウォッカさんやキールさんからも、「慎重派なオメーらしい」だの「心配せずとも失敗なんかしない」と心強い言葉をいただいたそう……なんだが……

 バーボンさん、もしかして組織内で……こう、“ぱわー!”ってゴリラ(フェイス)を見せてない感じです……?

 

 

『あー、バーボンはインドア派で、あまり暴力系では無かったよ』

『ウソでしょ、あんなゴリラが?』

『直接は言わないであげてね。結構我慢してたからまた爆発しちゃう』

 

 言うつもりはないけども。

 

 現在、キールさんが幅利かせてる日売TVは取り引きが行われて情報を止められている状態なので、小林くんが出版関係で知り合ったという東都TVの社員さんに、今回の衆議院選挙のスキャンダルを売りに行ってもらっている。

 公園での狙撃はFBI(ジョディさん)と新一くんに時間与えたし、どうにかなるだろう。

 ジョディさんには新一くんと阿笠さんを前に出さないでと頼み込んだから、そっちはきっと大丈夫。

 インタビューと狙撃さえ乗り切れば、後は零くんが言ってる『第2案があるが、そちらはこっちでどうにかする』でどうにかしてくれるらしいし、小林くんが進めてるスキャンダル報道でお茶濁して……

 

 マジで、盗聴器と発信機だけが……ホントどうしたら良いの……?

 

『それは俺に良い考えがある!』って、景光くんが言ってきたんだけど、これは7割の景光くんのほうか、それともトンチキタイムな景光くんなのか……

 

 みんな頑張ってくれるようだが、役立たずな私は蘭ちゃんと小五郎さんを回収して、研究所にご案内して保護、そして引き止める栄えあるお仕事である。

 

 小五郎さんは怪しみながらも、推理ゲームの所感を聞きたいという私の言葉に渋々付いて来てくれたので、ヨシ!

 蘭ちゃんはゲームにも興味はあるとのことだったけれど、それより灰原さんに会いたいとのことで……ここはどうしようかな。

 

 灰原さんには地下でジョディさんと新一くんたちとの状況の連絡のやり取りをお願いしてあった。

 組織側の方がこっちに来ることさえなければ、別に上でも良いのだろうし……あっちで零くんたちからの情報次第で下に降りてもらう方が、小五郎さん達に違和感を与えないだろうか。

 

 どうだろう……聞くか。

 

 

 ってことで、道中にノアズ・アークに聞いてもらった景光くんからの回答。

 

『それでもいいが、毛利探偵のことは後で事務所まで連れてきてくれないか?』

 

 

 …………連れてきちゃったのだが!?

 もう研究所の方が近いのに!

 

 だ、だってみんなして小五郎さんを保護しろって言うから私は動いたというのに、まさかそれをひっくり返されるとは思っておらず。

 

 

『大丈夫、毛利探偵の好きにさせていいよってこと。……あの人ギャンブルにまた手を出してたよな?』

『へ?ええ、また懲りずに競馬に』

 

 小五郎さんたらあんな大損して、大人として大いなる赤っ恥かいたくせに、まーだこっそりコソコソと馬券買っておられるのである。

 

 一応、蘭ちゃんと妃先生、そして私と小林くんとで囲み、がっつりと釘は刺して、その上で楽しむ分にはと許可は出してあるんだけどね。

 1度の馬券購入に最大金額の設定と1ヶ月の使用額を定額制でお小遣いスタイルを採用。

 おかげであれ以来、家計には手を出してない“健全な”使い方で楽しい競馬をカジュアルに楽しむ程度で済んでいるけど……またいつ約束破って、生活費使い始めることか……

 

 ……コソコソしてる時点で怪しくない?

 

『うん、ならいいんだ』

 

 景光くんからのそんなメッセージ。良くねぇってばよ?

 

『良くはないでしょう。……いえ、どういうことですか?』

『ちょっとね。また連絡する。ノアズ・アークに頼むかもしれない』

『了解』

 

 なんか返事の速さといい、会話を切り上げたがっている様子といい……向こうは忙しそうだなこれ。

 しゃーない、後で聞けるだろう。

 

 むむむ……なんだってのさ!

 

 

「おい!オメーが来ねーとゲームとやらがわかんねーだろーが!」

「あっ、はい」

 

 駐車場に停めた車内で連絡していたら、小五郎さんが窓をスココココと高速イライラノックしてきたのでこちらも対応しないと。

 

 …………うーん……偽旗作戦とか案に出てたからには……

 

 

 ――えっ、……小五郎さんのこと……

 囮、にする……的な?

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 色々あってキールを確保したってよ!!

 

 

 

 んでもって、さらに色々あって事務所に戻った小五郎さんを狙撃させた上で、天才異次元の狙撃手赤井秀一さんに長距離カウンタースナイプでジンニキの狙撃頼んだら失敗したんですってよ!

 あ?失敗じゃない?成功?

 

 

 

 ……わからんて!

 

 とっとと帰ってきて、私や灰原さんにみんなの無事な顔見せてから、きちきち諸々説明しろぃ!!

 

 

 

 




なんか身の周りの人が怪我してばかりで私は無傷なんですが逆に怖いですね

皆様もお怪我や体調にお気をつけて、良い1年をお過ごし下さい。

読んでいただきありがとうございます!
本年もよろしくお願いします。
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