昴くんはなにもしない   作:あまも

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よく見たら冬だった

雪やばすぎてやばいです
皆様もお気をつけて


閲覧ありがとうございます!


50-2:季節外れの転校生

 

 

 

 季節外れな転校生の本堂くん。

 

 前提条件として、この世界はクライムミステリーサスペンスアクション――ラブコメ世界だ。

 

 沢山の恋模様が面白おかしく描かれるわけで、その中でも主力が主人公と幼なじみのヒロインの関係だろう。

 

 本堂くんの参入。

 ︎︎これはきっと、蘭ちゃんと新一くんの仲を盛り上げるための起爆剤だ。

 

 そうすると、彼のこの顔の良さと頼り無いかわいさが輝く気がする。

 何故なら蘭ちゃんは、困ってる人をほっとけない、エンジェル(クリスさん曰く)だからね。

 一人っ子なのに彼女のお姉ちゃんパワーの凄まじいこと。

 あの灰原さんが亡きお姉さんを思い出すほどだからな。

 ︎︎妹気質な園子さんや、何故か一人っ子なのに逆に末っ子ムーブな新一くんと昔から一緒にいたからかねぇ。

 ︎︎こんな立派な子、親の顔が見て見たい。

 

 ……親御さんは2人とも、もっと自分の生活力鍛えてあげてくれ。蘭ちゃんのワンオペかわいそう。

 

 

 そんなお姉ちゃんと弟みたいな関係から前に進まない2人の関係。

 ︎︎さらには新一くんが“工藤新一”として蘭ちゃんに好意を伝えられないこのタイミングの登場。

 

 ︎︎距離詰めろってことじゃんねぇ!

 

 

 これはねぇ……

 ︎︎なんだかんだと惚れて、良いところまで行ったように見せかけて、実は最初から最後まで、蘭ちゃんの中では恋心のコの字もない大撃沈パターンですね!

 ジョディさんくらいの距離感が最終着地点と見た!

 

 ……となると準レギュラーかもってこと。

 

 それならば、彼はしでかすとしても感情的に許せる程度のしでかしで済むってことだ。

 ︎︎犯罪とかはしないはず。

 

 だとすると……

 基本的にはいい子そうな彼が、何か新一くんの不利になるような事。

 で、このタイミング。何事もタイミングが大事だ。

 

 ……水無怜奈か、赤井秀一か、灰原哀のどれかに関係してるに120万ペソ賭ける。

 顔だけなら100%水無怜奈なんだけど。

 

 私の予想だとねぇ……

 

 彼から、水無怜奈の収容先の病院が組織にバレる……辺りまでは読めたぞ!

 

 新一くんが「瑛祐お兄さんは悪くないよ!大丈夫、僕に任せて!」ってドヤ顔江戸川様してるとこまで見えた気もするな。

 ……そっから、赤井さん殺害計画になるんだろう。

 何がどうなってそうなるのかはよくわからんが。

 

 

「何をひとりで頷いてるのスバルさん……」

「この先の流れが読めましたよ……これは脳破壊ルートです」

「字面がこえーよ。何?」

「つまり、彼は悪くないけど悪い子かもしれません」

「ホントに何?」

 

「何のお話です?」

 

 おっとっと。

 話の主役がエントリーしてきた。

 

「本堂くんはどんなタイプが好きかなって話をしてました」

「は?」

「えぇっ!な、何言ってるんですか?」

「探偵にも色々あるじゃないですか、ダーティー系とか、昼行灯系とか……」

「え、そっち?」

「僕は断ッ然、天才系、ホームズかな!!!!」

「コナンくんは参考にならないんで」

 

 適当言ったら適当過ぎたらしい。2人から顰めっ面されてしまったので誤魔化したら、好きな探偵話振られたと思ってテンション上がった新一くんが途端に顔色変えてきて、本堂くんがびっくりしている。

 

 適当な質問だったが、本堂くんがちゃんと真面目に悩んでくれてるので話は逸らせたっぽいからまぁいいか……

 ホームズ話ができると思ってふんすふんすと鼻息荒いコナンくんはあっちで本堂くんか蘭ちゃんにでも語ってきてもろて。

 ごめんて。振っちゃってごめんて。

 私、バスカヴィル家くらいしか話せないんだって。

 

 

 

 お客さんとして本堂くんとおはなししていたら、毛利探偵事務所に依頼人の方がいらしておりまして。

 

 お仕事優先。おはなしは後にして、依頼人の対応となった。

 

 ひと通りの話を聞いた後、現在小五郎さんは依頼料の相談中。

 

 

 本堂瑛祐くんが物語の中の人なのだとして見たら、どのポジションに収まる人かと私が考えてる間に、依頼話はどんどん進んでいた。

 途中、新一くんに「バカですか?」などと言う不届き者がいたが、今に見てるがいいさ。

 君の言う、『毛利小五郎に降りた神様』はそこのホームズフリークだぞ。

 

 最終的に、話は依頼人の三角さんが捜索して欲しいという、車ごと居なくなった彼女さんと、初めて出逢った場所と思われる群馬のスキー場まで探しに行こうずぇ…

 となったらしいが、私はこの時期の雪山なんか行きたくないので園子さんの送迎役を自ら申し出た。

 

 いくらなんでも完全無関係なご令嬢を、雪山ドライブに同行させるわけにはいかない。

 

 同じ理由で邪魔しそうなドジっ子ニューフェイスもお帰り願おうとしたんだが、天下の名探偵毛利小五郎の豪運の秘訣と『眠りの小五郎(神様の降りた彼)』をこの目で見たいとのことでついて行くと言って聞かない。

 

 だから、彼とは分かれるので、このお話はここまでである。

 

 

 ■

 

 

 ………………ってワケにはいかないよなぁ。

 

 普段なら、冬の雪山担当の小林くんに任せる話なのだけど……

 

 悪意や害意は無いので、本堂くん本人は大丈夫だとは思うが、彼が組織に利用されていて情報を抜かれる可能性がある以上、『小林』に会わせるのは得策じゃない。

 なので彼の見極めは私……と新一くんの仕事である。

 

 寒いのがヤダとか言ってられない。

 こうなる時はいずれ来るとは思ってたので、覚悟決める時だ。むしろこれまで、小林くんの隠密性に頼りすぎたまである。

 

「頑張って後追いますよ」

「行けるの?」

「行かざるを得ないのでね」

 

 依頼人が車取りに行ってる間に事務所を留守にする用意しておいてもらい、その隙に園子さんを鈴木邸へと送りつつ新一くんと作戦会議した。

 その結果。

 依頼人の車に小五郎さんと蘭ちゃんを乗せ、私の車に本堂くんと新一くんを乗せてついて行く事にした。

 

 おまそれ無関係ってんなら蘭ちゃんや、私、新一くんもやろがい、と、それこそ普段ならそうなるんだが……

 

 

 どうやら小五郎さんも、明言はしないがそれとなく警戒しているらしい。

 

 あの日、事務所のガラスが割れたり、外のビルで不審者が目撃されていたりして以来、小林くんがビルに寄らなくなったこと。

 下のポアロに“謎のイケメン”が研修しはじめたこと。

 

 特に“安室透”や“小林”から何か言われたわけではないだろうに、何かまずい事が起きているらしいと認識して、ちゃんと警戒レベルを上げて対応してくれている……っぽい、との判定が、組織の監視から情報をもらった零くんから出ている。

 

 ……零くん、あれマジで言ってんのかな?

 

 小五郎さん、お出かけ(お遊び)も、パチスロやら麻雀の誘いもばんばん行くし、酒もジャンジャン飲んで智明くんに怒られてたし、大好きな競馬も止めてないのに。

 

 曰く、「彼のあの態度は全て、監視に『こんな男がFBIに頼られるわけがない』と思わせ、無関係に見せようとしての行動だ」らしい。

 

 ……いやー…

 ……恐らく普段通りかと……

 

 

 小五郎さんを見る時、どうも零くんも景光くんもなんか妙な……“尊敬”の心があるらしいんだが、そこが彼ららしくなくてびっくりしている。

 

 あの2人、明確に“尊敬ポイント”の証明が無いと、守るべき国民認定するはずなのに。

 何かしらで『勝てそうにない』とか、それに近いレベルの記録見せられなきゃ、普段のダメ親父っぷりを見た上で「任せよう」なんて言葉出るわけないのに……

 

 まぁ小五郎さんだからな。

 知らない間になんかやらかしてたんだろ。

 

 

 そんな昼行灯かもしれない小五郎さんのお昼の姿中でも1個間違いないのは、蘭ちゃんが帰ってから外出する事はかなり減った。

 依頼の調査のために出かける時も、蘭ちゃんが学校行ってる間に済ませるか、新一くんが帰るまで待っていたり、私に連絡入れたり……ポアロに一声かけたりしている。

 ちゃんと新一くん……江戸川コナンくんも、ひとりで家にいないように考えてくれてる様子だった。

 ……依頼が無いだけじゃなくって?

 

 ……結果、小五郎さんが夜に家にいることが増え、テレビを長々と占領しているため、好きなドラマが見れなくて蘭ちゃんは不満があるようだが。

 亭主元気で留守がいい、ってやつだね。

 ……普段ダメ親父なのに……

 

 今回も、家に蘭ちゃんとガキンチョだけ置いて遠出するのは好ましくなかったようだ。

 

 …………本当に、考えて行動されて……おられるのか?

 

 あの人、キッカケさえあればいきなりIQ300くらい行くんじゃないかレベルで冴えまくってくるから怖いのよ。

 しかもそういう時ばかり口に出さないで自分で収めてしまうから、本当に気付いてるか気付いてないか、わからない。

 なんせ普段の姿に全部隠してしまわれる。

 普段から、あの口の固さしてたらそりゃもう素晴らしい探偵なのに……

 いや、もしやあの食えなさが2人の尊敬ポイントなのか……?

 計り知れないもんな、小五郎さん。

 

 少し前にあむぴが実装することが正式に決まったのか、組織の監視は全員引かせたそうなので今は事務所にはなんの目も無い……

 とは言うが、念の為小林くんにはしばらく寄らないようにしてもらおうか。

 なんて言ってたら、本堂くん(これ)の襲来。

 

 事務所以外でなら合流出来るかもしれないけれど、小林くんと本堂くんのエンカウントには気を付けないと。

 

 ……小林くんでも安室透でもなく、この“私”が本堂くんをわざわざ見に来て、江戸川コナンくんと一緒にコソコソと話をしているのも見ていた上で、「ついてくんなら、邪魔しねーようにそいつの車に乗れ」とのお達しを本堂くんに出していた小五郎さん。

 彼も、なんとなく本堂くんを怪しんでいるのか?

 彼の安全性がわかるまでは私に任せる気なようだった。

 

 私から小林くん達へと、情報が行くのを待ってるんだろう。

 

 

 

 ――ここまでは、小五郎さんの行動にちゃんとした意図がある、と仮定し、好意的に見ると、そうなる。

 

 困ったことに、小五郎さんのよくわからない理論で動く場合のお考えが私には読めないのが悩みどころ。

 

 近くのビルの屋上で長物(スコープ)構えてた不審者の件で、家に蘭ちゃん置いとくのは嫌だったのは間違いない。

 

 しかし本堂くんに関しては……

 『娘に寄ってきたぽっと出の男』

 ……という愛娘の父親判定もあるのかもしれない。

 

 娘さんをあげるのは、新一くんを予定してるもんね〜?

 彼がそうと言ったことは無いけど。

 

 ■

 

 …………そんなこんなで、群馬への雪の降る道を、前を走る車を見逃さないよう安全運転でついて行っている。

 同乗者は2名。小さいメガネと大きいメガネだ。

 どちらもかわいい。

 まだ道も凍ってないから、タイヤ信じて走って良いと思う。

 

 

 なんでもいいけど、探偵の元に探し物依頼で人が来て、その捜索のためついて行って……の、この流れ。

 結構前にもやったよね。

 森田さんとかでさ。

 

 あれとはちょっと違うが、これに新一くんがついていける時点でこの依頼人、7割の確率でやってしまった後の証人作りに来た人に思えるよ、私。

 確か、小林くんが群馬に行く理由になった板倉さんとやらの事件もそんなだったんだって?

 となると国友家の事件とかみたいな、来てもらってから事件起こして……パターン?

 

 うーん……群馬の山奥……舞台がスキー場か別荘パターンなら、まだ生きてるかも。

 

 見つけた場所によっては、三角さん(依頼人)を近寄らせない方がいいかも……とはこっそり小五郎さんに伝えたけれど、あの怪訝通り越して話半分どころか2割も聞いてない面倒くさそうな顔は、「わかんないこと言ってんじゃねー」だった。

 

 “事件あるところに名探偵”ではなく、“名探偵のいるところに事件あり”だからね。

 

 何はともあれ、あの人は怪しい。

 居なくなった彼女より、企画書の方が大事だと態度が言っていた。人を見る目が無いからわからんけど、なんとなく怪しい、という感じは新一くんもあるらしいから、たぶん正解だろう。

 

 だから、この雪の中をなかなかの速度で走るのは止めてくれ。

 こっちは事故りたくない。

 どうせ彼女への気持ちなんてもう無いんだろ。心配のフリして、事故るのは止めてくれ。

 

「ところで、毛利探偵のお弟子さんは……は、は、ハックション!!」

「ティッシュはそちら、ゴミはこちらです」

「へ、ヘッキシ!!……ありがとうございます……」

 

 後部座席では、クシャミと鼻水が止まらない少年が鼻をかみ続けている。

 ゴミ袋と新しいティッシュ箱をグローブボックスから新一くんに取り出してもらって後ろに回しているが、本堂くんたら……風邪?

 

 暖房ガンガンにつけて、代謝のいい新一くんが自分側の窓だけちょっと開けて涼んでるからかな。

 閉めてあげてと言う前にもう閉めていた。

 上着なら後ろ漁ると出せるけど、着とく?

 

「だ、大丈夫です……やっぱり、こういう時に真っ先に風邪を引くのは僕なんですよ……ハックション!」

「鼻から来る人用の風邪薬ありますけど」

「う、貰います……」

 

 鼻をズビズビしている本堂くん。言わずともグローブボックスから薬の箱と未開封の水を追加で取り出してくれた新一くん。

 ぺいぺいと、受け取ったそれらを後ろに渡す。

 

 風邪というか、温度変化でクシャミが止まらないのではなかろうか。

 冬の朝とかよく起こるやつ。

 

 ……ふと。

 

「………………毛利探偵の弟子?」

 

 さっき妙なワードが聞こえた気がするんですが。

 バックミラー越しの本堂くんは、鼻をティッシュで押さえながらこちらを見てくる。

 

「違うんですか?」

「違います違います」

 

 弟子というからには探偵か、それに準ずる職業にならんといけない。

 私は一般大学院生ですわよ。

 お手伝い程度しか、した事ないのだわ!

 

 

 

 …………探偵、安室透のバイトだったや!

 

 

「では、あなたは一体……」

「スバルお兄さんは小五郎のおじさんのお手伝いしてるんだよ!」

 

 訝しげな本堂くんへ、新一くんのアシストが入ったが……“スバルお兄さん”だって?

 

 え〜?地味に嬉しい呼び方してくれるじゃん。

 

 何?何か欲しいものでもあるのか?ゲーム?海外推理小説の原本?初版?この間蘭ちゃんがクリア出来なかったARG?やる?

 

「お手伝い、ですか?」

「うん! おじさん、実は機械が苦手なんだ。パソコンとか、携帯電話とかね!

 メールで依頼が来た時のやり取りを、お兄さんがお手伝いしてるんだよ!」

「つまりバイトですね」

「そうなんですね〜……」

 

 そうなんですかね〜?

 

 確かに、たまに事務所のPCのデータ整理やホームページの管理はしているが、言うてガッツリ働いてる感は無いので本当に“お手伝い”といったレベルだよ。

 大体ノアズ・アークが手伝ってくれるし。

 

 ……意外だな。私に興味を持つとは。

 

 邪魔しないよう端に寄ってたり、目立たないようにしてたんだが。

 視線感じたりしちゃった?

 

 もしもそのまま、疑惑を小五郎さんではなくコナンくん(新一くん)でもなく、私に向けて勘違いしていてくれたら助かるんだが。

 

 もし万が一、彼の狙いが灰原さんや小五郎さんではなく、新一くんだったなら、プランCか……

 やだなぁ。得意じゃないから、本堂くんが目敏いとすぐバレてしまいそう。

 

 

「スバルさん、今回の依頼で何か調べたこと、ある?」

「そうですねぇ……」

 

 

 その質問は、プランCで行こうとしてるのかい新一くん。

 マジで私、それ苦手だぞ。

 

 

 100%ノアズ・アーク頼りで良いならやるけどね!

 

 




成人式の日って必ず雪降りますよね

試練……ってコト!?


読んでいただきありがとうございました!
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