昴くんはなにもしない   作:あまも

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ねこはかわいいです

ここすき ありがとうございます!
度々こっそりサイレント修正しているので、たまに行がおかしくなったりしてますがここすきして頂いた所は見てます
いつもありがとうございます!

あと誤字脱字文法間違い修正毎度すみません、ありがとうございます……!
閲覧ありがとうございます!


51-1:ねずみ色のゴロちゃん

 

 

 

 

 猫が1匹。

 

 私の頭の上で、ミャンとご機嫌に鳴いている。

 

 

「スバルさんたらまた猫に踏まれてる」

「いやホントに」

「良いなぁ……」

 

 よかねぇのよ蘭ちゃん。

 

 

 こちらの、小さくともブルーグレーがキレイに出ている、細身で立派なロシアンブルーしてるお猫様。

 小五郎さんの事務所へと、私が妃さんからお預かりして大事に大事に輸送した、名前をゴロちゃんと申される猫様でござい。

 

 まだまだ若くてヤンチャざかりの小さき赤ちゃん(エケチェン)だが、しつけも行き届き身の程も弁えた、流石は妃先生の飼い猫と言えるご立派なお猫様である。

 

 ロシアンブルーはこの賢そうな見た目通り、賢い個体が多い傾向だが、そんな見た目の割に甘えんぼで元気いっぱい、ヤンチャな子も多い。

 でも飼い主に忠実で、まるで犬みたいとも言われる猫だ。

 前の(ゴロちゃん)も賢くてかわいらしい子だったが、またいい猫貰ったよねぇ、妃さん。

 

 名前の由来の本人より賢いかもわからん。

 

 

 

 しかし、賢いはずのこのゴロちゃん。

 奇妙なことに、私の頭の上でお座りするのを好むのだ。

 

 マウントとられてぐぬぬしている人間を足蹴にしてるわけで、人類すべからく猫の下僕たるべしってか?おのれ……

 

 軽いんだけど……乗るならせめて、三毛猫ホームズみたいに肩とかさぁ!!

 

「スバルさん、なんでこんなに懐かれてるの?」

「これは懐かれてるわけではなくてですね」

 

 猫に警戒されてないとも言えるが、同時に警戒する価値もないと言われてると同義であってだね。

 おう、もっと人様のこと警戒しろよ畜生め。

 吸うぞ。

 

 新一くんが抱っこして、蘭ちゃんが新一くんごとこねくり撫で回している隙に妃さんから預かった時に一緒に貰ったトイレに猫砂敷いて、事務所の隅の洗面所下に設置。

 ええか、トイレここやぞ。

 ミャンと新一くんの腕の中からご機嫌な返事が返ってきて、降ろされた後軽い身のこなしでまたもや私の頭上に。

 ︎︎……わかってんだかどうなんだか。

 人見知りしない、ほんといい猫だなお前。

 ︎︎でもそれやめろって。

 

「沖矢さんが預かるのは、やっぱり難しいんですか?」

「そうですね……珍しく、出席しなければならない授業がありまして……明日以降なら見れるんですが、今日だけはどうしても難しく。見ててもらうにも、研究所は危ないでしょうし」

 

 阿笠さんに猫を預ける……普通に灰原さん含めて皆で可愛がってくれそうだが、あの家には危険物がそこかしこにある。危険極まりない。

 

「それに、妃先生のご指名ですからね」

「仲良くできるかなぁ?」

 

 幼稚園児か小学生のクラス分けみたいな言い方する新一くんと、苦笑する蘭ちゃん。

 

 飼い主の妃さんが、依頼人との相談のためどうしても沖縄に行かねばならず、その不在となる3日間、お世話してくれる予定だった栗山さんが風邪ひいたそうで……

 ペットホテルは、ゴロちゃんがまだ子猫であることと、ワクチン接種が完了していないためルール的にも、またゴロちゃんと妃さんの心情的にも難しく。

 動物病院もホテルの予約は空いていなかった。

 こういう時、ペットって難しいよね。

 

 明日以降はいつも通り暇してる私が預かる予定だが、今日だけはどうにも。

 ……というわけで、蘭ちゃんに白羽の矢が立ったのだ。

 

 ここで、事務所の扉が開いた。

 階段から鼻歌が聞こえていたが、小五郎さん(家主)の登場だ。

 来るまではゴロちゃんばりにご機嫌そうだったのに、私と蘭ちゃんと新一くんを見て顔を顰める。

 

「あ?お前ら何してんだ。学校行く時間だろーが。……それに、沖矢テメー…なーーにふざけてんだ、んな猫の飾りなんか乗っけて……」

 

 ミャァン

 

 頭上のゴロちゃんが返事するかのようにひと鳴きすると、頭に軽い衝撃。

 飛び降り、華麗な身のこなしで猫らしく着地して床に座り直したゴロちゃんを、小五郎さんは震える指で指し示した。

 

「ニャン?……って、猫ォ!?生きてんのか!?」

「生きてますよ。ご挨拶できてえらいですねぇ」

 

 小さな顔の前に手を差し出すと、ふすふすと嗅いでから頭や背中を擦り付けて来る。

 

 いやー……かわいい。

 

 拾ってきたのか、とか英理の猫がなんでここに、とかこんなネズミ色のこきたねーのとか、蘭ちゃんたちからもたらされる情報に逐一文句を散々言っている。

 小五郎さんたら、不満たらたらである。

 

 でも妃さんから、『とりあえず蘭に頼んだから、沖矢君は事務所に置いてくるだけでいいわ!』とのお言葉いただいてるのでね。設置くらいは手伝いますって。

 妃さんだって、平日の今日に蘭ちゃんが昼間、猫を見れないことはわかっているだろう。

 

 ……つまりは……

 なんだかんだ言ってるが、嫌がってはいても猫に酷いことするような男ではない、と、小五郎さんのことを信頼してるってことだろう。

 

 んもー、遠回しねぇ!

 

 

 なお、小五郎さんに管理出来るとは言ってないし思ってもないと思います。

 

 

 新一くんの言う通り、水やご飯のチェックと、あとトイレのお世話と、脱走や危険なことしないかの確認だけでもして貰えればね。

 やる事多そうだが、朝ごはんはもう餌入れに入っているし、匂いがしたら砂捨てて、戸締りしっかりしてそれとなく視界に入れといて貰えりゃいいのよ。

 流石に来客もある事務所内は散らかってないから、猫が触れたり食べたりして危険なものはそこらに落ちてないし……うん。

 最低限それさえしてもらえればいいのよ。

 

「わからないことがあれば、妃先生や私に聞いていただければ」

「じゃあオメーが預かれば良いだろーが!!」

「私、今日は大学行かなきゃいけないんですって」

 

 今日はサボ……お休みしていた分を取り返すチャンスなのだ。

 お話聴いてレポートまとめるだけで出席分つけてくれるとかいう奇特な方がおってな。

 

 それまで『講義に来てね』という連絡をこまめにくださっていた方だったもんで。

 厳しくはないが、提出物しっかりしてれば文句言わない方だったはずなのに、最近何やら心配してくださってね。

 その提出物を、サザエさん時空の歪みによって出してるか出してないかが曖昧だった私は、とりあえず聞いてみようかと……確認取ったら怒られるかな、なんて軽い気持ちで聞いたら、既に警告された(怒られた)後だった。

 いやー、うっかりうっかり。

 だから催促してくれてたんですね。

 准教授がPONした後に気にかけて下さっていた方だったから、ほんと悪いことしてしまって申し訳ない。

 この件は、景光くんと零くんにお伝えして、お手伝い出来ない日ができますと進言したところ、爆笑の後に真顔で「大学行けよ」と言われたので、「この日に行きます」と、今日の日付で約束してしまったのである。

 

 この流れでドタキャンは流石にね。許されない。

 

 

 散々サボりまくっていることを自他ともに認められているこの私が、自主的に大学へ行こうとしているのを止めるわけにもいかない。

 ぐぬぬしている小五郎さんをよそに、園子さんのお迎えが来て蘭ちゃんはさっさと学校に向かってしまった。

 私も、ちゃんと用意したネコチャンお世話How to表の説明したらもう行かないと。

 ついでに新一くん、小学校の近くまで送っていこうか?

 ここから大学までって、表通ると朝は混むんだよね。

 

 

 

 しかし、ここでお客様の来訪。予定していたより早く来てしまった依頼人だそうな。

 ええ〜?新一くんが興味津々で聞いちゃうじゃんか。

 

 

 ■

 

 企業戦士な桐下さんのご依頼は、娘が間違って送ったメールの文面がどうにも暗号めいていて、その娘さんに内容を聞いても「今すぐ消せ」と怒られて……同じ年頃の若い子に聞いたが、その子にも「娘さんの好きにさせろ」と言われ、教えて貰えず、どうか解読を……と、藁にもすがる思いで探偵事務所に連絡したのだそうな。

 

 暗号ってか……

 ちらりと見ただけで、それがギャル文字だとわかってしまった私。

 私の知ってるタイプと違っていて読みにくいが、読んで見るに内容はほっこりと暖かいものだったので読み上げてやろうかと口を開いたら、その口におかきのようななにかを突っ込まれた。

 超びっくり。

 突っ込んだのは新一くんで、小五郎さんの座るソファーの裏にしゃがまされ、めちゃくちゃ首を横に振ってる様を見せられる。

 カリカリとした口の中のそれを咀嚼しながら首を傾げて見せたら、小五郎さんの背中を指差し、今度は頷く。

 

 …………小五郎さんに、自力で解かせたい?

 

 こちらも小五郎さんの背中を指差して見せると新一くんがウンウンと頷き、ソファーの背もたれの所に顔を出したゴロちゃんをさらに指差して見せた。

 ……せっかくだから、ここで頭悩ませて、この事務所に彼を拘束しよう、ってこと?

 

 …………たかがギャル文字で半日も事務所で頭悩ますなんてこと、あるかね?

 

 私が首を傾げているのを見て、むすりと口を尖らせた新一くん。

 

「そうだ、スバルさん、ゴロちゃんのトイレとベッド、用意してあげてよ!」

「それはもうあり…ああ、はいはい」

 

 私を裏に連れ込む口実ね。はいはいっと。

 

 

 ……ところで、口の中のこれ、なんかすごい覚えがある味なんだけど、新一くんさぁ。これどっから取った?ゴロちゃんのおやつのカリカリじゃないか?これ。

 味は結構良いんだけど、湿気ってると口に残るんだよねぇこれ……

 

 

 

 

 新一くんについて行ったお勝手前で、麦茶をペットボトルから注ぎつつ作戦会議。

 しょっぱくてなんだか湿気ったあれは、依頼人の前に出してた塩豆おかきってことにしよう。

 

 

 あのメールの文章は、“ギャル文字”を知っていれば簡単に答えは出てくるが、下手文字に触れてこなかったので暗号だと思い込んでいるおじさんたちが理解するにはとても苦労するだろう。

 しかしあの内容を見る限りでは危険でもない、とても平和な依頼。

 ちょっと桐下さんが心配性なだけだが、なにせここは米花町。

 心配しすぎるということはない。

 

 なんてことない、いいお父さんじゃないか。

 だから娘さんがサプライズを予定するほど愛されてるんですかね。

 

 

 ゴロちゃんのおやつをばら撒いて、小五郎さんが発想のヒントとなる物に目が向くよう仕向けて時間稼ぎしつつ、自力での解決に導いてやろうという魂胆らしい。

 

 相変わらず、難しいこと考えるねぇ。

 おやつあげるなら猫用のかつおぶしにしなさいな。ほら、ゴロちゃん用おやつ袋にあるから。

 

 そうなると……私も捨て台詞残していってやろうか。

 新名先生の暗号を思い出したらやりやすいかもね。たしか、あの暗号に服部くんと一緒に挑んだんだろ?

 

 

 

 ■

 

 

 

 昼過ぎの授業の合間に、沖縄の妃さんから連絡が来た。

『どうにもゴロちゃんが心配だから、重要なものだけ早めに片して、あとは電話とFAXで済むようにするので、夕方の便で帰る』とのこと。

 お迎え了解。

 ……すんごい弾丸空の旅じゃん。

 

 タクシー使うからいい、と遠慮されたが、色々お世話になっているし、夕方ならこっちの講義も終わってるだろう。

 

 事務所でゴロちゃんがどんな様子か、一緒に見に行くのも良い。

 

 

 私の授業のために時間とってくれた教授は、彼の研究室で少人数、というか行ったら私1人で、まさかのマンツーマン説明会開催となりまして……恐縮してたのも最初だけ。

 

 最終的にお茶とお菓子つまみながら今何してんの?開発上手くいってる?みたいな世間話で終わった。

 

 内容としては昨今のインターネット上での情報のやりとりが、いかに危険で不安定か、匿名状態での取引が増えるにつれて起こる問題は、匿名性のそもそもの問題とは……といった大変真面目な内容だった。

 ただ……この教授の普段の研究とはちょっとズレて私向けな内容にしてくれた辺り、なんとなく、なんとなーくだが、私……とヒロキくんを自分の研究室に呼び込もうという気持ちが見え隠れするような……

 普段良い人なんだが、なんだか今日は世間話の合間にちょくちょく“こちら”の研究についてそれとなーく訊ねてくる発言が多かった気がする。

 

 そも、この人の研究は技術と犯罪の関係ではあっても人工知能がどうのといった話は前はあまりしてなかったと思うんだが……

 

 

 あれか?

 またちょっと文明が戻ってきたのかね?

 

 

 

 スマートキーやスターターがいつの間にか主流に戻ってたし、ICカードもよく見かけるようになってきた。

 携帯もスライド式とか出てきたし……

 ネットも広く普及して、ノアズ・アークがかなり動きやすくなり、景光くんや零くんのお手伝いがやりやすくなってねぇ。

 

 …………元々こんなもんじゃなかったんだが。

 

 なんにせよ、スマホ時代も近くなってきた。

 順調に元通りになりつつあるらしい。

 

 

 

 よきかな!

 

 

 

 教授に提出するレポートだが、ちょっとヒロキくんと相談して、後日、改めて書き直したの出すことにしよう。

 人を見る目に定評のある私だが、なんか違和感があったのは事実なので。その違和感がなんなのかは知らないけども。

 PONした准教授も結構ガッシリした体型してたが、今回の教授もフィールドワーク多めで、外見だけなら体育会系な実はサイバネティックインテリ系な方だったので、もしかしたら研究室にはあまり来ない方かもしれない。

 うーん……?

 

 ……デスクワーク、そりゃ体力意外と使うが……PCの前にムキムキを置くのが流行りなの?

 

 

 

 ■

 

 

 

 夕方。

 

 羽田で妃さんをピックアップして、そのまま毛利探偵事務所へ。

 道中に、朝の事務所内でのゴロちゃんの様子と、依頼人が来ていた話を伝えておいた。

 ゴロちゃんが緊張せずに元気だったと聞いて嬉しそうだったが、小五郎さんに仕事が入っていたと聞いて眉を顰めておられてね。

 

 ただの暗号解読で、事務所には居てくれるはずだと伝えたら半信半疑で落ち着いて下さったが、飛び込みしたのはゴロちゃんのほうだから、そこで怒るのは違うじゃん。

 

 

 

 通信が届く距離に入ると、事務所の会話音声が聞こえはじめたので、せっかくだから車のオーディオに繋いで妃さんにも聞いてもらう。

 どうやら小五郎さんは無事解決――いや、解読は出来た様子で、蘭ちゃんや新一くんも帰ってきているようだ。

 新一くんとゴロちゃんは上手くやったらしい。

 

 

 ポアロ前で停車し、事務所に入らずに音だけ聞いていた。

 隣で「盗聴した情報に証拠能力はなくってよ」と言いつつも、小五郎さんの良いところ全開な解決に、彼女の口元が緩んでるのは見え見えである。

 ︎︎なぁに、これ使ってからかうわけでもないんだろ。どうせ妃さんの心の中で大事にしまわれる情報なんだから。

 

 ……やっぱ好きなんだろ!!!まったく!

 

 これだから!ツン同士ってのは素直じゃないね!まったく!!

 

 

 

 

 …………でも毛利小五郎(ダメ親父)殿。

 そこでどうして沖野ヨーコさんの話題を出してしまうのか……

 

 

 オーディオ切る間もなく、聞いてしまった妃さんが無表情……いや、額に血管浮かばせて、乱暴に扉の音立てて閉めながら階段をヒール鳴らして上って行ったので、うん……

 

 ご愁傷さま……

 

 

 

 裏の駐車場に車置いてきて、荷物の回収に行くべきか、それとも喧嘩しつつ荷物まとめさせられるであろう小五郎さんがトイレやご飯を持ってきてくれると読んでこのままここに停めておくか……

 

 妃さんが小五郎さんの顔見たくないからと、荷物全部持ってくるかもしれないのはまずい。

 

 うん、車は裏に置いて、手伝いに行こう。

 

 ………………既に2人の言い合いになってる所に行くの、気が重いがね。

 

 

 

 





寒いッピ!

被害者や犯人の飼ってたペットってその後の行方どうなってるのか、毎回気になります


読んでいただきありがとうございました!
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