昴くんはなにもしない   作:あまも

121 / 154

察しの良すぎる人たち


あとまんじゅうと休日


二話前との整合性のためちょっとだけ変えましたがストーリーは変わりないです


閲覧ありがとうございます!


53-3:おばけよりこわいもの

 

 

 

 

 保波倫子という、インディーズバンドの作曲担当の女性が、自室にしていた部屋にて首を吊った姿で見つかった。

 では自殺か、もしくは呪いが……

 と思わせて、当然新一くんがいるため他殺だったわけだが。

 

 

 警察呼んでやって来たのは、やはりやっぱり山村ミサオ刑事。

 

 群馬県警、もしかして山に派遣できる刑事が他にいないのか、それとも山での事件が多過ぎて彼を出さねばならないほど切迫してるのか……?

 

 山村刑事は小五郎さんと小林くんの不在に肩を落とし、大・中・小のトリプルメガネセットの私たちを半目で睨めつけた後、私と新一くんの予想通り自殺と断定して帰ろうとした。

 そうはさせるかと肩組んでインターセプトしたはいいが、じゃあ「自殺ではないとすれば、何処に他殺の可能性があるんです?」と下から指突きつけられながら煽られまして。

 ……その時点では、私もロクに現場見てなかったんだが。

 痛いところを突かれ、適当言おうとした私であったが、そこに助け舟。

 

 

 彼女が腰につけていた鍵のホルダーから部屋の鍵だけが取れていた話。

 それを、“リール付きでかなり伸ばせるホルダー”という気付きだけで。

 

『他殺の可能性を、自殺した本人がわざと消した……かのように見せるためにあえて(・・・)、殺した犯人が鍵をホルダーから外した』

 ……なんて、しちめんどくさい発想を、可能性として発言してくれた本堂くん。

 

 ……すごくない?

 その考え方が出来る時点で、彼、だいぶ探偵向きじゃないか?

 

 山村刑事の言う通り、普通なら“自殺”に見える現場に対して“犯人がいる”、“他殺の可能性”を考えられるってだけでも普通の一般人じゃない。

 

 明らかに自殺っぽく見えるご遺体を見て、普通は「一体誰が(・・)……」なんて考えないって。

 たまにその路線で、犯人がうっかり失言してオヤマァアレマァヤッチマッタナァ!する爆速犯人認定入ったりするくらいには、普通は考えないのさ。

 

 

 こちとら、“新一くんがいるし”とかいう根拠(コンギョ)のコの字もないメタ思考でそこに立ってるってのにさ。

 

 

 本堂くんの考え方が中々面白いので、本堂くんに手がかりになりそうな事を片っ端から言ってって良いか、新一くんに確かめたところ、何やら神妙な顔でGO指令を頂いた。

 

 というわけで、この度は“本堂探偵”のへっぽこ助手をさせていただいた。

 ……んだけど。

 

 

 

 本堂くん、すごくない?

 

 

 バンドの他のメンバーの話や彼らの使っていた部屋の情報を聞き、事件発生時の部屋の状況と彼らの様子をそれぞれから聞き取り……

 新一くんが何か言いたげにしてるのを私がそれっぽく代弁したり、蘭ちゃんや園子さんたちと手がかりになりそうな話してたら、なんやかんやしてそれとなく、真相に辿り着けそうになっちゃった。

 

 そもそもその“開かない窓”が“開いた”というのが、屋敷の前の主人の改装によって発生した何か(・・)だという手がかりしか私にはなかった。

 これがトリックに関係するかどうかさておき、件のあからさまに開かない顔した窓が採光目的でもなくまだそこにあるのはやっぱりおかしい。

 

 ほいだらと、車から取ってきたメジャーで室内からの窓枠同士の距離を測り、外からも同じ距離なのか調べようとしたら、そも室内の段階で窓枠の幅が他の部屋より狭いことが本堂くんによって指摘され。

 なのに外から見ると同じ幅。

 

 

 ……ってことは?

 

 

 「“この家……何か、ヘン……”」

 

 「そうです!この家――いえ、もっと言えば、この部屋そのものが…………えっと、沖矢さん、なんで今裏声で言ったんですか?」

「へ?ああ、そういうものなので」

「瑛祐お兄さん、こういう時のスバルさんは気にしなくていいよ」

「え?」

「そうそう、気にしなくていいですよ」

「え??」

 

 

 いわゆる、変な間取りの家ってやつだ!!!

 

 あれだろ、子供部屋が囲まれてたり窓も扉も階段もない謎のスペースあったりとか、変な番号がふってある絵とかだろ?

 それは変な絵か。

 ああいう上手い具合なものも、頭おかしい(褒め言葉)からくり仕込まれたお屋敷とかも、屋根裏が繋がってて隣人から覗かれ放題だったり床下に埋めやすいいい感じの地下室あったり……

 この世界、奇妙な間取りの家ってよくあるんだよ。

 昭夫くんの家とかもそうだよね。あの地下室 is 何。

 

 物件見てたころは、それ含めて度々問題起きてねぇ。

 工藤氏の短編のネタにもなってたけど、あの時は困ったわぁ。

 

 

 

 ……となると話は早くて、後は被害者の部屋のおかしな所、こと本棚の本の順番に本堂くんが気付き、動かしてしまった結果、謎の小さな抜け穴まで発見。

 

 後の炙り出しは(私が新一くんから伝えられた)方法があるからね。

 

 山村刑事や犯人以外に手伝ってもらい、本棚の本を直しに犯人が再度やって来るよう仕向け、皆でそれを固唾を飲んで見守ったという流れ。

 

 

 

 この時ばかりは山村刑事の胡散臭いもの見る視線も気にならなかったね。

 

 

 説明したがりな山村刑事に、本堂くんにまとめてもらって穴を皆で補強した、新一くんがうんうんと満足気に頷く“高校生の主張(推理)”を説明し、残りの説明は任せたのでこちらはターンエンド!

 

 

 ………………まぁ、途中で何やら曖昧になってしまった山村刑事の説明を、本堂くんがアシストしたりしてたが。

 

 

 概ね、新一くんより私の方が本堂くん視点では目立つ形で解決できたのではないかなと!

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 犯人こと耀治さんの行動を待った結果、すっかり夜道となってしまい、こんな気分で別荘でパーリナィというのもなんだか面白くない。

 今日のところは各々帰って、吊り橋が直って、ちゃんと安全が確保できてから改めてまた来ようという運びとなった。

 別荘なら阿笠家(うち)のやつもあるが、あっちに新一くん連れてったら臨時診療所見て「何このプレハブ」とか言われそうだし。

 

 

 素直に帰りましょうね!!

 

 ただいまはその帰路の最中。

 少しでも楽しい気分でお出かけした事にしたくて、皆で各々お話の話題出しては盛り上がりつつの道中だった。

 

 しかし道の駅にてトイレ休憩した後、落ち着いてしまった園子さんから、「それにしても、今日は珍しい沖矢さんだったわね」なんて言われてしまった。

 

 

 今日の話題はひっくり返さなくてもいいじゃないですか!

 

 

 今日1日、ずっと『推理クイーン』とか『山さん』とか、まるで『眠りの小五郎』みたいな推理の仕方してたそれぞれの『名探偵()』を本堂くんの目の前でされたら困るからって、かなり頑張って話題から逸らしてきたのに!

 

 君たちも食いつくなって!

 今日の件なんて思い出す必要ないでしょうに!

 

 

「珍しい、ですか?」

「沖矢さん、普段はおじさまや小林さんに任せてるのに、今日は本堂くんなのね」

「ゲッ」

 

 こらこら。新一くんたら、口から出てるわよ。

 てか、園子さんからは普段の私、そう見えるんだ?

 

「任せてる、というのは…?

 それに、『小林さん』?」

 

 小林くんの名前に気付いてしまったか……

 ルームミラー越しに見える新一くんの顔は、「ヤッベェ!」と書いてある。

 焦るな焦るな。こういうのは焦るから怪しく見えるんだから。

 それこそ後ろめたいことなんて“何もない”んだから、そのまま説明すればよいのさ。

 

「私と同じ、小五郎さんのお手伝いですね。ほら、小五郎さんは沢山の難しい依頼を受けておられますが彼の身体はひとつだけ。ですから、彼に代わって手がかりなどを集めるための情報収集や、追跡などの雑用係ですね」

「なるほど!」

 

 

 実際やってたしな。

 本堂くんが来る前の小林くんは、それこそ山村刑事に誤解されたのをきっかけとして、ついでに小五郎さんとこで“探偵見習い”のバイトしながら蘭ちゃんや新一くんの護衛という大義名分勝ち取ってたんだ。

 

 給料は……うん……よく呑み屋に連れてかれて、奢りと称して飲めや食えや飲めや飲めやしてたそうだが、流れで最終的にブルーパロットが小五郎さんの行きつけの店と化してるらしいよ。

 福井さんから、2人して呑みすぎとのチクりをいただいている。

 

 楽しんでるなら良いんじゃない?

 悪ければ智明くんが動くでしょ。臓器的な意味で。

 

 

 ……そんな、便利で使える見習いバイトくんとやらだが、彼が最近来れてない。

 

 ふむ、そこ聞かれると困るな。

 優秀な男だというのを聞かれてしまったのも困るんだが、会いたいとか言われるのももっと困るな。

 

 理由……適当になんか……

 

『聞いてくる?』

 

 右耳のノアズ・アークから、直接、最近来れていない“適当な”理由を聞いてくるか?との質問。

 OK、聞いてきてくだちいの意味も込めて、ハンドルを指で1度叩く。

 信号待ちの妙なリズム取りみたいな。

 

『了解。――――“別のバイト……そうだな、ライターの仕事が立て込んでるとでも言ってくれれば、蘭さんと江戸川くんがフォローしてくれるでしょ”、だって』

 

 ホォー。

 それをそのままを伝えると、気の利く新一くんが補完してくれた。

 

 ……小五郎さんの所だけだと生きてけない給料だから他のバイトをいくつも掛け持ちしてるフリーターになってしまったぞ小林くん。

 この間起きた、毛利小五郎探偵事務所前の不審者事件についての記事の情報収集に行ってることになったぞ小林くん。

 

 そして私の友人で、私くらいの年齢で未だにフリーターだけど、こんなでっかいハイテクな車乗り回してるイケメン大学院生でほぼほぼ将来の道も確定してる順風満帆な人生のハイウェイ乗ってる(沖矢さん)よりはるかにしっかりしてるからとっても頼りになる人だと園子さんに言われてるぞ小林くん。

 

 

 ………………おかしい、言ってることに何も間違いはないのに「それは違うよ!」と言いたくなる言い草だ。

 どうしてそんな、どっちも信用ならない感じの説明してしまうんです?!

 

 

 そりゃまぁ……立場で言ったら、小林くんは“小林なんて存在しない”話から始まる程度には立場ないけど……

 

「それでその方に『任せる』というのは?」

 

 本堂くんが話を戻した。

 そんなに聞きたいのかい?

 

「沖矢さんたら、『推理は苦手です』とか言って、結論とかぜーんぶおじさまや小林さんに任せてしまうのよ」

「ええ?あんなに色々、散々言っておいて?」

 

 おおう。

 確かに毎回、皆々様と一緒に遭遇した時は散々は言ってるけども。

 散々言って反応見てかないと、犯人が証拠やミスをした自覚のある箇所とか、炙り出せないんだもの。

 

 

「そういえば、沖矢さんって“アレ”、新一にはやりませんでしたよね」

「“アレ”?」

「そりゃあ……新一くんには必要ないですからね」

 

 蘭ちゃんの言う“アレ”ってのは、すなわち今の新一くんが小五郎さんにやってる「あれれ〜?」みたいなやつである。

 私の「ホォー」と「おや」と「ふふ」が該当するそうな。

 新一くんみたいにあんなに露骨に可愛くはやってないけど、あれ見た蘭ちゃんが「沖矢さんの真似?」って言うくらいにはアレっぽいらしい。

 ……………………つまり私は可愛げがあるという意味!?

 

 小五郎さんには新一くんが怒られたときに代わりにやったり、小林くんや透くんや秀吉に面白いこと伝えたいときにやってたヤツ。

 

「だって新一くんは聞いてくれませんもん」

「んなことねーって……」

 

 後ろでモショモショ言ってる小さいのがいる。

 小五郎さんもだけど、みんなして事件捜査中の私の話はホワイトノイズか何かだと思ってるのか、話半分にしか聞いてくれないんだもの。

 そして大抵、私が気付く程度のことは新一くんもとっくに気付いているからな。聞く耳持つ必要ないから、そうなると余計に私は任せて好き勝手してるので、結果なんもしてない。

 

「それって、もしかして今回の?」

「そうそう」

 

 いやぁ、そう考えると彼、本当にすごいね。

 

 ちゃんと私の6割適当な推論暴論話に、逐一反論入れてくれて、すごい……ここまで真面目に話聞いてくれる人、私の周りにあまりいないから新鮮だったよ。

 

 ディスカッションってやつはこうやるんだなぁって……これまでは本当に、みんなしてたまにしか人の話聞いてくれないんだもんよ。

 

 

「本堂くんは、その断定したらそうだと思い込んでしまう癖さえどうにかできたら、いい探偵さんになりそうですけどねぇ」

「えっ?そうですか?」

 

 照れ照れとしている本堂くん。

 大丈夫大丈夫、なれるなれる。

 

 ……なんだい?新一くん。手でピストルの形作って、クルクルと人差し指を回して……

 あれか、ブーメランってことか?そのジェスチャー。

 

 私は探偵向いてないってのに!

 

 

 

 ■

 

 

 ポアロにて、夕飯を食べ盛りな子供たちに先に食べさせ、その隙に小五郎さんにも一緒に夕飯をどうかと呼びに事務所に上がる。

 

 蘭ちゃんと新一くんとは、ここでご飯食べた後はバイバイとなるし。

 つかれて帰ってきた蘭ちゃんに、小五郎さん分の夕飯を作らせるのはちょっとね。

 

 事務所のソファーで、ニュース見ながら待ってた小五郎さん。

 彼には、本日目的地への吊り橋が落ちていて、子供たちを待機させていた屋敷にて刑事さんを呼ぶような事件が発生した、という話は既にメールで伝えてあったがちゃんと読んでくれたらしい。

 ポアロで既に夕飯中だと伝えると、一緒に食べるため席から立ち上がってくれた。

 

 事件発生からの、お泊まり中止で帰ってきた判断は褒められたが、ドジっ子本堂くんが本当に、目を離すとすぐ怪我する事実には渋い顔であった。

 私に似てるって?

 いやぁ、私の怪我とは結構違いますし……

 あれはワザとじゃなさそうなところが、どう改善すべきかわからんよね。

 

「危機管理能力もっと鍛えるべきですよねぇ」

 

 そんな事言ったらべちんと頭を叩かれた。

 いやいやいや。私だってワザとではないのよ?

 事務所を出る扉の前でそんなんされたので振り返ったら、小五郎さんは立ち止まり、むむんと唸っておいでだった。

 

「……オメー、今後ともアイツ、見ててやれ」

 

 渋顔の半目の末、そんなことをポツリと仰る。

 

「えぇ?」

「嫌そうな声出すんじゃねーよ。……小林だと“マズい”のか」

 

 最後だけこしょりと付け加えられた確認するような小声に、あぁ、ちゃんと真面目な小五郎さんだとこちらもちゃんと態度を改めた。

 扉のそばに誰も居ない?……うん、居なさそう。

 下のポアロの人数から、子供たちはみんなまだそこにいる。

 

「……彼本人の問題ではないようですが、彼が利用される可能性があるやも」

「……そうか」

どなた(・・・)からか、何か(・・)、頼まれました?」

 

 その質問に、苦々しい、というか……小五郎さんも、半信半疑、というか。

 

 携帯をカチカチと操作した後、メール画面を見せてきた。

 

「……………………なるほど。確認しました。少々お待ちを」

 

 そのメール画面を見た瞬間、それが残していていいデータではないのは私でも読み取れた。

 スマホ経由でノアズ・アークに、彼の携帯に送られたメールの出処を追跡させ、ついでにこっちに文面だけコピーして送ってもらう。

 

「……はい、消去して大丈夫です」

「データは?」

「セキュリティかけてこちらで取得済みです。……本人から送信されたもので間違いないかと」

「そうか……ってコトは、あの長期休暇(・・・・)、結構マズいんだな?」

「……結論だけ言うと、その可能性は大いにある、ですね」

 

 

 小五郎さんへ届いたメールは、『水無怜奈』を名乗る者からのものだった。

 

 内容は、こちらの持つ情報と合わせるとかなりのフェイクが入れられており、複雑な家庭環境が垣間見えそうな事情だけ語られている。

 

 『水無さん』は、自分と似た少年が、自分を探す依頼をしに来るかもしれない、と現状を先んじて読んでいた。

 その上で、やって来た彼、本堂くんのことを『実は自分の腹違いの弟』であるとし、父が闇金を利用してその関係で現在、水無さんは少々お金の問題で警察さんに相談に行こうと思っているが、そのゴタゴタが収まるまで……弟の方を守ってもらいたい、出来れば自分の所に辿り着かないよう、見ていてほしい、とする依頼文だった。

 

 そんな心配になるような話が、水無怜奈さんにメールアドレスを教えた後、彼女だと名乗る別のメールアドレスから送信され、しかも本当に顔が似てるドジっ子本堂くんが現れたもんで、この依頼に本腰入れるべきか否か……と悩んでおられたらしい。

 なんせ不審者が目撃されとるしな。

 蘭ちゃん達のこともある。

 

 もっと早く相談してつかぁさいよ〜!

 

 というのもやっぱり、本人との連絡がメールが来てから取れないし、休暇発表以降の足取りが掴めないことと、本堂くんが現れてから、小林くんがビルに寄り付かなくなった事は確実に関係あると踏んでたそうで。

 いまのメールの話すら、私に聞くべきか悩んだくらい。

 

 それでも聞いてくれた、となると?

 

「なんかわかってんなら教えろ」

「……了解。では明日の夜、お迎えに上がりますね」

 

 彼にも、協力するつもりがあるようだ。

 わかってんなら教えろ、ってのは、教えられることがあるなら教えておけば、それは考慮して動いてやろう、とそういう意味らしい。

 零くん形式!

 

『景光さんに伝えておく?』

 

 ノアズ・アークからの質問に、スマホの画面越しに許可を出す。

 調整は彼らがやってくれるだろう。

 

 

 気が乗らないのか気が重いのか、ダルそうに肩を回しながら、新聞片手に階段を降りていく小五郎さんを追う。

 

 彼を『水無怜奈』が頼ると決めたなら、『水無怜奈(キール)』の弱点はあの『本堂瑛祐』で確定だ。

 

 あの時点では組織とはなんの関係もないメンバーで向かった依頼をこなして、その姿勢から、不安に思う人に寄り添える探偵だと判断したんだろう。

 となると……

 

『お兄ちゃん、零さんと景光さんから、さっきのメールについての確認と、江戸川くんがどこまで掴んでるかの確認しろって。代わりに、“安室”で本堂瑛海と水無怜奈の違いについて調べてみるから依頼出せって』

「そのように。深入りなしで。……先に調べておいてください」

『わかったよ』

 

 階段を降りながら、新一くんに明日、情報交換会やりませんかとお誘いをメールで依頼。

 あちらも、情報のすり合わせをしたいはず。

 

 

 

 ご飯の後、毛利御一行とはさよならバイバイ。

 園子さんを鈴木邸に送り届け、史郎さん宛に事の次第のメールをお知らせした後、最後に本堂くんを、以前送った彼のアパートへ連れていった。

 

 現在、大阪で世話してくれていた親戚の人のつてで、こちらのアパートに一人暮らし、とのこと。

 

 高校生なのに、大変だねぇ。

 

 大丈夫?今日の夕飯足りてる?食べ盛りだろ。

 スパゲッティとか食いに行く?

 

「え?いえいえ、大丈夫ですよ!ポアロで沢山ご馳走になりましたし……」

 

 せやか。

 

 

「ところでさ」

「はい」

「“本堂瑛海”を探して、水無怜奈がもし本堂瑛海に“何か”してたら、どうするつもりだったんです?」

「……………………」

 

 そう警戒するなって〜。

 

 こういうのは警戒された時にビビったら負けって、赤井さんで学んでるからね。

 なぁに、あれと比べたら本堂くんのひとにらみなんてチワワみたいなもんよ。

 

 実は小さい犬のが気が強いぞ。

 

 それこそ……こちらに後ろめたいことなんて“何もない”んだから、そのまま説明すればよいのさ。

 

「お姉さんである“本堂瑛海”と、水無怜奈の顔が同じ、という事に疑問があるんですよね?あの顔で、悪さされるのを警戒してるんですか?」

「…………」

「失礼、ただの興味なんです。ただ、あんなに似てるのに、どうしてそこまで頑なに『別人だ』と拘るのか不思議で」

 

 力貸すから教えてくださいなんていっても、信用ならん男だもんで。

 でも協力してやりたいのは事実なのよ。

 だってみんな知りたがってる話だもの。

 

 後は本人から、許可が降りればOKなんだよ。

 

「それで……差し支えなければ、君が何故、彼女たちが別人だと判断したのかを教えていただけませんか?」

「……ひとつ、質問に答えてください」

 

 ふむ?

 

 彼のアパートの前に停車し、彼のその“質問”とやらを待つ。

 

 

「あなたは……あなたが、『毛利探偵』なんですか?」

 

 うん?

 

 

「いえ?小五郎さんは小五郎さんですよ」

 

 

 毛利小五郎はいつだって小五郎さんただひとりだろう。

 

『たぶん今の、そういう意味じゃないんじゃないかな』

 

 ノアズ・アークが呆れたような声で呟いてくる。

 うん、私も今の返事してから、本堂くんがへにゃと力なく笑顔になったの見て答え間違った気がするな。

 

 

「すいません、毛利探偵に頼みたいので……」

 と、前にも聞いた断り方しながら、彼は部屋に帰っていった。

 

 

 ………………ならもう、小五郎さんに聞けばいいじゃない!

 

 

 

 

 ︎︎この後研究所のほうに帰ってラムネいっぱい作ってボリボリヤケ食いしてたら灰原さんから引かれましたとさ。

 

 ︎︎どっとはらい!!

 





阿笠博士特製のラムネ製造機があるらしい
ちなみに研究所のギャラリー漁ると知育菓子がわさわさ出てくる

工藤氏の短編は、児童書向けに書かれたネタだったそうな。

読んでいただきありがとうございました!





ラムネの材料はぶどう糖とクエン酸と重曹とほんの少しの香料とほんの少しの魔法の粉です
ねればねるほど色が変わって……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。