昴くんはなにもしない   作:あまも

120 / 154

更新ちょっと遅れまして……
全部雪のせいだってことにしてください(雪かきで身体バッキバキ)

もう少し文章多いつもりでしたがよく分からんこと考えてたら進んでませんでしたね

閲覧ありがとうございます!


53-2:おばけなんてうそさ

 

 

 

 

 

 新一くんが、基礎工事から問題があっただけであると一発で見抜いてしまった。

 

 でもさぁ……実際しばらく目を離してたら洪水とかでもなしにもげ取れてしまうような橋、危なくない?

 ちゃんとした道作ろうよ。

 ノアズ・アーク、綾子さんに頼んで、橋掛け直してもらって……と。

 ああ、連絡しようにも電波がない。

 

 

 どっちにしろ、このままでは向かえないな。

 やっぱり幽霊が!怪人が!と騒ぐ蘭ちゃんを宥めるのは園子さんと本堂くんに任せ、さてどうしようかと新一くんと相談する。

 

「どうしましょうか」

「スバルさんは車まで戻るんだよね。それで……車まで行くのに、俺たちを連れてくかどうか、ってことだね?」

「はい」

 

 車まで戻れば、迂回ルートで遅くはなるがあの鈴木家の別荘に行くこともできる。

 屋敷の主人やゲストのための綺麗な……きれいなだけのあんな吊り橋ではなく、使用人や整備用の、綺麗でもなんでもない普通の道だが。

 

 道がないからクローズド・サークルとかいうこと言い出すんだよ。

 常に退路は取っておくものだ。なんか昔の偉い人もそんなこと言ってたらしいじゃん。

 山の道なんて案外どことでも繋がってるものである。

 

 

 ただ、それなら正直……みんなの荷物を持って、ゾロゾロと全員……主にお嬢様とインドアドジっ子ニューフェイスボーイと小学生を連れて行く必要が全く無いのよね。

 

 これでも山歩きと体力にはちょっとは自信のある私が、最低限の荷物だけ持って先行し、最速で車に戻り、4人を回収するのが良いのでは……と思ってはいる。

 

「ただ、道がそれほど広くないので、回せるスペースが……なくはないんですが、危ないかなと」

 

 林道にも所々に待避所や、すれ違えるように広めに取られたスペースはあるが、それもどこでも回せるわけではない。

 

 スバル車はお鼻が長いのが特徴です。

 ……ちょっとだけね。

 

「それに、遅くなるつもりはありませんが、皆さんだけで森の中に置き去りにするのも……」

「鈴木会長とおっちゃんに言われてるもんね」

「ええ」

 

 特に小五郎さんから、確りと彼らの安全保障を厳命されている。

 蘭ちゃん、園子さん、新一くん、そして本堂くんまで含めてね。

 小五郎さん、ずっと半目なんだけどちゃんと本堂くんのことを面倒見ようとしてるっぽいのである。

 …………なんかありそう?

 

 

 

 さてさて。子供たちを守るにしてもどうしたものやら。

 下手に体力使わせるくらいなら留まるよう指示して置いていくべき……なのだけど。

 山の天気は変わりやすいのだ。

 この後突然雨でも降ったら、または昼にかけて、夏特有の陽射しが強くなったら、もしくは野生動物が飛び出してきたら、刺してくるような虫が集ってきたら、道を間違えてしまったらと……山の心配事はたくさんある。

 

 正直、蘭ちゃんなら怪我覚悟でイノシシとタイマン張れそうだったり新一くんの殺人シュートと麻酔針で熊くらいならなんとかなりそうだったり私の荷物に防水グッズ突っ込んでるからそれで雨降っても新一くんがなんとかしてくれそうな気もするが……

 

 主に本堂くんが、うっかり怪我しそうでさ。

 なんなら今まさに崖際に立たせたくないもんな。

 

 この……ドジっ子ちゃんめ!

 

 

 ■

 

 

 落ち着いた蘭ちゃん含め、皆で車まで戻るかそれとも待機するかを改めて確認。

 

 すると、本堂くんが「それなら」と言って指を差した先。

 木々の上に顔を出す、やや小高くなった丘の上のとんがり屋根が見えていた。

 

「あの別荘、あそこの前で待たせてもらっては?電話も借りれるかもしれませんし、もし雨が降っても軒下くらいなら貸してくれそうです!」

 

 それは名案だと、皆で賛成してるが……

 ……ノアズ・アークや。

 

『うん……』

 

 そして新一くんや。

 

「どうしたの?スバルさん」

「……あれ、あそこ……確か、2年前に事件が起きていた屋敷です」

「えっ」

『うん。事前調査してたものだね』

 

 

 このメンバーで、以前殺人事件が起きた別荘に再度行く、なんて話。

 そらもう、また事件が起こらないとは限らないってかほぼ確で事件起こるだろうからな。

 原因となりうるものは事前に調べてある。

 

 

 …………そのうえで、この近くで起きた事件についても、もちろん調べてあった。

 

 

 

「あそこはですね………………2年前に首吊り自殺とか、転落死などの事故があった屋敷でして、いわゆる“曰く付き”として、ネット上では度胸試しスポットとして有名なんですが……皆さんを連れて、向かわれるので?」

 

 話を聞いた新一くんは、うげ、と苦虫を口に放り込んだあとペッしたみたいな表情。

 目をぎゅむとつむり、新一くんはしばし考えた。

 

「………………まぁでも、外よりは安全そうではあるし……目印にもなる。人がいるかもしれないしな。うん、あそこに向かうよ。何かしらやばそうなら、俺たちは外で待機しておく。

 迎えは早めにお願い。

 ……その“曰く”については……園子には言っとこう。蘭と、本堂には内緒にしておくか」

「了解」

「あ、急がなくても良いからね。気をつけて」

「ふふ。了解」

 

 

 合流のしやすさ、周囲の敷地は、山道よりは拓けているであろうこと、屋根があり、人がいる可能性……

 あとは、屋敷そのものの“曰く”について、ちょっと興味湧いちゃったんだろ。

 ニヤけてるぞ名探偵。

 

 ではそれそのように、仰せのままに。

 なる早、でね!

 

 

 ……………………あ、もしかして今回、ホラー展開のある回ってこと?

 幽霊見れるチャンス……ってコト!?

 

 

 …………いやぁ、科学的見地に基づいた捜査してる新一くんの前に幽霊(ガチモン)は出ないっしょ〜!

 

 

 

 ■

 

 

 

 来た林道を、カーブでショートカット挟みつつ足早に進みながら考える。

 

 まとめついでに、調べていた件の屋敷の事件についてをノアズ・アークが読み上げてくれているが、引っかかる点を後ほど新一くんに伝えるためにノアズ・アークにチェックつけていってもろて、要点まとめて……

 

 1番引っかかる点は、わざわざ魔物の侵入を拒むのに1箇所だけ窓を打ち付けて封じた上で、それはそのままに改装したって辺り。

 これ、何か隠すための改装っぽいけど、じゃあなんでその後兄嫁が自殺したのやら。

 兄夫婦が無くなった後、弟が、兄嫁と不倫してたからだと自らを責めたとかなんとか噂があるが……ほんならなんでその弟は生きてんだって……いやいや、死にたくなるのは色々人それぞれ理由と程度があるから。

 だって、そこに関与してなさげな弟嫁とかなんだったんだ。

 ……さて、悪いのはいったい、だれだったんだろうな。

 

 江戸とかの頃は、不貞を働いた女がほぼ全部悪くなってたけど……さてさて。

 色恋ってのはホント、よく分からん。

 

 

 うーん……今回、本当にそんな肝試し回なの?

 

 

 どうせ幽霊なんて出ないが、そうなると起こる事件はかつての出来事になぞらえた殺人事件が起こることになる。

 するってぇと、あの屋敷に誰かいるってことだろ?

 

『現在は弟夫婦が売りに出したものを、とある音楽グループが購入して使用してるみたいだよ。えーとね、“ドルクス”だって』

「ホォー……」

 

 知らんな。インディーズバンドかなんか?

 ほな、そいつらの誰かが殺し殺されるってことか。

 で、それはもちろん、首吊りで行われるってことだな。

 

 

 

 ……さっきは霊場がどうのとか言ったが、結局はああいうのは全部こじつけだからね。

 

 

 例えば“崖の向こうの屋敷”なら、下を流れる川を挟んで、崖を境にあの世とこの世と定義できる。

 そうなると、当然死者が出ていたその崖の向こうの屋敷は“あの世”側だと言えてしまう。

 

 でもこの川、遠いけど迂回ルートもある。

 そしてこちら側の高台に建つお屋敷、あれも元々人が死ぬ事件があった場所。

 

 ではこちら側も“あの世”側なのでは?ってね。

 

 

 あのよォ!この世って何処!?

 知らね!

 

 

 ■

 

 

 無事車に到着。

 事前に伝えていた携帯の番号に連絡が来て、園子さんたちも例の屋敷に入れてもらえたらしい。

 屋敷の所有者の、インディーズバンドのグループの人たちが丁度来てて、電話を貸してくれたそうな。

 

 ここからなら……30分もかからないくらいで迎えに行けるんじゃないかね。

 

 さて、事件起こる前に引き上げたいところだが。

 むしろ事件起こる直前のほうがいいのか?

 

 

「ふむむむ……、どうしたものか」

『お兄ちゃん、悩みはなんなんだい?』

「お化けが出るところなので、蘭ちゃんが怖がってしまいそうなホラー展開が起きそうでして」

『…………おばけ、信じてるんだ?』

「そりゃまぁ」

 

 オカルトまるごと信じてる側だからね。

 その証明が出来ない限り、この世界においては“存在しない”判定されるのが悔しいところ。

 

「それで、ここで事件になってしまうと、解決するための探偵役……私がやるしかなくなってしまうんですよ」

『いやなのかい?』

「ちゃんと真相に辿り着く自信がないですからね。(新一くん)のサポートがあっても、そもそも思考が探偵向きではないですから」

『他の人……は、なるほど。群馬だから』

「ええ、群馬だから」

 

 ここは群馬県なので、群馬県警の管轄。

 そして山の中。呼べば来るのは……そう、ミッちゃん(へっぽこ)刑事だ。

 自殺っぽい様子の遺体を見たら、「じゃあ自殺ですね」で捜査終わらせそう。

 

 てかあの人、自殺っぽい事件の担当する事、多くないか?

 小五郎さんや新一くんがいないところで、どれだけの事件を“自殺”として処理してるんだ……?

 

 ………………あっ、群馬のお山で泥参会の方々が穴掘ってたり焚き火や小さなお山作ってるのよく見かけるのって、もしかして、そういう――

 

 うーん、だとしたら、知らずに利用されてるパターンがここにもいたことに……いやいやナイナイ。

 そんな簡単に、仏様が埋められてるわけあるまい。

 …………でも確かに、山歩くとよく“そうなってるの”を見かけるのは間違いないから……うーん、うーん。

 

 これ、零くん達に伝えたところで……感あるよねぇ?

 

 …………まぁ、長野のほうが片付いたら、改めて、長野の方々と一緒に考えてもらえばいっか。あっちも大概だし。

 現地の話だ。合同でやってほしいね。山漁り。

 

 

 さて屋敷の話だよ。

 そこで起こるかもしれない事件。

 

 探偵役は誰の手に?

 

 ミッちゃん刑事は…………まぁ置いとくとして。

 かといって、園子さんに麻酔打って推理クイーンさせるわけにもいかない。

 本堂くんの前で、新一くんに注目させるのは良くない。

 

 1周まわって、本堂くんに探偵役やらせてみたら良くない?抜けてるところがある、ってみんなわかってるんだから、それをみんなで補い合ってたらそれっぽくなりそう。

 彼、ひとりで毛利小五郎に辿り着けるだけの調査力はあるようだし……

 いや、本当にどうやったんだ?

 もう少し仲良くして、そこんとこ何したか聞き出して報告しないとな。

 

 まぁ、本堂くんに新一くんのウカッツなところ見せるのはよくない。

 なんてったって、彼が悪いひとじゃなくても、悪い奴らに使われてる可能性はまだまだ大いにあるからね。

 

 ほら、私みたいに悪い人じゃなくても、クリスさんや零くんに好きに使われてるパターンみたいな、さ。

 

『…………』

「なんか言ってくださいよノアくん」

『いやぁ……お兄ちゃんは悪い人ではないけど……』

 

 けどってなんじゃら!!

 気を取り直して話題を変えたノアズ・アークが、声のトーンを誤魔化し誤魔化し気持ち高めに先程までの質問の続きを。

 もし殺人事件やそれっぽいことが起きたら、探偵役は私がやるっきゃないんです?

 

 たぶん、屋敷そのものの改装に何かヒントはあるんだろうが……だから何って話。

 

「私、見てもわかりませんし」

『そりゃあ……何も起きてないし、そもそも見てもいないのにわかるわけないじゃない』

「起きてなくとも見てなくても、何故かわかる人達がいるじゃないですか」

 

 工藤氏をはじめとして、零くんやら秀吉やら……ああいうのがドヤ顔で説明してるのは「ナルホドナー」って聞けるのさ。

 あれは推測とかじゃないからな。

 事実だもん。

 

 あんなバケモンと一緒にされては困る。

 

『それは、彼らと比べるのはやめた方がいいけど、お兄ちゃんも大概だと思うよ』

「私のはほら、“そう”、“なりうる”可能性を言ってるだけですし」

『その可能性を考えられるのも充分だと思うけどね。それと、どうやって起こるかはわからないけど起こりそうな出来事を言い当てる、って、それこそオカルトじみてるんじゃない?』

「はは。星でも読んでるんじゃないですか?」

 

 占いみたいなもんだよね。

 小五郎さんも、当たりはわからないのにハズレくじだけは絶対に引かないってのはある意味オカルト、ファンタジーチックだ。

 私の場合、読んでるのは流れってか、エンターテインメントというか……文脈みたいな?

 

 にしても、今日は珍しく、長めに粘るねノアズ・アーク。

 何かあのふたりとのやりとりで思うところでもあった?

 

「そろそろ着きますね。ああ、車がある。ちゃんとまだ屋敷の方はおられて…………おや?」

 

 よろよろと、腰を庇っている本堂くんと園子さんが屋敷の横から出てきて、私の車を見て顔を明るくさせている。

 ……またなんか怪我したのぉ?

 

 車から降りて話を聞いたところ、木に取り付けられた鳥の巣箱を見ようとして、かけられたはしごを登ろう……としてしまったら、落ちたらしい。

 ドジっ子!!

 

「ま、まぁいつもの事ですから……」

「んもー、シャッキリしなさいよね!」

「私より危機管理なってない人、久々ですよ」

 

 幸い下の方の段で足を滑らせただけで、大きな被害ではなかったのか、庇っていた腰をぐいと伸ばし、改めてシャンと立ち直した彼をバシバシと園子さんが窘めている。

 溢れんばかりのダメな弟みだな。

 

 ………………あれか。「私がいないと、ホントダメなんだから!」って世のおねいさまがたに思わせるヒモムーヴを無自覚でやっちゃう人なのか。

 ノアズ・アーク、こういう人間の世話焼くの好きでしょ?

 

「ノアくん、彼みたいなの好きでしょう?」

『えっ?なんで?』

 

 至極不思議そうに聞き返されてしまった。違うらしい。

『仕方ないなぁ、お兄ちゃん(お兄さん)は』って言葉、ヒロキくんからもノアズ・アークからも良く聞くんだが。

 

 そういえば、我らが名探偵と蘭ちゃんは?

 

 

「あっ!」

「そうそう、そうよ!顔!」

「顔」

 

 顔とな?

 

 転げ落ちた本堂くんが顔を上げたら、“開かないはずの窓”が片方だけ開いて、そこから誰かが、庭の彼らを覗いていたのだそう。

 

 

 ホォー……?

 

 

 それ、ホントにホラー展開?

 おばけってよりはどちらかといえば殺人鬼系ホラーな感じ。

 

 

 本堂くんからそんなビックリ情報を聞いた江戸川くんが屋敷の中に駆けて行って、蘭ちゃんはそれを追った、とのこと。

 蘭ちゃんは怖くても、他の子の為に動けちゃう人だな、ほんと。

 

 

 ……なるほどねぇ。

 

 とりあえず屋敷に入って、お迎えきましてお電話ありがとうございますのお礼伝えんと。

 

 

 入って5秒で、階段フロア越しに上の階のほうから怒号と悲鳴と物と物が盛大にぶつかるような音が聞こえてきて、園子さんと本堂くんと共に顔を見合わせることとなった。

 

「え、と……何かあったんでしょうか?」

「上は、先程僕が見た開かない窓の部屋もあります!もしかしたらそこかも……」

 

 うーん……

 こーれ、2人は聞こえてるかわからないけど、人がなんかなってるらしいから、たぶん……

 

 ………………まぁ行ってみるか。

 

 

 





結局弟嫁が1番かわいそうだと思います()


チェイサーを見返したい……


読んでいただきありがとうございました!





オトンの名前考えてましたがシオンはさすがにやりすぎ感あるので多分適当に適当な名前になります
オキャスバルの名前のもじり感にはどう足掻いても勝てんて……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。